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1 至生
全力拒否
しおりを挟む家で聖人に勉強を習う。
大学が附属で、エスカレーターで大学まで上がれる、安泰と思って入学した中学校。
俺はわりと整っている顔をしていたので、入学当初、ポンコツの中身がばれるまでは女子にキャーキャー言われ騒がれていた。
それを見ていた男子達は面白くなかったらしく、俺に関するいろいろ足を引っ張る材料を集めたらしい。
最初の健康診断の結果をのぞき見た奴がいた。そいつの口から拡散される俺の性属性。
反感を買っていた分だけ、拡散は早く広く遠くと牛丼屋のキャッチコピーみたいに広がっていく。
俺がΩであることを知り、今まで俺に関心を持たなかった奴まで、俺に関心を持ち出した。
リアルでΩに出くわすこと自体珍しく(皆隠しているため)、エロ本に載るような扇情的な情報だけが一人歩きしていた。
ある日、待ち合わせ場所である校門に姿を見せない俺を探しに、聖人はGPSで場所を確認して校内まで迎えに来た。
聖人は複数人の前で下半身を剥かれ、股をいじくり回されている俺を見つけた。
ヒートが来ていない俺の性器はその辺の未発達の男子と同じでなにも変わらないのに。
Ωには快楽をもたらす特別な器官があると思われていたみたいだ。
聖人は状況を押さえ学校に怒鳴りこんだ。親の圧力も使ったようだ。クラスの何人かは元々素行に問題があったらしく、今回の事と合わせて退学になっていった。
聖人は学校に通う必要はないと、家で俺に勉強を教え始めた。
進級し、配慮をしてもらったクラスに在籍する。
何回か登校してみて問題が起きなさそうと確信がもてるようになってから学校に戻った。
がさつな俺は姿を消し、クラスでは気配を殺して、いるかいないかわからない透明な人間になっていた。
*
高校からは外部に出ると聖人と決めていた。
二度とあんな事がないよう、自分が何をしているのか、それをするとどうなるのか、そんな当たり前のことを判断出来る生徒が大半であるという(聖人談)聖人の母校を受験することにした。
よりによって入試の朝。
身体が熱いような気がして目が覚めた。
悪い夢でも見たあとのように胸が異様にどきどきしている。
じっとりと寝汗をかいていたらしく、パジャマも汗でびっしょり濡れていた。
受験の緊張からの悪夢かと思っていた。
半身を起こすと、ますます体が熱くなってくる。異様に喉が渇いていた。
股の奥がじんじんとして、ずきずきと脈をうっている。性器も立ち上がり先走りで下着の前が濡れていた。
俺は何が起きているのかわからなかった。この興奮を静めようと性器を擦り立てた。
触れる性器は、いつもよりも敏感に感じる。先端に指が触れる度にびりびりと電気が走り、刺激が強過ぎて長いこと触っていられない。まるでイってもいないのにイった後のような過敏さだ。
堪えながら擦り立て精液を吐き出した。
出すもの出したら落ちつくはずなのに、全然すっきりしない。身体は熱いし、顔は火照ったままだ。
股のあたりがジュクジュクと濡れてきている。股の間がきゅうきゅうと中でうねって切なくて、何かで、埋めて、欲しい……。
もしかして、もしかして、これはヨーロッパ文庫でよく見かける、お股がじゅんじゅんしちゃう♡っていうやつか。そうか。でも、思っていたよりも、かなり身体が辛い。これが悪名高いヒート……。
ふらつく身体でナイトテーブルの引き出しを漁って、急いで事前に処方をしてもらっていた抑制剤を飲む。10分ほどベッドでおとなしくしていると身体の火照りは引いてきた。
この抑制剤の効果持続時間は約8時間。今は朝の6時前。14時には切れてしまう。
昼休憩に追加の抑制剤を飲まないとそれ以降はフェロモンがだだ漏れだ。
*
終了の合図でペンを置いた。
ひととおり、解答用紙は何とか埋められた。いまのところ主要3教科では重大なミスはしていないはずだ。残りは午後の2教科90分。これで終わりだ。
食事を終えトイレを済ませ、流し場で薬を飲もうとしていると廊下でふざけているやつらがいた。
そんな奴らは落ちるがいい。呪いもこめて強く願った。
聖人がいう生徒が大人であるというこの学校の生徒の特長とは一致しない奴らと肩が接触してしまった。
「あ、すっみません」
ぶつかった衝撃で口の空いたピルケースから飛び出し、流しの排水溝にポロポロと転がり込む俺の発情抑制剤。
予備も含めて殆どが吸い込まれてしまった。
「あーー! ふざけんな!」
相手に怒鳴ってみても、排水溝に叫んでも薬は元には戻らない。
排水溝の蓋は簡単には外れない。
無情にも休憩時間の終了を告げ着席を促すアナウンスが流れていた。
流しの手前に一つだけ錠剤が留まっていた。その錠剤を水道ですすいで急いで口に入れる。少ないけど無いよりはましだ。
聖人が俺の送迎に付き添うことになっていた。
試験が終わった。
聖人の運転で家に帰る。
持参した薬のストックは会場で全てなくなっていた。薬の効果が切れる前に早く家に帰りたい。
車に乗ってから体が熱くなりだした。急激に胸がドキドキしてきた。運転席の聖人から凄くいい匂いがする。匂いにつられて顔がのぼせて赤くなるのがわかる。
ネクタイを外し、シャツのボタンを開け喉元を緩めた。息が荒い。
後部座席で横になる。
熱いし、目まいがすごい。腰の奥が切なくて、どうにかなりたい、どうにかしてほしいと奥が喚いている。
俺の身体のこの空洞を埋めて欲しい。勝手に中イキしてるのか中がきゅうきゅうと勝手に収縮して痛い。
ズボンの上から、どくどく疼く別の生き物みたいな股を強く押さえつける。自分の手を中に突っ込みたい。突っ込んでかき回したい。
切なくて、切なさが喉を食い破りそうだ。
家に到着し車が停まった。自分で起き上がろうとして、めまいでよろける。聖人に背中を支えられ、車から降りた。
地面に立つと股の間から何かの液体が足下に垂れる感覚があった。
同時にサーッと血が一斉に下に落ちるような感覚をくらい、目の前が光を失いくらくらする。
足に力が入らず、思わずしゃがみ込みそうになる。
聖人は崩れる俺を足元から抱えあげ、急いで家に入った。
聖人に触れられた箇所はじわりと熱をはらみ、やけどをしたかのように、じくじく痛む。
聖人からは、すこぶるいい匂いがする。胸に身体をもたれかけ、頭をなすりつけた。聖人に抱きつきたい。なめつくしたい。しゃぶりつきたい。
熱く、ぐじょぐじょになっている股の間をかき回して欲しい。
よく分からない衝動で熱い吐息が漏れる。
聖人も俺に何かしら感じてるようで、俺を抱く手は汗ばみ震えていた。
聖人の顔を見上げると、その顔は真っ赤に上気していた。そして顔を背け俺を見ないようにしていた。
聖人は俺をベッドに降ろすと
「ほかのαが来るかも知れないので、抑制剤を飲んだ後は鍵を掛けておいてください」
戸棚から取り出したペットボトルと抑制剤を渡してくる。
受け取ってナイトテーブルにおいた。
「ま、聖人、なんとかして。助けて……」
俺は切なすぎる辛さに涙を流していた。目の前の聖人にふれたくて仕方ない。聖人に触れられた箇所が熟れて熟れてじくじくと腐りだしそうだ。
「……俺には、何とも」
聖人は俺を見ない、匂いを吸い込まないようにして、顔を背けて立ち去ろうとしていた。
俺は聖人の腕を引っ張り、体勢が崩れた聖人の唇に強引に唇を合わせた。
目を開いたままの聖人と目があった。瞳の中は揺らぎ、粘ついた欲情で濡れていた。
聖人も俺と一緒なんだ。歓喜が駆け抜ける。
視界が揺れてぐにゃっと曲がった気がした。気がつくと聖人にドンっと突き飛ばされていた。
「やめてください。貴方とこんなことはしたくないんです」
聖人は顔を上気させて、唇を拭って足早に部屋から出て行ってしまった。
*
薄着で飛び出してはフェロモンをまき散らす。走ると股から垂れた液体で濡れた足が風で冷やされ、熱をはらむ身体には冷たく感じた。
公園目がけて走っていくと道を行く番無きαが飛びかかってくる。
自分よりも背の高い学生服の高校生らしいαオスに腕をつかまれ地面に引き倒された。
砂地に身体が擦れて痛い。
可愛らしい顔立ちなのに、上気して目がイっちゃってる。俺を見ているようで見ていない。こいつは何を見ているんだ。
高校生は震える手で、俺からズボン、下着をはぎ取ると、股を舐めだし、液でしたたる蜜壺を指でくちゃくちゃかき回した。
俺は気持ちが良すぎて、蕩けてしまって腰から下に力がはいらなくて動けない。
「ひぃ、あっ、あっ、あっ――」
舌の刺激や入ってきた指のもたらす快楽に酔いしれ愛液でびしょびしょになっていた。
高校生は自らもズボンを脱ぎ、性器を取り出した。
ヒートに当てられているのか、高校生の性器は赤黒くて先端が膨らみ、でかい。すでに我慢汁で濡れて光っている。
俺は初めてのはずなのにアレが中に入った時の気持ち良さを知っているみたいで、性器を前にうっとりと舌なめずりをしていた。
足をつかまれ、ぬぷりと先が俺の奥に触れたとたん、ガツンとすごい音がして、高校生が引き剥がされた。
殴られて放り投げられたらしい。
性器を立てたままひっくり返って動かない。
聖人だ。目の前に、聖人がいた。
「あんたは何やってるんですか!」
俺の腕をつかみ上げて引きずり上げた。
抑制剤を飲んでいる聖人や家人は大丈夫そうだが、それでも顔は上気している。
「こんなホイホイみたいなこと、もう止めませんか?」
俺は目の前のごちそうが取り上げられたのと、ばつが悪くてうなだれていた。
股が腫れ上がってじんじんと疼いて痛い。せつなくてたまらない。
「こいつも挑発されて、可哀想です」
下腹部を露出させたまま気絶している高校生を指し示していう。
「あんたがやってるのは、フェロモンを使ったようなテロみたいなもんですよ。人を強姦魔にして犯罪者にするんですか? 他人の人生狂わせて楽しいですか?」
俺は濡れる目で聖人を睨みつけた。息は荒いし、下腹部は疼いて痛む。
汁が足元に垂れて液だまりが出来ているのがわかるくらいだ。むっとする生臭さが辺りに渦巻いている。
俺は聖人に抱いて欲しかった。
聖人が抱いてくれないなら、誰でも同じだ。
顔が上気している。少しの快楽を得た身体がもっと、もっと、と欲深く舌なめずりしている。
満たされなくて切なくてつらい。自分が淫乱すぎてつらい。
泣きそうになりながら、俺は震える手で聖人が渡す水と薬を受け取り喉に流しこんだ。
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