戦争を忘れない

十二話

そろそろ、涼しくなってきました。
外を歩くのが、楽しい時期ですね。

外を歩いていると、まだまだ綺麗な花が咲いています。
思わず携帯で写真を撮ってしまいます。

私の祖母も携帯こそ持っていませんが、花を観察するのが趣味です。
いつも実家では、花瓶に花が刺さっています。

季節によってもちろん種類は違いますが、
帰省する度に同じような花が刺さっています。

もう少し、種類増やせばいいのに。
そう聞いたことがあります。

私の実家がある、南房総は温暖な地域。
色々な花が育ちます。
なのに勿体ない。
そう、思っていました。

祖母は教えてくれました。
「平和」の花言葉を持つ花。
それを刺すようにしている、と。

自分の考えの薄さに、呆れました。

前回、帰省した時には「コスモス」が刺さっていました。
赤いコスモスです。
直接「平和」は意味しませんが、「調和」の花言葉を持ちます。

正直なところ、コスモスは花瓶に刺すような花ではないと思います。
花壇で、静かに咲く。
そんな花だと思っています。

見た目だって、綺麗な花瓶に負けていました。

でも、それは重要なことではない。

祖母にとって、「彼らを思いだす」ことが大切なんです。