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心の行く末

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「んで。どうしてふたりともくっついてくるんですか」呆れた様子で、片腕に一人づつ絡みつく女性たちを見やる。
「それは、処女ちゃんに言ってくれる?私が佳也くんと普通にデートしようと思ったらついてきたんだから」
「だって、お兄ちゃんが悪いおばさんにたぶらかされないように監視しないと」女達が息巻く。
「恥ずかしいんだけど、くっつくのはやめてくれないかな」
「うるさい!」女達の声がハモる。
あまりの声量に周りの患者たちが驚いて佳也たち3人を見る。
「病院なんだから、静かにね」と通りすがりの看護師が3人を諭す。
佳也は恐縮し会釈するもののその両腕にぶら下がる彼女たちは、お構いなしに喧嘩を続けた。
「おばさんが邪魔するから、お兄ちゃんが怒られたでしょ!」
「あーら、処女ちゃんがうるさいからでしょ」
「ちがいますぅ!お兄ちゃんにちゃんとたくさんしてもらいましたぁ!!!」
「どう見ても処女にしか見えないわよ、ねんねちゃん」
「うっさい、おばはん!」
と、3人の前に、年長の看護師長が怒りの形相で立ちはだかった。
「すみません……」3人の声が揃った。

オーナーは頭をかきながらいった。
「いやぁ、こんなきれいなお嬢さんたちにお見舞いに来てもらえるなんて光栄だなぁ」
「オーナー鼻の下が伸びてますよ」佳也が小声で突っ込む。
「で、どっちが佳也くんの彼女なの」女性たちは一斉に手を挙げる。
「好未です!」
「私よ!」
オーナーは吹き出した。
「大モテだね、佳也くん」
ふとオーナーは真剣な顔をすると、
「渡した鍵、今持ってるかい?佳也くん」
「あ、これ、お返しします」ジャケットのポケットに入れていた鍵束をオーナーへ返した。
「……もしかして、あの、部屋のこと知っちゃったかな?」佳也と千晶が思わず顔を見合わせて頬を赤らめる。
「すみません。ちょっと成り行きで」
「いや、いいんだ。あの部屋はね、そういうことに使う部屋じゃなかったんだけど」オーナーはフフと笑った。
「昔、店を立ち上げたときに、忙しすぎて家に帰れなかった。そんなときに仮眠室として作ったんだよね。そしたら、営業さんに怒られてさ。そのままにしてたってわけなんだよ。だから鍵をつけっぱなしにしてたことも忘れてた」
「そうだったんですね。ほんとすみません」佳也は再三頭を下げる。
「いいから、いいから、俺の不注意だし。誰にも言わないでくれたらそれでいいから」とオーナーは人好きのする笑みを浮かべた。

「良かったわね。あまり怒られなくて」場所は変わって、オーナーが入院している病院から直線距離で5km。T市東地区にあるシネコンが入る大きなショッピングモールのフードコート。3人はハンバーガーセットを食している。
「そうですね。ってか、なんでわかっちゃったんだろう」
「佳也くん、エッチだから顔に出てたんでしょ、はい、あ~ん」ポテトを佳也の顔の前に千晶は差し出した。
「確かにお兄ちゃんはエッチだよね、好未のもたべて、あ~ん」好未も斜め向こうの佳也にポテトを差し出した。
「邪魔しないでよ、佳也くんは私のポテトを食べるんだから」
「ちがいますぅ!好未から食べたほうが美味しいよね!お兄ちゃん」
「ポテトは同じポテトなんだからそんなにくれなくてもいいから」
「私から食べたほうが美味しいはずよ!」
「好未から、食べたほうが絶対絶対美味しいんだから」
張り合って好未も更に差し出す。
女達は向かいの席に座っている。それぞれに襟ぐりの深い洋服を着ているため、胸元が見えて目線に困る。
「まぁ、とりあえず、自分のは自分で食べるから」
「だめぇ!」女達の声が、また揃う。

ショッピングモール。2階通路を伸びかけの髪を掻き上げながら深くため息をつく。
「なんで、私ったら」音緒は胸のつかえが取れない、今の想いはかき消したほうがいいとわかっているのに無理なのだ。
どうして、あのとき。酒に酔ってたとはいえ、コンビニ店員の彼とアナルセックスを店内でしてしまうなんて。
正気じゃない。正気なんてなかった。酒のせいだけにしてしまいたい。
じゃなきゃ、ありえない。あんなに乱れたセックスなんて。初めてあんなに感じたのは、本当に生まれてはじめてだった。
汚れたコンビニのトイレも気にならなかった。すべて、彼のものになってしまいたかった。
その前日に会社をクビになった。これからの生活をどうしようか考えなきゃならないのに。
思い描くのは、彼のことだった。
気分を変えるため、今日はウィンドウショッピングをしようとこのモールに来たのに。
どうしても、心は彼のことを考える。もう、何周したのかわからなかった。喉がからからになったので、フードコートにあるファストフードでドリンクを買おうと思いついた。時間は14時を少し回った時間だった。
学生かな。3人組の男女がぎゃーぎゃー言いながら、ハンバーガーセットを食べている。
「音緒さん?」3人組の中の男性が音緒の名を呼んで立ち上がった。
振り返るとあのときの彼が笑って手を振っていた。髪の長い女性とツインテールのロリータファッションの女性が音緒のことを睨んでいる。音緒は彼と親しげだった彼女らの視線と思い描いていた彼の笑顔を見て、つい逃げ出してしまった。
「ちょっとまって!」彼は、そのまま音緒を追いかけた。
音緒が落としたドリンクとトレイがそのまま、残されていた。

「音緒さん!」佳也は走っていく音緒をそのまま追いかけた。賑わうショッピングモールの通路は買い物客でごった返している。その人混みを音緒はすり抜けるように走っていく。追いかけても何故か音緒は止まってはくれない。音緒自身もわからないのだ。なぜ、彼から逃げるのか。1階へ降り、出入り口の自動ドアを抜ければ駐車場だ。だが、自動ドアの前で、長話をするおばさん達に阻まれた。音緒は別の出入り口からと振り返ったときに、息を切らした佳也が、追いついた。
「足、早いんですね」
「あ、あの……」音緒は佳也と同じように息を切らしていた。喉がカラカラで言葉が出てこなかった。
佳也は最敬礼するように90°以上に頭を下げた。
「音緒さん。俺、あのあと、あんなことしたあと謝ろうと思ってて。ほんと、ごめんなさい」
「あ、違うの」
「ずっと、お店に来てくれなかったから、俺とあんなふうになったの、すごく嫌だったのかと思って本当にすみませんでした」
「違う……よ……」音緒は困ったように首を傾げた。
「俺、酔ってるからってあんなふうに抱くのってなんか違うと思ってたのに、止まんなくて、本当にごめんなさい」
音緒は頭を下げ続ける佳也の肩に手を伸ばして、
「だから、違うって」といった。
「私こそ、あなたに悪い事したと思っていて。もし、許されるならと思っていたの」
「だって、俺がはじめたことだし」佳也は頭を上げて、音緒の顔を覗く。
「違うよ。私がしてほしかったんだもん。勝手に君のこと好きになって」
「お、俺だって、あなたの事ずっといいなって思ってて。だから、なんかわからなくなって。って。え?」
佳也は首を傾げて、音緒の瞳を見つめた。
「私、あなたの事好きだったから、ずっと。あんな事になれたの嬉しかった。だから、謝らないで」
佳也はおもわず、音緒を抱きしめてしまう。音緒は赤らめた頬のまま幸せそうに笑った。

「んもう!お兄ちゃんはどこにいったのよ!」突然の出来事に好未は怒り心頭だ。
音緒が落とした買ったばかりのドリンクは、清掃員を呼んで片付けてもらった。千晶は小さなため息をつくと、好未が佳也を追いかけていこうとするのを止めた。
「まぁ、まぁ。長く生きてればこういうことはあるわよ」
「こういうことって何よ。だって、あんなに愛し合ったのに!」
「どんなにエッチなことしても心が動くのって止められないのよねぇ」佳也がいたときには、好未とのバトルが忙しくて食べられなかったハンバーガーの包み紙を剥いて頬張る。
「食べてる場合じゃないよ!」
「いいから食べちゃいなさいよ。今日はどうする?家止まる?泣くならひとりじゃないほうがいいでしょ」
ぐっ。好未はこぼれようとする涙をこらえた。
「こんなとこで泣かないでよ」
「泣かないもん。泣いてないもん」
「今日はピザでも食べましょ。ちゃんと明日、送っていくから。好未ちゃん」千晶は好未の頭をツインテールが崩れないようにそっとなでた。

水面は風で波立っていた。カルデラ湖である支笏湖を見られる部屋に二人は通された。
「改めて、二人だけになるとなんだか恥ずかしいですね」佳也は頬をかきながら音緒から視線を外して笑った。
「そう……だね」入り口から少し離れた場所に立ち尽くす音緒が同意する。
意を決した佳也は音緒に近づき、その細い肩を抱きしめて口づけを落とした。
「音緒さん。俺、あなたの事が好きです。抱きしめていいですか?」
音緒は潤んだ瞳で佳也を見つめると静かに頷いた。
佳也は更に深く口づけると音緒の舌と強く絡めた。佳也の右手は音緒のスルリとした背中を撫でるとブラウスやスカートを剥がしにかかった。すべてを取り去ると体を離した。そして、艶めかしい音緒の裸体を観察した。
「佳也くん。恥ずかしい……」
「綺麗ですよ……音緒さん。すごく綺麗だ」
佳也は音緒の手を引くとベッドの上にそっと横たえさせた。
「佳也くん……寒い……よ。きて、温めて」
音緒はその細い腕を佳也に向けて伸ばした。佳也もまた、全てを脱ぎ去り音緒の横たわるベッドに浮かぶ。
佳也は音緒の額に口づけると段々とその唇を頬から耳、首筋へと落としていく。
「ふ……んんっ……」音緒もまた、感じやすい体質のようだ。優しい佳也の愛撫にとろけていく。
首筋からウエストへ臍から太ももへわざと『感じやすい』部分を避けて愛していく。柔らかく強くキスをし撫で上げる。その度に音緒の体がふるふると震える。心地よさそうにため息が漏れる。だが、やはり一番心地いい所を触ってほしいというのは、女心だろう。
「佳也くん……お願い、おっぱいも気持ちよくして……」音緒はかすれた声で佳也にねだる。佳也は音緒の脚を軽く持ち上げると、
「こっちじゃないんですか」と言いながら左右に大きく開いた。夕暮れに近い明るさの中、音緒の秘所が蕩けているのがわかる。
とろりとした蜜が流れ出している。
「あっ、いやぁ」音緒は恥ずかしさのあまり、顔を背けた。
佳也は両手で掴んでいた音緒の脚をゆっくり下ろしてから蕩けた秘所に顔を近づけていった。
「すごく、すごくきれいです。音緒さんのオマンコ……食べたい……」口をつけると佳也は毛の目立たない秘所にたゆたう蜜を舌ですくい取り味わった。
「美味しい……そして、本当にいい匂いです……」
「いやぁ……、シャワー浴びてないのに……。んんぁぁあ!」音緒は佳也の舌が蜜を舐め取るたびに震えた。
じゅ……ずずっずずるるっ。いやらしい音を立てながら、佳也は音緒の膣の中まで舌を出し入れした。
音緒はいやいやをするように頭を左右に振りながら、言葉にならない声を上げる。
「ぁ、あふぅ、んやぁ、いいっん、あ、あああ。あっあっああああっ」
「声、大きいですよ、音緒さん」恥部から唇を離すと音緒の頭を掴んで深く深くキスをした。
音緒は佳也の背中に腕を回すとそのしなやかな足を絡めていく。佳也は柔らかくたゆたう乳房を両手でつよく揉みしだく。音緒はようやく届いた刺激に弓なりにしならせた。佳也の作る快楽に音緒のすべてが溶けていく。
佳也は再度、深いキスを何度もすると音緒の口元にイチモツを押し当てた。
音緒はけだるげに身を起こすと、唇を大きく開いて喉の奥まで一気に入れ込んだ。切っ先からはさらりとした先走り液が出てきているのを喉奥で味わっているようだ。じゅるりと大量の唾液とともに先走り液が混ざり合って心地いい。口いっぱいに頬張って頭ごと動かしてくれるその音緒の一所懸命さが佳也の快感になる。
「気持ちいいです。音緒さん」音緒は嬉しそうに佳也を見上げると、再度激しくフェラチオを開始した。
「んじゅぅ、んぐっ、ふはっじゅるっじゅるる、ずずっ」
完全に立ち上がった佳也のペニスは、根本までしっかり音緒の唇の中に収められている。そこから、音緒の薄い唇が先まできつく締め上げてくる。そこに柔らかく長い舌が根本から巻き付いてくる。激しく複雑な快楽が射精欲求を掠め取っていく。
「だめです。音緒さん、俺、逝っちゃいますよ」
「ふぐ、ん、だひてぇ、口の中に頂戴」
潤んだ瞳に見つめられては、男として我慢できるはずもない。口いっぱいに白濁液が発射された。
音緒はその液体をしっかりと飲み込み、残液も吸い取った。
気だるい感じが佳也を襲うが、未だ音緒の膣内を味わっていない。先程舌を差し入れ実質的に味わったときには、狭くてキツイような感覚はあった。それをペニスで味わえることになる。再度欲望が高まってくる。とろりといやらしい肢体をベッドに投げ出している音緒の唇に強くキスをした。音緒は嬉しそうに佳也の唇を受け入れる。
佳也は音緒の唇から身を離すとその細い脚を目いっぱいに開かせ、その中心点にペニスの切っ先をあてがってから音緒の瞳を覗く。
「うん……入れて……お願い」音緒は蕩けた表情で佳也にねだった。
佳也の亀頭は、たゆたう膣液の中に入り込んで子宮口にぶち当たった。
「音緒さんの、中……キツくて気持ちいい……」亀頭に当たる子宮口のコリコリした感触と膣壁の狭さ、温もりを楽しんだ佳也は、もう一度心からのキスを交わす。
腰をゆっくりと動かすと音緒が眉を寄せてリズムに合わせるように啼き始めた。
「あぁっ!あ、ああ!ああ、んっ!っんん!んあっ」
「気持ち、いいですよ、音緒さん!」自然と二人の波長があっていく。そして、音緒の脚が佳也の腰に絡みつく。
「ああ、溶けそうだ」
ぎゅぷっ、ぬぷっ。ぬぷっんぷ。ぬぷっ。
音緒の喘ぎ声の中、佳也のペニスが膣の中をこする音が部屋中にあふれる。
「ぁぁぁあ!気持ちいいのぉ!佳也くんのおちんちん!」
びくんびくんと跳ね上がる音緒の体は、まるでシーツを泳ぐ魚のようだ。
その美しい音緒の肢体を観たくなった佳也は、快楽に溺れた音緒を四つん這いにさせると、双丘の真ん中にペニスを入れ込んだ。
「こっちも好きでしょ?」
「あぁんっ!佳也くんのおちんちん深いところまであたってるのぉ!!!!」
両乳房を派手に震わせて、何度目かわからない絶頂に上り詰める音緒。
佳也が腰を振ると、その快楽の中に沈んでいく音緒の両肩も実際にシーツに沈んでいく。
「ちゃんと手をついててくださいよ」佳也は、少し体位を変えることにした。
音緒の左腕を自分の肩に回させる。そうしてまたキスを交わした。
「や、このカッコちょっと恥ずかしい……」
「きれいですよ、音緒さん」
膣内から抜けないように気をつけながら刺激する。
「んぁっ!変なとこに……あたって、いいっ!!!」
「どう、気持ちいいの?」
「ぁあ、んっ。変な気持ちになちゃいそう……。こ、これ以上はだめぇ」
ペニスの先が中っている場所はいわゆるGスポットと呼ばれるところなのだろう。ペニスを取り囲む愛液が更に粘性を増した。
「いっ、佳……也くんっ……だ、だめっ、もぉ!だめぇ……」
女性は何度も逝くことができる。だが、一層深い逝きには、手順がある。
何度も何度もエクスタシーを感じさせた上で、適切な快楽を再度、いや、何度でも与えてやることだ。
「く、ぐぁ……い゛ぁ、んぁ゛い゛」音緒の喘ぎ声が言葉にならなくなっていく。
佳也は動きを早めたりせず、一定のペースを続けた。
「い゛ぐっ」音緒は強いエクスタシーに全身をはねさせた。
音緒の膣の痙攣するような喜びに、佳也は精液を弾けさせた。
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