どうしてそうなるんだよ!!!

藤沢茉莉

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打たねば鳴らぬ-2

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「例えば、水無月のことはどう思った?」
「丁寧な人っすかね。常に敬語だし、雰囲気も結構柔らかい感じで」
「うん。じゃあ汐見は?」
「汐見はコミュニケーションが大変そうだけど、仲良くしたいとは思ってます」
「お、それはバレー部の先輩として、俺からも頼む」
 やはり二人は同じ部活だったらしい。永瀬が顔の前で手を合わせて見せるのでこくりと頷く。
「まあ、同級生だし、友達の友達なんで」
「よろしくな。園部兄弟はどうだ?」
「元気で可愛いっすよね、無邪気というか」
「うんうん。そしたら、皇はどんな感じだった?」
「皇先輩、は……」
 時間にして三十分にも満たないだろう、昨日の邂逅を思い返す。
 間近で見た時の迫力。強気な言動。全体的にあっさりした態度。

「よくわかんない人?」
 結局、それが一番しっくりくる評価だ。だが、他人からしたら全く理解ができないこともよくわかる。さすがに言葉足らずすぎるので。
 案の定、ぱちぱちと不思議そうに瞬きをしている永瀬を見て苦笑する。深く考えずに思ったことを口にしてしまうのはよくないよな、と反省しながら頬をかいた。
「えっと、今まで全然周りにいなかったタイプっつーか。何考えてんのかわかんないってのが正しいですかね」
「……そりゃそうだよな」
 永瀬は腕を組み、ぼそりと呟くように言った。
「皇先輩って、ずっとああなんですか?」
「昨日みたいに、なかなか集まりに来ないってことを指してるなら、まあイエスかな」
「誰かが迎えに行くんですか?」
「捕まればな。基本電話は繋がらないしいつもここにいるってのが決まってるわけじゃないし」
「それは……仕事になるんですか?」
「と思うじゃん? アイツ、その辺は考えてるんだよ。せめて連絡は取れないとキツいなーって時は近くにいるし、仕事がめちゃめちゃ忙しい時期はちゃんと来んの」

 なるほど、と思った。だから昨日は生徒会室から遠すぎない場所にいて、それを予想できていたから教室に向かわせたのだろう。
「要領がいいタイプなんすね」
「要領がいいというか効率主義というか……昨日に関しては誘導されたとも言えるよな。会長になることはわかってただろうから」
「そうなんですか?」
 結局どうやって役職を決めたのか知らないまま、割り振られたものを受け取っていた。それぞれの役職にあまり違和感がなかったのも大きいが、そこを気にかけるほどの余裕がなかったとも言える。
 永瀬は「ああ、そうか」と思い出したように言う。
「外部生だったよな。じゃあその辺詳しくないのか。次期生徒会長は、現生徒会長が任命するってのが伝統なんだ」
「え」
 あまりに独特過ぎて、相槌すら打てなかった。いやでも、選挙がほぼ人気投票の形になっているわけだし、現職の会長が次期会長を選ぶ方が安心感はあるのかもしれない。

「だからまあ、な」
 言葉を濁すように笑う永瀬に、首を傾げる。ここまでの話と皇が会長に指名されることがイコールで繋がるとは思えないが、なにか聞き逃していただろうか。
「皇先輩を指名するって話を事前にしてたとか?」
「……もしかして、皇の家のことも知らない?」
 こくりと頷く。永瀬は少しばかり驚きの表情を浮かべた。
「皇の実家ってのがこの辺だと結構大きい家で、まあ金持ちなんだよ。それで昔から天学にかなりの寄付金を出してるんだと」
「はあ」
「で、上に兄と姉がいるらしいんだが、どっちも中高三年生の時には生徒会長をやってたって話」
「……それって」
 あまりよくない想像が瞬間的に脳内をよぎる。湊は、白鷺は、皇のことをなんと説明していただろうか。
 白鷺の言葉を改めて思い出す。
『教師としては、一番厄介なタイプね』
『……個性的は個性的よ』
 今思えば、これ以上この話を続けてくれるなと言いたかったのかもしれない。
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