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第四章
怪盗
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翌日のお昼頃、池野さんから「夕方までには絵が完成しそうです」と連絡が届いた。
優莉と誠志郎にもそのことを伝え、すぐに池野さんを迎えに行けるよう、俺たちはあらかじめ集まっておくこととなった。
誠志郎がレンタカーを借りてくれたらしく、車で家まで迎えに来てくれた。助手席には、すでに優莉が乗っている。
「よお咲翔。元気か?」
「今日は頑張りましょう!」
「元気だよ。おう。頑張ろう!」
無事集合した俺たち3人は、池野さんから連絡が来るまで、都内をドライブすることにした。
「けどなんか納得いかないなあ。盗まれたものを取り返すのも罪になるの? 正当防衛みたいな感じで免責されないのかな?」眉毛を八の字にしながら優莉がそう言った。
「んー、盗まれた物を自分で取り返すとか、そういうのは確か『自力救済』っていうんだけど、日本では一部の例外を除いて原則『自力救済』は禁止されてるんだ。だから盗まれた物であってもちゃんと法律に基づいた手続きを踏まないと取り返せない。たとえ自分の物が盗まれたのが明らかだったとしても、日本は法治国家だから法律が絶対であって、力づくで物事を解決することを認めてしまうと、力のある者が幅を利かせるようになって、社会が混乱して無法地帯と化してしまうとか何とかそういう理由だったと思うけど……。何にせよ、ややこしい話だよなまったく。盗まれた物を取り戻したら駄目だなんて」
「んー、じゃあ私たちも泥棒になっちゃうわけか。なんか複雑だなあ。泥棒は泥棒でも、アルセーヌ・ルパンみたいな義賊だからよしとするか……」
「泥棒は泥棒だけど、法に触れない方法を今2つ思いついたぞ」
「お! どんなの?」
「ひとつは、俺たちが人間じゃない場合。人間以外なら窃盗罪には問われないから」
「なんじゃそりゃ」
「もうひとつは、実は俺たちの正体が異世界からやってきた謎の怪盗だったっていうもの。異世界からやって来た何者かが俺たち3人の体を借り、謎の怪盗としてあの絵を奪還して池野さんに返還し、事が済んだら異世界に帰ってしまったということにすればいい」
「なるほど! 謎の怪盗かあ。いいねえ。よし、それでいこう!」
「能面があるから、名前は『怪盗ノーメン』でいいかな?」
「えー、なんかいまいちだなあ。もっとかっこいいのがいいよ。んー、なんかいいのないかな……。そうだ! ゆりかもめっていうのはどう? 怪盗ゆりかもめ! なんかかっこよくない?」
「ゆりかもめかあ。確かにかっこいいかも。能面とまったく関係ないところもなんかおもしろいし」
「よし、今日の私たちは、異世界から碧風清流の絵を取り戻すためにやってきた、怪盗ゆりかもめだ!」
車は特に目的地を定めることなく、気の赴くままに走っていた。
「私も車運転してみたいなあ。免許取ろうかなあ」
「おー、いいね。免許を持った人が数人いれば、交代で運転することで遠くまでも行ける。ミューと玲子さんは免許持ってるのかな? 今度聞いてみよう」
特に目的地を決めることなく適当にドライブしていたが、
「少し遠くまで行ってみない? もし間に合いそうになければ時間を止めちゃえばいいし」と優莉が言うので、
「いいですね。では、スカイツリーにでも行ってみますか?」
「スカイツリーかあ。いいねえ。行こう!」ということになった。
一行を乗せた車はスカイツリーを目指して順調に進んでいたが、途中で何か食べようということになり、道中にあったラーメン屋さんに寄ることとなった。
「ここはいわゆる家系ラーメンのお店だ」
「何それ?」
「なんか、豚骨醤油味のラーメンで、お店の名前に「○○家」ってついてることが多いから「家系」って呼ばれてるらしい。ラーメンを注文すると、お好みは? って聞かれて、味の濃さ、麺の硬さ、油の量を選べるんだ。もちっとした太麺で、具はチャーシューとほうれん草とのりが入ってることが多いよ」
「なるほど。初めての場合はどういう風に注文するのがおすすめ?」
「んー、初めての場合は『薄め、少なめ』って注文するのがいいかな。結構濃厚こってりなスープだから」
「『薄め、少なめ』だね。よし。誠志郎は食べたことあるの? 家系ラーメン」
「ええ。このお店ではありませんが、何度か食べたことありますよ」
「ほー、そうなんだ。じゃあ行ってみよう!」
店内に入ると、「いらっしゃいませー!」と店員さんが威勢のいい声で迎えてくれた。
券売機で「ラーメン」のボタンを押し、食券を持って、優莉、俺、誠志郎の順にカウンター席に着いた。
「お好みは?」優莉が最初に聞かれた。
「えーっと、う、薄め、少なめで」
「薄め、少なめ。お兄さんは?」
「僕は普通で」
「普通で。そちらのお兄さんは?」
「濃いめ、多めで」
「おおっ!」優莉が誠志郎の注文にびっくりしていた。
「濃いめ多めで。かしこまりました! 薄め少なめ、普通、濃いめ多めでーす」
しばらくして、ラーメンが運ばれてきた。
「いただきます!」
3人でラーメンを食べた。うまい。途中で優莉が、「ちょっとそっちのスープも飲ませて」と言って、自分の薄めスープと俺の普通スープ、誠志郎の濃いめスープをを飲み比べていた。
3人とも無事に完食し、食器をカウンターの上の部分に置き、台拭きでテーブルを拭いて店をあとにした。
「いやあ、おいしかったよ。今度は私も普通で注文してみたいな」
どうやら気に入ってくれたようだった。
また来たいので、お店の名前と場所をメモしておき、スカイツリーへの旅を再開した。
「あ! 見つけた!」優莉がビルの間に佇むスカイツリーを見つけたようだ。しかしまだ少し遠い。
その後も車を走らせること十数分、遂にスカイツリーのふもとへと到着した。
近くに車を停め、スカイツリーを眺めた。
まだ明るいのでライトアップはされていなかったが、ライトアップされていないスカイツリーもクールな感じがしてかっこよかった。
セルフタイマーを使って俺と優莉と誠志郎とスカイツリーの4ショット写真を撮った。なかなか上手く撮れている。
「さすがに中に入るのは時間ないかなあ。それはまた今度にしよう。どうせなら5人で来たいねえ」
「そうだね。5人で……。来れるといいな」
スカイツリーを眺めていると、池野さんから連絡があった。
「はい。鈴木です」
「あ、どうも、池野です。一応絵が完成しました。これからどうすればいいでしょう?」
「今から車で迎えに行きます。池野さんのご自宅の住所を教えてもらってもいいですか? もし抵抗があれば、最寄り駅の名前でも構いません。
「あ、はい。では住所を。東京都千代田区……」
俺たち3人は池野さんのご自宅へと向かい、20分ほどで到着した。
「うわあ、おしゃれなマンションだなあ。私もこういうところに住みたいな」
「もしもし、鈴木です。到着しました」
「了解です。今出ます」
しばらくして、絵を持った池野さんが外に出てきた。
「無理を言って申し訳ありません。絵は無事に完成しましたか?」
「はい。我ながらまあまあの出来だと思います」
そう言って池野さんは、絵を見せてくれた。
「おおー!」
3人は呆気に取られてしまった。その絵はまさにあの絵だった。3人が一瞬で心を奪われた、あの絵だ。とても美しく、繊細でいながら、強い愛の力を感じる。
「すごいなあ。本物みたいだ」
「いえいえ、私なんてまだまだ。本物の絵には、裏に祖母へのメッセージが書きこまれているんです。表面的にどれだけ似せたところで、あくまで偽物であり、本物になり変わることはできません」
「そうなんですかあ。なんだかロマンチックですなあ」
「あの、私はこれからどうすればいいのでしょうか? 絵は完成しましたが、これをどうやって本物とすり替えるのか……本当にそんなことが可能なんでしょうか?」
「大丈夫ですよ。心配ご無用です。とりあえず、あの美術館へ向かいましょう」俺は池野さんにそう伝えた。
優莉と誠志郎にもそのことを伝え、すぐに池野さんを迎えに行けるよう、俺たちはあらかじめ集まっておくこととなった。
誠志郎がレンタカーを借りてくれたらしく、車で家まで迎えに来てくれた。助手席には、すでに優莉が乗っている。
「よお咲翔。元気か?」
「今日は頑張りましょう!」
「元気だよ。おう。頑張ろう!」
無事集合した俺たち3人は、池野さんから連絡が来るまで、都内をドライブすることにした。
「けどなんか納得いかないなあ。盗まれたものを取り返すのも罪になるの? 正当防衛みたいな感じで免責されないのかな?」眉毛を八の字にしながら優莉がそう言った。
「んー、盗まれた物を自分で取り返すとか、そういうのは確か『自力救済』っていうんだけど、日本では一部の例外を除いて原則『自力救済』は禁止されてるんだ。だから盗まれた物であってもちゃんと法律に基づいた手続きを踏まないと取り返せない。たとえ自分の物が盗まれたのが明らかだったとしても、日本は法治国家だから法律が絶対であって、力づくで物事を解決することを認めてしまうと、力のある者が幅を利かせるようになって、社会が混乱して無法地帯と化してしまうとか何とかそういう理由だったと思うけど……。何にせよ、ややこしい話だよなまったく。盗まれた物を取り戻したら駄目だなんて」
「んー、じゃあ私たちも泥棒になっちゃうわけか。なんか複雑だなあ。泥棒は泥棒でも、アルセーヌ・ルパンみたいな義賊だからよしとするか……」
「泥棒は泥棒だけど、法に触れない方法を今2つ思いついたぞ」
「お! どんなの?」
「ひとつは、俺たちが人間じゃない場合。人間以外なら窃盗罪には問われないから」
「なんじゃそりゃ」
「もうひとつは、実は俺たちの正体が異世界からやってきた謎の怪盗だったっていうもの。異世界からやって来た何者かが俺たち3人の体を借り、謎の怪盗としてあの絵を奪還して池野さんに返還し、事が済んだら異世界に帰ってしまったということにすればいい」
「なるほど! 謎の怪盗かあ。いいねえ。よし、それでいこう!」
「能面があるから、名前は『怪盗ノーメン』でいいかな?」
「えー、なんかいまいちだなあ。もっとかっこいいのがいいよ。んー、なんかいいのないかな……。そうだ! ゆりかもめっていうのはどう? 怪盗ゆりかもめ! なんかかっこよくない?」
「ゆりかもめかあ。確かにかっこいいかも。能面とまったく関係ないところもなんかおもしろいし」
「よし、今日の私たちは、異世界から碧風清流の絵を取り戻すためにやってきた、怪盗ゆりかもめだ!」
車は特に目的地を定めることなく、気の赴くままに走っていた。
「私も車運転してみたいなあ。免許取ろうかなあ」
「おー、いいね。免許を持った人が数人いれば、交代で運転することで遠くまでも行ける。ミューと玲子さんは免許持ってるのかな? 今度聞いてみよう」
特に目的地を決めることなく適当にドライブしていたが、
「少し遠くまで行ってみない? もし間に合いそうになければ時間を止めちゃえばいいし」と優莉が言うので、
「いいですね。では、スカイツリーにでも行ってみますか?」
「スカイツリーかあ。いいねえ。行こう!」ということになった。
一行を乗せた車はスカイツリーを目指して順調に進んでいたが、途中で何か食べようということになり、道中にあったラーメン屋さんに寄ることとなった。
「ここはいわゆる家系ラーメンのお店だ」
「何それ?」
「なんか、豚骨醤油味のラーメンで、お店の名前に「○○家」ってついてることが多いから「家系」って呼ばれてるらしい。ラーメンを注文すると、お好みは? って聞かれて、味の濃さ、麺の硬さ、油の量を選べるんだ。もちっとした太麺で、具はチャーシューとほうれん草とのりが入ってることが多いよ」
「なるほど。初めての場合はどういう風に注文するのがおすすめ?」
「んー、初めての場合は『薄め、少なめ』って注文するのがいいかな。結構濃厚こってりなスープだから」
「『薄め、少なめ』だね。よし。誠志郎は食べたことあるの? 家系ラーメン」
「ええ。このお店ではありませんが、何度か食べたことありますよ」
「ほー、そうなんだ。じゃあ行ってみよう!」
店内に入ると、「いらっしゃいませー!」と店員さんが威勢のいい声で迎えてくれた。
券売機で「ラーメン」のボタンを押し、食券を持って、優莉、俺、誠志郎の順にカウンター席に着いた。
「お好みは?」優莉が最初に聞かれた。
「えーっと、う、薄め、少なめで」
「薄め、少なめ。お兄さんは?」
「僕は普通で」
「普通で。そちらのお兄さんは?」
「濃いめ、多めで」
「おおっ!」優莉が誠志郎の注文にびっくりしていた。
「濃いめ多めで。かしこまりました! 薄め少なめ、普通、濃いめ多めでーす」
しばらくして、ラーメンが運ばれてきた。
「いただきます!」
3人でラーメンを食べた。うまい。途中で優莉が、「ちょっとそっちのスープも飲ませて」と言って、自分の薄めスープと俺の普通スープ、誠志郎の濃いめスープをを飲み比べていた。
3人とも無事に完食し、食器をカウンターの上の部分に置き、台拭きでテーブルを拭いて店をあとにした。
「いやあ、おいしかったよ。今度は私も普通で注文してみたいな」
どうやら気に入ってくれたようだった。
また来たいので、お店の名前と場所をメモしておき、スカイツリーへの旅を再開した。
「あ! 見つけた!」優莉がビルの間に佇むスカイツリーを見つけたようだ。しかしまだ少し遠い。
その後も車を走らせること十数分、遂にスカイツリーのふもとへと到着した。
近くに車を停め、スカイツリーを眺めた。
まだ明るいのでライトアップはされていなかったが、ライトアップされていないスカイツリーもクールな感じがしてかっこよかった。
セルフタイマーを使って俺と優莉と誠志郎とスカイツリーの4ショット写真を撮った。なかなか上手く撮れている。
「さすがに中に入るのは時間ないかなあ。それはまた今度にしよう。どうせなら5人で来たいねえ」
「そうだね。5人で……。来れるといいな」
スカイツリーを眺めていると、池野さんから連絡があった。
「はい。鈴木です」
「あ、どうも、池野です。一応絵が完成しました。これからどうすればいいでしょう?」
「今から車で迎えに行きます。池野さんのご自宅の住所を教えてもらってもいいですか? もし抵抗があれば、最寄り駅の名前でも構いません。
「あ、はい。では住所を。東京都千代田区……」
俺たち3人は池野さんのご自宅へと向かい、20分ほどで到着した。
「うわあ、おしゃれなマンションだなあ。私もこういうところに住みたいな」
「もしもし、鈴木です。到着しました」
「了解です。今出ます」
しばらくして、絵を持った池野さんが外に出てきた。
「無理を言って申し訳ありません。絵は無事に完成しましたか?」
「はい。我ながらまあまあの出来だと思います」
そう言って池野さんは、絵を見せてくれた。
「おおー!」
3人は呆気に取られてしまった。その絵はまさにあの絵だった。3人が一瞬で心を奪われた、あの絵だ。とても美しく、繊細でいながら、強い愛の力を感じる。
「すごいなあ。本物みたいだ」
「いえいえ、私なんてまだまだ。本物の絵には、裏に祖母へのメッセージが書きこまれているんです。表面的にどれだけ似せたところで、あくまで偽物であり、本物になり変わることはできません」
「そうなんですかあ。なんだかロマンチックですなあ」
「あの、私はこれからどうすればいいのでしょうか? 絵は完成しましたが、これをどうやって本物とすり替えるのか……本当にそんなことが可能なんでしょうか?」
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