16 / 33
要約すると
しおりを挟む
ライナーは、周りの人間に知らしめるかのように、「ユニ」と親しげに呼ぶと、ユニーナを庇うように腕の中に包み込んでいる。
(これではまるで、あいつがユニーナの婚約者みたいじゃないか!!ユニーナもなぜ安心しきった顔であいつの腕に抱かれているんだ!!)
今のアレイドにとって、婚約者という肩書きだけが、ユニーナとの唯一の繋がりだった。しかし、今はそれすらもライナーに奪われてしまうように思えて、自分の気持ちを抑えることができなくなってしまっていた。そうして怒ったアレイドが怒鳴りながらライナーとユニーナを引き剝がすと、何を勘違いしたのか、それを見ていた令嬢達も再度騒ぎ出し、それに伴い周囲の関係ない者達も好き勝手言い始めた。
しかし、そんな騒音の中、アレイドの後ろから「パン!」と普段聞きなれない音が響くと、その場が一瞬で静まり返った。咄嗟に後ろを振り返ると、震える手を自分の頬に当てて、驚いた顔で目の前の令嬢を凝視しているユニーナが目に入った。ユニーナの前に立つ令嬢は、興奮で顔を赤くして、自分の立場をわきまえろなどと言っている。しかも、もう一度殴りつけるつもりなのか、右手を振り上げていた。
アレイドは、驚きながらも、ユニーナと令嬢の間に入ろうとした。しかし、アレイドよりもライナーの方が早く、すぐにユニーナの腕を取ると自分の胸に抱きかかえてしまった。ライナーの動きに怒りを覚えたアレイドだったが、仕方がなく令嬢の振り上げた手を掴み、上に捻り上げた。ユニーナに手を上げた令嬢への怒りと、ユニーナを抱きしめているライナーへの怒りでアレイドの腕にもぎりぎりと力が入っていた。
それからは、思い出したくもないことばかりだった。
自分には、もう利用価値がないからさっさと解放してくれと言うユニーナに、彼女の気持ちも考えろとライナーが恋人面して言っていた。あのお茶会でアレイドとユニーナの仲を壊した友人二人が、ミズリーはもう諦めろなどとほざいて、誤解を更に悪化させていた。
アレイドが正気に戻った時には、ライナーに暴力を振るい、情けなくユニーナに追いすがった後だったのだ。
「・・・・ふむ。」
ここまで聞いたスワルスは、疲れた様子で頷くと、両手で自身のこめかみを押さえた。男爵もミズリーも眉を下げてどうしていいかわからないような引きつった笑みを浮かべている。アレイドの父親ですら、あまりに残念すぎる息子から視線を逸らし、何もない天井をただ見上げているのだった。
「・・・うん。まず君は、非常に嫉妬深く、見た目からは想像できないほど単純な性格。その上、要領もとびきり悪いと・・・。一方、ユニは・・・、思い込みがひど過ぎて取り付く島もない。と、まあ、そんな感じの解釈でいいだろうか。」
その場の全員が、スワルスの方を向いて何も言わずに頷いている。
「ふむ。まあ、なんとなく解ったかなぁ・・・。しかしなぁー・・・、ユニを守る為に令嬢達の相手をするって、どうしたらそんな発想になるんだ?それじゃあ、ユニに全く気持ちが伝わらないだろう?・・・意味が解らないな。 あと、ユニは君の話を聞いてないんじゃなくて、ただ無視してるってことだから、聞こえてはいるんだろう?だから、君が話続けていれば、誤解が解ける日は必ず来るだろう?」
スワルスが厳しい顔をアレイドに向けると、それまで黙って話を聞いていたミズリーが二人の話に入ってきた。
「あの、その説明は私がするわ。実は、学園に入学してからね、先ほどの話にもあったように、ユニは何人ものご令嬢達から、随分といろいろ言われていたらしいの。私達に心配かけないようにユニは何も言ってこなかったんだけど・・・、私の友人の妹さんが、ユニのことを心配して私によく教えてくれていたの。ユニはなんでもないように振舞っていたんだけど、やっぱり辛かったのでしょうね。爵位の高い令嬢達に随分と頻繁に呼び出されていたようで、入学してからできた友人も皆、離れて行ってしまったそうよ。学園ではいつも独りぼっちで行動しているって教えてもらったわ。そのうち、だんだん食欲もなくなってきて、家族の前でも笑えなくなってしまってね、理由を聞いても教えてくれないから、私達家族も本当に心配していたの・・・。」
ミズリーは当時のことを思い出しながら、ゆっくり話始めた。
(これではまるで、あいつがユニーナの婚約者みたいじゃないか!!ユニーナもなぜ安心しきった顔であいつの腕に抱かれているんだ!!)
今のアレイドにとって、婚約者という肩書きだけが、ユニーナとの唯一の繋がりだった。しかし、今はそれすらもライナーに奪われてしまうように思えて、自分の気持ちを抑えることができなくなってしまっていた。そうして怒ったアレイドが怒鳴りながらライナーとユニーナを引き剝がすと、何を勘違いしたのか、それを見ていた令嬢達も再度騒ぎ出し、それに伴い周囲の関係ない者達も好き勝手言い始めた。
しかし、そんな騒音の中、アレイドの後ろから「パン!」と普段聞きなれない音が響くと、その場が一瞬で静まり返った。咄嗟に後ろを振り返ると、震える手を自分の頬に当てて、驚いた顔で目の前の令嬢を凝視しているユニーナが目に入った。ユニーナの前に立つ令嬢は、興奮で顔を赤くして、自分の立場をわきまえろなどと言っている。しかも、もう一度殴りつけるつもりなのか、右手を振り上げていた。
アレイドは、驚きながらも、ユニーナと令嬢の間に入ろうとした。しかし、アレイドよりもライナーの方が早く、すぐにユニーナの腕を取ると自分の胸に抱きかかえてしまった。ライナーの動きに怒りを覚えたアレイドだったが、仕方がなく令嬢の振り上げた手を掴み、上に捻り上げた。ユニーナに手を上げた令嬢への怒りと、ユニーナを抱きしめているライナーへの怒りでアレイドの腕にもぎりぎりと力が入っていた。
それからは、思い出したくもないことばかりだった。
自分には、もう利用価値がないからさっさと解放してくれと言うユニーナに、彼女の気持ちも考えろとライナーが恋人面して言っていた。あのお茶会でアレイドとユニーナの仲を壊した友人二人が、ミズリーはもう諦めろなどとほざいて、誤解を更に悪化させていた。
アレイドが正気に戻った時には、ライナーに暴力を振るい、情けなくユニーナに追いすがった後だったのだ。
「・・・・ふむ。」
ここまで聞いたスワルスは、疲れた様子で頷くと、両手で自身のこめかみを押さえた。男爵もミズリーも眉を下げてどうしていいかわからないような引きつった笑みを浮かべている。アレイドの父親ですら、あまりに残念すぎる息子から視線を逸らし、何もない天井をただ見上げているのだった。
「・・・うん。まず君は、非常に嫉妬深く、見た目からは想像できないほど単純な性格。その上、要領もとびきり悪いと・・・。一方、ユニは・・・、思い込みがひど過ぎて取り付く島もない。と、まあ、そんな感じの解釈でいいだろうか。」
その場の全員が、スワルスの方を向いて何も言わずに頷いている。
「ふむ。まあ、なんとなく解ったかなぁ・・・。しかしなぁー・・・、ユニを守る為に令嬢達の相手をするって、どうしたらそんな発想になるんだ?それじゃあ、ユニに全く気持ちが伝わらないだろう?・・・意味が解らないな。 あと、ユニは君の話を聞いてないんじゃなくて、ただ無視してるってことだから、聞こえてはいるんだろう?だから、君が話続けていれば、誤解が解ける日は必ず来るだろう?」
スワルスが厳しい顔をアレイドに向けると、それまで黙って話を聞いていたミズリーが二人の話に入ってきた。
「あの、その説明は私がするわ。実は、学園に入学してからね、先ほどの話にもあったように、ユニは何人ものご令嬢達から、随分といろいろ言われていたらしいの。私達に心配かけないようにユニは何も言ってこなかったんだけど・・・、私の友人の妹さんが、ユニのことを心配して私によく教えてくれていたの。ユニはなんでもないように振舞っていたんだけど、やっぱり辛かったのでしょうね。爵位の高い令嬢達に随分と頻繁に呼び出されていたようで、入学してからできた友人も皆、離れて行ってしまったそうよ。学園ではいつも独りぼっちで行動しているって教えてもらったわ。そのうち、だんだん食欲もなくなってきて、家族の前でも笑えなくなってしまってね、理由を聞いても教えてくれないから、私達家族も本当に心配していたの・・・。」
ミズリーは当時のことを思い出しながら、ゆっくり話始めた。
45
あなたにおすすめの小説
こんな婚約者は貴女にあげる
如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。
初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。
とある伯爵の憂鬱
如月圭
恋愛
マリアはスチュワート伯爵家の一人娘で、今年、十八才の王立高等学校三年生である。マリアの婚約者は、近衛騎士団の副団長のジル=コーナー伯爵で金髪碧眼の美丈夫で二十五才の大人だった。そんなジルは、国王の第二王女のアイリーン王女殿下に気に入られて、王女の護衛騎士の任務をしてた。そのせいで、婚約者のマリアにそのしわ寄せが来て……。
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。
最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。
幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。
一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。
ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。
ある公爵令嬢の死に様
鈴木 桜
恋愛
彼女は生まれた時から死ぬことが決まっていた。
まもなく迎える18歳の誕生日、国を守るために神にささげられる生贄となる。
だが、彼女は言った。
「私は、死にたくないの。
──悪いけど、付き合ってもらうわよ」
かくして始まった、強引で無茶な逃亡劇。
生真面目な騎士と、死にたくない令嬢が、少しずつ心を通わせながら
自分たちの運命と世界の秘密に向き合っていく──。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる