僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第2章 僕はオリヴァー王国第一王子の誕生会に出席したくない

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「わ、これがオリヴァー城……」

目の前に豪華絢爛ごうかけんらんな造りの城が立ちそびえている。
僕はあっけにとられて城の入り口から上部を眺めた。

姉さまはニコニコと驚いてる僕を見ている。

「ほら結月、行きましょう」

姉さまの優しい声に引かれて城の中へ入っていく。




「あぁ、日輪の国の……」

長い白髭の生えた年配男性に姉さまが声をかけられる。

「ユキ様、相変わらずお美しい。……して、そちらはどなたかな」

卑しい声色の男性に不安になる。

「まぁ、イーサン宰相。お久しぶりです。こちらは私の弟のユヅキと申します」

ニコニコと対応する姉に、鼻の下を伸ばすイーサン宰相。

「ほぅ。こちらが噂の……」

イーサン宰相は雪姉さまから僕に視線を移すと、品定めするように上から下まで舐めるように見つめた。

「銀髪とはまた稀有な。肌まで白くて、まるで妖精だ。」

にやにやと僕の顔を見つめる視線。
僕はなんとか作った笑顔で返すと、イーサン宰相はため息を溢した。

「……かわいらしい。是非とも私のめかけになってほしいものだね」

不意に顎を掴まれ強く上を向かされる。
イーサン宰相の太い親指が唇に触れた。

「君さえ良ければ、後で私の家においで」

ひっ、と声にならない悲鳴を上げイーサン宰相から離れた。
肩がわなわなと震えだす。
こういう類の視線、覚えがある。
なにか、小さい頃に、恐ろしい経験をしたような。

「……おやめください、イーサン宰相。ユヅキが困っています」

「ふふっ……それは申し訳なかったね」

イーサン宰相は遠ざかり、先に大広間へ向かっていった。
まだ震える肩を抱き、立ちすくむ。
顔色が悪いと心配する姉さまに大丈夫だから、と答えるので精一杯だった。
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