蛮勇者は、異世界人を養いたい！　ー元英雄の奮闘記ー

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プロローグ

蛮勇者は少女と出会う。

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ーーー蛮勇ーーーー
それは、叶わない事に、愚直に挑むこと。

ハイネ帝国には　アレン＝ラグダシア　という将軍がいた。
彼は人望も厚く、心優しく、勇気のある青年であった。彼の元には、たくさんの人が集まっていた。
彼が将軍になって二年がたった頃だった。
ハイネ帝国は隣国のアースガルド王国との戦争が、始まった。彼の手腕は凄まじく、戦況はほとんどハイネ帝国に傾いていた。戦争もあと二日で、終わるという頃、開戦地となっているハイネ帝国とアースガルド王国の国境の北にある死の森から、ドラゴンが魔物の大群を連れて出てきてしまった。
その瞬間、戦地は地獄と化した。大きな黒龍一匹。その配下と思われる魔物の数は一万と思われる。
もともと、敗戦濃厚であったアースガルド王国の兵士たちは、その魔物の数に恐れ慄き、逃げだしてしまった。
蜘蛛の子を散らすように逃げ出した兵士を魔物が襲い、食いつくす。
それは、蹂躙であった。
その様子を見て、将軍であるアレンは、覚悟を決める。
戦うしかないと・・・
帝国軍として赴いているのであれば、逃げるという選択肢は存在しない。
なぜなら、背後には帝国が、守るべき臣民がいる。
見方を鼓舞し、突き進む。狙うべきは、黒龍ただ一匹。黒龍さえ倒せれば、魔物の統率を崩すことができる。そうすれば、勝つことができるかもしれない。
アレンは指揮を副将軍に任せ、己は一騎当千が如く、魔物の中を切り裂き黒龍を目指す。

それから、半日を過ぎ黒龍との戦いは熾烈を極めた。最後は、アレンが黒龍の首を切り落とし、決着がついた。
そして、散り散りになる魔物を、狩る。狩りつくしたころには、味方の兵士が、五万から二万に減っていた。
その有様は、地上に地獄が具現したかのようだった。アレンは、生き残った兵士を引き連れ、亡くなったものの形見を集め、帝国に帰還する。アレンは心に、多くを死なせてしまったという後悔と、臣民を守り切ることができたという達成感を抱いた。

帰還したアレンは、この戦争の結末を報告した。この結末は、帝国を震撼させることになった。この遠征で、三万人もの尊い犠牲者が出てしまったのだのだ。
しかし、誰も、悪くわなかった、誰の責任でもなかった。ただ、黒龍災害が、あらわれてしまっただけだったのだ。
それ故に、国民はこの蟠りをどこに向にも向けることができなかった。三万人もの人が死んだというのに、得た領土もなく、賠償金も得ることができなかった。国民の怒りは、爆発寸前だった。このままでは、暴動が起きてしまうことは、必然であった。
この惨状に、皇帝は決決意した。怒りの矛先を一人に向けることを。
彼の名は、アレン＝ラグダシア。
かなうことのない強大な黒龍に挑んだ将軍であり、多くの部下を殺した蛮勇者であると。
優しき彼は、自分がすべての責任を負うという皇帝の願いを聞き入れた。
本来、賞賛を浴びるべき英雄は、臣民から罵声と叱責を浴びせられた。今まで、慕ってくれていた町のみんなからは、憎しみにゆがんだ顔で「蛮勇者」だとののしられ、小石を投げられた。
そして、倒したはずの黒龍を倒すという名目で、死の森に一人で、派遣された。
しかし、彼の心には、後悔はなかった。臣民が自分を責めることで、彼らの心が少しでも軽くなればいいと思った。
皇帝は、謝罪と感謝とともに大量の食糧と素材が入った魔法袋をアレンに渡した。
アレンは、その魔法袋を受け取り、死の森へ向かった。

それから、三年が経過た頃アレンは２６歳になった。彼は、帝国で稀代の罪人になっており、憎むべき蛮勇者、亡くなった者の家族からは、目の敵とされれていた。
しかし、かれはこの三年間死の森から出ず、ひっそりと一人で暮らしていた。そして、帝国に魔物が流れないように定期的に魔物を狩っていた。
アレンは、皇帝にもらった魔法袋から出した木材でログハウスを作り、畑で作物を育てた。
彼がこの生活に慣れてきたころ、生活に変化が起きた。
いつものように魔物を狩っていると、女性に出会ったのだ。
彼女は黒髪がセミロングまで伸びた１６歳くらいの少女であった。
彼女は、自分が異世界から来たといった。アレンは、久しぶりに人と話せることが嬉しく彼女をログハウスに連れていくことにした。

今に思えば、あの時がアレンの新しい人生が始まった瞬間だった。

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