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第1章 赤の獣を養いたい!
蛮勇者と第二の異世界人は丘の上にて出会う。
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「アレンさん起きてください。」
と、少女は、ベットの上で寝ている男に声をかける。とても気持ちよさそうだから、そおっとしておきたいところだけど、朝食が冷めてしまうので肩を揺さぶって、再度声をかける。
「アレンさん起きてください。朝ご飯が冷めますよ。」
「・・・・・ん・・・・うん?・・・おおはよう、ユーカ。」
男は眠たそうにあくびをして、ベットから立ち上がる。今日は随分と寝ていたものだ。春は気温が心地よいから、ぐっすり寝てしまう。
「アレンさん今日の朝食は、トーストとベーコンエッグとサラダです。」
「ああ、朝からご苦労様。」
アレンは席に着き、朝食を取り始める。うん、今日の朝食もおいしい。やはり、ユーカの料理はおいしいな。
「ユーカは今日、何か予定ある?」
「私は、今日は特に予定はないので魔道具の制作を進めようかと思います。」
「わかった。俺は、東側の魔物の数が少し多めだから間引いてくるよ。」
「はい、気を付けていってきてくださいね。」
と彼女は、少し微笑みながらそう言った。彼女の名前は御守夕花。セミロングの黒い髪が特徴の女の子だ。
思えば、彼女と出会って丁度今日で、一年くらい経つな。彼女と出会ったのは、僕が森の中を歩いているときだった。
彼女は、周りを随分とキョロキョロと見ていたが、俺を見つけたのだろう。凄い速さで走ってきて、知らない言語で話しかけてきた。俺は翻訳魔法を使ってみると、彼女は、自分が異世界から来たのだと言っていたものだから、とても驚いた。
異世界から人が来ることなどありえないと思っていたのだが、彼女はこの世界のことも何も知らず、ましてや魔力についても知らなかった。彼女が異世界から来たかは定かではなかったが、彼女に興味がわいた。
なので、異世界から来たという少女を家に招待することにした。
彼女と話してみると、彼女は本当にこの世界の人間ではなかった。それを確信したのは、彼女の話す元の世界の話が決め手でもあった。彼女の世界のカガクというものは画期的だった。魔力もなしに、魔法を再現するなどこの世界ではありえない話だ。それは、剣を持っているのに、素手で獲物をしとめる方法を考えるものだ。そんなことを考えるのは、世紀の天才かか、この世界の者ではないかの二択だ。
彼女曰く、彼女は勇者召喚というものに巻き込まれたらしい。しかし、何かの不具合か召喚先がこの森で他のものとはぐれてしまったそうだ。彼女には、行く当てがないそうだったので、提案を持ち掛けてみた。
それは、住み込みで家政婦をやらないかというものだった。日給銀貨25枚でなかなか割のいい仕事だ。(この世界の銀貨一枚は千円)それは、彼女としても願ったりかなったりだったらしく、二つ返事で承諾してくれた。
それから、ユーカには家事を行ってくれる代わりに、給料とは別にこの世界のことや魔法のことを教えることにした。ユーカは、とても賢くこの世界の言葉も違和感なく喋れるようになり、魔法も中級者くらいには使えるようになった。
また、ユーカは珍しいスキルを持っていた。彼女曰く、この世界に来るとき神様がくれたらしい。そのスキルの名は、「製魔力」といって、魔力を固形や液体や気体として具現化させる能力である。このスキルが、魔法とどう違うというと、例えば石を爆発させて壊すとする。そのとき魔法であれば、爆発魔法を唱えれば良い。しかしスキル「製魔力」だと、対象に触れたら爆発するという特性の魔力を作り、それを固形化して石に投げ付けなければいけない。
こう聞くと一見使えない能力かと思うだろう。しかし、それは違う。魔力を固形化するということは、本来魔物を倒すといった方法でしか得られない魔石を自分で作り出せることである。魔力を液体化するということは、回復する効果のある魔力を作り、それを液化することで回復ポーションを作り出せることである。これらのことから分かるように、このスキルは生産職に特化してるといっていいだろう。しかし、生産職からしたらここまで素晴らしいスキルもない。
このスキルについて教えた所、彼女は、魔法道具を始めた。
今では、魔道具作りが趣味になっているようで、昨日もセンプウキなるものをつくって、喜んでいた。
センプウキ、あれはいいものだ。あれがあれば、夏も快適に過ごせるだろう。
彼女は、給料のほとんどを魔道具の材料を買うのに使っているらしい。今日も魔道具作りをするといっているし、俺としても、ユーカが打ち込めるものを見つけてうれしい限りだ。ユーカはこの世界に来て直ぐは、よく元の世界のことを思い出して泣くこともあったが、今ではとても楽しそうにしている。趣味というのは偉大だなとつくづく思う。
さて、朝食も食べ終わったことだし、出かけることにしよう。
ユーカに作ってもらった軽食を魔法袋に入れ、幾多の戦いを共に生き抜いた相棒のロングソードを腰に差した。
「昼過ぎには帰ってくるよ。」
「はい、ではいってらしゃい。」
とユーカに見送られて、出発した。
アレンが黒龍を倒してからというものの、死の森の魔物たちは抑圧から解放されたように以前よりも活発になってしまった。自分の家には魔物除けの結界が張ってあるからいいものの、活発になった魔物が死の森を出て周辺の村を襲うといけないので、時々魔物の数を間引くことにしている。
西の魔物たちは前に間引いたので、今日は西の方の魔物を間引くことにした。
正午を少し過ぎた頃、魔物狩りにのも一区切りがつき、昼食を取ろうと少し開けた丘に向かった。
そこは、死の森にしては珍しく景観が優れている場所で、昼食を取るには、良いばしょだろう。
しかし、その丘は、いつもの丘ではなかった。
丘の一面が炎で埋め尽くされていた。
その中心に炎をまとった男が立っていた。男は炎とおなじ燃えるような赤色の髪で目が少し吊り上がっている。
そして男は叫んだ。
「どこだよ、ここはぁー!!」
そう、これが、アレンが二人目の異世界人と出会った瞬間である。
と、少女は、ベットの上で寝ている男に声をかける。とても気持ちよさそうだから、そおっとしておきたいところだけど、朝食が冷めてしまうので肩を揺さぶって、再度声をかける。
「アレンさん起きてください。朝ご飯が冷めますよ。」
「・・・・・ん・・・・うん?・・・おおはよう、ユーカ。」
男は眠たそうにあくびをして、ベットから立ち上がる。今日は随分と寝ていたものだ。春は気温が心地よいから、ぐっすり寝てしまう。
「アレンさん今日の朝食は、トーストとベーコンエッグとサラダです。」
「ああ、朝からご苦労様。」
アレンは席に着き、朝食を取り始める。うん、今日の朝食もおいしい。やはり、ユーカの料理はおいしいな。
「ユーカは今日、何か予定ある?」
「私は、今日は特に予定はないので魔道具の制作を進めようかと思います。」
「わかった。俺は、東側の魔物の数が少し多めだから間引いてくるよ。」
「はい、気を付けていってきてくださいね。」
と彼女は、少し微笑みながらそう言った。彼女の名前は御守夕花。セミロングの黒い髪が特徴の女の子だ。
思えば、彼女と出会って丁度今日で、一年くらい経つな。彼女と出会ったのは、僕が森の中を歩いているときだった。
彼女は、周りを随分とキョロキョロと見ていたが、俺を見つけたのだろう。凄い速さで走ってきて、知らない言語で話しかけてきた。俺は翻訳魔法を使ってみると、彼女は、自分が異世界から来たのだと言っていたものだから、とても驚いた。
異世界から人が来ることなどありえないと思っていたのだが、彼女はこの世界のことも何も知らず、ましてや魔力についても知らなかった。彼女が異世界から来たかは定かではなかったが、彼女に興味がわいた。
なので、異世界から来たという少女を家に招待することにした。
彼女と話してみると、彼女は本当にこの世界の人間ではなかった。それを確信したのは、彼女の話す元の世界の話が決め手でもあった。彼女の世界のカガクというものは画期的だった。魔力もなしに、魔法を再現するなどこの世界ではありえない話だ。それは、剣を持っているのに、素手で獲物をしとめる方法を考えるものだ。そんなことを考えるのは、世紀の天才かか、この世界の者ではないかの二択だ。
彼女曰く、彼女は勇者召喚というものに巻き込まれたらしい。しかし、何かの不具合か召喚先がこの森で他のものとはぐれてしまったそうだ。彼女には、行く当てがないそうだったので、提案を持ち掛けてみた。
それは、住み込みで家政婦をやらないかというものだった。日給銀貨25枚でなかなか割のいい仕事だ。(この世界の銀貨一枚は千円)それは、彼女としても願ったりかなったりだったらしく、二つ返事で承諾してくれた。
それから、ユーカには家事を行ってくれる代わりに、給料とは別にこの世界のことや魔法のことを教えることにした。ユーカは、とても賢くこの世界の言葉も違和感なく喋れるようになり、魔法も中級者くらいには使えるようになった。
また、ユーカは珍しいスキルを持っていた。彼女曰く、この世界に来るとき神様がくれたらしい。そのスキルの名は、「製魔力」といって、魔力を固形や液体や気体として具現化させる能力である。このスキルが、魔法とどう違うというと、例えば石を爆発させて壊すとする。そのとき魔法であれば、爆発魔法を唱えれば良い。しかしスキル「製魔力」だと、対象に触れたら爆発するという特性の魔力を作り、それを固形化して石に投げ付けなければいけない。
こう聞くと一見使えない能力かと思うだろう。しかし、それは違う。魔力を固形化するということは、本来魔物を倒すといった方法でしか得られない魔石を自分で作り出せることである。魔力を液体化するということは、回復する効果のある魔力を作り、それを液化することで回復ポーションを作り出せることである。これらのことから分かるように、このスキルは生産職に特化してるといっていいだろう。しかし、生産職からしたらここまで素晴らしいスキルもない。
このスキルについて教えた所、彼女は、魔法道具を始めた。
今では、魔道具作りが趣味になっているようで、昨日もセンプウキなるものをつくって、喜んでいた。
センプウキ、あれはいいものだ。あれがあれば、夏も快適に過ごせるだろう。
彼女は、給料のほとんどを魔道具の材料を買うのに使っているらしい。今日も魔道具作りをするといっているし、俺としても、ユーカが打ち込めるものを見つけてうれしい限りだ。ユーカはこの世界に来て直ぐは、よく元の世界のことを思い出して泣くこともあったが、今ではとても楽しそうにしている。趣味というのは偉大だなとつくづく思う。
さて、朝食も食べ終わったことだし、出かけることにしよう。
ユーカに作ってもらった軽食を魔法袋に入れ、幾多の戦いを共に生き抜いた相棒のロングソードを腰に差した。
「昼過ぎには帰ってくるよ。」
「はい、ではいってらしゃい。」
とユーカに見送られて、出発した。
アレンが黒龍を倒してからというものの、死の森の魔物たちは抑圧から解放されたように以前よりも活発になってしまった。自分の家には魔物除けの結界が張ってあるからいいものの、活発になった魔物が死の森を出て周辺の村を襲うといけないので、時々魔物の数を間引くことにしている。
西の魔物たちは前に間引いたので、今日は西の方の魔物を間引くことにした。
正午を少し過ぎた頃、魔物狩りにのも一区切りがつき、昼食を取ろうと少し開けた丘に向かった。
そこは、死の森にしては珍しく景観が優れている場所で、昼食を取るには、良いばしょだろう。
しかし、その丘は、いつもの丘ではなかった。
丘の一面が炎で埋め尽くされていた。
その中心に炎をまとった男が立っていた。男は炎とおなじ燃えるような赤色の髪で目が少し吊り上がっている。
そして男は叫んだ。
「どこだよ、ここはぁー!!」
そう、これが、アレンが二人目の異世界人と出会った瞬間である。
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