手に職をつけるって、そういう意味じゃないが?!

錨 にんじん

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始まり

光の柱

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 「二人とも、来るよ!!」

 レナンの声に、俺とアクネルは同時に上を見上げる。
 頭上には両腕を振りかぶったゴーレムが、こちらを目掛けて落下してきていた。

 「ちっ!」

 「石の塊のくせに、よく飛び回るな!」

 俺とアクネルは同時に飛び退くが、ゴーレムの落下による衝撃で巻き起こった突風により身体が空中へと巻き上げられる。
 俺は咄嗟に身体に重機のイメージをほどこすと、地上へと急降下し着地する。
 重いせいか、着地の衝撃で地面が割れた。
 
 「相変わらず、パワーは化け物だな」

 「まったくな」

 遅れて、アクネルも地面へと着地する。
 ゴーレムは、自分で作ったクレータの中で佇んでいた。
 
 「それで、どうする?お前が言うように、もしあのオレンジ色の石が弱点であるのなら、あれを壊せばいいのだろうが、奴もそれを分かってか、こちらの攻撃が当たらん」

 「やつの動きさえ封じられば、何とかなりそうだけどな」

 「動きを封じるか。なら、レナンの魔法にいいものがある」

 「お!それはどんな……」

 「ブリリオピエートラッ!!!!」

 俺がアクネルから有意義な情報を聞き出そうとして時、俺の声をかき消すようにレナンの声が響いた。
 レナンは空中に大量の小さな紫色の宝石を出現させており、それをゴーレムに目掛けて一斉に放つ。
 ゴーレムは長い腕でその宝石を薙ぎ払っていくが、強度が互角なのか宝石を砕きながらも腕には徐々にヒビが入り始め、ついには欠け始めていった。
 するとゴーレムは、今度は被弾を避けるように動き回り始める。

 「この!逃げるな!」

 レナンは逃げるゴーレムに、無数の紫色の弾丸を追尾させる。
 だがゴーレムはそのことごとくを躱し、やがて全ての宝石が撃ち終わった頃には、ゴーレムの身体は完全に修復されていた。

 「これでも駄目かぁ。だったらこれで、どうだ!」

 レナンは次に、荒れに荒れた地面に手をつく。

 「無際限パルーデセンザ・フォンド!!」

 レナンが発動した魔法は、大地を巨大な沼へと変化させた。
 突如現れた沼に足を取られ、ゴーレムが逃れようと藻掻もがくが上がってくることはなく、それどころか更に沈みを加速させている。
 ゴーレムは、身体が半分まで沈んだところで動くのをやめると両腕を高々と振り上げた。
 それと同時に、レナンが立ち上がる。

 「はっはっはっー!これで身動き取れないでしょー?これなら魔法当て放題だもんね!食らえ、ボス……わぷっ?!」

 高らかに笑うレナンが、次の魔法を発動しようと両手を空に高々と構えた瞬間、ゴーレムの振り上げた両腕が沼に叩きつけられ、その拍子に大量の泥水が上がり、それがレナンに浴びせられた。
 レナンは顔から全身にかけて満遍まんべんなく泥をかぶり、両腕を構えたまま固まる。
 巨大な沼は元の大地に戻っており、ゴーレムの下半身が埋まっていたが、ゴーレムは再度両腕を叩きつけると、大地を割ってそこから脱出した。

 「なぁアクネル、さっき言ってたレナンのいい魔法って、あれか?」

 「あぁ、あれだ」

 「駄目じゃねぇか!」

 よく失敗したのを見たうえで、そんな平気な顔で頷いたな。
 だがまあ、さっきのは運が悪かったというか、腕さえ封じれていれば恐らくレナンの魔法が完璧に決まって、今頃はこの戦いに決着がついていただろう。
 そうだ。
 腕さえ封じれれば、あいつをほぼ無力化できたことになる。
 レナンを見ると、頭や身体を激しく振って身体についた泥を吹き飛ばしていた。
 あんな犬みたいな取り方で、ほとんど落とせているから驚きだ。
 やがてある程度の泥を落としたレナンが、目の前のゴーレムに指を差す。
 
 「よくもやったな……!次こそは当てちゃうもんね!」

 「おーい、レナン!俺に考えがあるから、一回こっちに来てくれ!」

 「わかった!……えいっ」

 レナンは、ゴーレムに光の玉をぶつけるとこちらに駆け寄ってきた。
 俺の隣に立つアクネルが、「そうなのか?」と首をかしげる。
 そんなアクネルに、俺は「まあな」と小さく返した。

 やがてレナンと合流すると、俺は二人に作戦を告げた。

 「成程な。その作戦だと、海人にすべてが掛かっている気がするが、もし駄目ならまた別の作戦を考えればいいか」

 「まあ、そこは任せてくれ。アクネルもどとめは頼んだぞ」

 「当然だ」

 「レナンもやるよー!」

 「よし!」

 作戦がまとまり、俺がゴーレムに向き直ると、続いて二人も向き直る。 

 「それじゃ、あのゴーレムにはここで倒れてもらうとしましょうか!」

 目の前のゴーレムは、レナンの光の玉によって生じた腕のひび割れを修復し終えると、静かに立っていた。

 「俺たちの準備が整うまで待ってくれるとは、やさしいやつだな。さ、作戦開始だ!」

 俺の掛け声を合図にレナンは横に、アクネルが後ろにそれぞれ分かれた。
 俺は、その場でイメージを開始する。
 ゴーレムは一度に人間が動いたせいで、だれを狙おうか一瞬戸惑っていたがすぐに、その場にとどまった俺に狙いを定めた。
 だが、その一瞬の合間があったおかげで、俺はイメージの具現化を完了させれた。

 「さあ、ゴーレム。お前もここまでだ」

 俺が生み出したのは、大型のユンボだ。
 アームの全長は約9メートル。中型と比べて2メートルも長く、何よりパワーがある。
 そう、今回の作戦はそのパワーが重要なのだ。
 俺は早速ユンボに乗り込むと、エンジンを始動させアームを高々と持ち上げる。
 ゴーレムは起動音に一瞬怯むような動きを見せたが、すぐに臨戦態勢に入りこちらにつっこんできた。
 距離を、測れ。 

 「ここだ!」

 完全に伸ばし切ったアームが届く距離までゴーレムか近づいた瞬間、俺はアームを素早く動かしゴーレムに叩きつけた。
 ゴーレムはその一撃を両腕で防ぎ押し返そうとするが、大型の重機の馬力にしたことによりそれを抑え込み、上手いこと動きを封じることに成功した。
 
 「レナン!」
 
 「はーい!それじゃあ行くよー、際限無パルーデセンザ・フォンド!!」
 
 俺の呼びかけに元気よく返したレナンが、先ほどの巨大な沼を出現させた。
 沼はゴーレムを捉え、底へと引きずり込み始める。そこに重機による抑え込みの力も相まって、一度目と比べて速い速度で沼へとゴーレムの身体が飲み込まれていく。
 ここまで行けば、残すは仕上げのみだ。

 「アクネル!!」

 「任せておけ!」

 後方で控えておたたアクネルが、ユンボの屋根に飛び乗り、そこからさらに上空へと飛び上がった。
 やがて最高到達点に達し、ゴーレムの真上へと来たアクネルは、上空でゴーレムに狙いを定めるように槍を構える。

 「行くぞ。光柱ルーチェピラストロ!!!」

 アクネルの放った槍は白い輝きを放ち、一本のそびえ立つ光の柱のように俺のユンボのアームを巻き込みゴーレムを貫いたのだった。
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