6 / 10
地獄編
巨乳と貧乳
しおりを挟む
ー一ー
うわぁぁぁぁぁ!
朝から叫び声が聞こえるのは今日で二回目である。しかし、今日聞こえた悲鳴はサクラの声ではなかった。
「なに、叫んでるの?」
サクラはサトシの叫び声を聞き見に行って見ると、顔から血の気がひいて真っ青になった顔をこっちに向けブルブルと震えているサトシがいた。
「ト、トカゲが……」
指さす先には5センチ位のトカゲがいた。お兄ちゃんはトカゲが嫌いというか、爬虫類が嫌いらしい。
「はいはい、トカゲくらい何処にでもいるよ、それにこんなボロ屋なんだから」
サクラはサトシをテキトーにあしらい教育係の人が来る前に朝食を済ませようとパンを焼く事にした。地獄でも人間界と変わらない食材が手に入るらしく食生活は変わらなくてホットしていた。でも、変な生き物を食材として赤鬼が昨日の夜持って来たのでゾッとした。
「どうして、テキトーにあしらうんだよ!」
サトシはあしらわれた事が気に食わなかったらしくサクラに叫んだ。
「お兄ちゃんだって昨日蜘蛛が出た時に私をあしらったじゃん!」
サクラも負けまいと意地を張る。
「蜘蛛だろ!たかが蜘蛛だろ!?」
「何がたかがよ!私から言わせたらたかがトカゲよ!」
「ぐっ」
どうやら、今回の勝者はサクラのようだ。二人が口論しいる間にトカゲも逃げ、焼いていたパンも焼けた。
「ほら、お兄ちゃん……朝ご飯できたよ」
「あ、ありがとう」
サクラから貰ったパンをサトシはバツが悪そうに口に詰め込む。
朝食も食べ悪魔専用スーツに着替えて仕事に行く準備をしていると……。
コンコン
扉を叩く音がした。
「はーい!今出るから待っててくれ」
今日は悪魔の教育係が二人を迎えに来ることになっていた。二人は鬼の教育係である『朧』のように美しくて優しい教育係を期待していた。特に兄のサトシは別のところにも期待していた。
サトシは勢いよく扉を開いた。
「今日一日よろしくお願いしまーす!」
超高速でお辞儀をしたサトシ、僅かばかりの風が教育係を吹き抜けた。
「私は…………」
頭を下げているのがいけないのか教育係の言っている事が聞こえずらかった。ボソボソっと何かを言ったのは分かったが内容まで聞き取れなかった。
「え?何か言いました?」
サトシは首だけ上に向け教育係に聞き返した。
「私はお前たちがあの御方の子供だとは認めん!」
教育係はサトシとサクラに敵意を剥き出しにして言った。
「え?」
サトシより先にサクラが反応した。
「認めないってどういう……」
いきなりの事で混乱するサクラに追い討ちがくる。
「お前たちのような責任もなく力もない奴を認めてたまるか!閻魔様の命令だから従うが私はお前たちを認めん!特にお前!」
そう言って、サトシに指さす。
「なん……でだよ」
サトシの唇が怒りで震え、その口からこぼれ落ちるように言葉が聞こえる。
「なぜかだと?さっき言ったではないか!聞いていなかったのか!」
教育係はまたしても敵意を向けて叫ぶ……が次の瞬間。
「期待してた通り女の人だった。ああ、全くもって幸運だ。それに声もツンデレ系の声で俺好みと来た!紅く燃えるような瞳に萌を感じ黒髪ロングに心を抉られた!なのに、なのに……」
サトシはいきなりブツブツと一人で話し始めた。そして……
「どうして、そこまで完璧なのに『貧乳』なんだよォォォォ!」
「なっ!?」
「お兄ちゃん!?」
サトシは許せなかった。ここまで心を鷲掴みにされたのに巨乳ではなく貧乳だったことをサトシは許せなかった。
だが、そんな事は教育係からすれば知った話ではない、むしろ腹が立ってしょうがない。故にこの後の展開を予想するのは容易かった。
「余計なお世話だ!ボケェェェェェ!」
ドーン!!
「ぶべらっ!」
物凄い勢いで殴られたサトシ……そのまま吹っ飛んでいき、ボロ屋に激突。
サトシの余計なセリフのおかげでボロ屋は半壊する事になった。
ー二ー
「コホン、私はソロモン72柱の魔神リゼル公爵の娘ベラーゼだ!今日は私がビシバシとしごいてやるからな!」
教育係はベラーゼと名乗りボロボロのサトシに指さした。
「ソロモン72柱?」
サクラは聞きなれない言葉に首をかしげた。
「む?知らないのか貴様!ソロモン72柱の魔神とは、召喚士であるソロモン王が地獄で最も強い72人を召喚して、召喚した悪魔を使い魔にしたのがソロモン72柱の魔神だ」
ソロモンという名前は知っている。よくアニメやゲームなどで聞いたことがあった。
「お前達には我ら悪魔担当の地獄の最深部氷地獄に行ってもらう。そこであるヤツの世話をしてもらう」
「悪魔担当の地獄ってどのくらいあるんだ?」
気になった事を聞いただけなのに、ベラーゼは顔を歪ませとても嫌そうな顔をした。けれど、最終的には説明をしてくれた。
「九層構成だ。詳しくはその場で教えてやる、ついて来い!」
そう言うとベラーゼは先々と二人を置いて歩き出した。二人は離されないようにベラーゼの後をおった。
ー三ー
一面氷、見渡す限り氷。
何もかもが凍る場所、血も涙も心も……そして、時間さえも凍る場所。それが氷地獄である。
数百万人の数の罪人が氷漬けにされ時間と自由を奪われ永遠の時を費やしていた。
その中に一人、血も涙も時間さえ凍っていても心は凍っていない者がいた。
六枚の黒い翼に美形の顔立ち……。
(もう少し、もう少しでこの地獄が終わる!)
荒れ狂う吹雪の中でこのような事を思っているとは誰も知る由もなかった。
うわぁぁぁぁぁ!
朝から叫び声が聞こえるのは今日で二回目である。しかし、今日聞こえた悲鳴はサクラの声ではなかった。
「なに、叫んでるの?」
サクラはサトシの叫び声を聞き見に行って見ると、顔から血の気がひいて真っ青になった顔をこっちに向けブルブルと震えているサトシがいた。
「ト、トカゲが……」
指さす先には5センチ位のトカゲがいた。お兄ちゃんはトカゲが嫌いというか、爬虫類が嫌いらしい。
「はいはい、トカゲくらい何処にでもいるよ、それにこんなボロ屋なんだから」
サクラはサトシをテキトーにあしらい教育係の人が来る前に朝食を済ませようとパンを焼く事にした。地獄でも人間界と変わらない食材が手に入るらしく食生活は変わらなくてホットしていた。でも、変な生き物を食材として赤鬼が昨日の夜持って来たのでゾッとした。
「どうして、テキトーにあしらうんだよ!」
サトシはあしらわれた事が気に食わなかったらしくサクラに叫んだ。
「お兄ちゃんだって昨日蜘蛛が出た時に私をあしらったじゃん!」
サクラも負けまいと意地を張る。
「蜘蛛だろ!たかが蜘蛛だろ!?」
「何がたかがよ!私から言わせたらたかがトカゲよ!」
「ぐっ」
どうやら、今回の勝者はサクラのようだ。二人が口論しいる間にトカゲも逃げ、焼いていたパンも焼けた。
「ほら、お兄ちゃん……朝ご飯できたよ」
「あ、ありがとう」
サクラから貰ったパンをサトシはバツが悪そうに口に詰め込む。
朝食も食べ悪魔専用スーツに着替えて仕事に行く準備をしていると……。
コンコン
扉を叩く音がした。
「はーい!今出るから待っててくれ」
今日は悪魔の教育係が二人を迎えに来ることになっていた。二人は鬼の教育係である『朧』のように美しくて優しい教育係を期待していた。特に兄のサトシは別のところにも期待していた。
サトシは勢いよく扉を開いた。
「今日一日よろしくお願いしまーす!」
超高速でお辞儀をしたサトシ、僅かばかりの風が教育係を吹き抜けた。
「私は…………」
頭を下げているのがいけないのか教育係の言っている事が聞こえずらかった。ボソボソっと何かを言ったのは分かったが内容まで聞き取れなかった。
「え?何か言いました?」
サトシは首だけ上に向け教育係に聞き返した。
「私はお前たちがあの御方の子供だとは認めん!」
教育係はサトシとサクラに敵意を剥き出しにして言った。
「え?」
サトシより先にサクラが反応した。
「認めないってどういう……」
いきなりの事で混乱するサクラに追い討ちがくる。
「お前たちのような責任もなく力もない奴を認めてたまるか!閻魔様の命令だから従うが私はお前たちを認めん!特にお前!」
そう言って、サトシに指さす。
「なん……でだよ」
サトシの唇が怒りで震え、その口からこぼれ落ちるように言葉が聞こえる。
「なぜかだと?さっき言ったではないか!聞いていなかったのか!」
教育係はまたしても敵意を向けて叫ぶ……が次の瞬間。
「期待してた通り女の人だった。ああ、全くもって幸運だ。それに声もツンデレ系の声で俺好みと来た!紅く燃えるような瞳に萌を感じ黒髪ロングに心を抉られた!なのに、なのに……」
サトシはいきなりブツブツと一人で話し始めた。そして……
「どうして、そこまで完璧なのに『貧乳』なんだよォォォォ!」
「なっ!?」
「お兄ちゃん!?」
サトシは許せなかった。ここまで心を鷲掴みにされたのに巨乳ではなく貧乳だったことをサトシは許せなかった。
だが、そんな事は教育係からすれば知った話ではない、むしろ腹が立ってしょうがない。故にこの後の展開を予想するのは容易かった。
「余計なお世話だ!ボケェェェェェ!」
ドーン!!
「ぶべらっ!」
物凄い勢いで殴られたサトシ……そのまま吹っ飛んでいき、ボロ屋に激突。
サトシの余計なセリフのおかげでボロ屋は半壊する事になった。
ー二ー
「コホン、私はソロモン72柱の魔神リゼル公爵の娘ベラーゼだ!今日は私がビシバシとしごいてやるからな!」
教育係はベラーゼと名乗りボロボロのサトシに指さした。
「ソロモン72柱?」
サクラは聞きなれない言葉に首をかしげた。
「む?知らないのか貴様!ソロモン72柱の魔神とは、召喚士であるソロモン王が地獄で最も強い72人を召喚して、召喚した悪魔を使い魔にしたのがソロモン72柱の魔神だ」
ソロモンという名前は知っている。よくアニメやゲームなどで聞いたことがあった。
「お前達には我ら悪魔担当の地獄の最深部氷地獄に行ってもらう。そこであるヤツの世話をしてもらう」
「悪魔担当の地獄ってどのくらいあるんだ?」
気になった事を聞いただけなのに、ベラーゼは顔を歪ませとても嫌そうな顔をした。けれど、最終的には説明をしてくれた。
「九層構成だ。詳しくはその場で教えてやる、ついて来い!」
そう言うとベラーゼは先々と二人を置いて歩き出した。二人は離されないようにベラーゼの後をおった。
ー三ー
一面氷、見渡す限り氷。
何もかもが凍る場所、血も涙も心も……そして、時間さえも凍る場所。それが氷地獄である。
数百万人の数の罪人が氷漬けにされ時間と自由を奪われ永遠の時を費やしていた。
その中に一人、血も涙も時間さえ凍っていても心は凍っていない者がいた。
六枚の黒い翼に美形の顔立ち……。
(もう少し、もう少しでこの地獄が終わる!)
荒れ狂う吹雪の中でこのような事を思っているとは誰も知る由もなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる