僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第4章 僕は療養のためにオリヴァー王国に留まるらしい

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朝が、来てしまった。
帰ると言ったのは自分だが、寂しい気持ちになってくる。

「るーく、」

昨日の楽しかった外出も、いい思い出になった。
色々あったが、最後はオリヴァー王国が大好きになった。
胸元のペンダントを握りしめ、窓から空を見上げた。





出発のときがやってきた。
みんな、来てくれたんだ。

「ノアさん、テディ……」

「ユヅキ、ありがとう。僕、ノア様と一緒にいられて、しあわせ。ユヅキのおかげだよ」

テディに寄り添うノアさんから一礼される。
ノアさんとは以前、文通の約束をした。
なにか困ったら僕に相談していいんだからね。
そう言ってアドレスを渡したのだった。
テディといい関係を続けてほしい。
2人がどのような形であれ、幸せになってくれたら、僕も嬉しい。
ノアさんとテディに手を降った。

「……ルーク、」

まっすぐと射抜くような視線を感じ、ルークに駆け寄った。
そのまま強く抱きしめられる。

「ふふっ、苦しいよ」

両頬にルークの手のひらが添えられる。
顔が近づき、額に、頬に、鼻に、ちゅっちゅっと音を立てた。
友達にするものとしては大分、表現が豊かだがスキンシップの多いルークなので気にしない、気にしない。
それでも耳が熱を持つ。

「……。それじゃ、いくね」

離れようと踵を返すが、ルークに左手を握られる。
そのままルークは地面に片膝を付き、僕の手に唇を寄せた。
薬指に柔らかな温もりを感じ、驚いてルークを見下ろした。
熱い視線で見つめられ、顔が熱くなる。

「他に取られてしまいそうで心配だ、」

他に行ってくれるな、とルークは切な気な表情で僕を見上げた。
左手の、薬指に、接吻。
じわりじわりと熱が込み上げた。
これは、スキンシップの多い、ルークの癖。
きっとそうだ。




馬車に揺られ、日輪の国へと帰路を急ぐ。
まず浮かんだのは姉さまの顔。
姉さまは心配しているだろうなぁ。早く会いたい。
次に思い浮かんだのはルークの顔。
なぜか、ひどく切なく恋しく感じた。
思い出すだけで胸が一杯になる。
でも、僕にはそれがなぜだかわからなかった。
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