OUTBuddys

うつじま

文字の大きさ
1 / 3

アホは友を呼ぶ

しおりを挟む
【アメリカ合衆国 ロサンゼルス方面高速道路】


「ね~あとどんぐらいで着く訳??オレちょーーーーー暇!!」


砂ぼこりがこびり付いたジープ車の後部座席でじたばたと不満を爆発させるのは、レックス・ラプター、15歳。ゴーグルでかきあげたパッツンのブライトマゼンタの髪と、裂けて雑に縫い付けられた口もと、恐竜みたいなしっぽが生えてる、いやお前本当に人間か?と疑いたくなるようなルックスが特徴な至って普通…とは言えない、正直かなり変わってる男子である。
なんでこんな見た目しているのかというと、この世界についての説明から必要になってくる。辿ること30年と8ヶ月前、この世界で新種の薬物が開発された。まぁなんやかんやあって世界中の治験参加者に身体的変化が現れ、人間でない生きものの特徴を持った人類が誕生、そして遺伝によってその特徴が残った…という訳で、レックスはそのキメラ2世という訳なのだ。まぁ、キメラ人間の中ではかなり原種寄りの見た目をしているのだが。


「ティナーーーーほんと暇ーーー!!耐えられないーーー!!オレ暇すぎて死んじゃう!!テレビ付けていい?!ネトフリ見たい!!」

「だーーーめ!!今交通情報見てんの!!アンタがテレビ見始めたら着くまでやめないでしょ!急にルート変えないといけなくなった時迷って余計時間かかるじゃない!」


駄々をこねるレックスを窘め軽く叱るのは、ティナ・ラプター、37歳。レックスのおばで古生物学者。ちなみに仕事人間なせいで彼氏を作ってもフラれるので諦め気味である。

「ぐぎぎ…おケチ!ドケチティナ!!」

「ドケチで結構、あんたもいい加減我慢ってのを覚えなさい!もうお子ちゃまじゃないんだから、今月から高校生でしょ!!このわがままっ子おバカヴェロキラプトル!」

「やーーだーー!!暇だと生きてけないもん!!なんかしてないと頭おかしくなりそう!!アレ??オレNARUTO何話まで見たっけ??途中だったよね??もぉー見ないと気が済まないッ!!」

「うるさいうるさい!!アンタタダでさえうるさいの分かってる?!アンタが癇癪起こすとキーキー喚くでしょ!!オノマトペじゃなくてガチで!!ほんっとなんでラプトルなのよ、恐竜は大好きだけど身内に居るとほんっっと嫌いになりそう!!」

「でも今はティナの方がうるさいもーん、ティナはキメラじゃないけど」

「それ以上口答えしたら、ユタに連れて帰るからね!!」

「ヤダー!!ユタなんもない!!暇!!砂漠と岩と土ばっかり!しかもティナオレが暇なのいい事に化石掘り手伝わせるもん!!割ったらチョー怒るんだもん!!下手くそだからやりたくないって言ってんのに!!」


喧嘩しながら2人が向かっているのは、ロサンゼルス。故郷ユタ州のソルトレイクシティを離れ、今月9月からレックスは高校生。ロスの外れの高校に通うため、はるばる何日もかけてドライブの旅をしてきたのだ。

「おぇ、待って、ね~ティナ…そこら辺になんかないかな…止まれるとこ…」

「なに、どしたの」

「ゲロりそう…フルリバース…酔った…」

「ゴミ袋やるからそれに吐いて」

「おぇぇぇぁぉぐえっげろぉぉぉ…」

「スッキリした?」

「気分最悪…」

「まぁいつものことね。アンタ乗り物乗りながらめちゃくちゃ喋ったあと決まってゲロるじゃん」

「うげ!!しっぽにちょっとゲロついた!!」

「拭きなさい、全くばっちいな…」



【数時間後】



「レーックス、おーい、レークーシー!!」

「んにゃ…なぁにぃ…??」


「着いたわよ、ロサンゼルス!」

「やっとだー、陸~…」

「数ヶ月ぶりに陸に上がった船乗りじゃない、その言い方だと。数時間車乗ってただけでしょ…」

「ずっと座ってたからー、お尻としっぽが激痛なわけー…」

「ハイハイ、しっぽがあると難儀ね」

「お迎え、行くんでしょ?」

「やっべ忘れてた!!空港空港!!」

「と、言うだろうと思って。ここ空港の駐車場です」

「ナイス!さすティナ!!」

「略すな略すな!ほら、お友達もうすぐでしょ?」

「うん、いってきま!」

「はいはいいってら。」



☆☆☆





【カリフォルニア州 ロサンゼルス国際空港】


「さてさて、着いた着いたっと…。ま、南部っつーか隣の州でごちゃごちゃ抗争やった後にロシアに帰ったと思いきや、1ヶ月も経たずにそのまま留学ってか?あーあ、もうアメリカが第3の故郷だなこりゃ」


飛行機から降り、色々と手続きを終わらせて大荷物で空港のロビーに到着したのは、1人の青年。センターパートの黒髪に、アジア系にも見えるがヨーロッパとも取れる独特の顔立ち、履き古したスニーカーとジーンズに、少々東欧訛りの英語。ディールズ・ルーザー、18歳。ロシアと日本のハーフの留学生。話せば長くなるのだが、少々訳ありな経歴を持つ。



「ディーーーーーーー!!久しぶりーーーー!!」


ハイテンションなレックスが彼を見つけると、突進の後に頭突きハグをお見舞いする。ドサッと勢いで2人とも倒れ込むと、再会した時恒例のルーティン終了。

「半年ぶり?元気してた??」

「おう、まぁな。てか重いからどけよ…」

「ゴメンゴメン、あっそうだ、今回はどのくらいいるの?」

「留学だから卒業するまで。…なんやかんやあったせいで元の学校退学になった上に、その前に留年しちまってさ…。ってことで、こっちで2年生アタマっからやり直し。」

「ほーん…そーなんだ」

「18にもなって年下に囲まれて授業受けんのは違和感すげぇな…」

「ま、いーじゃん、同じ学校に親友いるんだもん」

「そうだな。俺のダチはお前くらいだもんな」

「へへん」

「やめろよしっぽ振るの。わかりやすいなぁ、イヌか?チワワなのかお前は?」

「イヌじゃない、ヴェロキラプトル」

「いやその前に人間だろ」

「そうだけどさぁ…。まーいーや。とりあえず寮いこ?立ち話してる間に日ぃ暮れるよ?」

「そうだな。こんなクソ多い荷物どっかに片付けたいもんな」

「じゃ行くか!」




空港から出て、タクシーを拾う。とにかく多い荷物をぎゅうぎゅうとトランクに詰め込んで、かなり狭くなった車内に乗り込んで、運転手に行き先を伝える。


「「ノーザンピークまで!!」」



重量オーバースレスレのタクシーは、これから始まる新生活の街、ノーザンピークへ進み始めた。








☆☆☆





【ノーザンピーク高校、学生寮】


「うお、2段ベッドだ!!へへ、夢だったんだよねー!!」

「あんまし暴れんなよ、ホコリ飛ぶぞ」

「狭いけど寮ってすごいねー!!なんかさ、まだ学校始まってないけどワクワクとまらん!!」

「これから暫く世話んなるんだ、過ごしやすくなるように魔改造しちまおうぜ」

「賛成!!」


学生寮の部屋に着いて、休憩もそこそこに模様替えの計画を立て始めた2人。持ってきたそれぞれの趣味のものを置いたり、模様替えというより全力で部屋を汚し始めた。コミックを積んでおいてみたり、ポスターを貼ったり、思い思いの快適な空間を目指して試行錯誤の果てに出来上がったのは、まさに汚部屋。一応また物を置けるスペースや勉強スペースは残してあるのだが、他はごちゃごちゃしすぎてまさに”カオス”。

「これぞオレたちの部屋!ってかーんじ!!」

「本当はもうちょいハチャメチャにしたかったんだけどな。狭いしこれが限界か」

「散らかしすぎても居心地悪いもんね、なんか難しいな」

「てかベッドせま、足はみ出るわ」

「ディー背ぇ高いもんね。ロシアの人ってみんなそんくらいなの?」

「いや、ウチの遺伝。ジジイなんて220くらいあるからな」

「センチで言うのやめて、フィートとかじゃないとわかんない」

「俺はその逆」

「ねーなんかさぁ…」

「ん?」

「今日めちゃくちゃ疲れた気がする。」

「確かにな…お互い長距離移動でクタクタだもんな、良く考えれば」

「早めに寝とこっかな」

「そだな」


2人はそうして眠りについた。明日からの新学期に心踊らせながら。しかしその新学期が、カオスでハチャメチャなとんでもない日々になるとは、誰も予想だにもしなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...