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不良くんは一途に愛し続ける!
不良くんは一途に愛してる!
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あれ以来。百都子は静かになったらしい。香奈恵は離れたものの、ほかの子たちは今もそばにいる。しかしローテンションいじめ制度はなくなり、大人しいグループへと変貌したそうだ。
白雪は香奈恵が孤立したのではと不安だったが、彩音と蒼汰とうまく付き合っているようだ。少々不安が残るものの本人が「蒼汰くんはかわいいし、彩音くんは怖いけど楽しいよ」と喜んでいるので口だしは無用だろう。蒼汰と彩音の感想は逆ではないか、とは言いたかったが。
白雪は相変わらず別室教室通いだ。そうそう勇気が出る話でもなく。数学教師からは冷たい視線を投げられる。だがそれでも逃げられる場所と助けてくれる味方がいると人は、ずいぶんと楽になれるのだと最近知った。
「白雪ちゃん、今日はねクッキーを作ってきたの」
「……一応、お菓子持ち込みは禁止だから。こそっとしようね」
昼休み。孤独になるための空き教室は、常連の四人が集まっていた。
白雪は紙コップに紅茶を注ぎ、机を囲む人間の前へと置く。ふわりと白い湯気とかぐわしい香りが漂った。雪がちらつく今日は温かい飲み物がいい。
「はい、白雪ちゃん」
「……香奈恵さーん、ちょっとこいつに近すぎねぇ?」
「そんなことないよ。女の子友達は普通だよ。あーんだって普通。嫉妬しているの?」
「してるわ。めちゃくちゃしてるから離れろ」
「いやだよ。男の嫉妬は醜いよ」
「こいつ、どんどんふてぶてしくなりやがって。彩音に似てきたんじゃねーの」
香奈恵はいそいそと鞄から取り出す。きつね色に焼かれたクッキーは星やハートと多彩な形にくり抜かれている。お店で販売されているものと遜色ない、美味しそうな菓子だ。大量だが意外と大食いの彩音の腹にほぼ収まるだろう。
白雪の隣。頬杖をついて不満げに香奈恵を睨む蒼汰は、クッキーを頬張った。ハートが真ん中でぱきんと折れる。白い八重歯がかみ砕くのを見届けてから白雪もつまんだ。
彩音は眠たげな顔で欠伸しつつ、クッキーを頬張る。既に五枚目、早業である。
「それで、蒼汰は告白したんだよね。恋人になれた?」
「彩音、どう見える?」
「はは、フラれた? 失恋おめでとう慰め会する?」
「半笑いで言うんじゃねぇ」
彩音のからかい混じりの言葉に蒼汰が噛みついた。すでに彩音は十枚目に突入している、おそろしく食べるペースが速い。吸引力がすごい。
「かわいそうに。ちなみに……蒼汰くぅん。彩音ぇ、今ぁフリーなんだけどぉ、どぉ?」
「きっっっっしょ」
彩音のふざけた猫なで声ですり寄れば、がるると唸りそうな様子で吐き捨てた。じゃれ合うのは仲良い証拠だろう。
白雪は、二人の会話から目をそらして窓の外へと向ける。曇天から白い砂糖のような雪がふわふわと降り続けており、このままいくと積もるだろうと予想できた。新雪の上を歩くのは好きだが寒すぎるのは困る。今から帰り道が憂鬱だ。
そう現実逃避する。
白雪の前で、今の会話はデリカシーに欠けている。可能ならば別の場所で繰り広げてほしい。切に願うが彼らに届くはずもなく。
蒼汰がむすっと口を開いた。
何を話そうと白雪は我関せずを貫こうと心に誓った。
「大体なぁお前と白雪は比べ物になんねえよ。白雪は他人を思いやる優しさがある。我慢するのは駄目だが、俺だけには甘えてくれんのは可愛い。いい子ちゃんになりたくないとかむくれるけど、無意識に人を助けてたり、落とし物を届けたり、電車を乗り継いでまで持ってきてくれたり。馬鹿だけど健気でかわいい。つーかそもそも可愛いの権化、顔も性格も完璧。知ってるか上目遣い、涙目コンボがやばいんだ。いやおまえが知ってたら殴って忘れさすわ。あとな白雪って」
「まってまってまってまってまって想像の五倍以上の情報量」
誓いはすぐさま破った。
とんでもない早口で繰り出された内容に目が回るが、彼の口を塞ぐのが優先だ。砂糖など生ぬるい。蜂蜜に砂糖と生クリームなど、この世界の甘いものを全てミックスしたような、くどすぎる言葉の数々。胸焼けどころではない。
なんてことを、友達の前で喋ってくれてやがるのだ。
蒼汰は怪訝そうな顔でクッキーを咀嚼する。誰のせいだと思っているのだろうか。
確かに告白まがいを流している。しかし決してはっきり伝えられたわけではない。いや公言したが、白雪に向かってではない。それで返事を求められても困るのが本音だ。
蒼汰が白雪をすき――噂が嘘だと逃げるつもりはないが、この状況に悩んでいるのは白雪も同じであった。せめてよくある告白みたいなことがあれば返事がしやすいが、完全にタイミングを逃した。……自分から言う勇気が必要なのか。
紅茶を両手で包み口をつける。砂糖のほどよい甘さと紅茶の優しい味。温かさで胃の中に流して、ほっと息をついた。蒼汰の痛いほどの視線を感じつつ目を閉じる。
二人の様子を見比べていた彩音が、ぽつりと。あきれたように呟いた。
「じれったい。そろそろ付き合えば? イライラする」
「おーおーもっと言ってやってくれ。明らかな態度なくせに逃げるの。小悪魔じゃん。男を手のひらで転がすとか……男慣れしてる? は? 元カレ? 殺すわ」
「急にバーサーカーになるじゃん。嫉妬心がつよ」
「俺だけのものでいい」
おどろおどろしい声音に思わず白雪は悲鳴のような鳴き声のような声を上げた。かたかた震えて、紅茶をこぼしそうになる。そっと机に置いてから瞼をあげた。じりじりと焦るような気持ちを誤魔化すためクッキーを食べた。さくさくして美味しい。
「なぁ俺のこと嫌い?」
獰猛な獣の威圧感は消え失せて、子犬になった蒼汰は白雪を下からのぞき込んだ。下がり眉で悲しげな瞳。つい最近、彼はこの表情を作るようになった。あんな顔を自然とするような殊勝な人間ではないのだよ、と彩音に教えられた。
するりと手を伸びて、白雪の頬を撫でる。指の腹が目の下を往復する仕草、じわりと広がる、微かな彼の体温に、冷静さが消えて常夏のような暑さを感じる。思考がまとまらず、白くかすんでいった。
「きら、いじゃ」
無意識に出た否定に、こてんと首を傾げる蒼汰はあざとい。
「すき?」
「え、っと」
「嫌いじゃなきゃ、好きしかない」
「――人が混乱しているときにたたみかけるの、ずるい!」
「ちっ」
ずいっと顔が近づいて窓際に追い込まれた白雪は、寸前のところで叫んだ。もう少しだったのに、と舌打ちをした蒼汰に白雪は唇を噛みしめた。頭の中で悪魔が「もう流されてもいいんじゃない」と囁く。
「さーて。俺たちは退散しようか、香奈恵ちゃん。こんなところにいたら砂糖漬けにされるよ」
「そうだね」
「いやいやいやいやまっまっまって!」
椅子から立ち上がり、鞄を持ち上げ始めた彩音と香奈恵に警告音が鳴り響く。ここで帰してしまえば蒼汰と二人っきりだ。そうしたら逃れる術は完全に消え失せる。
必死に縋りつこうと身を乗り出したが、蒼汰に阻まれる。ぐっと肩を捕まれた。じたばたと暴れたが到底勝てるはずもなく。
「早く答えねぇと――になるぞ」
「なんて! なんて言ったの! いややっぱ教えなくていい、怖いから!」
恐ろしい言葉を投げられた予感に、体が勝手に拒絶した。
ぎゃあぎゃあと騒がしい白雪を一瞥したのんびり二人組は、そっと教室を出て行く。
うふふと和やかに退出するのを最後まで恨めしく見つめていたが、最後まで彼らは振り返らなかった。白状だと泣けば、蒼汰が鼻を鳴らした。小馬鹿にされた気がする。
蒼汰の腕が自然と白雪を抱きしめる。いやな気持ちが沸いてこず、あふれるは春の日差しのような暖かさ。警戒が、解けていくのは誤魔化しようがない。自分の気持ちなど、とうの昔に決まっているのだ。一歩踏み出すのを躊躇っているだけ。
「なぁ髪飾りつけて、俺の言葉に反応してくれるって期待してもいーんだよな?」
その通りだ。蒼汰でなければ物を貰っても、身につけない。大切に思わない。白雪の態度は火を見るより明らかだ。
「……あ、の」
ぎゅ、と彼の服をつかむ。かすれてみっともない、逃げ腰の声だ。蒼汰は白雪の頭を撫でる、まるで幼子を宥めるような、ゆったりとした動作だ。
「あした、へんじ、するから、まって」
一歩踏み出さず足を引っ込めた。作った逃げ道に、蒼汰も白雪も黙る。静寂が数秒続いて、白雪の顎に彼の手が、そっと添えられる。くいっと上を向かされる。
慈愛に満ちた優しい笑みを浮かべる蒼汰と目が合う。
そして。
「待てない」
慈母の顔とは似合わない無慈悲な宣告。待つわけねぇだろ、と副音声が聞こえたのは気のせいではないだろう。白雪は諦念に達して、遠い目になった。
「で、こたえは?」
「わかってるのに、言わすのは、意地悪」
「聞きてぇんだよ。好きな女の言葉だから」
俺はお前が、好きだ。
恥ずかしげもなく、はっきりと好意を捧げる。白雪は、そっと金平糖のような甘い言葉を口の中で転がして噛みしめる。飲み込んで体に浸透させた。
白雪はそのまま甘さに溺れたかったが、臆病な部分が囁く。それはずっと心の底で重くたまっていた疑問。なぜ。
「なんで、私が好きなの?」
「俺にとって正しいから」
悩む素振りなど一切ない。今適当に見繕った答えではないのだろう。しかし納得するかは別である、正しいからとは。正しさなど白雪には無縁のものだ。
思わず怪訝に見つめ返せば蒼汰は小首をかしげる。不思議そうな顔だ、白雪が戸惑う理由がわかっていないらしい。
「もし、もしあなたが好きな私……正しくなくなったら?」
ふと。ポツリとこぼしたのは、最後の逃げ道だ。そのときなど、聞かなくともわかる。世間でいう破局の。
「――ならねぇ、させねぇよ」
俺がいるかぎり、正しく生きさせる。
ほんの一瞬、彼の瞳がかげった。だが蜜のような甘い笑みで覆い隠される。白雪は逡巡のち「そう」とだけ答える。
なら、いい。捨てられないのなら、見捨てられないのなら。正してそばにいてくれるならば、怖くない。蒼汰という居場所が、離れないと約束してくれるのなら、白雪の悩みは全て杞憂である。
白雪は、深呼吸をひとつ。緊張から目に薄い膜が張る。それでも目線を外さないまま、抱え込んで逃げ場所を失った気持ちを吐露した。
「すき。わたしも、すきだよ。貴方が私を捨てないかぎり」
存外、蜂蜜のような声だった。透き通るように響き、甘い音色をたてる。蒼汰が何故か驚いたように、ぎしりと固まって目を見開いた。そのまま、すっと窓へと逃げた。
「……ん」
「い、言うように迫っておいて、その反応はひどい!」
「ちがう」
ぽすんと彼の顔が白雪の首筋に埋められる。すり寄って、淡藤の髪がくすぐる。びくりと体を揺らせば、はぁ、と熱く重いため息をついた。しみじみ感じ入るように、耳元で吐息まじりに囁いた。
「今直視したら食っちまいそう」
「ヒェ……」
生まれて恋人など存在しない白雪でもわかる。食べるというのが、頭からバリバリ咀嚼するのとは異なる意味だ。男女の、濡れる夜を指すのだろ。いや、もしかしたら本気で食べ……いやありえない。
羞恥と僅かな恐怖にとらわれて白雪は、わたわたと慌てる。どうにか話を修正したいが、コミュニケーションが苦手な白雪ではどうにもならない。
蒼汰が、少しだけ顔を上げて、子犬の顔で。
「いい?」
いいわけあるまい。
どれだけ可愛らしさを演出されようと、言っているのは愛らしさとはかけ離れている。獲物を狙う鋭く、ぎらぎらとした眼差しは隠しきれていない。
「はぁ……なんで学校なんだろ。いやまぁ家だったら迷わず理性とか捨てただろうし。大事にしてぇからよかったのか」
「聞こえない聞こえない聞こえない!」
「ん。かわいい、俺も好き。って言った」
「違うじゃん」
「聞こえてんじゃん。あーぁ嘘つかれて悲しい。慰めて」
前から思っていたが、彼は案外強かだ。周りには容赦しない威圧感を与えるが、白雪には小動物を連想させる甘え方をする。特に、この前吹っ切れたあたりから顕著になる。
白雪はこれに弱い。それを知っての行動だろう。
「だめ?」
にっこりと笑って、額を合わせる。睫すら触れそうな距離に、白雪はふるふると震えてから吠えた。
「――たちがわるい!」
「はいはい、ほら」
くちとじて。
吐息が唇にあたり、渋々を装って目を閉じた。ふに、と柔らかい感触に唇を重なった。
そのあと小さく「がぉ」と肉食獣の鳴き真似した彼は、子犬の皮を脱いで、かぶりと噛みつくようなキスをした。
不良くんは一途に愛してる! 〈完〉
――――――――――――――――――――
あとがきのようなもの。
何年前かに不良くんとの恋愛を描きたいという、それだけの思いから広げた物語。
純愛だけのダークさをかき消した作品を、と書いてみたのですが、やはり私の色が乗ってしまい、ちょっぴりダークをのせてました。
雨の靴から不良くん、これだけ見ると青春恋愛が好きなんだろうなと勘違いされてしまいそうですが、中身見ると青春からズレたところがあるのがまた自分の趣味に走ったのが分かり恥ずかしい限りです。ちゃんとテーマ通りにしろ。
不良くんはしっかりと甘さのあるエンディングを迎えました。書ききれなかったお話(不良くんと母親の未来)(不良母と主人公の対決)などあるのですが、綺麗に終わらせられて良かったです。
不良くんにはまだまだ抱えている闇があるのですが、白雪となら解決できるし不良くん自身、達観してる部分があるのでけっして不幸な結末には行かないはずです。彼らの未来を応援していただけたら幸いです。
エンディングに闇の気配を感じたとしても、ハッピ~になるので安心(?)してください。
ちなみに白雪は肌が白いだけで平凡な見た目で、リボンも親の趣味です。リボン可愛いねって言われるたび、繊細な彼女は喜びとは別の何かを抱いてました。
今はもうリボンどころか適当に黒いヘアゴムを使い、後ろで一つに纏めて結んでるだけですってことも本編で書きたかったなァ!(後悔)
さて長くなりましが、あとがきみたいになったノートです。これにて閉幕。いつもハートや星、コメントをいただいて嬉しかったです!本当にありがとうございました!
次回作の
「死華は鳥籠の月を射堕す ~ヤンデレに拾われた私は、偏愛の檻に閉じ込められる~」
こちらは私の趣味が50%ぐらい反映されているため、ダークよりです。恋愛も一筋縄ではいかないものになっております。
何故か命を狙われ、殺してでも生きようと足掻く少女と、裏社会で咲く美しい大輪の華のような男の話です。ヤンデレっぽさが感じられないかもしれませんが、最後まで読むと恐ろしい男というのが感じられるはずです。
何故命を狙われるのか、何故殺してまで生きたいのか。
男は何故主人公に入れ込むのか、様々な謎がありますが結構あからさまなので、ミステリー風味程度に思っていただけると幸いです。
次回作でもよろしくお願いします。
白雪は香奈恵が孤立したのではと不安だったが、彩音と蒼汰とうまく付き合っているようだ。少々不安が残るものの本人が「蒼汰くんはかわいいし、彩音くんは怖いけど楽しいよ」と喜んでいるので口だしは無用だろう。蒼汰と彩音の感想は逆ではないか、とは言いたかったが。
白雪は相変わらず別室教室通いだ。そうそう勇気が出る話でもなく。数学教師からは冷たい視線を投げられる。だがそれでも逃げられる場所と助けてくれる味方がいると人は、ずいぶんと楽になれるのだと最近知った。
「白雪ちゃん、今日はねクッキーを作ってきたの」
「……一応、お菓子持ち込みは禁止だから。こそっとしようね」
昼休み。孤独になるための空き教室は、常連の四人が集まっていた。
白雪は紙コップに紅茶を注ぎ、机を囲む人間の前へと置く。ふわりと白い湯気とかぐわしい香りが漂った。雪がちらつく今日は温かい飲み物がいい。
「はい、白雪ちゃん」
「……香奈恵さーん、ちょっとこいつに近すぎねぇ?」
「そんなことないよ。女の子友達は普通だよ。あーんだって普通。嫉妬しているの?」
「してるわ。めちゃくちゃしてるから離れろ」
「いやだよ。男の嫉妬は醜いよ」
「こいつ、どんどんふてぶてしくなりやがって。彩音に似てきたんじゃねーの」
香奈恵はいそいそと鞄から取り出す。きつね色に焼かれたクッキーは星やハートと多彩な形にくり抜かれている。お店で販売されているものと遜色ない、美味しそうな菓子だ。大量だが意外と大食いの彩音の腹にほぼ収まるだろう。
白雪の隣。頬杖をついて不満げに香奈恵を睨む蒼汰は、クッキーを頬張った。ハートが真ん中でぱきんと折れる。白い八重歯がかみ砕くのを見届けてから白雪もつまんだ。
彩音は眠たげな顔で欠伸しつつ、クッキーを頬張る。既に五枚目、早業である。
「それで、蒼汰は告白したんだよね。恋人になれた?」
「彩音、どう見える?」
「はは、フラれた? 失恋おめでとう慰め会する?」
「半笑いで言うんじゃねぇ」
彩音のからかい混じりの言葉に蒼汰が噛みついた。すでに彩音は十枚目に突入している、おそろしく食べるペースが速い。吸引力がすごい。
「かわいそうに。ちなみに……蒼汰くぅん。彩音ぇ、今ぁフリーなんだけどぉ、どぉ?」
「きっっっっしょ」
彩音のふざけた猫なで声ですり寄れば、がるると唸りそうな様子で吐き捨てた。じゃれ合うのは仲良い証拠だろう。
白雪は、二人の会話から目をそらして窓の外へと向ける。曇天から白い砂糖のような雪がふわふわと降り続けており、このままいくと積もるだろうと予想できた。新雪の上を歩くのは好きだが寒すぎるのは困る。今から帰り道が憂鬱だ。
そう現実逃避する。
白雪の前で、今の会話はデリカシーに欠けている。可能ならば別の場所で繰り広げてほしい。切に願うが彼らに届くはずもなく。
蒼汰がむすっと口を開いた。
何を話そうと白雪は我関せずを貫こうと心に誓った。
「大体なぁお前と白雪は比べ物になんねえよ。白雪は他人を思いやる優しさがある。我慢するのは駄目だが、俺だけには甘えてくれんのは可愛い。いい子ちゃんになりたくないとかむくれるけど、無意識に人を助けてたり、落とし物を届けたり、電車を乗り継いでまで持ってきてくれたり。馬鹿だけど健気でかわいい。つーかそもそも可愛いの権化、顔も性格も完璧。知ってるか上目遣い、涙目コンボがやばいんだ。いやおまえが知ってたら殴って忘れさすわ。あとな白雪って」
「まってまってまってまってまって想像の五倍以上の情報量」
誓いはすぐさま破った。
とんでもない早口で繰り出された内容に目が回るが、彼の口を塞ぐのが優先だ。砂糖など生ぬるい。蜂蜜に砂糖と生クリームなど、この世界の甘いものを全てミックスしたような、くどすぎる言葉の数々。胸焼けどころではない。
なんてことを、友達の前で喋ってくれてやがるのだ。
蒼汰は怪訝そうな顔でクッキーを咀嚼する。誰のせいだと思っているのだろうか。
確かに告白まがいを流している。しかし決してはっきり伝えられたわけではない。いや公言したが、白雪に向かってではない。それで返事を求められても困るのが本音だ。
蒼汰が白雪をすき――噂が嘘だと逃げるつもりはないが、この状況に悩んでいるのは白雪も同じであった。せめてよくある告白みたいなことがあれば返事がしやすいが、完全にタイミングを逃した。……自分から言う勇気が必要なのか。
紅茶を両手で包み口をつける。砂糖のほどよい甘さと紅茶の優しい味。温かさで胃の中に流して、ほっと息をついた。蒼汰の痛いほどの視線を感じつつ目を閉じる。
二人の様子を見比べていた彩音が、ぽつりと。あきれたように呟いた。
「じれったい。そろそろ付き合えば? イライラする」
「おーおーもっと言ってやってくれ。明らかな態度なくせに逃げるの。小悪魔じゃん。男を手のひらで転がすとか……男慣れしてる? は? 元カレ? 殺すわ」
「急にバーサーカーになるじゃん。嫉妬心がつよ」
「俺だけのものでいい」
おどろおどろしい声音に思わず白雪は悲鳴のような鳴き声のような声を上げた。かたかた震えて、紅茶をこぼしそうになる。そっと机に置いてから瞼をあげた。じりじりと焦るような気持ちを誤魔化すためクッキーを食べた。さくさくして美味しい。
「なぁ俺のこと嫌い?」
獰猛な獣の威圧感は消え失せて、子犬になった蒼汰は白雪を下からのぞき込んだ。下がり眉で悲しげな瞳。つい最近、彼はこの表情を作るようになった。あんな顔を自然とするような殊勝な人間ではないのだよ、と彩音に教えられた。
するりと手を伸びて、白雪の頬を撫でる。指の腹が目の下を往復する仕草、じわりと広がる、微かな彼の体温に、冷静さが消えて常夏のような暑さを感じる。思考がまとまらず、白くかすんでいった。
「きら、いじゃ」
無意識に出た否定に、こてんと首を傾げる蒼汰はあざとい。
「すき?」
「え、っと」
「嫌いじゃなきゃ、好きしかない」
「――人が混乱しているときにたたみかけるの、ずるい!」
「ちっ」
ずいっと顔が近づいて窓際に追い込まれた白雪は、寸前のところで叫んだ。もう少しだったのに、と舌打ちをした蒼汰に白雪は唇を噛みしめた。頭の中で悪魔が「もう流されてもいいんじゃない」と囁く。
「さーて。俺たちは退散しようか、香奈恵ちゃん。こんなところにいたら砂糖漬けにされるよ」
「そうだね」
「いやいやいやいやまっまっまって!」
椅子から立ち上がり、鞄を持ち上げ始めた彩音と香奈恵に警告音が鳴り響く。ここで帰してしまえば蒼汰と二人っきりだ。そうしたら逃れる術は完全に消え失せる。
必死に縋りつこうと身を乗り出したが、蒼汰に阻まれる。ぐっと肩を捕まれた。じたばたと暴れたが到底勝てるはずもなく。
「早く答えねぇと――になるぞ」
「なんて! なんて言ったの! いややっぱ教えなくていい、怖いから!」
恐ろしい言葉を投げられた予感に、体が勝手に拒絶した。
ぎゃあぎゃあと騒がしい白雪を一瞥したのんびり二人組は、そっと教室を出て行く。
うふふと和やかに退出するのを最後まで恨めしく見つめていたが、最後まで彼らは振り返らなかった。白状だと泣けば、蒼汰が鼻を鳴らした。小馬鹿にされた気がする。
蒼汰の腕が自然と白雪を抱きしめる。いやな気持ちが沸いてこず、あふれるは春の日差しのような暖かさ。警戒が、解けていくのは誤魔化しようがない。自分の気持ちなど、とうの昔に決まっているのだ。一歩踏み出すのを躊躇っているだけ。
「なぁ髪飾りつけて、俺の言葉に反応してくれるって期待してもいーんだよな?」
その通りだ。蒼汰でなければ物を貰っても、身につけない。大切に思わない。白雪の態度は火を見るより明らかだ。
「……あ、の」
ぎゅ、と彼の服をつかむ。かすれてみっともない、逃げ腰の声だ。蒼汰は白雪の頭を撫でる、まるで幼子を宥めるような、ゆったりとした動作だ。
「あした、へんじ、するから、まって」
一歩踏み出さず足を引っ込めた。作った逃げ道に、蒼汰も白雪も黙る。静寂が数秒続いて、白雪の顎に彼の手が、そっと添えられる。くいっと上を向かされる。
慈愛に満ちた優しい笑みを浮かべる蒼汰と目が合う。
そして。
「待てない」
慈母の顔とは似合わない無慈悲な宣告。待つわけねぇだろ、と副音声が聞こえたのは気のせいではないだろう。白雪は諦念に達して、遠い目になった。
「で、こたえは?」
「わかってるのに、言わすのは、意地悪」
「聞きてぇんだよ。好きな女の言葉だから」
俺はお前が、好きだ。
恥ずかしげもなく、はっきりと好意を捧げる。白雪は、そっと金平糖のような甘い言葉を口の中で転がして噛みしめる。飲み込んで体に浸透させた。
白雪はそのまま甘さに溺れたかったが、臆病な部分が囁く。それはずっと心の底で重くたまっていた疑問。なぜ。
「なんで、私が好きなの?」
「俺にとって正しいから」
悩む素振りなど一切ない。今適当に見繕った答えではないのだろう。しかし納得するかは別である、正しいからとは。正しさなど白雪には無縁のものだ。
思わず怪訝に見つめ返せば蒼汰は小首をかしげる。不思議そうな顔だ、白雪が戸惑う理由がわかっていないらしい。
「もし、もしあなたが好きな私……正しくなくなったら?」
ふと。ポツリとこぼしたのは、最後の逃げ道だ。そのときなど、聞かなくともわかる。世間でいう破局の。
「――ならねぇ、させねぇよ」
俺がいるかぎり、正しく生きさせる。
ほんの一瞬、彼の瞳がかげった。だが蜜のような甘い笑みで覆い隠される。白雪は逡巡のち「そう」とだけ答える。
なら、いい。捨てられないのなら、見捨てられないのなら。正してそばにいてくれるならば、怖くない。蒼汰という居場所が、離れないと約束してくれるのなら、白雪の悩みは全て杞憂である。
白雪は、深呼吸をひとつ。緊張から目に薄い膜が張る。それでも目線を外さないまま、抱え込んで逃げ場所を失った気持ちを吐露した。
「すき。わたしも、すきだよ。貴方が私を捨てないかぎり」
存外、蜂蜜のような声だった。透き通るように響き、甘い音色をたてる。蒼汰が何故か驚いたように、ぎしりと固まって目を見開いた。そのまま、すっと窓へと逃げた。
「……ん」
「い、言うように迫っておいて、その反応はひどい!」
「ちがう」
ぽすんと彼の顔が白雪の首筋に埋められる。すり寄って、淡藤の髪がくすぐる。びくりと体を揺らせば、はぁ、と熱く重いため息をついた。しみじみ感じ入るように、耳元で吐息まじりに囁いた。
「今直視したら食っちまいそう」
「ヒェ……」
生まれて恋人など存在しない白雪でもわかる。食べるというのが、頭からバリバリ咀嚼するのとは異なる意味だ。男女の、濡れる夜を指すのだろ。いや、もしかしたら本気で食べ……いやありえない。
羞恥と僅かな恐怖にとらわれて白雪は、わたわたと慌てる。どうにか話を修正したいが、コミュニケーションが苦手な白雪ではどうにもならない。
蒼汰が、少しだけ顔を上げて、子犬の顔で。
「いい?」
いいわけあるまい。
どれだけ可愛らしさを演出されようと、言っているのは愛らしさとはかけ離れている。獲物を狙う鋭く、ぎらぎらとした眼差しは隠しきれていない。
「はぁ……なんで学校なんだろ。いやまぁ家だったら迷わず理性とか捨てただろうし。大事にしてぇからよかったのか」
「聞こえない聞こえない聞こえない!」
「ん。かわいい、俺も好き。って言った」
「違うじゃん」
「聞こえてんじゃん。あーぁ嘘つかれて悲しい。慰めて」
前から思っていたが、彼は案外強かだ。周りには容赦しない威圧感を与えるが、白雪には小動物を連想させる甘え方をする。特に、この前吹っ切れたあたりから顕著になる。
白雪はこれに弱い。それを知っての行動だろう。
「だめ?」
にっこりと笑って、額を合わせる。睫すら触れそうな距離に、白雪はふるふると震えてから吠えた。
「――たちがわるい!」
「はいはい、ほら」
くちとじて。
吐息が唇にあたり、渋々を装って目を閉じた。ふに、と柔らかい感触に唇を重なった。
そのあと小さく「がぉ」と肉食獣の鳴き真似した彼は、子犬の皮を脱いで、かぶりと噛みつくようなキスをした。
不良くんは一途に愛してる! 〈完〉
――――――――――――――――――――
あとがきのようなもの。
何年前かに不良くんとの恋愛を描きたいという、それだけの思いから広げた物語。
純愛だけのダークさをかき消した作品を、と書いてみたのですが、やはり私の色が乗ってしまい、ちょっぴりダークをのせてました。
雨の靴から不良くん、これだけ見ると青春恋愛が好きなんだろうなと勘違いされてしまいそうですが、中身見ると青春からズレたところがあるのがまた自分の趣味に走ったのが分かり恥ずかしい限りです。ちゃんとテーマ通りにしろ。
不良くんはしっかりと甘さのあるエンディングを迎えました。書ききれなかったお話(不良くんと母親の未来)(不良母と主人公の対決)などあるのですが、綺麗に終わらせられて良かったです。
不良くんにはまだまだ抱えている闇があるのですが、白雪となら解決できるし不良くん自身、達観してる部分があるのでけっして不幸な結末には行かないはずです。彼らの未来を応援していただけたら幸いです。
エンディングに闇の気配を感じたとしても、ハッピ~になるので安心(?)してください。
ちなみに白雪は肌が白いだけで平凡な見た目で、リボンも親の趣味です。リボン可愛いねって言われるたび、繊細な彼女は喜びとは別の何かを抱いてました。
今はもうリボンどころか適当に黒いヘアゴムを使い、後ろで一つに纏めて結んでるだけですってことも本編で書きたかったなァ!(後悔)
さて長くなりましが、あとがきみたいになったノートです。これにて閉幕。いつもハートや星、コメントをいただいて嬉しかったです!本当にありがとうございました!
次回作の
「死華は鳥籠の月を射堕す ~ヤンデレに拾われた私は、偏愛の檻に閉じ込められる~」
こちらは私の趣味が50%ぐらい反映されているため、ダークよりです。恋愛も一筋縄ではいかないものになっております。
何故か命を狙われ、殺してでも生きようと足掻く少女と、裏社会で咲く美しい大輪の華のような男の話です。ヤンデレっぽさが感じられないかもしれませんが、最後まで読むと恐ろしい男というのが感じられるはずです。
何故命を狙われるのか、何故殺してまで生きたいのか。
男は何故主人公に入れ込むのか、様々な謎がありますが結構あからさまなので、ミステリー風味程度に思っていただけると幸いです。
次回作でもよろしくお願いします。
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