美形しかいない乙女ゲームの中の悪役令嬢に転生してしまったのですが誰か助けてください…。

第三王子

どうやら前世の授業は優しかった様です…。

　キィ、とドアの開く音がした。

「おはようございます。」

そういうと、コツ、コツ、と音をたてて教室の一番前…前世では黒板があった透明な板の前にたつ。
レヴィ―様は私達に軽く会釈をして、言った。

「さあ、はじめましょうか。」

そこから始まったのだ。地獄の座学が。

★彡☆彡

前世の授業がいかに優しかったかを知った、と言えばいいだろうか。
まず、スピードについていけない。
あの透明な板は、青い文字で書かれる文字や、発動された魔法を見易くするためだった。
もう少し分かり易く言うと、レヴィ―様は自分でも字を書いていない。
幻属性の魔法で、次々とレヴィ―様の言った文字や単語が浮かんでくるのだ。
元々は相手に幻覚や幻聴を浴びせ、怯えさせたり、隙を見せさせたり、時には自害をさせる為の攻撃魔法だが、それをもっと弱くさせると、こんな風に魔法特有の青い文字(本来は見えない)だけを見せたりすることが出来るらしい。
…普通にリスキーである。
チラッと殿下を横目で見る。
物凄いスピードでノートにレヴィ―様の言ったことを書いている。
…なるほど。そういう事か。
昨日の殿下のあの表情の意味が分かった気がした。