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27.お別れの打ち上げ花火
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大哥の時はちょっと大変だった。
ママが亡くなって、大哥はすっかり落ち込んでしまったの。
金蘭大夜総会の経営から手を引いて、処分してしまったほど。
あれだけパーティーが大好きだった大哥が、出かける事も減ってしまって。
映画の演出もしていたけれど、それにも興味を失ってしまった。
太太達がよくお店に来て、大哥が心配だと嘆いていたの。
彼女達もママが亡くなった事も勿論知っていましたけれど「今日は鳳姐とお月様に会って一緒にお食事して来たわ」と言うと、それは半分嘘だけれど、大哥がとても喜ぶからってね。
大哥は、ママの死を受け止めきれなかったのでしょうね。
私に会うと、「鳳は役者として立派な終幕だった、今でもまるで生きているかのように周りが振る舞ってそれを楽しんでくれるなんてすごい事だ」と言ったかと思えば、「食事に行きたいから、明日車を迎えに行かせると鳳に伝えてくれ」なんて本気で言ってみたりね。
私も太太達も、誰もが大哥が大好きでしたし、とにかく愛された人でした。
ある日ね、大哥がお酒を沢山飲んで、階段から転がり落ちてしまったの。
あちこち骨折するやら、目の所なんてパンダみたいに痣になってね。
大哥が大怪我をしたと病院に押しかけた報道陣に、まだ骨がボキボキなのに大急ぎでテイラーで仕立てさせた新しいシャツにガウンとサンローランのサングラス姿で撮影をさせてテレビにも出たのよ。
その後、怪我をした時飲んでいたお酒のメーカーから依頼されて、その広告と、香港保健局の「お酒は控えめに」と言う啓発のポスターの仕事までしていたのは笑ってしまったけれど。
でも打ち所が悪かったのでしょうね。
骨はくっついたのに、ポックリ亡くなってしまったの。
大哥のお葬式はクリスマスの日だったの。
クリスマスのおミサの前にお葬式を終わらせるつもりが、沢山のファンが花束を持って駆けつけるし、テレビは生中継、新聞も雑誌も大騒ぎ。
結局、クリスマスのミサなんだか大哥のお葬式なんだか、特別番組なんだかよくわからなくなってしまった上に、誰がスポンサーになったのかお悔やみの花火まで打ち上がって。
クリスマスにお別れの打ち上げ花火。
派手好きな大哥らしいわよね。
その後の大哥のお悔やみの会は、この店でやったのよ。
それはもう、ママ譲りの表現力の後輩女優や俳優達が、悲しみに暮れてみたり、大哥の思い出話で盛り上がったり。
その様子もテレビや雑誌で報道されたものだから、その後、お客様が沢山詰めかけた。
旦那様は大哥のお葬式以来、お店の経営に本腰を入れるようになってね。
それからは私も旦那様も大忙しの日々が続いたのよ。
何度か動乱もありましたし、不安な日々もありましたけれど、レイモンドが結婚して、グレースにキティが生まれたり、旦那様が亡くなったり。
概ね、私は健闘した人生だと思います。
ママが居たら、きっともっと楽しまなくちゃダメよ、もっと情緒を使わなきゃと言うかもしれないけれど。
私はこれでいい。
でもね、一つだけ。
私のお星様。シャーロットの事だけが気がかりでした。
だから、日本で大きな地震があったと聞いた時、怖くて悲しくて心配で。
そんな時、シャーロットから電話が来て、どれだけ嬉しかったか。
桜子ちゃん、あなたに会えて、どれだけ嬉しかったでしょう。
ええ、私は泣いてしまいましたけど。
ママならそうね、歌でも歌うところでしょうか。
ママが亡くなって、大哥はすっかり落ち込んでしまったの。
金蘭大夜総会の経営から手を引いて、処分してしまったほど。
あれだけパーティーが大好きだった大哥が、出かける事も減ってしまって。
映画の演出もしていたけれど、それにも興味を失ってしまった。
太太達がよくお店に来て、大哥が心配だと嘆いていたの。
彼女達もママが亡くなった事も勿論知っていましたけれど「今日は鳳姐とお月様に会って一緒にお食事して来たわ」と言うと、それは半分嘘だけれど、大哥がとても喜ぶからってね。
大哥は、ママの死を受け止めきれなかったのでしょうね。
私に会うと、「鳳は役者として立派な終幕だった、今でもまるで生きているかのように周りが振る舞ってそれを楽しんでくれるなんてすごい事だ」と言ったかと思えば、「食事に行きたいから、明日車を迎えに行かせると鳳に伝えてくれ」なんて本気で言ってみたりね。
私も太太達も、誰もが大哥が大好きでしたし、とにかく愛された人でした。
ある日ね、大哥がお酒を沢山飲んで、階段から転がり落ちてしまったの。
あちこち骨折するやら、目の所なんてパンダみたいに痣になってね。
大哥が大怪我をしたと病院に押しかけた報道陣に、まだ骨がボキボキなのに大急ぎでテイラーで仕立てさせた新しいシャツにガウンとサンローランのサングラス姿で撮影をさせてテレビにも出たのよ。
その後、怪我をした時飲んでいたお酒のメーカーから依頼されて、その広告と、香港保健局の「お酒は控えめに」と言う啓発のポスターの仕事までしていたのは笑ってしまったけれど。
でも打ち所が悪かったのでしょうね。
骨はくっついたのに、ポックリ亡くなってしまったの。
大哥のお葬式はクリスマスの日だったの。
クリスマスのおミサの前にお葬式を終わらせるつもりが、沢山のファンが花束を持って駆けつけるし、テレビは生中継、新聞も雑誌も大騒ぎ。
結局、クリスマスのミサなんだか大哥のお葬式なんだか、特別番組なんだかよくわからなくなってしまった上に、誰がスポンサーになったのかお悔やみの花火まで打ち上がって。
クリスマスにお別れの打ち上げ花火。
派手好きな大哥らしいわよね。
その後の大哥のお悔やみの会は、この店でやったのよ。
それはもう、ママ譲りの表現力の後輩女優や俳優達が、悲しみに暮れてみたり、大哥の思い出話で盛り上がったり。
その様子もテレビや雑誌で報道されたものだから、その後、お客様が沢山詰めかけた。
旦那様は大哥のお葬式以来、お店の経営に本腰を入れるようになってね。
それからは私も旦那様も大忙しの日々が続いたのよ。
何度か動乱もありましたし、不安な日々もありましたけれど、レイモンドが結婚して、グレースにキティが生まれたり、旦那様が亡くなったり。
概ね、私は健闘した人生だと思います。
ママが居たら、きっともっと楽しまなくちゃダメよ、もっと情緒を使わなきゃと言うかもしれないけれど。
私はこれでいい。
でもね、一つだけ。
私のお星様。シャーロットの事だけが気がかりでした。
だから、日本で大きな地震があったと聞いた時、怖くて悲しくて心配で。
そんな時、シャーロットから電話が来て、どれだけ嬉しかったか。
桜子ちゃん、あなたに会えて、どれだけ嬉しかったでしょう。
ええ、私は泣いてしまいましたけど。
ママならそうね、歌でも歌うところでしょうか。
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