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物語は突然に
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子供の頃から、おとぎ話のプリンセスが気に入らなかった。
ハッピーエンドを迎えるものの、どこか他力本願で、一旦不幸な目にあってから幸せを手に入れる。
どうして自分から行動を起こさないのか、その不幸は如何様にも回避できただろうに……。
そんな思いが強かったせいか、私は今、おとぎ話の中に入り込んでいるようだ。
覚えているのは昨日、学園の友人たちと乗馬を楽しんでいたこと。友人の馬が突然暴走し、私の乗る馬にぶつかり、落馬した。
気が付いたら、この世界に入り込んでいた。
見たことのない部屋、知らないベッドに横たわっていたのだ。
おそらく、落馬した際に頭を打ったのだろう。目覚めた瞬間には後頭部に痛みの感覚が、わずかだが残っていた。そして、自分の体が幾分幼くなっていることに気付いた。
私の本体がどうなっているのか気にはなるが、取り敢えず、今いるこの世界を把握しなければ……と考えていたところ、この人物の父親が現れて全てが判明した。
「エラ!良かった、目が覚めたかい?昨日から高熱にうなされていたんだよ。お母様のように君も病に伏せって、このまま私を遺して逝ってしまうのではと心配したんだよ」
そう。ここはおとぎ話『シンデレラ』の世界だ。
私はエラ。貴族の一人娘で、最近、母親を病で亡くしたのだ。そして目の前の彼が、エラの父親だ。
かの有名なシンデレラの物語の中で、どうしようもなく使えない、間抜けな人物である。
同じ貴族として情けないほどだ。
母親を亡くした娘の為に、と、何処の馬の骨かもわからない子持ちの未亡人を連れてきて再婚し、実の娘が虐げられる環境を作り、家の財産を後妻と継娘たちの贅沢に使われる……。
人を見る目も、家門を守る能力も無い。
この男がしっかりしていれば、エラは継母たちに虐げられずにすんだはずだ。
「お父様、ご心配をおかけしました。私は大丈夫です」
頼りない……というか、立派に見えないこの父親、自身の出自は領地内の豪商の次男だ。
貴族である母親の婿養子として、跡取りとしてこの家にやってきたのだ。
生まれながらの貴族では無いため、何処か情けなく感じてしまう。そして物語の上でも空気のような存在感だ。
だから、あの後妻に付け込まれたのだろう。
しかし、現時点でまだ後妻は登場していない。
「お父様、今日は一緒にお母様のお墓にお花を供えに行きませんか?」
「もちろん!お前の体調が問題ないのなら、彼女の好きだった花を庭園から持っていこう」
綺麗に整えられた庭園で、庭師に花を分けてもらった。
この時点では、邸宅内には庭師の他にも使用人たちがたくさん働いている。彼らが解雇され、その仕事が全てエラのものになるのは、後妻が財産を食い潰してからだ。だけど、そんな事は絶対にさせない……この私が、物語を変えてみせるのだ。
ハッピーエンドを迎えるものの、どこか他力本願で、一旦不幸な目にあってから幸せを手に入れる。
どうして自分から行動を起こさないのか、その不幸は如何様にも回避できただろうに……。
そんな思いが強かったせいか、私は今、おとぎ話の中に入り込んでいるようだ。
覚えているのは昨日、学園の友人たちと乗馬を楽しんでいたこと。友人の馬が突然暴走し、私の乗る馬にぶつかり、落馬した。
気が付いたら、この世界に入り込んでいた。
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おそらく、落馬した際に頭を打ったのだろう。目覚めた瞬間には後頭部に痛みの感覚が、わずかだが残っていた。そして、自分の体が幾分幼くなっていることに気付いた。
私の本体がどうなっているのか気にはなるが、取り敢えず、今いるこの世界を把握しなければ……と考えていたところ、この人物の父親が現れて全てが判明した。
「エラ!良かった、目が覚めたかい?昨日から高熱にうなされていたんだよ。お母様のように君も病に伏せって、このまま私を遺して逝ってしまうのではと心配したんだよ」
そう。ここはおとぎ話『シンデレラ』の世界だ。
私はエラ。貴族の一人娘で、最近、母親を病で亡くしたのだ。そして目の前の彼が、エラの父親だ。
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同じ貴族として情けないほどだ。
母親を亡くした娘の為に、と、何処の馬の骨かもわからない子持ちの未亡人を連れてきて再婚し、実の娘が虐げられる環境を作り、家の財産を後妻と継娘たちの贅沢に使われる……。
人を見る目も、家門を守る能力も無い。
この男がしっかりしていれば、エラは継母たちに虐げられずにすんだはずだ。
「お父様、ご心配をおかけしました。私は大丈夫です」
頼りない……というか、立派に見えないこの父親、自身の出自は領地内の豪商の次男だ。
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生まれながらの貴族では無いため、何処か情けなく感じてしまう。そして物語の上でも空気のような存在感だ。
だから、あの後妻に付け込まれたのだろう。
しかし、現時点でまだ後妻は登場していない。
「お父様、今日は一緒にお母様のお墓にお花を供えに行きませんか?」
「もちろん!お前の体調が問題ないのなら、彼女の好きだった花を庭園から持っていこう」
綺麗に整えられた庭園で、庭師に花を分けてもらった。
この時点では、邸宅内には庭師の他にも使用人たちがたくさん働いている。彼らが解雇され、その仕事が全てエラのものになるのは、後妻が財産を食い潰してからだ。だけど、そんな事は絶対にさせない……この私が、物語を変えてみせるのだ。
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