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実行委員

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月曜日の午後になってからだ。
クリスに付き纏われた数日を経て5日目、やっと1人になっていた。

色々あったのに関わらず、成り行きでクリスの部屋に泊まった後は日曜の午後まで眠り、昼からは買い物に付き合った。

クリスは「デートだね」って喜んでいたけど、待ち合わせなんかして無い上にデートと言うより従者とご主人様だったと思う。
お金を持ってるのはクリスだし、買うのもクリスなのだ。当然で必然だけど、お店の人はクリスにしか話しかけない。
何ならクリスしか見てなかった。

その結果、知らぬ間に買い揃えられたお揃いのパジャマはティッシュで出来ているのかと思う程軽くて肌触りも良かった。
「うち用と蓮の部屋用」と2枚ずつ買ってある所には少し萎えたが嬉しくはあった。
そして今着ている服もクリスが勝手に買ったものだ。

やけに細身なジーンズはまだまだ硬くて動きにくい。何も見ていなかったせいで値段は知らないが、ザクザクとかぎ裂きを縫ったデザインなのだが新品を買うのにわざわざダメージを装う装飾は不要だと思えた。
そこに極普通に見える白いTシャツを合わせて押し付けられたのだが、生地が厚くて袖ぐりや襟ぐりのステッチが凝っているのだ。
多分量販店で買えるような値段では無い事だけはわかった。

先走る事も多い。
妙に浮かれているのもわかる。
しかし、この数日の間、ずっとクリスと一緒にいて気が付いた事がある。
やり過ぎなくらい気を回してくるから返ってわかりづらいけど、希望を言えばほぼ何でも聞いてくれる。毎回結局はクリスの思い通りになってしまうという理不尽な側面はあるけど、いつもいつも優しい。
それは不法取得した部屋の鍵を「全部」返せって言っても惚けたまま誤魔化し続けている事を除いての話だが、苦手な人付き合いを意識しないでいられたのはクリスのおかげなのだろう。方向性に問題はあるが、彼は様々な努力を惜しんだりはしない人らしい。

それは連れ込む前提でケーキを用意していたり、寝る服と外に着ていく服が同じだったりする事に気を回したりするだけでは無い。

「これは………」

統計学の授業を受けている途中の事だった。
あまりにも複雑な講義内容に飽きて、何げ無く持っていたノートを開くとそれは見たくも無いドイツ語用だった。
ほぼ意味の無い走り書きしか無かった筈なのに、細かく、大量に解説や要点が書き加えられていた。

鞄に入れっぱなしの教科書やノートが人手に渡る可能性は皆無だ。つまり犯人はクリスしか考えられないのだが、ドイツ語に苦戦している事をクリスに知られてからずっと一緒にいたのにノートに手を加えている所は見ていない。

つまり、眠り込んでいる間に書き込んだのだろう。
法学部に入れるくらい頭がいいのだと誰しもが単純に羨むかもしれないが、クリスは人知れず努力をしている。

彼の散らかった部屋にはそこここに教材や法律関係の本が散らばっていた。
そして、少しでも手が開くとまるでそれが癖のように手近な本を手に取って開いていた。
キッチンに立っている時の小さな空き時間でも本を開くのだ。

ハイテンションな奇人ぶりが圧倒的に優っているから何とも言えないけど、ほんとうのクリスはとても物静かで思慮深い人なのかも……と、思ったりする。
「優しいのは……優しい…よな…」

小さな独り言のついでに特大の欠伸が出た。
昔から興味のない事は頭に入って来ないという悪癖があるのだ。
何を言ってのかわからない講師の声が音になる。
コツコツと黒板を叩くリズミカルなチョークが楽器になる。

「ヤバい……」

小学生くらいの時は、この調子でシンと鎮まっている事に気付けないまま鼻歌を歌ったりしていたらしい。
もう大人なのだからこのままでは駄目だとわかっている、気を引き締めて統計なるものの難題に集中した。

ドイツ語も中々だが統計学は難しい、選挙の時の「出口調査」などならまだわかるが、細かく変動する様々な要因を加味していくと奥が深過ぎて混乱しか残らない。授業が終わると毎回先行きに不安を持ってしまうが乗り切るしか無いのだ。
クリスが作ってくれたドイツ語のノートを真似て、要点と思える事を大きく書いて後に考察出来るように隙間を開けてみたりした。
すると、次に次にとスルスル繋がっていく。
理解には程遠いが不思議とやる気になっていた。

何だか嬉しくなった事をクリスに報告するつもりで講義室を出ると無意識で背の高いキラキラを探した。

「あれ?……」

しかし、どうせその辺の待っているのだろうと思い込んでいたのにクリスの姿が見えない。

がっかりした訳じゃ無い。
先週からの数日間は毎日ほぼ24時間一緒にいたから拍子抜けしたのだと思う。
決して寂しいとか、好きだと付き纏われて調子に乗った訳じゃ無いつもりだったけど、何となく……本当に何となくサロンの方に歩いて行くと、建物から突き出た顎のようなテラスで沢山の学生に囲まれ、和やかに談笑しているクリスが見えた。
改めて客観的に見るとクリスにはその場所が合っている。
みんなが羨望の眼差しで見つめるだけになっている目立つ系学生の塊は取り柄もコミュ力も無い凡人が混ざってはいけないグループなのだ。

そっと来た道を戻ってすぐ目の前にあったコンビニに逃げ込んだ。
向かったのはお弁当が並ぶ棚だ。
こう言っては何だけど、このところはクリスが全部払ってくれていたので数日間の食費が浮いていた。いつもならケチって、ケチって、もう大丈夫だろうと思える月末にしか食べない700円クラスのお弁当を買ってやろうと思っていた。
焼肉弁当とかトンカツ弁当とかハンバーグとか……チキン南蛮も捨てがたく、おろしポン酢の豚しゃぶも食べたい。

しかし、店内に溢れていた講義終わりの学生が目ぼしいお弁当を次々にとっていく為、あんまり迷うと選択肢が無くなってしまう。
この際何でもいいから早く手に取りたいのに、人を掻き分けて前に出るのは苦手なのだ。
お弁当の並ぶ棚の端っこから1番近い場所にあった大盛り焼肉に目を付け、何とか届きそうだったのに、絶妙なタイミングでサッと横取りされた。
横取りは言い過ぎだけど、焼肉を取った金髪がしっかりこっちを見てニヤリと笑ってる。

「あんた「れん」って人?」
「え?……」

突然名前を呼ばれて驚いた。
構内で話しかけられる事はほぼ無いのだ。
下の名前を呼ばれる事など皆無と言える。
(極一部を除く)

「………そうだけど」
「弁当は?焼肉でいいの?何か迷ってるみたいだったけど?」
「焼肉……」

実はトンカツが第一候補になり掛けていたのだが、それよりも話しかけられた事に驚いて何の話をしていたのか全部が吹っ飛んでいた。

「うん…いや……うん」
「ハッキリしろよ、うだうだしていると無くなるぞ、違うのが欲しいなら取ってやるけど?」
「じゃあ、トンカツがいい…かな」
「ソースとおろしポン酢とどっちがいい?」
「おろし……ポン酢」

何を素直にお願いしているのだと思いながらも上手い受け答えなんか出来ない。
見知らぬ金髪は返事もしないでお弁当の棚に向き直り、おろしポン酢のトンカツと多分自分の分だろう、ナポリタンとおにぎりを2つ取った。

「ほら」と渡されても「どうして?」しか出てこない。

「あの……」

何か言えよと自分自身に突っ込みを入れた。
せめてありがとうと言えばいいのだが、そんな事も出来ないのはいつもと言えばそうだ。
そして、真っ白にブリーチ傷んだ髪をボリボリと掻いて面倒臭そうに天井を見上げた男はもっとも苦手なタイプに見えた。

クラスに1人か2人は絶対にいるタイプ。
自己主張がハッキリしていて声の通るタイプ。
群れてイジメをするタイプでもあり、快活な早口で話し、大声で笑うタイプ。
ズラリと耳に並べたピアスも酷く攻撃的な威嚇アイテムにしか見えない。
何故ありがとうだけで済ませなかったのかを後悔しながらススっと後ろに下がった。

「何してんだよ、さっさとレジに並べば?飲み物もいる?」
「どうして…」
「だから、あんたがモタモタしてるからイラついただけなんだけど」
「そうじゃなくて、何で俺の名前を知ってるの?」
「あんたは学祭の実行委員だって佐竹さんに聞いたけど?俺と一緒に前夜祭でやるサブステージの準備をしろって言われて来たんだけどな」
「え?!」

そんな話は聞いてない。
確かに実行委員のメンバーだって話はハッキリ断る事が出来ないでいたが右も左もわからない事を丸投げされても困るだろう。

「俺……そんなの出来ないから断って来るよ」
「無駄だろ、選択権は無いって佐竹さんに言われたぞ」
「でも俺は……」
「俺もサブステージの出演を申し込んだだけなんだよ、そしたらこれを頼むって」

金髪は脇に挟んでいた「校舎南東広場」と書いたファイルを持ち上げてニッと笑った。

「それは何?頼むって言われても俺は何もわかんないんだけど……」
「そこはほら、あの目立つイケメンがいるだろ?」
「目立つ…イケメン」

…と言えば一択だろう。

「クリス……さんの事?」
「うんそう、あの人がサポートに入るって聞いてる、そんならさ、せっかく大学生になったんだから実行委員もアリかなって」
「………そうなんだ」

そうだろうなとは思う。
クリス程ではないが金髪の彼は服も佇まいも、整った部類に入る容姿も目立つ方だ。
自分なら「ある物」か「安い」でしか選ばないTシャツだって何やら凝っているように見えるし、月1は美容院に通ってそうな髪型は活発系そのものと言える。

「そうなんだって………呑気だな、あんたがサブステージのトリをやるって聞いたけど本当?」
「は?何それ?」
「え?違うの?佐竹さんからそう聞いてるけど」
「………何だよ…それ…」

それはクリスが黒江に言ってた事なんだろうと検討は付くが何も聞いてないし了承してもいない。やるかやらないかの前に出来ないってわかってるのにいつの間にどこでそんな話になっているのだ。

「あの……あんたは?」
「あ、俺は真城、経済学部一回の真城祐希《ましろ ゆうき》真城でも祐希でも好きに呼んでくれていいよ、お前は?蓮って呼んでいい?」
「俺は何でもいいけどステージは困る、これから佐竹さんに出来ないって言って来るから…」

知らぬ間に進む勝手な計画は今ならまだ白紙なのだ、手に持ったトンカツ弁当を真城に押し付けてコンビニを走って出た。
どういうつもりか知らないが、戦犯は間違いなくクリスだ。サロンに飛び込んで南の方のテラスに走った。

「ってか……黒江さん?……」

コンビニに入る前と同じ場所にクリスはいたけど、同席している背の高い背中はどう見ても黒江だ。預かり知らぬ所で結託して強引に話を進める2人を見て猛烈に腹が立った。

「俺はやりませんよ!」

クリスに佐竹、田代のシロタ、他にも何人か見た顔とクリスの周りを飾るキャバ嬢のような怖い美人もいたが人見知りをしている場合では無かった。「いい所に来たな」って笑う黒江はどうかしてる。

「勝手に話を進めないでください!ライブなんて出来ないし何よりも嫌です!目立つって事が当たり前のクリスとは違うんです、白い目で見られたく無いんです、笑われたく無い!」

一気に吐き出した不満は自分でもビックリするくらい大きな声になった。
驚いたり呆れたりする顔に襲われたが、怒りや焦りの方が勝っているから怯むことも無かった。

「みんな…俺の名前も顔も知ら無いのに…それでいいのに、ずっとそうだったのに……」

ポツンと付け足した言葉は本来の意味とは裏腹に友達が欲しいと乞う情け無さが溢れていた。
同世代と親しくなれないのは上手く同調出来ない自分のせいだとわかっているのに、誰も悪く無いのに酷く惨めな気分に襲われていた。

「蓮、いいから座りなさい」

クリスが少し困ったような顔で優しく笑った。
座れと言われても木のテーブルを囲んだ長椅子は等間隔に埋まってる。
空いている場所に割り込むのは1番の苦手なのだ。
しかし、逸れてしまった話を元に戻してライブだけは断らなければならない。
ここにって黒江さんが隣を開けてくれたけど、何故かぐるっとテーブルを回ってクリスの隣に埋まるように座ってしまった。

「真城君も座って」

下を向いていたから気が付かなかった。
頭の上から聞こえたクリスの声に視線を上げるとさっきまで立っていた場所に2つのお弁当を抱えた真城がいた。
うんっと首を振って空いていた黒江の隣に座ってトンカツ弁当とペットボトルの水を前に押しやった。

「……これ……お弁当……」
「698円な、水は奢るよ」
「………水も後で払うよ」
「そういう所だろ、奢るって言ってるんだからラッキーでいいんじゃ無いの?」

「そうだな」と佐竹達が笑った。
見上げるとクリスもうんと頷く。それでもやっぱりお金は払うとしても変な劣等感をぶちまけてしまった後だったから何も言えなかった。

「それでいいんだよ」
「よく無いです」
「ねぇ蓮、俺達と一緒に学祭の手伝いをしようよ」
「手伝いは置いておいてもライブは無理です」
「そんなに堅苦しく考えなくていいと思うよ、今黒江さんにも説明したけど、サブステージは持ち時間30分で軽音サークルとか学生の個人グループが演奏するだけだなんだ。前夜祭だから一般客はいないしね。中には結成半年のコピーバンドだっているし、1000㎡も無い敷地を出れば音が反射して雑音にしか聞こえないようなステージだからライブよりむしろ運営を楽しむって方向で頑張ってみない?」
「でも俺は何も出来ないし…」

みっともない言い訳をしようとしたら「何も出来ないし何もわからないのは俺も同じだ」と真城が口を挟んだ。
もっとキビキビしていたら反論だって出来たかもしれないが次の言葉が出て来ないうちに「決まり!よろしくな」と佐竹が腕を出して来た。

その手を握ったのはクリスだったのはもういい。
しかし、ライブの話は有耶無耶なままなのに何故か実行委員のサブステージ係になってしまった。

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