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希望のない話し合い
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しかし物事とは、そう上手く進まぬもので、次の日カドワーズ伯爵家に訪れた来客は、ユニーナの父親男爵一人ではなかった。長女のミズリーと、その婚約者スワルス・ロステル次期侯爵までもが一緒に訪れたのだ。スワルスが一緒に来たことによって、伯爵夫妻は、この話にはもう希望を見いだせないことが瞬時に理解できてしまった。目の前で、血の気の引いた青白い顔のアレイドが、呆然と立ち尽くしている姿を見ていると、親としても、あまりにも気の毒になってしまい、いくら頑張ってもどうにもならないことならば、この後の話に息子は必要ないのではないかと思えた。
客室に三人を案内した後、伯爵は小さな声で言った。
「頭を下げた後、お前は自室に戻りなさい。」
すると、アレイドは、驚きと不安の混じったような目を見開き、震えた声で聞き返した。
「それは、どういう意味ですか?」
「もう、お前がどうこうできる話ではないと言うことだ。」
伯爵が鋭い眼差しを向け、冷たく言い放つと、アレイドはいきなり大きな声で反論した。
「嫌です!!僕も話をさせてください。諦めたくないんです。お願いします!!」
アレイドの大きな声は、当然、ドアの向こうで座っている三人にも聞こえた。
スワルスは、こちらに冷たい視線を向けているが、男爵とミズリーは、お互いの顔を見合わせ困ったように苦笑いしていた。
結局アレイドもその後の話し合いに入ることを許された。が・・・、いくら頭を下げて許しを得ようとしても、ユニーナの気持ちが婚約解消にある限り、バーナード家としてもこれ以上アレイドの気持ちを受け入れることは難しいと言われてしまった。
「お願いします。もう一度だけユニーナに会わせてください。今度こそちゃんと自分の気持ちを伝えます。」
床に頭を擦り付けて何度も頭を下げるアレイドに、男爵もほとほと困り果てていると、それまで感情の読めない目でアレイドを見下ろしていたスワルスが、冷やかな調子で口を開いた。
「君は、私の婚約者であるミズリーが好きなのか?ミズリーを自分のものにするために妹のユニーナと婚約したのか?もし、それが本当の話なんだとしたら、私は愛するミズリーの婚約者として、我が侯爵家の力を使ってでも君とユニーナとの婚約を白紙に戻させてもらう。」
「ち、違います。それは―――」
「そして!!ユニーナには、私の従弟との縁談を進める。」
「え、えん・・・だん?・・・そ、ん・・・・な・・・」
「従弟はリヴェル辺境地で騎士をしている。少し上だが年齢的にも特に問題ないだろう。なにより、お互いこの話には乗り気なようだから、私としては君のような何を考えているのかわからない人間とは、さっさと縁を切ってもらいたいと思っている。」
「ユニー・・・ナも、その縁談を望んでいるんですか?」
力なく床に座り込み、震える声で必死に言葉を吐き出すアレイドに向かって、スワルスは口の端を少し上げ、意地の悪い顔をした。
「ああ、望むも何も、ユニーナは大喜びだったよ。なあ、ミズリー?今すぐにでも辺境地に向かおうとしていたのには、さすがの私も驚いたけれどね。」
「なぜ・・・会ったこともない人との縁談にユニーナは・・・あっ!・・・辺境地って。」
「ははは。君はユニーナの婚約者のくせに彼女のことを、本当に何も知らないんだな!?
それで、好きだの愛してるだの、よく言えたものだな! 婚約して三年か?その間、君は一体何をしていたんだ?
なあ、学園で噂になっている通り、君は、本当はミズリーが好きなんだろう?悪いが、先ほどから君の言っている話の全てに信憑性は見当たらない。そもそも、君がユニーナにしてきたことは、ミズリーを得る為の道具のような扱いと言われても仕方のないことなんじゃないのか?彼女が他の令嬢に嫌がらせを受けていても、頬を殴られ傷を作ったとしても、それを平気な顔で見過ごしてきたことが、彼女に興味がない証拠じゃないか!」
スワルスの棘のような言葉が、アレイドに矢のように降り注ぐ。自分の家族もユニーナの家族も多少なりともアレイドの気持ちに気付いてくれていた。アレイドは、気付かないうちにそれに甘えてしまっていたのだ。アレイドの気持ちなど何も知らないスワルスに、今、こうして容赦なく指摘されたことで、アレイドは自分の甘えを痛いほど痛感させられたのだった。そしてそれは、アレイドの本当の気持ちを知らないユニーナの意見でもあるのだろう。自分のユニーナに対する態度は、いくら言い訳したとしても、決して褒められたものではないことをアレイドは改めて自覚した。
客室に三人を案内した後、伯爵は小さな声で言った。
「頭を下げた後、お前は自室に戻りなさい。」
すると、アレイドは、驚きと不安の混じったような目を見開き、震えた声で聞き返した。
「それは、どういう意味ですか?」
「もう、お前がどうこうできる話ではないと言うことだ。」
伯爵が鋭い眼差しを向け、冷たく言い放つと、アレイドはいきなり大きな声で反論した。
「嫌です!!僕も話をさせてください。諦めたくないんです。お願いします!!」
アレイドの大きな声は、当然、ドアの向こうで座っている三人にも聞こえた。
スワルスは、こちらに冷たい視線を向けているが、男爵とミズリーは、お互いの顔を見合わせ困ったように苦笑いしていた。
結局アレイドもその後の話し合いに入ることを許された。が・・・、いくら頭を下げて許しを得ようとしても、ユニーナの気持ちが婚約解消にある限り、バーナード家としてもこれ以上アレイドの気持ちを受け入れることは難しいと言われてしまった。
「お願いします。もう一度だけユニーナに会わせてください。今度こそちゃんと自分の気持ちを伝えます。」
床に頭を擦り付けて何度も頭を下げるアレイドに、男爵もほとほと困り果てていると、それまで感情の読めない目でアレイドを見下ろしていたスワルスが、冷やかな調子で口を開いた。
「君は、私の婚約者であるミズリーが好きなのか?ミズリーを自分のものにするために妹のユニーナと婚約したのか?もし、それが本当の話なんだとしたら、私は愛するミズリーの婚約者として、我が侯爵家の力を使ってでも君とユニーナとの婚約を白紙に戻させてもらう。」
「ち、違います。それは―――」
「そして!!ユニーナには、私の従弟との縁談を進める。」
「え、えん・・・だん?・・・そ、ん・・・・な・・・」
「従弟はリヴェル辺境地で騎士をしている。少し上だが年齢的にも特に問題ないだろう。なにより、お互いこの話には乗り気なようだから、私としては君のような何を考えているのかわからない人間とは、さっさと縁を切ってもらいたいと思っている。」
「ユニー・・・ナも、その縁談を望んでいるんですか?」
力なく床に座り込み、震える声で必死に言葉を吐き出すアレイドに向かって、スワルスは口の端を少し上げ、意地の悪い顔をした。
「ああ、望むも何も、ユニーナは大喜びだったよ。なあ、ミズリー?今すぐにでも辺境地に向かおうとしていたのには、さすがの私も驚いたけれどね。」
「なぜ・・・会ったこともない人との縁談にユニーナは・・・あっ!・・・辺境地って。」
「ははは。君はユニーナの婚約者のくせに彼女のことを、本当に何も知らないんだな!?
それで、好きだの愛してるだの、よく言えたものだな! 婚約して三年か?その間、君は一体何をしていたんだ?
なあ、学園で噂になっている通り、君は、本当はミズリーが好きなんだろう?悪いが、先ほどから君の言っている話の全てに信憑性は見当たらない。そもそも、君がユニーナにしてきたことは、ミズリーを得る為の道具のような扱いと言われても仕方のないことなんじゃないのか?彼女が他の令嬢に嫌がらせを受けていても、頬を殴られ傷を作ったとしても、それを平気な顔で見過ごしてきたことが、彼女に興味がない証拠じゃないか!」
スワルスの棘のような言葉が、アレイドに矢のように降り注ぐ。自分の家族もユニーナの家族も多少なりともアレイドの気持ちに気付いてくれていた。アレイドは、気付かないうちにそれに甘えてしまっていたのだ。アレイドの気持ちなど何も知らないスワルスに、今、こうして容赦なく指摘されたことで、アレイドは自分の甘えを痛いほど痛感させられたのだった。そしてそれは、アレイドの本当の気持ちを知らないユニーナの意見でもあるのだろう。自分のユニーナに対する態度は、いくら言い訳したとしても、決して褒められたものではないことをアレイドは改めて自覚した。
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