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ジョナスとの出会い
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初めての遠征以来、ジョナスとヤソックは第二騎士団で二人しかいない魔法使いということもあり様々な場面で一緒に行動することが多くなっていた。
優秀な魔法使いに対して嫌なイメージしか持ち合わせていなかったジョナスであったが、温厚で誰にでも親切なヤソックと接する度に、ほんの一部の人間を知っているというだけで自分が如何に視野の狭い人間だったかを知ることとなり深く反省させられた。
良く考えてみれば、ここ最近会っていなかったけれど、彼女の学生時代からの友人は第一騎士団で魔法騎士をやっていたのだった。
そんな彼に、ジョナスはこの日、久々に会うことができた。
「ジョナス、これは無理だよ。そんなに大きな水の玉では僕の風の刃が入っていけない。もっと小さいのをたくさん作ってみてくれるかい?」
その日、ジョナスとヤソックは水と風を連係させた攻撃魔法の練習に励んでいた。
魔法騎士専用の訓練場は、第一騎士団の建物内にしかない。その為、二人は朝からこの場所で魔法の練習をしていた。
この日は第一騎士団も内勤の者が多かったようで、何人もの魔法騎士が入れ替わり立ち代わり練習場を訪れていた。
その中にジョナスの友人も入っていたのだ。
「おっ、ジョナス!」
ヤソックと二人で難しい顔をしながら首を捻っていると、久々に聞く友人の声にジョナスは顔を上げた。
「ん? スカイ!?」
「おいジョナス、久しぶりだなー。元気だったか? 同じ騎士団所属でも第一と第二だとこうも会えないものなんだな」
「スカイー、本当に久しぶりね。会えて嬉しいわ! あなたも元気そうで良かった」
久々の再会を喜ぶ二人の話は尽きない。普段自分には見せない安心しきったジョナスの笑顔をヤソックは微笑ましく眺めていたけれど、その心の中は胸を掻きむしりたくなるほどの嫉妬が渦巻いていた。
それは・・・彼女の夫であるロステルに向ける嫉妬とはまた違う、もっと深くドロドロとした暗い感情であった。
(こうやって嫉妬の渦に呑まれるのは、もう何度目のことだろうな・・・)
楽しげに笑い合う二人を見つめながら、ヤソックは学園に通っていた頃を思い出していた。
当時のヤソックは、自分では扱いきれないほどの膨大な魔力を持て余していた。
それは、何をやっても卒なくこなすヤソックが唯一直面した大きな難題でもあった。抑えきれない魔力は、時に暴走して周囲に大きな被害を出してしまう。学園での授業を中断させてしまうこともよくあり、そんな彼に担任の教師は特別授業を勧めてきたのだった。
いくら努力しても上手く使いこなせない自分の魔力に日々苛立ちを募らせていた彼は、教師のその言葉すらも馬鹿にされているようで腹立たしく感じた。
数日後、ヤソックが特別授業の教室に入ると、そこには女生徒が壁際にぽつんと一人で立っていた。
こちらに気づくなりにっこり微笑んだ彼女が、現在自分の目の前にいるジョナスだったのだ。
とりあえず教室に机を並べて特別授業を受けてはみたが、そこで学んだことと言えば魔力量には個人差があり、コツを掴むためには日々の訓練あるのみという何の解決にもならない話だった。結局のところ・・・慣れろと言うわけだ。
他の方法はないのかと詰め寄るヤソックに、担当の教師は真顔で言った。
『それが分かれば誰も苦労しない』
皆、苦労してコントロールできるようになった。大丈夫だ、お前も頑張れ。
怒りで顔を歪めたヤソックが、もっとコツのようなものを教えてくれと言い募ったが、教師はやる気のない目をチラリと向けただけだった。
優秀な魔法使いに対して嫌なイメージしか持ち合わせていなかったジョナスであったが、温厚で誰にでも親切なヤソックと接する度に、ほんの一部の人間を知っているというだけで自分が如何に視野の狭い人間だったかを知ることとなり深く反省させられた。
良く考えてみれば、ここ最近会っていなかったけれど、彼女の学生時代からの友人は第一騎士団で魔法騎士をやっていたのだった。
そんな彼に、ジョナスはこの日、久々に会うことができた。
「ジョナス、これは無理だよ。そんなに大きな水の玉では僕の風の刃が入っていけない。もっと小さいのをたくさん作ってみてくれるかい?」
その日、ジョナスとヤソックは水と風を連係させた攻撃魔法の練習に励んでいた。
魔法騎士専用の訓練場は、第一騎士団の建物内にしかない。その為、二人は朝からこの場所で魔法の練習をしていた。
この日は第一騎士団も内勤の者が多かったようで、何人もの魔法騎士が入れ替わり立ち代わり練習場を訪れていた。
その中にジョナスの友人も入っていたのだ。
「おっ、ジョナス!」
ヤソックと二人で難しい顔をしながら首を捻っていると、久々に聞く友人の声にジョナスは顔を上げた。
「ん? スカイ!?」
「おいジョナス、久しぶりだなー。元気だったか? 同じ騎士団所属でも第一と第二だとこうも会えないものなんだな」
「スカイー、本当に久しぶりね。会えて嬉しいわ! あなたも元気そうで良かった」
久々の再会を喜ぶ二人の話は尽きない。普段自分には見せない安心しきったジョナスの笑顔をヤソックは微笑ましく眺めていたけれど、その心の中は胸を掻きむしりたくなるほどの嫉妬が渦巻いていた。
それは・・・彼女の夫であるロステルに向ける嫉妬とはまた違う、もっと深くドロドロとした暗い感情であった。
(こうやって嫉妬の渦に呑まれるのは、もう何度目のことだろうな・・・)
楽しげに笑い合う二人を見つめながら、ヤソックは学園に通っていた頃を思い出していた。
当時のヤソックは、自分では扱いきれないほどの膨大な魔力を持て余していた。
それは、何をやっても卒なくこなすヤソックが唯一直面した大きな難題でもあった。抑えきれない魔力は、時に暴走して周囲に大きな被害を出してしまう。学園での授業を中断させてしまうこともよくあり、そんな彼に担任の教師は特別授業を勧めてきたのだった。
いくら努力しても上手く使いこなせない自分の魔力に日々苛立ちを募らせていた彼は、教師のその言葉すらも馬鹿にされているようで腹立たしく感じた。
数日後、ヤソックが特別授業の教室に入ると、そこには女生徒が壁際にぽつんと一人で立っていた。
こちらに気づくなりにっこり微笑んだ彼女が、現在自分の目の前にいるジョナスだったのだ。
とりあえず教室に机を並べて特別授業を受けてはみたが、そこで学んだことと言えば魔力量には個人差があり、コツを掴むためには日々の訓練あるのみという何の解決にもならない話だった。結局のところ・・・慣れろと言うわけだ。
他の方法はないのかと詰め寄るヤソックに、担当の教師は真顔で言った。
『それが分かれば誰も苦労しない』
皆、苦労してコントロールできるようになった。大丈夫だ、お前も頑張れ。
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