差別高校

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入学式

入学式ー新校舎1

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私は今年から明聖文化高校、通称『明文高』に入学することになった。将来の夢もなく、家から近いという理由だけで選んだため、高校には関心がなかった。もともと人と関わることは苦手で中学校でもあまりクラスには馴染めてはいなかった。






高校入学の一週間前くらいだっただろうか。高校からある一通のメールが送られてきた。

『明星文化高校へのご入学おめでとうございます。本項の方針として新しい制度を設けることになりました。その制度とは、優と劣に生徒を分け、劣の生徒は自立した社会人になるよう指導します。また、優の生徒は特別なサポートを設け、大学進学へ向けての学習をしていきます。あなたのクラスはです。』

という内容だった。詳しいことは分からなかったが、面倒な高校に入学してしまったと後悔した。

その時の私はその程度にしか思っていなかった。




入学式当日

「おはようございます。お名前よろしいでしょうか?」

受付の人はとても感じのいい人だった。

「立花咲です。」

「立花様。ご入学、おめでとうございます。このバッチをつけて頂いて、東側の廊下をお進み下さい。わからなかった場合は近くのスタッフにお尋ねください。」

ニコニコしながら受付の人は言った。受け取ったバッチには優の文字が刻まれていた。


会場に入るとそこにはもうたくさんの生徒が並んで座っていた。みんな大人びて見えた。高校生活を楽しみにしている者もたくさんいるのだろう...。着席してすぐに式は始まった。

「優の皆さんおはようございます。お日柄もよく、胸を高まらせている生徒が多いのではと思います。申し遅れましたが、私が学校長代表の神崎進です。この場にいる皆さんは様々な調査を通り、我が校の顔となれる存在です。是非、充実した高校生活を送ってください。さて、まず皆さんに説明しなければならないことがあります。」

ザワザワと話し始める者がたくさんいた。新しい制度についてだろう。

「まず、簡単に言うと、優の皆さんは安全な生徒であり、将来社会に出ても通用するという保証のされた方です。ですので、我が校では特別なサポートをし、大学進学に向けて学習していくというシステムを取らせていただきます。逆に、劣の生徒は大きな問題を抱えた自分をコントロールできない人です。劣というレッテルのもと、社会に通用する人間へ育てる学習をしていくというシステムをとります。」

残虐ではないだろうか。劣はどんなひどい生徒で溢れていたとしてもこれはいくらなんでも高校生に突きつけるような事じゃない。

「差別的な制度ではありますが、その方針が崩れぬように優と劣の生徒は接触しないようバリケードで完全に区切っています。さらに、校則として接触した場合は停学、あるいは退学とさせていただきます。担任の方からも説明がありますが、今回の入学生を迎えるにあたってかなりの準備をして参りました。劣の生徒に落ちたとしても、またやり直せます。ここで学べば良いのです。社会とはどのように厳しく、どのように辛いものかを体験出来るいい機会だと前向きに検討ください。」

そうして、私の最悪であり、辛い、高校生活が始まった。


入学式後、初めて教室に入った。

「はい、座りなさい。僕かここの優B組の担任になりました。坂本功です。1年間の付き合いになりますが、どうぞよろしく。僕自身、君たちにはかなりの期待を持っている。さっきの校長の話にもあったが、劣の生徒と接触したものは停学、あるいは退学、もしくは劣に落ちる。劣に落ちたものは二度とここに戻ってこれるとは思うなよ?ただ、そうならないように大人しく真面目に高校生活を送ればなんにも支障は出ない。君たち次第だがね。まぁ、きっと、君たちは優秀だろうから、くれぐれも非行には走らないように。僕と君たちとの約束だ。以上。では、早速自己紹介でもしようか。」


「ねぇ、立花さん…だよね?私、小野鈴です。よろしくね!」

「…よろしく。オノサン…。」

「あのぉ…鈴でいいよ?私も咲って呼ぶから。」

「なに話してんの?俺も入れてよ。」

「ちょっとぉ!大介!私、咲と話してんの!」

「え、いいじゃん。俺普通に仲良くなりたいだけだし。」

「咲、ごめんね。」

「…いいよ?」

「だよね?俺、悪いことしてないし!」

「えっ!楽しそぉだね!私も入れてよ!」

「いいよ!えっとぉ~。何ちゃんだっけ?」

「あたしぃ~?あたしは、相澤もも!ももでいいよ~!」

「もも!可愛いね!」

「俺は、高橋大介。大ちゃんとか、だいとか、なんでもいいよ。」

「だいすけぇ~?うちの中学にも同じ名前の人いたなぁ~!」

つまらない話をしていたらチャイムがなった。話しかけてけれる子がいて安心した。私一人じゃ何も出来ないはずだから。助かった。
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