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24.星が戻って来た
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桜は厨房の隅っこで材料を少し貰ってケーキを焼くことにした。
待ちきれぬようにキティが横で見ている。
「レイおじさんには秘密にしてね」
「分かってるわよ!ねえ、なんのケーキなの」
「ママがお誕生日にいつも作ってくれるのものなんだけど。クリームといろんなジャムが層になってて。上には缶詰の果物と生のイチゴがいっぱい乗ってるの」
レイおじさんにバースデーケーキを作りたいのと言ったら、キティがいちごを高級食材店でたくさん買ってきていた。
アメリカ産しかなかったの。日本製は輸入禁止ですって・・・・。とすまそうに言った。
「ちょっと酸っぱいけど、これもおいしいよ、キティ」
「・・・日本のいちごの方がずっとおいしいわ・・・とちおとめ、あれが好き!」
桜よりキティの方が悔しそうだった。
キティがやってみたいと言って、慎重な手つきでクリームを塗った。
「キティ、これはいつも私がやるんだけど。ちょっとずつ、ケーキを回してくれる?」
真剣な顔でキティは頷いて、そっと皿ごとケーキを動かした。
幼稚園の頃から、母親が家族の誕生日には必ず作ってくれていた。中学生になったら一緒に作るようになって。
クリスマスケーキはサンタの飾りが可愛いからと買ってくるのだが、誕生日は特別。
桜はクリームを絞った。
「出来た!」
コック達が歓声を上げた。
グレースに手を引っ張られてレイがやってきた。
「まだ目を開けちゃダメ」
「サプライズかい、嬉しいな、どうしよう」
目を閉じたまま椅子に座らせられる。
「はい!レイおじさん、いいよ」
桜が言うと、レイがそっと目を開けた。
「・・・ママ?」
正面に座っていた怜月とケーキを交互に見比べる。
「桜子ちゃんとキティが作ったんですって。シャーロットが得意なケーキらしいわ」
「姉さんの?・・・信じられない、あの姉さんが、ケーキなんて・・・」
母はよっぽど生活能力が低かったらしい。
いつも、片付けしろとか夕食のお手伝いしてとか煩いのに。
その後、レイモンドが家族写真を見たがり、桜は鳩のクッキーの缶を持ってきた。
「わあ、宝箱ね・・・」
キティが覗き込んだ。
缶に入っていた花や鳥の形の折り紙を手にとってはしげしげと見ている。
「これが姉さんのハズバンド・・・」
ハズバンド、と言われて桜は吹き出した。
「これはチェリーが小さい頃だね。可愛いな」
七五三の時に撮った写真だ。
赤い着物姿で近所の猫と一緒に写っている。
入学式や卒業式の写真も。
メガネをかけて、怜月も見入っていた。
スーツやワンピース姿の娘の胸元に必ずカメオがあることに気付き微笑む。
「これはもうちゃんとあの子のものになったのね」
嬉しそうだ。
「すごい、チェリー。立体の星だわ!」
キティが手のひらに乗るぐらいの紙細工の黄色い星を取り出した。
「これも折り紙なの?」
「うん」
キティがやって見せてと言って、小さな星を手渡した。
これを一度分解して見せればわかりやすいだろうか、と桜は考えた。
「あれ?」
なんだか重い。中に何か入っているようだ。
振るとコロコロ音がする。
小学生の時にこの中に飴やビー玉を入れて友達と交換するのが流行ったのだ。
それをそのまま入れていたのだろうか。
桜はそっと折り目を外した。
驚いた事に、出てきたのは、指輪。
「これ、ダイヤじゃない?ねぇママ、ダイヤよね」
キティが歓声を上げた。
「見せて。・・・大きいしきれい!ねぇ、これショーメだわ!すごい!シャーロットの結婚指輪なんじゃない?」
桜はもしかして、て思って怜月を見た。
彼女はちょっと得意げに微笑んで見せた。
待ちきれぬようにキティが横で見ている。
「レイおじさんには秘密にしてね」
「分かってるわよ!ねえ、なんのケーキなの」
「ママがお誕生日にいつも作ってくれるのものなんだけど。クリームといろんなジャムが層になってて。上には缶詰の果物と生のイチゴがいっぱい乗ってるの」
レイおじさんにバースデーケーキを作りたいのと言ったら、キティがいちごを高級食材店でたくさん買ってきていた。
アメリカ産しかなかったの。日本製は輸入禁止ですって・・・・。とすまそうに言った。
「ちょっと酸っぱいけど、これもおいしいよ、キティ」
「・・・日本のいちごの方がずっとおいしいわ・・・とちおとめ、あれが好き!」
桜よりキティの方が悔しそうだった。
キティがやってみたいと言って、慎重な手つきでクリームを塗った。
「キティ、これはいつも私がやるんだけど。ちょっとずつ、ケーキを回してくれる?」
真剣な顔でキティは頷いて、そっと皿ごとケーキを動かした。
幼稚園の頃から、母親が家族の誕生日には必ず作ってくれていた。中学生になったら一緒に作るようになって。
クリスマスケーキはサンタの飾りが可愛いからと買ってくるのだが、誕生日は特別。
桜はクリームを絞った。
「出来た!」
コック達が歓声を上げた。
グレースに手を引っ張られてレイがやってきた。
「まだ目を開けちゃダメ」
「サプライズかい、嬉しいな、どうしよう」
目を閉じたまま椅子に座らせられる。
「はい!レイおじさん、いいよ」
桜が言うと、レイがそっと目を開けた。
「・・・ママ?」
正面に座っていた怜月とケーキを交互に見比べる。
「桜子ちゃんとキティが作ったんですって。シャーロットが得意なケーキらしいわ」
「姉さんの?・・・信じられない、あの姉さんが、ケーキなんて・・・」
母はよっぽど生活能力が低かったらしい。
いつも、片付けしろとか夕食のお手伝いしてとか煩いのに。
その後、レイモンドが家族写真を見たがり、桜は鳩のクッキーの缶を持ってきた。
「わあ、宝箱ね・・・」
キティが覗き込んだ。
缶に入っていた花や鳥の形の折り紙を手にとってはしげしげと見ている。
「これが姉さんのハズバンド・・・」
ハズバンド、と言われて桜は吹き出した。
「これはチェリーが小さい頃だね。可愛いな」
七五三の時に撮った写真だ。
赤い着物姿で近所の猫と一緒に写っている。
入学式や卒業式の写真も。
メガネをかけて、怜月も見入っていた。
スーツやワンピース姿の娘の胸元に必ずカメオがあることに気付き微笑む。
「これはもうちゃんとあの子のものになったのね」
嬉しそうだ。
「すごい、チェリー。立体の星だわ!」
キティが手のひらに乗るぐらいの紙細工の黄色い星を取り出した。
「これも折り紙なの?」
「うん」
キティがやって見せてと言って、小さな星を手渡した。
これを一度分解して見せればわかりやすいだろうか、と桜は考えた。
「あれ?」
なんだか重い。中に何か入っているようだ。
振るとコロコロ音がする。
小学生の時にこの中に飴やビー玉を入れて友達と交換するのが流行ったのだ。
それをそのまま入れていたのだろうか。
桜はそっと折り目を外した。
驚いた事に、出てきたのは、指輪。
「これ、ダイヤじゃない?ねぇママ、ダイヤよね」
キティが歓声を上げた。
「見せて。・・・大きいしきれい!ねぇ、これショーメだわ!すごい!シャーロットの結婚指輪なんじゃない?」
桜はもしかして、て思って怜月を見た。
彼女はちょっと得意げに微笑んで見せた。
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