僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第5章 僕は求婚されるなんて考えてもいなかった

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レオナルドは恥じた。
自らの行動で結月を危険な目に合わせてしまったことをひどく後悔した。

結月の家に到着して早々、雪に責められるかと身構えたレオナルドだったが予想とは違っていた。

「……結月を、俺の国に連れ帰る? 」

えぇ、と雪は肯定した。
確かにそれは得策かもしれないが、とレオナルドは悩む。
本当に自分でいいのだろうか。
こんな不甲斐ない男に、ユヅキは守れるのだろうか。

「頼れる人はあなただけなの」

雪からすれば、ルークを頼ることも考えたが国際問題にもなりかねないため、レオナルドの方が適任であった。

「お願いよ! 」

今度は強く言葉を発した。
悩んだ様子のレオナルドであったが、女性にここまで言わせたのだ。
レオナルドにも男としてのプライドがあった。
断る理由など、ない。

「……わかった。連れて行く」

大切なユヅキを守るためなら、とレオナルドも意を決して頷いた。









オリヴァー王国も緑豊かな季節となった。
ユヅキは日輪の国で元気にしているだろうか。

「ルーク様、お手紙です」

メイドから手紙を受け取る。
ユヅキの文字だ。
手紙の文字を指でなぞり、緩く微笑む。
封筒を開け、手紙を読んだ。

しかし、途中で顔をしかめる。
どうやらユヅキは、屋敷に押し入ってくる人間から逃れるために、アッシャー王国のレオナルド伯爵邸に向かうとのこと。
仕方ないことはわかっているが、別の男ではなく、私を頼ってほしかった。

それにどのみち、アッシャー王国へ行ったとて、その噂を聞きつけた人間は、ユヅキのところへ向かうだろう。
やはり私が連れ帰らなければ。
護衛もたいして居ないような場所で匿われるよりは、守備を固めたオリヴァー城で匿うほうが安全だと思った。

「……すぐにアッシャー王国へ向かう。準備を」

メイドが慌てた様子で準備を行う。
急いでユヅキのもとへ向かわねば。
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