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婚約者の豹変
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無口で優秀な美男子が、優しく微笑んだ。
そんな夢のような姿に心ときめかせていた令嬢達の瞳が、今では、日に日にシラケたものになっていくのでした。まるで人が変わったかのようによくしゃべるアレイド様は、自分の感じるままに愛を叫び、自分の心のままに嫉妬で怒ります。しかし、元々口下手な人間が、心がけのみで口達者になれるはずもなく、とにかく頑張って感情を伝えようとしているのですが、言わなくてもいいことを言って人を怒らせたり、何やら喚いているが、いまいち言っている意味が理解できないなどと、周りを混乱させることも多いのでした。
そんな日が続くと、散々私に絡んできた恐ろしい令嬢達も、今や死んだ魚のような目になってアレイド様を遠くから眺めているだけになりました。アレイド様も、以前のように私以外の女性とは関わらなくなりました。正確には、関わるどころか、常に私とライナーの側にべったりとくっ付いているのです。
「アレイド様が、あんな人だったなんて・・・、私達、あの美しい外見に騙されていたのかしら・・・。」
「ユニーナ様への愛があんなに重かったなんてね・・・。ユニーナ様、また白目むいて表情を失っているけれど、大丈夫かしら。」
「今までずっと、ユニーナ様を令嬢達から守っていたライナー様が、今度はアレイド様から守っているようですわね。彼も大変ね・・・。」
「あんなに素敵でしたのに。はぁー・・・。何やら、またライナー様と揉めているようですが、会話が全く成立してませんわね。はぁー、今までのアレイド様には、もうお会いできないのかしら。」
「私なんて、アレイド様を思いすぎるあまり停学にまでなったのに・・・。私の人生これからどうするのよ。あんまりだわ・・・。」
それからもアレイド様の暴走は留まることを知らず、私とライナーの仲を毎日疑い、あまりに嫉妬の炎を燃やすものだから、呆れたライナーが、恋人を呼んで四人で、街のカフェにでも行こうと誘ってくれたのでした。
本当にライナーに恋人がいるのか半信半疑で来店したアレイド様でしたが、先に来て紅茶を飲んでいるライナーの恋人、キャメロンさんを見るなり、頬を赤らめポーっと呆けているではありませんか。それどころか、顔を赤くしているのはアレイド様だけではなくキャメロンさんもなのです。まるで運命の相手にでも出会ってしまったかのように、見つめ合う二人を前に、私もライナーも表情を失いました。
「アレイド様。何をそんなに見惚れているのですか?」
「えっ!?いや、見惚れているわけではないよ。とても綺麗な人だから、少し驚いただけで。」
「へ-・・・。それはようございましたね。」
浮気がバレた夫のように、忙しなく目を泳がせ、こちらを見ようとしないアレイド様に対し、私は気分が悪くなるのを感じました。
「キャメロン?では、お前は?」
「えっ!? いえっ、私も、あの・・・話に聞いていたよりも、とても素敵な方だったので驚いてしまって・・・。」
「ふーん。そうか。」
ガタガタと落ち着きなく席に着くアレイド様と、真っ赤な顔で俯いていらっしゃるキャメロン様を、私とライナーは席に座ることなく、冷たく見下ろしました。
「ユニ、どうも俺達は邪魔のようだな。」
「そうですね、ライナー。私達は早急に立ち去りましょうか。」
「えっ!? ユニ!?」
慌てたアレイド様が、驚いた顔で、すぐに立ち上がりましたが、私とライナーは、気にすることなく話し続けました。
「そうだな。なあ、ユニ? 俺はどうやら、たった今、恋人にフラれたみたいだ。」
「えっ!? なに?ライナー!?ちょっと、冗談はやめてよ!」
ライナーの寂しそうな表情を前に、焦ったキャメロンさんが慌てて席を立ち、ライナーに手を伸ばしますが、私は、その手を遮るようにさっとライナーの前に進み出ると、両手をそっとライナーの胸に当てました。
「あら、奇遇ですわね。私も先ほどから婚約解消のことを考えていましたわ。」
「ユニ!? 婚約解消って、何を言ってるの!? ねえ、ユニ!」
婚約解消と聞き、アレイド様が青い顔で何やら吠えていらっしゃいますが、私とライナーは、そんな二人を無視してうっとりと見つめ合いました。
ライナーが私の頬に手を当てると、私もライナーの腰に手を回しました。
そんな夢のような姿に心ときめかせていた令嬢達の瞳が、今では、日に日にシラケたものになっていくのでした。まるで人が変わったかのようによくしゃべるアレイド様は、自分の感じるままに愛を叫び、自分の心のままに嫉妬で怒ります。しかし、元々口下手な人間が、心がけのみで口達者になれるはずもなく、とにかく頑張って感情を伝えようとしているのですが、言わなくてもいいことを言って人を怒らせたり、何やら喚いているが、いまいち言っている意味が理解できないなどと、周りを混乱させることも多いのでした。
そんな日が続くと、散々私に絡んできた恐ろしい令嬢達も、今や死んだ魚のような目になってアレイド様を遠くから眺めているだけになりました。アレイド様も、以前のように私以外の女性とは関わらなくなりました。正確には、関わるどころか、常に私とライナーの側にべったりとくっ付いているのです。
「アレイド様が、あんな人だったなんて・・・、私達、あの美しい外見に騙されていたのかしら・・・。」
「ユニーナ様への愛があんなに重かったなんてね・・・。ユニーナ様、また白目むいて表情を失っているけれど、大丈夫かしら。」
「今までずっと、ユニーナ様を令嬢達から守っていたライナー様が、今度はアレイド様から守っているようですわね。彼も大変ね・・・。」
「あんなに素敵でしたのに。はぁー・・・。何やら、またライナー様と揉めているようですが、会話が全く成立してませんわね。はぁー、今までのアレイド様には、もうお会いできないのかしら。」
「私なんて、アレイド様を思いすぎるあまり停学にまでなったのに・・・。私の人生これからどうするのよ。あんまりだわ・・・。」
それからもアレイド様の暴走は留まることを知らず、私とライナーの仲を毎日疑い、あまりに嫉妬の炎を燃やすものだから、呆れたライナーが、恋人を呼んで四人で、街のカフェにでも行こうと誘ってくれたのでした。
本当にライナーに恋人がいるのか半信半疑で来店したアレイド様でしたが、先に来て紅茶を飲んでいるライナーの恋人、キャメロンさんを見るなり、頬を赤らめポーっと呆けているではありませんか。それどころか、顔を赤くしているのはアレイド様だけではなくキャメロンさんもなのです。まるで運命の相手にでも出会ってしまったかのように、見つめ合う二人を前に、私もライナーも表情を失いました。
「アレイド様。何をそんなに見惚れているのですか?」
「えっ!?いや、見惚れているわけではないよ。とても綺麗な人だから、少し驚いただけで。」
「へ-・・・。それはようございましたね。」
浮気がバレた夫のように、忙しなく目を泳がせ、こちらを見ようとしないアレイド様に対し、私は気分が悪くなるのを感じました。
「キャメロン?では、お前は?」
「えっ!? いえっ、私も、あの・・・話に聞いていたよりも、とても素敵な方だったので驚いてしまって・・・。」
「ふーん。そうか。」
ガタガタと落ち着きなく席に着くアレイド様と、真っ赤な顔で俯いていらっしゃるキャメロン様を、私とライナーは席に座ることなく、冷たく見下ろしました。
「ユニ、どうも俺達は邪魔のようだな。」
「そうですね、ライナー。私達は早急に立ち去りましょうか。」
「えっ!? ユニ!?」
慌てたアレイド様が、驚いた顔で、すぐに立ち上がりましたが、私とライナーは、気にすることなく話し続けました。
「そうだな。なあ、ユニ? 俺はどうやら、たった今、恋人にフラれたみたいだ。」
「えっ!? なに?ライナー!?ちょっと、冗談はやめてよ!」
ライナーの寂しそうな表情を前に、焦ったキャメロンさんが慌てて席を立ち、ライナーに手を伸ばしますが、私は、その手を遮るようにさっとライナーの前に進み出ると、両手をそっとライナーの胸に当てました。
「あら、奇遇ですわね。私も先ほどから婚約解消のことを考えていましたわ。」
「ユニ!? 婚約解消って、何を言ってるの!? ねえ、ユニ!」
婚約解消と聞き、アレイド様が青い顔で何やら吠えていらっしゃいますが、私とライナーは、そんな二人を無視してうっとりと見つめ合いました。
ライナーが私の頬に手を当てると、私もライナーの腰に手を回しました。
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