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聖女の暴力編
第32話 聖女の祖母
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「冗談よ冗談。言いふらしたりしなければ、そんな事しないわ。」
お母さんはミレイユさんをじっと見ている。瞳孔開いてるよ?
「それは……言いふらしたらするって事じゃねぇか?」
「……。」
お母さん?
「その話は置いといて、おばあちゃんに会ってみる?」
何で一瞬黙ったの?
ミレイユさんが固まってるじゃない。
「会ってみたいけど……会えるの?」
そもそもおばあちゃんが居たって話も初耳なんだけど。
「会えるわよ? ちょっと待ってね。」
お母さんは目を閉じて集中しているみたい。お祈り?
「すぐに来るそうよ。」
突然空中から謎の美女が現れた。この人がおばあちゃん?
「こんにちは。孫に会えると聞いて飛んできたよ。」
やっぱりおばあちゃんだったみたい。
「紹介するわ。私の母、1級悪魔のアンリよ。」
何だか軽い感じの人ね。悪魔なだけあって見た目が若い。
「初めまして。アリエーンの娘、アリエンナと申します。」
「孫が礼儀正しい子で嬉しいわ。アリエーンと同じで私より美人なのがちょっとムカつくけど……でも可愛いから許しちゃう。」
確かにおばあちゃんの言う通り、お母さんの方が美人だった。
「あら? アリエンナちゃんもかなり強くない?」
「そりゃあ私の娘だもの。」
「アリエーンも大概オカシイけど、アリエンナちゃんは更に輪をかけて変よ?」
変って失礼ね。
「おばあちゃん、何が変なのですか?」
「うーん。おばあちゃんって言われるのはちょっとね……。アンリって呼んで。」
「わかりました、アンリさん。」
複雑な乙女心とかいうものかな?
「話を続けるわ。アリエーンはね、現時点で私に匹敵する程強いんだけど……悪魔でその成長速度はあり得ないのよ。人間だとしたらもっとあり得ない。」
おばあちゃんが言うには、悪魔と人間のハーフが親の悪魔に近い強さを持つ事があり得ないのだそうだ。
「アリエーンは多分突然変異なのよ。あと10年で今の私を追い越しそうだし……。そしてもっとあり得ないのがアリエンナちゃんよ!」
ビシッと私を指さすアンリおばあちゃん。
「私ですか?」
「あなた、今何歳?」
「16歳です。」
「それよ! アリエンナちゃんは成人して1年の現時点で2級上位クラス。魔法も使えるなら1級下位はありそう。多分3年もしないうちに、今の状態の私を超えるわ。アリエーンよりもっと変!」
悪魔は15歳で成人し、そこから年齢を重ねる毎に少しづつ強くなっていくそう。
お母さんでさえ、16歳の頃は3級下位くらいだったとの事。
「私の子供は300人くらいいるけど、アリエーンみたいに強い子が生まれたのは初めてよ。それだけでも驚いてるのに、その娘が更に強いだなんて……世界征服でもするつもり?」
「しないわよ。そんな面倒な事。」
「しません。面倒くさいですし。」
「そう? なら良いわ。世界征服するとか言われたら私が止めなきゃいけないんだけど、アンタ達2人に向かって来られると勝ち目が薄いのよ。」
おばあちゃんもお母さんくらい強いんだ……そして私は3年で追い越す、と。
「2人合わせると1級悪魔より強いだなんて……。」
固まっていたミレイユさんが再起動した。
「あれ? あなた……凄く薄いけど、私の血を引いてるみたいね。私の実子を1世代目とすれば……25~30世代くらいの子孫かしら?」
「え?」
「間違いないわ。ミザリーの子孫ね?」
「誰ですか?」
言い方からすれば、多分アンリさんの子供よね。
「分かんないか。ミザリーは400年前に生まれた私の子よ。アリエーンのお姉ちゃんね。」
「400年前……? ミザリーって言やぁ、史上初のSSSランク冒険者。氷冷のミザリーの事か?」
「そうそう。その子は30代でSSSランクになった子なのよ。ハーフにしては才能あったんだけど、強さはそこで頭打ちになっちゃったみたい。」
アンリさんの話によれば、悪魔と人間のハーフはある程度の強さに達するとそれ以上強さが伸びなくなるみたい。
他の子供にしたって、個人差はあっても大体はSランクくらいの強さに到達した時点で頭打ちになったそうだ。
「という事は、ミレイユさんは私の遠い親戚になるんですね。」
「そういう事。」
「悪魔の血筋……他人事ではなくなってしまいましたね。」
ミレイユさんと親戚なのは、なんとなく悪くない感じがする。
「親戚かぁ……なら、口封じはしないておくわね?」
「へ?」
お母さん。本当はこっそり口封じするつもりだったの?
「あの……?」
ミレイユさんが恐怖の混じった視線でお母さんを見ている。
「冗談よ冗談。」
いつの間にか開いた瞳孔が元に戻っているお母さん。
絶対に冗談じゃない。私には分かる。この感じだと、多分本当に始末しようとしてた。
「お母さん? ダメだよ?」
「分かってるってば。」
「悪魔の子孫で良かった……。」
ミレイユさんはほっとしたようだ。お母さんに目をつけられるなんて怖いわよね。
「ミザリー。懐かしいわ……。今どうしてるのかしら?」
「400年前なのに生きてんのか?」
「言ってなかった? 悪魔とのハーフは2、3世代くらいまでなら不老不死よ。それ以上世代を重ねると人間寄りになっちゃうから、寿命があるんだけど……。」
という事は、私も寿命がないんだ……。
ずっと若いままなのは嬉しいお知らせね。
お母さんはミレイユさんをじっと見ている。瞳孔開いてるよ?
「それは……言いふらしたらするって事じゃねぇか?」
「……。」
お母さん?
「その話は置いといて、おばあちゃんに会ってみる?」
何で一瞬黙ったの?
ミレイユさんが固まってるじゃない。
「会ってみたいけど……会えるの?」
そもそもおばあちゃんが居たって話も初耳なんだけど。
「会えるわよ? ちょっと待ってね。」
お母さんは目を閉じて集中しているみたい。お祈り?
「すぐに来るそうよ。」
突然空中から謎の美女が現れた。この人がおばあちゃん?
「こんにちは。孫に会えると聞いて飛んできたよ。」
やっぱりおばあちゃんだったみたい。
「紹介するわ。私の母、1級悪魔のアンリよ。」
何だか軽い感じの人ね。悪魔なだけあって見た目が若い。
「初めまして。アリエーンの娘、アリエンナと申します。」
「孫が礼儀正しい子で嬉しいわ。アリエーンと同じで私より美人なのがちょっとムカつくけど……でも可愛いから許しちゃう。」
確かにおばあちゃんの言う通り、お母さんの方が美人だった。
「あら? アリエンナちゃんもかなり強くない?」
「そりゃあ私の娘だもの。」
「アリエーンも大概オカシイけど、アリエンナちゃんは更に輪をかけて変よ?」
変って失礼ね。
「おばあちゃん、何が変なのですか?」
「うーん。おばあちゃんって言われるのはちょっとね……。アンリって呼んで。」
「わかりました、アンリさん。」
複雑な乙女心とかいうものかな?
「話を続けるわ。アリエーンはね、現時点で私に匹敵する程強いんだけど……悪魔でその成長速度はあり得ないのよ。人間だとしたらもっとあり得ない。」
おばあちゃんが言うには、悪魔と人間のハーフが親の悪魔に近い強さを持つ事があり得ないのだそうだ。
「アリエーンは多分突然変異なのよ。あと10年で今の私を追い越しそうだし……。そしてもっとあり得ないのがアリエンナちゃんよ!」
ビシッと私を指さすアンリおばあちゃん。
「私ですか?」
「あなた、今何歳?」
「16歳です。」
「それよ! アリエンナちゃんは成人して1年の現時点で2級上位クラス。魔法も使えるなら1級下位はありそう。多分3年もしないうちに、今の状態の私を超えるわ。アリエーンよりもっと変!」
悪魔は15歳で成人し、そこから年齢を重ねる毎に少しづつ強くなっていくそう。
お母さんでさえ、16歳の頃は3級下位くらいだったとの事。
「私の子供は300人くらいいるけど、アリエーンみたいに強い子が生まれたのは初めてよ。それだけでも驚いてるのに、その娘が更に強いだなんて……世界征服でもするつもり?」
「しないわよ。そんな面倒な事。」
「しません。面倒くさいですし。」
「そう? なら良いわ。世界征服するとか言われたら私が止めなきゃいけないんだけど、アンタ達2人に向かって来られると勝ち目が薄いのよ。」
おばあちゃんもお母さんくらい強いんだ……そして私は3年で追い越す、と。
「2人合わせると1級悪魔より強いだなんて……。」
固まっていたミレイユさんが再起動した。
「あれ? あなた……凄く薄いけど、私の血を引いてるみたいね。私の実子を1世代目とすれば……25~30世代くらいの子孫かしら?」
「え?」
「間違いないわ。ミザリーの子孫ね?」
「誰ですか?」
言い方からすれば、多分アンリさんの子供よね。
「分かんないか。ミザリーは400年前に生まれた私の子よ。アリエーンのお姉ちゃんね。」
「400年前……? ミザリーって言やぁ、史上初のSSSランク冒険者。氷冷のミザリーの事か?」
「そうそう。その子は30代でSSSランクになった子なのよ。ハーフにしては才能あったんだけど、強さはそこで頭打ちになっちゃったみたい。」
アンリさんの話によれば、悪魔と人間のハーフはある程度の強さに達するとそれ以上強さが伸びなくなるみたい。
他の子供にしたって、個人差はあっても大体はSランクくらいの強さに到達した時点で頭打ちになったそうだ。
「という事は、ミレイユさんは私の遠い親戚になるんですね。」
「そういう事。」
「悪魔の血筋……他人事ではなくなってしまいましたね。」
ミレイユさんと親戚なのは、なんとなく悪くない感じがする。
「親戚かぁ……なら、口封じはしないておくわね?」
「へ?」
お母さん。本当はこっそり口封じするつもりだったの?
「あの……?」
ミレイユさんが恐怖の混じった視線でお母さんを見ている。
「冗談よ冗談。」
いつの間にか開いた瞳孔が元に戻っているお母さん。
絶対に冗談じゃない。私には分かる。この感じだと、多分本当に始末しようとしてた。
「お母さん? ダメだよ?」
「分かってるってば。」
「悪魔の子孫で良かった……。」
ミレイユさんはほっとしたようだ。お母さんに目をつけられるなんて怖いわよね。
「ミザリー。懐かしいわ……。今どうしてるのかしら?」
「400年前なのに生きてんのか?」
「言ってなかった? 悪魔とのハーフは2、3世代くらいまでなら不老不死よ。それ以上世代を重ねると人間寄りになっちゃうから、寿命があるんだけど……。」
という事は、私も寿命がないんだ……。
ずっと若いままなのは嬉しいお知らせね。
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