【完結】担任教師の恋愛指導。先生、余計なお世話です。

隣のカキ

文字の大きさ
6 / 37

第6話 恋愛? いいえ、コスプレです。

しおりを挟む
「ふぁぁ……ねむぅ。」


 昨日はミイコさんと思いの外長電話してしまった。


「あの人と会話するのってなんとなく楽しいんだよなぁ。」


 俺は未だに恋愛感情を取り戻せてはいない。だが、ミイコさんと会話するのは楽しかったのだ。

 やっぱ女の人に興味ないのと、人間として好んでいるかどうかは別って事か?

 女に興味なくても母さんとか親戚のおばちゃんは好きだしな。それと一緒だと考えればおかしくはない。



 昨日と違って学校に着いたのは遅刻ギリギリの時間だった。


「おっはよう!」

「はよっす。」


 隣の席の右京さんは朝から大変元気だ。


「昨日は最高だったね!」

「だな。今日が休みだったらもっと最高だった。ふぁぁ……。」

「随分眠そうだけど、どうしたの?」

「ん? あぁ、ちょっとね。」


 流石にミイコさんと長電話してたなんて言えんしな。


「今度また一緒に……」


 右京さんが何かを言いかけたタイミングで、ガラガラガラっと音を立てて教室の戸が開いた。


「ふぁぁ……みんなおはよう。朝のHRを始めます。」


 ミイコさんも大分眠そうだ。今度からは時間をもっと短くして電話しよう。


「カワイコちゃん先生も眠そうだね。まさか恋梨君と夜中まで会ってたり? なーんて……。」


 やめろ。微妙に近いような事を言うな。

 焦るだろうが。


「そんなワケないって。」

「だよね。ただでさえ恋愛に興味なくなっちゃってるのに、それは無いか。先生と生徒ってのもあり得ないしね。」


 右京さんは勝手に都合良く解釈し、納得してくれている。

 ミイコさん。あなたの知らない所で生徒が無自覚にディスってますよ?


「それでは進路調査票を……恋梨君。」


 え? 俺?

 突然名指しされてしまったが、話を全然聞いてなかった。


「は、はい。」

「HR中でもちゃんと話を聞いてもらわないと困ります。先生が何て言ったか分かってる?」


 どうしよう。分からん。


「お隣さんと随分楽しそうにしてたけど、話はきちんと聞くようにして下さい。」

「……すみません。」

「右京さんもよ?」

「はい……。」


 叱られてしまった。


「罰として、女の子とのお話に夢中でデレデレしていた恋梨君に進路調査票を集めて持ってきてもらいます。あと、デレデレし過ぎです。」


 うん。これは完全に私怨が混じってるぞ?


「……分かりました。」

「よろしい。先生はやらないといけない事がありますので、放課後進路指導室に持ってきてください。」















「恋梨。お前カワイコちゃん先生に目ぇ付けられたんじゃないか?」


 そうだね。完全にロックオンされてるよ。違う意味で……。


「あんな可愛い人に怒られたら恋梨君も嬉しい?」


 なにそれ? 右京さんは俺のこと変態かなにかだと思ってるの?


「しっかし、これ集めるの大変だよなぁ。書いてない奴も居るしさ。」

「手伝ってくれて助かるよ。」


 雷人と右京さんは調査票集めを手伝ってくれていた。


「そんじゃ、俺は帰るから。またなー。」

「おう! 助かったぜ。」


 手を振り、爽やかに去って行く主人公っぽい男。


「一緒に行こうか? 私も一緒に怒られに行くよ?」


 良い人だな。俺に怒られ役だけ押し付けようと思えば出来るのに。


「大丈夫だって。怒られたりしないから。」


 むしろ女子と二人で行った方がよほど怒られる気がする。


「本当に? せめて待ってようか?」

「本当に平気だって。心配し過ぎ。前に呼び出しくらった時も叱られたんじゃないから。」

「まぁ、そこまで言うなら……。」

「気にせず先に帰って。」

「分かった。また明日ね?」

「おう。」


 さて、と。

 俺は集めた調査票を携え、進路指導室に向かう。


「ミイコさんちょっと怒ってたよなぁ……。」


 少しだけ嫌な予感がする。


「失礼します。」

「どうぞー。」


 進路指導室には予想通りミイコさんが一人だけ。

 彼女は俺を招き入れると、何食わぬ顔でこちらへ向かってきて指導室の鍵を閉めた。


「……何やってるんですか?」

「敬語。」


 え? まだ学校ですけど。


「二人っきりの時は敬語は無しって言ったでしょ。」


 どうやらミイコさんの脳内では、ルールが都合良く改変されているようだ。


「学校の時間じゃない時はタメ口って言ってたじゃん。」

「違うよ? 二人っきりの時って言いましたぁ。」


 今度から通話する時は録音でもしておこうかな。


「取り敢えず座って。」


 俺は促されるままにミイコさんと向かい合って座る。


「それにしてもさ、私の前で他の女の子とイチャイチャするなんて酷いんじゃない?」

「あれはイチャイチャってワケじゃ……。」

「じゃあ何を話してたの?」

「昨日はカラオケ行って楽しかったねって。」

「何ですって!?」


 驚き過ぎだろ。つられてこっちまでビックリしてしまったじゃないか。


「まさか二人きり!?」

「ちが……」
「女子高生と放課後カラオケデート~あなたのマイクでスイッチ入れて~ だなんて…………ダメよそんなの! 不純異性交遊反対!!」


 おい変態教師。妙なタイトル付けるのやめろ。


「不純異性交遊はしてないって。」

「不純じゃない異性交遊はしたって事!? こんな事になるなら強引にでも……」


 ミイコさんはブツブツと何かを呟いている。

 絶対碌でもない事だコレ……。


「してないってば。触ってもないよ。」

「……本当に?」


 涙目で真実を明らかにしようとする彼女。身を乗り出して問い詰めて来る童顔巨乳美人教師は、上目遣いで谷間が見えている。

 エロ過ぎ……。


「本当だって。」


 ジッと俺の目を見るミイコさんは納得したのか、ふぅっと一息ついて椅子に座り直す。


「本当みたいね。でも、誤解されるような事は慎むように。」


 えぇ? 俺が悪いのか?


「返事は?」

「……はい。」


 理不尽だ。これが社会の縮図か。


「これはもうアレね。私とお出掛けしてもらわないとダメだわ。」

「はい?」

「良い返事ね。」


 何でだよ! どう考えても、何言ってんのこの人……の“はい”だっただろ。


「えー本日、川井美伊古は全ての業務が終了した為、恋梨武太君とお出掛けに行くのであります! わーぱちぱちぱち!」


 待って。冗談だよね?


「ミイコさん。先生と生徒が二人でお出掛けするのはマズいでしょ。」


 ふっふっふっと不敵な笑みを浮かべる彼女。


「ちゃんと秘策があります。私が良いよって言うまで後ろ向いてて。」

「え?」

「え? じゃなくて後ろ向いて。」

「わ、わかった。」


 俺は訳も分からず指導室の戸の方を向く。一体何をするつもりなのかは不明だが、取り敢えずは言う事を聞いておこう。


「何をするつもりなのか聞いても?」

「それはもう少しで分かるから楽しみにしてて。」


 後ろからは シュルッ ふぁさ……なんて音が聞こえてくる。

 まさか、脱いでる……?


「ほ、ほんとに何やってんの?」


 咄嗟に振り向きそうになるが……


「まだこっち見ちゃダメ!」


 と叱られてしまった。


「ごめんなさい。」


 室内にはミイコさんが立てている衣擦れの音だけが響き渡り、俺はこれからどんな事が起こるのかと身構え緊張してきた。

 流石に変な事はしないよな? 大丈夫だよな?


「もう良いわよ。」


 恐る恐る振り返ると、そこには……


「川井美伊古17歳です♡ 好きな人は恋梨君! てへっ♪」


 童顔巨乳24歳美人教師が、童顔巨乳ギャルメイクの可愛い24歳JKに変貌を遂げていた。

 茶髪になり、ゴテゴテと髪に飾りを付けている。……盛り髪?

 更にはうちの学校の制服を着用。スカートは短めでルーズソックスを履きこなし、ラメ入りのネイルを装備。

 間違いなくJKだ。多分、ヤンチャなギャルタイプの……。


「えっと……。ミイコ……さん?」


 可愛すぎてヤバ谷園。

 恋愛に興味なくても、これはちょっとクるものがある。


「えーやだー! むっくんってば、同級生にさん付けなんて変わってるぅ。」

「むっくん……?」

「さぁさぁ、デート行こ!」

「え? え?」

「JKと言えば放課後からが本番! 私も17歳の時は……じゃなかった。良く友達とケンタッチーに行ってるんだぁ。」


 あぁ……もう成り切ってるのか。


「どしたん? むっくん。もしかして似合い過ぎてヤバい?」

「う、うん。これはヤバい。」

「ウケる(笑)」


 確かにこれならバレない。

 顔はカワイコちゃん先生なんだけど、メイクと髪型で印象変わり過ぎて絶対に気付かれないだろうし……てか先生がこんな格好してるとは誰も思わねぇもん。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...