花言葉は「私のものになって」

岬 空弥

文字の大きさ
20 / 33

貴方は誰?

しおりを挟む
「ごめん、ユニーナ。ごめん! 本当は君が大好きなんだよ。だから、絶対どこにも行かせない。僕は君じゃなきゃ駄目なんだ。僕は、いつだってユニーナだけを見ていたんだよ。本当にごめん。変な誤解させて、悲しませてごめん。僕は、たくさん間違ってしまった・・・。本当は誰よりも大好きなんだよ。大好きなんだ!他の令嬢と一緒にいても一つも嬉しくなんてないんだ。いつだって君と一緒にいたい。だから、お願いだからどこにも行かないで!僕を置いてどこにも行かないで!お願いだよ、僕の傍にいて。」

 いきなり部屋に入って来た婚約者様に抱きしめられた私を含め、皆が唖然としている中、スワルス様が顔を酷く歪ませ身震いをしました。

「この気持ち悪いタイミングは一体なんなんだ!!おかしいだろ、なんでこんな時間に彼がここにいるんだ!?もう夜だぞ!なんて薄気味悪い。まるで臭い芝居を見せられているようだ・・・。 ミズリー、ユニは本当に婚約解消しなくて大丈夫なのか?私はあの子が心配だぞ。」

そんなスワルス様を私の両親とお姉様は、無表情のまま無言で見つめているのでした。

婚約者様が、なりふり構わず自分の気持ちを次々と吐き出すものですから、私は大きな驚きと戸惑いで、目を見開いたまま、何も言えずに固まっていました。婚約者様はそれをいいことに、ずっと私を抱きしめたまま離そうとしません。取りあえずこの場を何とかしようと、お父様が皆を夕飯に誘いますが、婚約者様が私から離れる気がないことを悟ると、仕方がないと呟き、皆でその場で夕食を頂くことになりました。

「ははっ、こんなところで食事をするんだって?」

と、能天気に部屋に入ってきた弟のリョシューでしたが、一瞬で部屋の空気がおかしいことに気付くと、異常にくっ付いている私と婚約者様、そして苛立ちで口元がピクピク痙攣しているスワルス様に、交互に目を走らせると、余計なことは言わず何事もなかったように空気と一体化するのでした。

(さすがリョシュー。空気を読む力が天下一品だわ。)

私は婚約者様の横で、腰に手を回されピッタリと、まるで重なるかのようにくっ付いて食事を摂りましたが、食べにくい上に至近距離で見つめられ続け、家族から向けられる視線にも居た堪れなく、結局、味も何もわからぬまま食事は終わりました。

「この後、ユニと二人で話をしたいのですが、ユニの部屋に行ってもいいですか?」

「なっ!! 今からか!?部屋に二人でだと!?」

お父様に許可を取ろうとした婚約者様でしたが、勢いよく立ち上がって怒りの表情をあらわにしたのはスワルス様でした。すると、お父様が苦笑いを浮かてべスワルス様を座らせると、

「今日はもう、アレイド君もユニも疲れただろう?ユニを見てごらん?あまりにいろいろなことがあったから、とても混乱しているよね?それに、今の君とユニを二人きりにすることはできないよ。 大丈夫、焦らなくてもユニはどこにも逃げたりしないよ。これから君の気持ちをユニに伝えてゆくんだろう?長い間、誤解し続けたんだ。ゆっくり確実にユニの心を解いてゆきなさい。もうすぐカドワーズ伯爵も迎えにくる頃だろう。それまで皆でお茶でも飲んでゆっくりしよう。」

皆でお茶を飲んでいる間も、婚約者様は私を抱えるようにして、今までのことを謝り続けていました。

「当時の僕は、薔薇の花言葉なんて知らなかったんだよ。深い意味なんて何もないんだ。ただミズリーのイメージに合うかなと思って。ユニ、信じて?本当にそれだけの理由だったんだよ。ユニ、ちゃんと僕の目を見て?嘘なんてついてないから。 ね?」

(いやいやいや・・・、近すぎるんですってばっ! 無理無理、こんな距離で目なんか合わせられませんって・・・。なにより、私、こんな人知らないんですけど・・・あなたはダレ?)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

とある伯爵の憂鬱

如月圭
恋愛
マリアはスチュワート伯爵家の一人娘で、今年、十八才の王立高等学校三年生である。マリアの婚約者は、近衛騎士団の副団長のジル=コーナー伯爵で金髪碧眼の美丈夫で二十五才の大人だった。そんなジルは、国王の第二王女のアイリーン王女殿下に気に入られて、王女の護衛騎士の任務をしてた。そのせいで、婚約者のマリアにそのしわ寄せが来て……。

幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!

佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」 突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。 アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。 アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。 二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。

この別れは、きっと。

はるきりょう
恋愛
瑛士の背中を見ていられることが、どれほど幸せだったのか、きっと瑛士は知らないままだ。 ※小説家になろうサイト様にも掲載しています。

最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。 幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。 一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。 ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。

ある公爵令嬢の死に様

鈴木 桜
恋愛
彼女は生まれた時から死ぬことが決まっていた。 まもなく迎える18歳の誕生日、国を守るために神にささげられる生贄となる。 だが、彼女は言った。 「私は、死にたくないの。 ──悪いけど、付き合ってもらうわよ」 かくして始まった、強引で無茶な逃亡劇。 生真面目な騎士と、死にたくない令嬢が、少しずつ心を通わせながら 自分たちの運命と世界の秘密に向き合っていく──。

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

私のブルースター

くびのほきょう
恋愛
家で冷遇されてるかわいそうな侯爵令嬢。そんな侯爵令嬢を放って置けない優しい幼馴染のことが好きな伯爵令嬢のお話。

処理中です...