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堕天使・ルシファー編
堕天使・ルシファー
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ー一ー
サトシとサクラそして教育係のベラーゼは大きくて禍々しい門、通称『地獄の門』をくぐり悪魔担当の九層の地獄の内の一層目に突入しかけていた。
「ベラーゼさん!もう少し大きい船はなかったんですか?」
今、3人はアケローンの川を渡っていた。
しかし、3人が乗るには今の船はあまりにも小さ過ぎた。サトシは座ることも出来ずひたすらオールを漕ぐ始末だ。
「そう言っても仕方が無いだろう。冥府の渡守の〝カロン〟はこの船しか持ってないと言うのだから」
サトシはただ、無心で三十分近くオールを漕ぎ続きている。妹のサクラは船の大きさにケチをつけベラーゼとずっと口論をしている。故にサトシの役目を交代してくれる者は第一層の辺獄に着くまで現れなかった。
「はぁはぁ、やっと……着いた」
「あれ?お兄ちゃん、どうして疲れてるの?」
サクラはキョトンとした顔でサトシの地雷を踏んだ。
「約1時間オールを漕いでたからだよ!サクラもベラーゼもオール漕ぐのかわれよ!」
「ご、ごめん!私全く気づいてなかった」
「なに?たかが1時間だろ、そのくらい耐えなくて何がサタン様とリリス様の子供だ!」
サクラは兄だけに漕がせたことを後悔して素直に謝ったが、ベラーゼは逆にサトシが貧弱だと怒り出した。
「お前!?まだその話を持ち出すのかよ!」
「当たり前だ!だいたい貴様という奴は……」
「ベ、ベラーゼさん!お兄ちゃんを怒るのはそのくらいにして、此処がどういう地獄なのか説明してほしいな!」
俺とベラーゼの口喧嘩が始まるのを察知したサクラは上手くフォローを入れ口喧嘩を阻止した。
「う、そうだな。此処は第一層『辺獄』だ」
どうやら、サクラの言葉が効いたらしく地獄の説明をし始めた。
「閻魔様は天国行きか地獄行きかを決めているが、ここの裁判官であるミーノスは悪魔担当の地獄に来た者たちをさらに九層の地獄に振り分けしているんだ」
ベラーゼが話す後ろで傍聴席のようなところに黒くボロボロのローブを身にまとった老人がいた。
「あそこのおじいさんがミーノスっていう人ですか?」
サクラはベラーゼにミーノスのことを聞いた。すると、ベラーゼより先にミーノスがこちらを向き話しかけてきた。
「そうじゃ、私がミーノスじゃが?そう言うお嬢ちゃんとそこのお兄さんはだれじゃベラーゼ?」
「こちらはサクラでそこのモヤシがサトウです。二人ともサタン様とリリス様の子供ですミーノス」
「誰がモヤシだ!てかサトウじゃなくてサトシだ!」
ミーノスの疑問にベラーゼは答えた。
しかし、ベラーゼはわざとサトシの名前を間違えこちらに勝ち誇ったかのような顔を向けていた。
「ふむ、この2人がか……」
「はい、ついでに氷地獄のアイツの確認をさせようとと思っています。先に進んでいいですか?」
ミーノスは一瞬、眉を動かし動揺を見せたが再び元の落ち着きを見せた。
「いいのか?もしもの事があったら……」
「もしもで終わってしまう程度なら救世主などにはなれないですよミーノス」
「確かにそうじゃが……いや、ベラーゼが言うのなら仕方あるまい。分かった先に進むことを許可する」
なにやら、ミーノスとベラーゼの2人で話しているようだ。
「何の話だ?」
サトシはミーノスとベラーゼが話を終わらした、頃合を狙い話しかけた。
「貴様の力の話だ!先に行く許可が出たから早く先に進むぞ!」
どうして、俺にはいつも敵対心剥き出しなのかなぁ~?
サトシはそう思いながら小走りのベラーゼの後をサクラと2人で追った。
ー二ー
第一層の辺獄を抜け半日たった。
今は第八層の『悪意者の地獄』に到着していた。これまで第二層の『愛欲者の地獄』で肉体の欲に溺れた人間たちの間を通ったり(第二層の間サクラは常に耳と目を塞いでいた)
次に第三層の『貧食者の地獄』では大食の罪を犯した者達が地獄の番犬で有名な『ケロベロス』に引きちぎられのたうち回っていた。それをまたぎ第四層へ向かった。
そして、第四層『貧欲者の地獄』に到着してみると金欲に目が眩んだ愚かな金持ちたちが大量のお金を袋につまれ、それを背負ってひたすら歩かされていた。サクラも俺も見た事のないお金の量に危うく金欲が爆発するところだった。
第四層を耐え第五層の『憤怒者の地獄』に到着したにも関わらず、着いて早々怒り狂った、変なおじさんに絡まれて3人とも逃げるように第六層に向かった。(ベラーゼが逃げずに蹴散らしてくれれば良かったのに)
第六層『異端者の地獄』と第七層『暴力者の地獄』あたりからは人が引き裂かれようが踏み砕かれようが、気にしなくなっていた。そして、今に至る。
「なぁ、もうそろそろ半日経つけどまだ仕事続くのか?」
「何言ってるんだ、悪魔担当の地獄の距離はケタ違いで第九層の『裏切り者の地獄』まで約11時間かかるんだ。あと30分で着く、それに今日は不本意ではあるが私の家に泊めてやる。安心しろ」
最後の方を誤魔化してプイッとそっぽを向き先に進んでいった。
第九層『裏切り者の地獄』通称氷地獄に近づいていくほど寒くなってきている。さっきまで温かったにもかかわらず、今では鼻水が凍るほど寒い。
「よし、着いたぞ!ここが貴様たちの今日の仕事場だ!」
ー三ー
遂に最終層である、氷地獄に辿りついた。
「俺達は何をすればいいんだ?」
サトシは仕事場に着いた事を確認して仕事内容をベラーゼから聞くことにした。
「ここ、最終層は『裏切り者の地獄』と言われているところだ。名前の通り裏切りという大罪を犯した者がいる地獄だ」
裏切り……それはこの世の中で一番重い罪だとされている。
「裏切りを行った者は皆、ここの地獄で心も体も時間さえも凍ったまま永遠を過ごすことになっている。そして、一人だけ裏切りの中でも別段重い裏切りをした者がいた」
「堕天使・ルシファー」
「ッ!?」
ベラーゼは驚き、息を小さく呑んだ。
なぜ、サトシが自分の次の言葉を分かったのかと……。
サトシは知っていた。
かつて、天使長の座を治めいた大天使は二人いた。一人が今の天使長である『ミカエル』そしてもう一人が『ルシファー』である。ルシファーは傲慢故に自分の力を過信し傲慢故に自分の為の世界を創ろうとした結果、裏切りの中でも最も重い〝主を裏切る〟ことになった。
そして、神の力で地獄に堕とされ天使長・ルシファーは堕天使・ルシファーとなり氷地獄の第四の円ジュデッカで氷に幽閉された。
「やはり、貴様はあの御方の子供ということか……。そのルシファーが今もしっかり幽閉されているか確認することが今日の仕事だ」
なるほど、そうと決まれば早めに終わらせてベラーゼの家でゆっくりさせてもらうことにするか……あれ?
「おい、ベラーゼ!サクラは何処だ!?」
周囲を見渡したがそこにサクラの姿は無かった。
「なに!?私達が話している間に何処かに言ってしまったのか?」
「サクラーー!」
サクラの返事はなく、声が反響するだけだった。
その時……
「クク、クククッ!クギャハハハハ!」
不気味な笑い声が聞こえ、俺の呼び掛けのように笑い声も反響してさらに不気味さが増した。横のベラーゼを見てみると、先程よりも強く驚き小刻みに体が震えていた。
「な……なぜお前が」
「あれあれあれ~?もしかしてベラーゼちゃんだったりするのかなぁぁぁあ!だとしたら、大きくなったってものだねぇえ!グギャハハハ!」
ベラーゼの事を知っている?てか、こいつかなり頭おかしいぞ……
「おい、ベラーゼ知り合いか?」
「クンクン……ッハ!?この匂いぃぃぃ!サタンとリリスの匂いが混ざったようなこの匂いぃい!ぁぁぁああああああ!最……高ッ!」
に、匂いで俺が何者か分かるのかこいつは!?
「アイツは、さっき話した堕天使・ルシファーだ!」
「ッ!?」
「はい!名前を呼ばれました堕天使ことルシファーだぜぇぇぇえ!ギャハハググハハハ!」
堕天使・ルシファーだと!氷に幽閉されてるんじゃないのかよ!
「あああ~、不思議だよねぇ?不思議だよねぇ?どうして俺が氷から出てきてるか不思議だよねぇえええ!と・く・べ・つ・にぃぃぃい!どうして、氷から出てこれたか教えてあげるぜぇぇぇぇ!」
そう言うとルシファーは六枚の漆黒の翼を広げた。そこには……
「こ~~~の~~~こ~~~がッ!俺を僕を私を救ってくれたのでずぅぅぅぅ!しかし、実にいい脚ですねぇ!スリスリ、あスリスリスリィィ!」
サクラ!どうして、サクラがルシファーのところに!
ルシファーはサクラを抱き上げ脚に頬ずりをし始めた。
「やめろぉぉお!この変態天使がぁ!」
「はい?変態?いえいえ!私がこうしたいからするだけです!私がしたいのだから私がして何がわるいんです?」
「なに、子供みたいにわがまま言ってるんだ!」
「ん?違うよベラーゼちゃん!わがままじゃなくて『傲慢』って言ってほしぃねぇえ!」
どうやら、アイツは一発殴らないと分からねぇ見たいだな……。けど、角が生えたばっかの俺にいきなり堕天使・ルシファーを倒すことなんて無理だ。早くサクラをアイツから助け出してやらないと……やはりここは
「ベラーゼ、何怯えてんだよ」
「なっ!なに!?どうして私が怯えていることになるんだ!」
「小刻みに震えてるのが分かんだよ!」
ルシファーが現れた瞬間から今までずっと震えているのだベラーゼは……それほどルシファーが恐ろしいという事だ。
「ふんっ!ぬかせ、たかが角が少し生えたひょっこが!」
掛かった!こうなれば、もう俺の物だ!
「ああ、俺はひょっこだ!だからベラーゼ、アンタの力を貸してくれ!サクラをあの変態から救いたい!」
ベラーゼは何も言わずサトシの目を見つめた。
「分かった、力を貸そう!勘違いするなよ!私はただ、このままルシファーが逃げてはいけないから協力してやるだけだ!」
なに?ここに来てツンデレ発動?
「なになに?こそこそ話?俺にも聞かせてくれよぉぉ!ググググギャァァア!」
「ああ、教えてやるよ!お前みたいな変態やろうから大切な可愛い妹を救い出すんだよ!」
まさか、救世主になって最初に救うのが妹になるとは思っても見なかったな。
堕天使・ルシファー
VS
救世主・日向サトシ
&
悪魔公爵・ベラーゼ
サトシとサクラそして教育係のベラーゼは大きくて禍々しい門、通称『地獄の門』をくぐり悪魔担当の九層の地獄の内の一層目に突入しかけていた。
「ベラーゼさん!もう少し大きい船はなかったんですか?」
今、3人はアケローンの川を渡っていた。
しかし、3人が乗るには今の船はあまりにも小さ過ぎた。サトシは座ることも出来ずひたすらオールを漕ぐ始末だ。
「そう言っても仕方が無いだろう。冥府の渡守の〝カロン〟はこの船しか持ってないと言うのだから」
サトシはただ、無心で三十分近くオールを漕ぎ続きている。妹のサクラは船の大きさにケチをつけベラーゼとずっと口論をしている。故にサトシの役目を交代してくれる者は第一層の辺獄に着くまで現れなかった。
「はぁはぁ、やっと……着いた」
「あれ?お兄ちゃん、どうして疲れてるの?」
サクラはキョトンとした顔でサトシの地雷を踏んだ。
「約1時間オールを漕いでたからだよ!サクラもベラーゼもオール漕ぐのかわれよ!」
「ご、ごめん!私全く気づいてなかった」
「なに?たかが1時間だろ、そのくらい耐えなくて何がサタン様とリリス様の子供だ!」
サクラは兄だけに漕がせたことを後悔して素直に謝ったが、ベラーゼは逆にサトシが貧弱だと怒り出した。
「お前!?まだその話を持ち出すのかよ!」
「当たり前だ!だいたい貴様という奴は……」
「ベ、ベラーゼさん!お兄ちゃんを怒るのはそのくらいにして、此処がどういう地獄なのか説明してほしいな!」
俺とベラーゼの口喧嘩が始まるのを察知したサクラは上手くフォローを入れ口喧嘩を阻止した。
「う、そうだな。此処は第一層『辺獄』だ」
どうやら、サクラの言葉が効いたらしく地獄の説明をし始めた。
「閻魔様は天国行きか地獄行きかを決めているが、ここの裁判官であるミーノスは悪魔担当の地獄に来た者たちをさらに九層の地獄に振り分けしているんだ」
ベラーゼが話す後ろで傍聴席のようなところに黒くボロボロのローブを身にまとった老人がいた。
「あそこのおじいさんがミーノスっていう人ですか?」
サクラはベラーゼにミーノスのことを聞いた。すると、ベラーゼより先にミーノスがこちらを向き話しかけてきた。
「そうじゃ、私がミーノスじゃが?そう言うお嬢ちゃんとそこのお兄さんはだれじゃベラーゼ?」
「こちらはサクラでそこのモヤシがサトウです。二人ともサタン様とリリス様の子供ですミーノス」
「誰がモヤシだ!てかサトウじゃなくてサトシだ!」
ミーノスの疑問にベラーゼは答えた。
しかし、ベラーゼはわざとサトシの名前を間違えこちらに勝ち誇ったかのような顔を向けていた。
「ふむ、この2人がか……」
「はい、ついでに氷地獄のアイツの確認をさせようとと思っています。先に進んでいいですか?」
ミーノスは一瞬、眉を動かし動揺を見せたが再び元の落ち着きを見せた。
「いいのか?もしもの事があったら……」
「もしもで終わってしまう程度なら救世主などにはなれないですよミーノス」
「確かにそうじゃが……いや、ベラーゼが言うのなら仕方あるまい。分かった先に進むことを許可する」
なにやら、ミーノスとベラーゼの2人で話しているようだ。
「何の話だ?」
サトシはミーノスとベラーゼが話を終わらした、頃合を狙い話しかけた。
「貴様の力の話だ!先に行く許可が出たから早く先に進むぞ!」
どうして、俺にはいつも敵対心剥き出しなのかなぁ~?
サトシはそう思いながら小走りのベラーゼの後をサクラと2人で追った。
ー二ー
第一層の辺獄を抜け半日たった。
今は第八層の『悪意者の地獄』に到着していた。これまで第二層の『愛欲者の地獄』で肉体の欲に溺れた人間たちの間を通ったり(第二層の間サクラは常に耳と目を塞いでいた)
次に第三層の『貧食者の地獄』では大食の罪を犯した者達が地獄の番犬で有名な『ケロベロス』に引きちぎられのたうち回っていた。それをまたぎ第四層へ向かった。
そして、第四層『貧欲者の地獄』に到着してみると金欲に目が眩んだ愚かな金持ちたちが大量のお金を袋につまれ、それを背負ってひたすら歩かされていた。サクラも俺も見た事のないお金の量に危うく金欲が爆発するところだった。
第四層を耐え第五層の『憤怒者の地獄』に到着したにも関わらず、着いて早々怒り狂った、変なおじさんに絡まれて3人とも逃げるように第六層に向かった。(ベラーゼが逃げずに蹴散らしてくれれば良かったのに)
第六層『異端者の地獄』と第七層『暴力者の地獄』あたりからは人が引き裂かれようが踏み砕かれようが、気にしなくなっていた。そして、今に至る。
「なぁ、もうそろそろ半日経つけどまだ仕事続くのか?」
「何言ってるんだ、悪魔担当の地獄の距離はケタ違いで第九層の『裏切り者の地獄』まで約11時間かかるんだ。あと30分で着く、それに今日は不本意ではあるが私の家に泊めてやる。安心しろ」
最後の方を誤魔化してプイッとそっぽを向き先に進んでいった。
第九層『裏切り者の地獄』通称氷地獄に近づいていくほど寒くなってきている。さっきまで温かったにもかかわらず、今では鼻水が凍るほど寒い。
「よし、着いたぞ!ここが貴様たちの今日の仕事場だ!」
ー三ー
遂に最終層である、氷地獄に辿りついた。
「俺達は何をすればいいんだ?」
サトシは仕事場に着いた事を確認して仕事内容をベラーゼから聞くことにした。
「ここ、最終層は『裏切り者の地獄』と言われているところだ。名前の通り裏切りという大罪を犯した者がいる地獄だ」
裏切り……それはこの世の中で一番重い罪だとされている。
「裏切りを行った者は皆、ここの地獄で心も体も時間さえも凍ったまま永遠を過ごすことになっている。そして、一人だけ裏切りの中でも別段重い裏切りをした者がいた」
「堕天使・ルシファー」
「ッ!?」
ベラーゼは驚き、息を小さく呑んだ。
なぜ、サトシが自分の次の言葉を分かったのかと……。
サトシは知っていた。
かつて、天使長の座を治めいた大天使は二人いた。一人が今の天使長である『ミカエル』そしてもう一人が『ルシファー』である。ルシファーは傲慢故に自分の力を過信し傲慢故に自分の為の世界を創ろうとした結果、裏切りの中でも最も重い〝主を裏切る〟ことになった。
そして、神の力で地獄に堕とされ天使長・ルシファーは堕天使・ルシファーとなり氷地獄の第四の円ジュデッカで氷に幽閉された。
「やはり、貴様はあの御方の子供ということか……。そのルシファーが今もしっかり幽閉されているか確認することが今日の仕事だ」
なるほど、そうと決まれば早めに終わらせてベラーゼの家でゆっくりさせてもらうことにするか……あれ?
「おい、ベラーゼ!サクラは何処だ!?」
周囲を見渡したがそこにサクラの姿は無かった。
「なに!?私達が話している間に何処かに言ってしまったのか?」
「サクラーー!」
サクラの返事はなく、声が反響するだけだった。
その時……
「クク、クククッ!クギャハハハハ!」
不気味な笑い声が聞こえ、俺の呼び掛けのように笑い声も反響してさらに不気味さが増した。横のベラーゼを見てみると、先程よりも強く驚き小刻みに体が震えていた。
「な……なぜお前が」
「あれあれあれ~?もしかしてベラーゼちゃんだったりするのかなぁぁぁあ!だとしたら、大きくなったってものだねぇえ!グギャハハハ!」
ベラーゼの事を知っている?てか、こいつかなり頭おかしいぞ……
「おい、ベラーゼ知り合いか?」
「クンクン……ッハ!?この匂いぃぃぃ!サタンとリリスの匂いが混ざったようなこの匂いぃい!ぁぁぁああああああ!最……高ッ!」
に、匂いで俺が何者か分かるのかこいつは!?
「アイツは、さっき話した堕天使・ルシファーだ!」
「ッ!?」
「はい!名前を呼ばれました堕天使ことルシファーだぜぇぇぇえ!ギャハハググハハハ!」
堕天使・ルシファーだと!氷に幽閉されてるんじゃないのかよ!
「あああ~、不思議だよねぇ?不思議だよねぇ?どうして俺が氷から出てきてるか不思議だよねぇえええ!と・く・べ・つ・にぃぃぃい!どうして、氷から出てこれたか教えてあげるぜぇぇぇぇ!」
そう言うとルシファーは六枚の漆黒の翼を広げた。そこには……
「こ~~~の~~~こ~~~がッ!俺を僕を私を救ってくれたのでずぅぅぅぅ!しかし、実にいい脚ですねぇ!スリスリ、あスリスリスリィィ!」
サクラ!どうして、サクラがルシファーのところに!
ルシファーはサクラを抱き上げ脚に頬ずりをし始めた。
「やめろぉぉお!この変態天使がぁ!」
「はい?変態?いえいえ!私がこうしたいからするだけです!私がしたいのだから私がして何がわるいんです?」
「なに、子供みたいにわがまま言ってるんだ!」
「ん?違うよベラーゼちゃん!わがままじゃなくて『傲慢』って言ってほしぃねぇえ!」
どうやら、アイツは一発殴らないと分からねぇ見たいだな……。けど、角が生えたばっかの俺にいきなり堕天使・ルシファーを倒すことなんて無理だ。早くサクラをアイツから助け出してやらないと……やはりここは
「ベラーゼ、何怯えてんだよ」
「なっ!なに!?どうして私が怯えていることになるんだ!」
「小刻みに震えてるのが分かんだよ!」
ルシファーが現れた瞬間から今までずっと震えているのだベラーゼは……それほどルシファーが恐ろしいという事だ。
「ふんっ!ぬかせ、たかが角が少し生えたひょっこが!」
掛かった!こうなれば、もう俺の物だ!
「ああ、俺はひょっこだ!だからベラーゼ、アンタの力を貸してくれ!サクラをあの変態から救いたい!」
ベラーゼは何も言わずサトシの目を見つめた。
「分かった、力を貸そう!勘違いするなよ!私はただ、このままルシファーが逃げてはいけないから協力してやるだけだ!」
なに?ここに来てツンデレ発動?
「なになに?こそこそ話?俺にも聞かせてくれよぉぉ!ググググギャァァア!」
「ああ、教えてやるよ!お前みたいな変態やろうから大切な可愛い妹を救い出すんだよ!」
まさか、救世主になって最初に救うのが妹になるとは思っても見なかったな。
堕天使・ルシファー
VS
救世主・日向サトシ
&
悪魔公爵・ベラーゼ
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