【完結】勇者の息子
勇者一行によって滅ぼされた魔王。
勇者は王女であり聖女である女性と結婚し、王様になった。
他の勇者パーティーのメンバー達もまた、勇者の治める国で要職につき、世界は平和な時代が訪れたのである。
そんな誰もが知る勇者の物語。
御伽噺にはじかれた一人の女性がいたことを知る者は、ほとんどいない。
月日は流れ、最年少で最高ランク(S級)の冒険者が誕生した。
彼の名前はグレイ。
グレイは幼い頃から実父の話を母親から子守唄代わりに聞かされてきた。
「秘密よ、秘密――――」
母が何度も語る秘密の話。
何故、父の話が秘密なのか。
それは長じるにつれ、グレイは理解していく。
自分の父親が誰なのかを。
秘密にする必要が何なのかを。
グレイは父親に似ていた。
それが全ての答えだった。
魔王は滅びても残党の魔獣達はいる。
主を失ったからか、それとも魔王という楔を失ったからか。
魔獣達は勢力を伸ばし始めた。
繁殖力もあり、倒しても倒しても次々に現れる。
各国は魔獣退治に頭を悩ませた。
魔王ほど強力でなくとも数が多すぎた。そのうえ、魔獣は賢い。群れを形成、奇襲をかけようとするほどになった。
皮肉にも魔王という存在がいたゆえに、魔獣は大人しくしていたともいえた。
世界は再び窮地に立たされていた。
勇者一行は魔王討伐以降、全盛期の力は失われていた。
しかも勇者は数年前から病床に臥している。
今や、魔獣退治の英雄は冒険者だった。
そんな時だ。
勇者の国が極秘でとある人物を探しているという。
噂では「勇者の子供(隠し子)」だという。
勇者の子供の存在は国家機密。だから極秘捜査というのは当然だった。
もともと勇者は平民出身。
魔王を退治する以前に恋人がいても不思議ではない。
何故、今頃になってそんな捜査が行われているのか。
それには理由があった。
魔獣は勇者の国を集中的に襲っているからだ。
勇者の子供に魔獣退治をさせようという魂胆だろう。
極秘捜査も不自然ではなかった。
もっともその極秘捜査はうまくいっていない。
本物が名乗り出ることはない。
勇者は王女であり聖女である女性と結婚し、王様になった。
他の勇者パーティーのメンバー達もまた、勇者の治める国で要職につき、世界は平和な時代が訪れたのである。
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何故、父の話が秘密なのか。
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もっともその極秘捜査はうまくいっていない。
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