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第一章
4、ざまあみやがれ!
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オーティスは魔法紐を辿って全速力で駆けていく。その紐はある部屋の中へと続いていた。生霊の跡を追って辿り着いた場所――。
「ここって……」
俺は眉を顰めた。
「生霊の主が分かった」
オーティスが魔力を使って交信すると、逃走に備えて四方に散らばっていた魔法師たちが瞬間移動で一斉に姿を現した。元々数の少ないこの国の魔法師。その中でも更に選び抜かれた精鋭陣の登場に興奮して胸が熱くなる。
彼らは目配せし合い、目の前の扉を押し開けた。
「アンドレアス王子! 貴方を不敬罪で捕らえます!」
驚くことに生霊の主は女ではなかった。女の生霊を生み出し、セガール兄上を夜這いしていたのは第二王子アンドレアスだったのだ。
(まさか……血の繋がった兄を夜這いしてたのか!?)
確かに、幼い頃アンドレアスはセガール兄上にべったりと付き纏っていた。兄上が俺を可愛がると癇癪を起こして俺を虐めてきた。大人になってもなお執拗に嫌がらせをしてくるのはそういうことだったのか。
「無礼者めが! 不敬なのはお前たちだろう!」
部屋の中央で声を荒げるアンドレアス。相変わらず声がデカい。オーティスはアンドレアスの体と繋がっている魔法紐を持ち上げてみせた。
「私たちがなぜここに来たのか分かりますね? 生霊を使い王太子を侮辱した罪で貴方を拘束します」
魔法師たちは相手が王子だろうが躊躇うことなくアンドレアスを捕らえる。
「こんな事をしてただで済むと思うなよ!」
そう叫んだアンドレアスと目が合った。
「なんでお前がここにいるんだよ!!」
血走った目が俺を睨みつける。
(こいつ、俺のこと散々虐めてくれたよな。そうだ……)
「あのさ、さっきお前がしゃぶってたの俺のだから」
仁王立ちした俺は俺の大事な所を指差した。アンドレアスだけではなく、オーティスやその場にいた魔法師たち全員が俺のモノを凝視した。
「…………」
目玉が落ちそうなほど見開いたアンドレアスにトドメを刺す。
「美味かったか?」
嘲笑うように、ふっと鼻で笑ってやった。
「ぎゃぁぁああああーー!!!!」
(すげぇ肺活量だな)
まだ生きているが、アンドレアスの断末魔の叫びが王宮中に響き渡る。己が口に含んだわけでもなかろうにオロロロロとリバースしている。
なんというか、試合に勝って勝負に負けたというのはこういう気分なんだろうか。スッキリはしたけれど、好きでもない奴に弄ばれたもやもやが残る。それにあんなに吐くなんて失礼だろうが。
(……まぁ、なんでもいっか。積年の恨み、晴らしてやったぜ)
泣き喚きながら連行されていくアンドレアスの後ろ姿を俺は静かに見送った。
(生霊を使って子種を盗もうとするなんて、やっぱりまともじゃなかったんだな。綺麗に洗ってさっさと寝よう)
「フィル様、ご協力ありがとうございました。お部屋までお送り致します」
すでに役目は終えたというのに、俺の帰り道まで心配してくれるオーティスの優しさよ。何それ嬉しい、感無量! 本音を言えば甘えたいけど……。
「オーティスも疲れただろう? 俺は大丈夫。一人で帰るよ。お疲れ様」
「そうですか……」
勘違いだろうか。俺を見つめるオーティスの瞳の奥で、先程の余韻がまだ少し燻っているような気がした。ベッドの上での出来事を思い出して、忘れていた羞恥心が蘇る。たまらずその場から離れた。
離宮までの道のりをランプ片手にとぼとぼと歩いていく。ちょっと恥ずかしいけど、暗闇の中、生霊を思い出して小さな物音にも過剰に反応してしまった。
(めちゃくちゃ怖いじゃん。格好付けずにオーティスに送ってもらえばよかった。夜中トイレに行けるかなぁ……)
俺は猛ダッシュで離宮に帰った。
「ここって……」
俺は眉を顰めた。
「生霊の主が分かった」
オーティスが魔力を使って交信すると、逃走に備えて四方に散らばっていた魔法師たちが瞬間移動で一斉に姿を現した。元々数の少ないこの国の魔法師。その中でも更に選び抜かれた精鋭陣の登場に興奮して胸が熱くなる。
彼らは目配せし合い、目の前の扉を押し開けた。
「アンドレアス王子! 貴方を不敬罪で捕らえます!」
驚くことに生霊の主は女ではなかった。女の生霊を生み出し、セガール兄上を夜這いしていたのは第二王子アンドレアスだったのだ。
(まさか……血の繋がった兄を夜這いしてたのか!?)
確かに、幼い頃アンドレアスはセガール兄上にべったりと付き纏っていた。兄上が俺を可愛がると癇癪を起こして俺を虐めてきた。大人になってもなお執拗に嫌がらせをしてくるのはそういうことだったのか。
「無礼者めが! 不敬なのはお前たちだろう!」
部屋の中央で声を荒げるアンドレアス。相変わらず声がデカい。オーティスはアンドレアスの体と繋がっている魔法紐を持ち上げてみせた。
「私たちがなぜここに来たのか分かりますね? 生霊を使い王太子を侮辱した罪で貴方を拘束します」
魔法師たちは相手が王子だろうが躊躇うことなくアンドレアスを捕らえる。
「こんな事をしてただで済むと思うなよ!」
そう叫んだアンドレアスと目が合った。
「なんでお前がここにいるんだよ!!」
血走った目が俺を睨みつける。
(こいつ、俺のこと散々虐めてくれたよな。そうだ……)
「あのさ、さっきお前がしゃぶってたの俺のだから」
仁王立ちした俺は俺の大事な所を指差した。アンドレアスだけではなく、オーティスやその場にいた魔法師たち全員が俺のモノを凝視した。
「…………」
目玉が落ちそうなほど見開いたアンドレアスにトドメを刺す。
「美味かったか?」
嘲笑うように、ふっと鼻で笑ってやった。
「ぎゃぁぁああああーー!!!!」
(すげぇ肺活量だな)
まだ生きているが、アンドレアスの断末魔の叫びが王宮中に響き渡る。己が口に含んだわけでもなかろうにオロロロロとリバースしている。
なんというか、試合に勝って勝負に負けたというのはこういう気分なんだろうか。スッキリはしたけれど、好きでもない奴に弄ばれたもやもやが残る。それにあんなに吐くなんて失礼だろうが。
(……まぁ、なんでもいっか。積年の恨み、晴らしてやったぜ)
泣き喚きながら連行されていくアンドレアスの後ろ姿を俺は静かに見送った。
(生霊を使って子種を盗もうとするなんて、やっぱりまともじゃなかったんだな。綺麗に洗ってさっさと寝よう)
「フィル様、ご協力ありがとうございました。お部屋までお送り致します」
すでに役目は終えたというのに、俺の帰り道まで心配してくれるオーティスの優しさよ。何それ嬉しい、感無量! 本音を言えば甘えたいけど……。
「オーティスも疲れただろう? 俺は大丈夫。一人で帰るよ。お疲れ様」
「そうですか……」
勘違いだろうか。俺を見つめるオーティスの瞳の奥で、先程の余韻がまだ少し燻っているような気がした。ベッドの上での出来事を思い出して、忘れていた羞恥心が蘇る。たまらずその場から離れた。
離宮までの道のりをランプ片手にとぼとぼと歩いていく。ちょっと恥ずかしいけど、暗闇の中、生霊を思い出して小さな物音にも過剰に反応してしまった。
(めちゃくちゃ怖いじゃん。格好付けずにオーティスに送ってもらえばよかった。夜中トイレに行けるかなぁ……)
俺は猛ダッシュで離宮に帰った。
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