俺の妹が前世の恋人で前前世の姉で前前前世の嫁だった。

隣のカキ

文字の大きさ
12 / 17

第12話 幸子

しおりを挟む
 何……だ?

 幸子も頭を押さえている。

 いったい……なに…が?




(好きです。付き合って下さい。

 本当に…? 俺も好きだった。 

 両想いだったんだ……。良かった。



 引っ越したくないなあ。

 ……。

 早く告っとけば良かった。そしたら思い出たくさん作れたのにな……。

 別れたくない。

 私だってそうだけど、きっとお互い負担になっちゃう。だから…ね?)




 突然前世の記憶がフラッシュバックした。

 これは……。怜の魔法の影響なのだろうか?


 幸子は前世で中一の時に付き合っていた元カノだ。期間は一か月と短く、彼女は引っ越しが分かったから勇気を出して告白してくれた。

 当時は中学生が携帯を持つことは珍しく、二人とも携帯を持っていないのに加え、中学生が会えるような距離ではなかった。俺達は泣きながら仕方なしに別れたのだ。


 幸子にも魔法は影響を及ぼしたのだろう。彼女は泣いていた。

「これ……。何? 分からないのに知ってる。私、楠君と昔付き合ってた……。」

「……。」

「私達、付き合ってた事なんて無いのに…でも付き合ってた。」

「……。」

 魔法の事を何て説明して良いか分からない。仮に説明出来たとしても、怜の力を勝手に言いふらす事はしたくない。

 彼女は俺の胸にドッと体を預け……

「ねえ……。お願いだから、少しだけこうさせて。」

 そう言って腕の中で泣いていた。

「この記憶って…何なのかな? 楠君とは高校で初めて会ったはずなのに……。」

 前世の記憶だという事前情報がない為か、彼女は混乱しているようだ。こんな幸子は初めて見る。

「引っ越した後もずっと楠君を忘れられなかった……。何か知ってるんでしょ? 楠君もこの記憶を知ったのが、何となく伝わってきてるの。」

「知ってるけど……話すのは少し待って欲しい。」

 分かった。そう言って彼女はひとしきり泣いた後、少し落ち着きを取り戻したようだ。

「付き合ってないのに付き合った事があるって不思議だね?」

「……そうだな。」

「楠君さえ良かったら、またおっぱい触っても良いよ? いつの間にか、私の忘れられない男になっちゃったみたいだし。」

 照れながらに言う彼女の顔は、あの日々の記憶を鮮明に思い出させる。

 俺も彼女に対して未練が全く無かったワケではないのだ。

「なんだったら、怜ちゃんからお乗り換えしても良いよ?」

「流石にそれは……。」

「だよね。あーあ、もっと早く思い出せてれば…私にもチャンスはあったのかな?」

 せっかく泣き止んだ彼女は、泣きそうな表情になる。

「……。」

「あの時みた…に……ひっ…好きって…っ…言っ…欲しかったな……。」

(幸子……。好きだったよ。)

 俺は当時の幸子を既に思い出にしてしまっていたが、彼女はそうじゃなかったようだ。

 引っ越してしまわなければ、一緒に過ごしたという過去が…もしかしたらあったのだろうか?

「何回も泣いちゃってごめんね?」

「良いよ。俺だってちょっと泣きそうだったからさ。」

「キスして? 合体しろとまでは言わないからさ。したければしても良いけど。」

 涙ぐんで下品な事を言う幸子。

(幸子……。好きだったよ。でも、お前のそういうとこだけは微妙だと思ってた。)

「キスだけなら…。でも、今回かぎ……」
ブチュ―!!

(またこのパターンかよ!?)

 完全に顔面を両手でロックされ、全く引き剥がす事が出来ない。

(どんな力してんだ! 全く外せねぇ!)

 ドサッ

(待て待て! 何故押し倒す!?)

 彼女は倒れた俺に覆い被さり、ガッチリと体をホールドしている。

(う……動けん。)

「プハっ!」

「まいった?」

 何がだよ。勝負でもしてんのか?

「いきなり過ぎだろ…。今回だけだからな?」

「わかった。」

「じゃあ、そろそろ体起こしたいからどい……」
 ブチュー!!

(一回だけ! 一回だけって言った!)

 彼女の力はとても強く、俺が全く抵抗できない。

(ストーップ! 腰を動かすな! 股間と股間をスリスリするなぁぁぁ!)

「プハっ!」

「まいった?」

「わかった! まいったから!」

 幸子は勝ち誇った顔でニンマリとこちらを見ている。

「気持ち良かった?」

「良かっ……」

(待てよ? ここで良かったなんて言えば、続きを要求されそうな気がする。) 

「ったような気がしないでもないような、なんかそんな感じ。」

「ハッキリしないなぁ。でも、ありがとう。」

 責めるような口調の彼女は、少しだけ不満を込めて礼を言う。

「だいぶ無理矢理だったけどな。」

「ごめんね。」

(あんまりごめんと思ってない顔だコレ。それにしても、なんか忘れてるような……。)

 俺は大事な事を思い出した。何故忘れていたのか。

「おっぱいの約束。」

「うん?」

「おっぱい触る約束。今日から毎日揉みしだいて良いって言った。」

 本来は幸子のおっぱいを触る為に屋上へ来たのだ。まだ一瞬しか触れていない。

「そこまでは言ってなくない? 勝手に記憶を捏造するな。」

 ベシっと俺の頭をチョップする幸子。

「オカシイな。何度でも好きにして良いって言ってた気がするんだけど……。」



※幸子はそこまで言っていません。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました

山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。 生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...