3級神エリカの成り上がり~打倒オーディン! 冤罪で死刑⁉ 最下級の女神エリカの成り上がり物語~

法王院 優希

文字の大きさ
31 / 41
IFルート 絶望的な運命に立ち向かうダークファンタジー

IF早過ぎたラグナロク13話 愛の女神2

しおりを挟む
相変わらず、オッタルが落ち着かない。

 尻尾を逆立て、部屋の隅を睨みつけているが、我が目には薄闇しか映らない。


「神力波でも撃ってみるか……」


 そんなことを呟いた途端、空間がゆらりと揺らぎ、人影が浮かび上がった。


「オーディン様?」


 思わず声を上げる。気配を消して侵入とは趣味が悪い。

 だが、もしかして寝込みを襲う新たなプレイを試みようというのか――そう考えると、少し胸が高鳴る。


「フ、フレイア……その……話があって来たのだ」


 いつもより歯切れが悪い。何を言いだすのかと思えば、妙に自信のなさそうな声だ。


「見回りは空振りでした。例の魔族は姿を現しませんでした」


 先にこちらから簡潔に伝える。すると、


「そ、そうか……それは危ないところ……いや、残念だったな」

 

 なぜか声が上ずり、落ち着きがない。


「今日はどういったプレイをお望みなのですか?」


 私は誘うように微笑んでみせる。すると、彼は戸惑った様子で口を開いた。


「え? あなた達そういう関係だったの?……じゃなくて、そうだな……普通のプレイでいいかな」


 何やら妙なことを言っているが、言い直しているあたり、興奮しているだけかもしれない。

 その様子を見やりながら、私はさらに問いかける。


「服は脱いだ方がよろしいですか? それとも服を着たままなさいますか?」


 腰をくねらせ、妖艶な仕草を見せる。彼は思わず息を呑んだようだが、


「え? 本当にする気なの? 今からここで!? ……じゃなくて、その前に少し話をしないか?」


 珍しく焦っているのは、行為の前に何か言わねばならないことがあるのだろう。

 普段なら考えられない態度だが、よほど切羽詰まった事情があるに違いない。


「何の話でしょう? 寝物語でもよくありませんか?」


 上目遣いで答えると、彼は苛立ちを隠せないような口調で言い放つ。


「こいつはどれだけやりたいのよ! ……じゃなくて、重要な話なんだ」


 ふむ、そこまで大事な話というなら聞くことにしよう。

 私はベッドに腰を下ろし、意識してしなだれる。


「わかりました。承ります」


 すると彼は安堵したのか、「内密の話なんだ。耳を」と、私のそばへ身を寄せてきた。

 片手には剣のような武器を握っているが、オーディン様は槍が本来の武器ではなかったか? まあ、細かいことはいいか……。


「なんでしょう?」


 彼の口が耳に触れようとした、その瞬間――胸に焼けるような痛みが走った。

 視線を落とせば、鋭い刃が私の胸に深々と突き立っている。


「がはっ、オーディン様?」


 思わず吐き出すように叫ぶ。顔を上げると、彼の口元には邪悪な笑み。

 その表情を見て、私はすべてを悟った。これは愛からくる行為なのだ、と。


「とうとう……はぁ……この時が……はぁ……やって来たのですね」


 息も苦しく、血がどくどくと流れ出る。だが、愛の女神である私が愛する男に殺されるのなら、それはある意味運命かもしれない。

 最後の力を振り絞って、言葉を重ねる。


「いつかは……こんな時が……はぁ……くると……思っていました。私を愛する男が……私を独占するために……はぁ……殺そうとする時が」


 声がかすれる。

 なぜか彼が妙に慌てた様子で――


「え? 何言ってるの? こいつって、こんなにおかしな奴だったの?」


 ――と呟いているのが聞こえた気がしたが、空耳だろう。

 痛みに耐えながら、私はわずかに動く腕で彼の身体を抱きしめる。


「いいのです……げほっ……愛する男の……手にかかって……はぁ……死ねるのですから」


 苦しげに咳き込みながらも、視界がどんどん暗くなっていくのを感じる。

 彼が必死に何かを叫んでいるようだ。


「こいつ、もう私の話を聞いてないし……ぎゃあ、抱きつかないでー! 気持ち悪い!」


 オッタルも「にゃあ、にゃあ!」と悲鳴のような声を上げている。

 だが、そんな中、私は冷静に最期の瞬間を受け止める。

 

(愛に生き、愛に死ぬのも我が一生。我が神生に一片の悔いなしじゃ!)


 そう心の中で叫び、静かに目を閉じた。こうして、我は永き愛の旅路の終わりを迎えたのだった。

 

「ちょっと、勝手に納得して変な姿勢のまま死なないでよ。ぎゃー! オッタル、引っ掻かないで。私を開放してから死になさいよ。はーなーしーてー!」




---






 現在のエリカのステータス


 神力……200万


 特殊能力……発明、暴食、ちょっとだけ未来視、毒耐性、無限成長、超再生、予知夢、変身、遠見、エインフェリア召喚、過去視、超神術、魅了、瞬間移動、極大神力波
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...