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第5話 その少女、危険な森へ

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いつものように、私が洗濯物を干している時「ロリ!!」
ユダが私の名前を怒鳴りつけるように呼ぶ

「はい」

「こい!!!」

「はい」
今している最中の仕事を止め、すぐにユダの元へと向かう。
ユダは1番豪華な客室に顔を帽子で隠した男と一緒にいた。

「ロリ、この方がお前を買ってくださった。これからこの方に仕えなさい」
ユダは落ち着いた顔で告げ、私の首に付いていた首輪を外す。

「はい。今までありがとうございました…」
何で私なんかをこの人は買ったのだろうか?もっとよく働く奴隷はいたはずなのに。

「こんにちは、ロリさん宜しくね」
ユダの隣にいる男が挨拶をぺこりとする。

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあ、さようなら」
この男はユダに金が入った2袋を渡すと私の手をとって家から連れ去った。




「君の本当の名前はなんだい?ロリじゃないだろ?」
この男は優しく問う

「私の名前は…冬寧ねねです…ご主人様は何てお呼びすればいいでしょうか…」
私は相手の顔を見て言わず下を向きながら言う。怖くて相手の顔を見れない…から。

「僕はナナイ。君を奴隷から解放した。だから君はこれから自由に生きればいい。僕と付いてきたければ付いてこればいい。さぁ、どうする冬寧?」

奴隷を解放した???

「何故私を奴隷から解放されたのですか?」

「んーっと、ひみつ」
ナナイは悪戯っぽく笑った。

「じゃあ…ナナイさん…これからよろしくお願いします」
その秘密を知る為にもこのナナイの元へ居座る事にした。

「うん!その方がいいよー!冬寧ちゃん」

「ちゃんは無しで…」

「んじゃ、冬寧ねー」

この人の乗りチャラいな…いきなり呼び捨てなんて

「それじゃあ、冬寧。僕の家に行こうか」

「え。あ。はい。」



ナナイに連れられ、どんどん険しくなっていく道を歩いていく。これは何かのサバイバルだろうか。

「よし、もうすぐ着くぞー」

「あの…ナナイは森に暮らしているんですか?」

「あー。そうだね!ちょっと危険な森にサバイバル感覚で住んでるかも」

私本当に大丈夫かな…奴隷よりは言いけれど…死の危機に迫られている気がする。

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