地獄のお仕事!

由夜

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地獄編

巨乳と貧乳

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ー一ー
うわぁぁぁぁぁ!
朝から叫び声が聞こえるのは今日で二回目である。しかし、今日聞こえた悲鳴はサクラの声ではなかった。
「なに、叫んでるの?」
サクラはサトシの叫び声を聞き見に行って見ると、顔から血の気がひいて真っ青になった顔をこっちに向けブルブルと震えているサトシがいた。
「ト、トカゲが……」
指さす先には5センチ位のトカゲがいた。お兄ちゃんはトカゲが嫌いというか、爬虫類が嫌いらしい。
「はいはい、トカゲくらい何処にでもいるよ、それにこんなボロ屋なんだから」
サクラはサトシをテキトーにあしらい教育係の人が来る前に朝食を済ませようとパンを焼く事にした。地獄でも人間界と変わらない食材が手に入るらしく食生活は変わらなくてホットしていた。でも、変な生き物を食材として赤鬼が昨日の夜持って来たのでゾッとした。
「どうして、テキトーにあしらうんだよ!」
サトシはあしらわれた事が気に食わなかったらしくサクラに叫んだ。
「お兄ちゃんだって昨日蜘蛛が出た時に私をあしらったじゃん!」
サクラも負けまいと意地を張る。
「蜘蛛だろ!たかが蜘蛛だろ!?」
「何がたかがよ!私から言わせたらたかがトカゲよ!」
「ぐっ」
どうやら、今回の勝者はサクラのようだ。二人が口論しいる間にトカゲも逃げ、焼いていたパンも焼けた。
「ほら、お兄ちゃん……朝ご飯できたよ」
「あ、ありがとう」
サクラから貰ったパンをサトシはバツが悪そうに口に詰め込む。
朝食も食べ悪魔専用スーツに着替えて仕事に行く準備をしていると……。
コンコン
扉を叩く音がした。
「はーい!今出るから待っててくれ」
今日は悪魔の教育係が二人を迎えに来ることになっていた。二人は鬼の教育係である『朧』のように美しくて優しい教育係を期待していた。特に兄のサトシは別のところにも期待していた。
サトシは勢いよく扉を開いた。
「今日一日よろしくお願いしまーす!」
超高速でお辞儀をしたサトシ、僅かばかりの風が教育係を吹き抜けた。
「私は…………」
頭を下げているのがいけないのか教育係の言っている事が聞こえずらかった。ボソボソっと何かを言ったのは分かったが内容まで聞き取れなかった。
「え?何か言いました?」
サトシは首だけ上に向け教育係に聞き返した。
「私はお前たちがあの御方の子供だとは認めん!」
教育係はサトシとサクラに敵意を剥き出しにして言った。
「え?」
サトシより先にサクラが反応した。
「認めないってどういう……」
いきなりの事で混乱するサクラに追い討ちがくる。
「お前たちのような責任もなく力もない奴を認めてたまるか!閻魔様の命令だから従うが私はお前たちを認めん!特にお前!」
そう言って、サトシに指さす。
「なん……でだよ」
サトシの唇が怒りで震え、その口からこぼれ落ちるように言葉が聞こえる。
「なぜかだと?さっき言ったではないか!聞いていなかったのか!」
教育係はまたしても敵意を向けて叫ぶ……が次の瞬間。
「期待してた通り女の人だった。ああ、全くもって幸運だ。それに声もツンデレ系の声で俺好みと来た!紅く燃えるような瞳に萌を感じ黒髪ロングに心を抉られた!なのに、なのに……」
サトシはいきなりブツブツと一人で話し始めた。そして……
「どうして、そこまで完璧なのに『』なんだよォォォォ!」
「なっ!?」
「お兄ちゃん!?」
サトシは許せなかった。ここまで心を鷲掴みにされたのに巨乳ではなくだったことをサトシは許せなかった。
だが、そんな事は教育係からすれば知った話ではない、むしろ腹が立ってしょうがない。故にこの後の展開を予想するのは容易かった。
「余計なお世話だ!ボケェェェェェ!」
ドーン!!
「ぶべらっ!」
物凄い勢いで殴られたサトシ……そのまま吹っ飛んでいき、ボロ屋に激突。
サトシの余計なセリフのおかげでボロ屋は半壊する事になった。
ー二ー
「コホン、私は72リゼル公爵の娘ベラーゼだ!今日は私がビシバシとしごいてやるからな!」
教育係はベラーゼと名乗りボロボロのサトシに指さした。
「ソロモン72柱?」
サクラは聞きなれない言葉に首をかしげた。
「む?知らないのか貴様!ソロモン72柱の魔神とは、召喚士であるソロモン王が地獄で最も強い72人を召喚して、召喚した悪魔を使い魔にしたのがソロモン72柱の魔神だ」
ソロモンという名前は知っている。よくアニメやゲームなどで聞いたことがあった。
「お前達には我ら悪魔担当の地獄の最深部氷地獄コキュートスに行ってもらう。そこであるの世話をしてもらう」
「悪魔担当の地獄ってどのくらいあるんだ?」
気になった事を聞いただけなのに、ベラーゼは顔を歪ませとても嫌そうな顔をした。けれど、最終的には説明をしてくれた。
「九層構成だ。詳しくはその場で教えてやる、ついて来い!」
そう言うとベラーゼは先々と二人を置いて歩き出した。二人は離されないようにベラーゼの後をおった。
ー三ー
一面氷、見渡す限り氷。
何もかもが凍る場所、血も涙も心も……そして、時間さえも凍る場所。それが氷地獄コキュートスである。
数百万人の数の罪人が氷漬けにされ時間と自由を奪われ永遠の時を費やしていた。
その中に一人、血も涙も時間さえ凍っていても心は凍っていない者がいた。
六枚の黒い翼に美形の顔立ち……。
(もう少し、もう少しでこの地獄が終わる!)
荒れ狂う吹雪の中でこのような事を思っているとは誰も知る由もなかった。
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