格闘ゲーマーの異世界転生 チートスキルの封印術~あれ?思ってたのとなんか違う~

tatamiya

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第5章 ギルド

第32話 腕相撲リベンジ

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「なんやイズミ、間の抜けた顔してからに」

 セキアがこちらを勝ち誇った顔でみてくる。

「うちな、お風呂でよーくかんがえてん。村で一番力が強かったうちがなんでイズミに負けたんか。イズミがもしかしたら腕力レベル8くらいあって純粋に力負けしたんかもって」

 俺はセキアが何を言いたいのかまだわからなく右腕を立てたまま硬直している。

「でも、イズミのスキル構成聞いてて器用よりやし変やな?思って、、、そういや奴隷商のおっちゃんの所で洗面所から帰って来たとき、なんや弱体化がどうとか精神沈静化がどうとか言ってたん思い出してな」

「ちょ、あれ聞いてたの!」

「あの時はなんの事かわからへんかったけど、イズミとスキルの話をしてたら、あれ?うちが負けたんって弱体化スキル使われたからちゃうかなって思い始めてん」

 うん、そうだね、ほぼ正解です。

「で、一か八か腕相撲で確かめようと。合図出すときイズミの右手見てたらちょっと光り出したし急いで手を振りほどいたけど、間に合ったかな?まぁ、どっちでもいいわ、もし弱体化してて負けても勝負やからしゃーないしな」

 あらやだ男前。それと引き換え俺はまだショックを隠しきれない。
 街に来て初日で二人に隠しスキルがあることがバレるなんて。もしかして俺ってバカなの?それとも街の人達が凄いの?

「さて、仕切り直しや、勝負始めよか。また右手が光ったら振りほどくけど、カンニンな」

 と、俺に確認してくる。大丈夫、あと9分はひからないから。

 俺達は改めて手を組んだ。一縷の望みをかけて鑑定をしてみる。

 セキア  ♀  鬼人族  ??歳
 スキル  【大剣術Ⅲ】【腕力Ⅳ】【身体能力Ⅲ】【再生Ⅲ】【格闘術Ⅱ】【走力Ⅱ】
 ユニークスキル  【鬼神化Ⅲ】
 加護称号  鬼神の加護

 あぁ、駄目だ。

「じゃ、いくで、、レデイィ、ゴウ!」

 死刑宣告だ。俺は天井の染みを見ながら勝負の結果を待つ。

 俺の右手はなんの抵抗も出来ずにテーブルに沈む。

「よっしゃゃ!勝ったでー!」

 セキアが勝利の雄叫びを上げる。

「周りにおる皆さん!イズミは負けたけど、うちが皆さんにお酒奢らせて貰います、うちの勝利を祝ってジャンジャン頼んでや、お金払うのはイズミやし」

 勝手に奢るなんて、と注意したいがまだ放心状態で動けない。

「よ!奴隷のお嬢ちゃん、男前!」

 お酒を奢ってくれる相手が変わったからか、酒場の客が一気に手のひらを返してくる。

「童貞のにいちゃん、残念だったな、また良いことあるさ」
「なにかよくわからないけど、奴隷のお嬢ちゃんの方が一枚上手だったな、童貞のにいちゃん」

「童貞ちゃうわ!素人童貞じゃ!」

「またまた負け惜しみ言って~」

 くそくそくそ、なんでこうなった。

「店員のおねーさーん、とりあえず皆さんにお酒のおかわりお願い、ここは果実酒二つで宜しくお願いしまーす」

 ウェイトレスさんが持ってきたお酒を仁王立ちでグイグイ飲むセキア。俺はそんな気力もなくチビッと口をつける。

「さて、教えて貰おか、イズミの秘密」

 ニカッと笑顔のセキア、あぁ、これ逃げられないヤツだ。



 俺はセキアに封印術の事と鑑定の上位スキルを持っている事を話す。流石に加護の事や転生の事は話せないし、腕相撲で勝ったこととは関係がないので言わないでおく。

「なんやそのスキル、ちょー凄いやん!相手のスキル封印出来るなんて無敵ちゃうん」

「ちょっとセキア、声デカイって!それにセキアが思ってるほど強くはないよ。まず右手で触れないと駄目だし、俺自身のスキルも封印されるしね。」

「そやなぁ、戦闘でイキナリ触らしてくれる相手なんておらへんなぁ」

「そゆこと、まぁ、そんなスキルがあったなぁ位で考えてて」

「わかった、教えてくれてサンキューやで、イズミ。さて、今日はそろそろ部屋に戻ろか」

「了解、明日はギルドに行こうね」

「そやね、じゃおやすみー」

「おやすみ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「42500wenだよ」

「はぁ~?なんだよそれ」

 俺は受付のおばちゃんに法外な値段を請求され半ギレで返事を返す。

「だから、42500wen。昨日のあんた達二人の食事代とあの場にいた連中の酒代。流石に三杯で止めてやったんだ感謝しな」

「いや、、でも、俺は一杯だけって、、、」

「あんたが勝ったら一杯って話だったけど、お嬢ちゃんが勝ったとき、ジャンジャン頼め、って言ってただろ、あたしが三杯で止めなければもっと高かったんだよ」

 うっ、、確かにセキアがそんなことを言ってたような、、

「どうするんだい、払うのかい?払わないのかい?」

「、、、払います、、、」

 宿代が8000×2、食事代が42500。1日で58500かぁ、流石に使いすぎだなぁ。

 俺がおばちゃんに支払いをしてると、昨日酒場にいた冒険者風の男達が階段から降りてきた。

「童貞のにいちゃん、昨日はありがとな!また童貞卒業式があったら呼んでくれよな!」
「今日はいいことあるさ、童貞のにいちゃん、頑張れよ!」

「うっさい、童貞ちゃうわ、素人童貞じゃ」

「またまた~」

 くそぉ、あだ名童貞のにいちゃんにならないだろうな。
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