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第6話 恋愛? いいえ、コスプレです。
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「ふぁぁ……ねむぅ。」
昨日はミイコさんと思いの外長電話してしまった。
「あの人と会話するのってなんとなく楽しいんだよなぁ。」
俺は未だに恋愛感情を取り戻せてはいない。だが、ミイコさんと会話するのは楽しかったのだ。
やっぱ女の人に興味ないのと、人間として好んでいるかどうかは別って事か?
女に興味なくても母さんとか親戚のおばちゃんは好きだしな。それと一緒だと考えればおかしくはない。
昨日と違って学校に着いたのは遅刻ギリギリの時間だった。
「おっはよう!」
「はよっす。」
隣の席の右京さんは朝から大変元気だ。
「昨日は最高だったね!」
「だな。今日が休みだったらもっと最高だった。ふぁぁ……。」
「随分眠そうだけど、どうしたの?」
「ん? あぁ、ちょっとね。」
流石にミイコさんと長電話してたなんて言えんしな。
「今度また一緒に……」
右京さんが何かを言いかけたタイミングで、ガラガラガラっと音を立てて教室の戸が開いた。
「ふぁぁ……みんなおはよう。朝のHRを始めます。」
ミイコさんも大分眠そうだ。今度からは時間をもっと短くして電話しよう。
「カワイコちゃん先生も眠そうだね。まさか恋梨君と夜中まで会ってたり? なーんて……。」
やめろ。微妙に近いような事を言うな。
焦るだろうが。
「そんなワケないって。」
「だよね。ただでさえ恋愛に興味なくなっちゃってるのに、それは無いか。先生と生徒ってのもあり得ないしね。」
右京さんは勝手に都合良く解釈し、納得してくれている。
ミイコさん。あなたの知らない所で生徒が無自覚にディスってますよ?
「それでは進路調査票を……恋梨君。」
え? 俺?
突然名指しされてしまったが、話を全然聞いてなかった。
「は、はい。」
「HR中でもちゃんと話を聞いてもらわないと困ります。先生が何て言ったか分かってる?」
どうしよう。分からん。
「お隣さんと随分楽しそうにしてたけど、話はきちんと聞くようにして下さい。」
「……すみません。」
「右京さんもよ?」
「はい……。」
叱られてしまった。
「罰として、女の子とのお話に夢中でデレデレしていた恋梨君に進路調査票を集めて持ってきてもらいます。あと、デレデレし過ぎです。」
うん。これは完全に私怨が混じってるぞ?
「……分かりました。」
「よろしい。先生はやらないといけない事がありますので、放課後進路指導室に持ってきてください。」
「恋梨。お前カワイコちゃん先生に目ぇ付けられたんじゃないか?」
そうだね。完全にロックオンされてるよ。違う意味で……。
「あんな可愛い人に怒られたら恋梨君も嬉しい?」
なにそれ? 右京さんは俺のこと変態かなにかだと思ってるの?
「しっかし、これ集めるの大変だよなぁ。書いてない奴も居るしさ。」
「手伝ってくれて助かるよ。」
雷人と右京さんは調査票集めを手伝ってくれていた。
「そんじゃ、俺は帰るから。またなー。」
「おう! 助かったぜ。」
手を振り、爽やかに去って行く主人公っぽい男。
「一緒に行こうか? 私も一緒に怒られに行くよ?」
良い人だな。俺に怒られ役だけ押し付けようと思えば出来るのに。
「大丈夫だって。怒られたりしないから。」
むしろ女子と二人で行った方がよほど怒られる気がする。
「本当に? せめて待ってようか?」
「本当に平気だって。心配し過ぎ。前に呼び出しくらった時も叱られたんじゃないから。」
「まぁ、そこまで言うなら……。」
「気にせず先に帰って。」
「分かった。また明日ね?」
「おう。」
さて、と。
俺は集めた調査票を携え、進路指導室に向かう。
「ミイコさんちょっと怒ってたよなぁ……。」
少しだけ嫌な予感がする。
「失礼します。」
「どうぞー。」
進路指導室には予想通りミイコさんが一人だけ。
彼女は俺を招き入れると、何食わぬ顔でこちらへ向かってきて指導室の鍵を閉めた。
「……何やってるんですか?」
「敬語。」
え? まだ学校ですけど。
「二人っきりの時は敬語は無しって言ったでしょ。」
どうやらミイコさんの脳内では、ルールが都合良く改変されているようだ。
「学校の時間じゃない時はタメ口って言ってたじゃん。」
「違うよ? 二人っきりの時って言いましたぁ。」
今度から通話する時は録音でもしておこうかな。
「取り敢えず座って。」
俺は促されるままにミイコさんと向かい合って座る。
「それにしてもさ、私の前で他の女の子とイチャイチャするなんて酷いんじゃない?」
「あれはイチャイチャってワケじゃ……。」
「じゃあ何を話してたの?」
「昨日はカラオケ行って楽しかったねって。」
「何ですって!?」
驚き過ぎだろ。つられてこっちまでビックリしてしまったじゃないか。
「まさか二人きり!?」
「ちが……」
「女子高生と放課後カラオケデート~あなたのマイクでスイッチ入れて~ だなんて…………ダメよそんなの! 不純異性交遊反対!!」
おい変態教師。妙なタイトル付けるのやめろ。
「不純異性交遊はしてないって。」
「不純じゃない異性交遊はしたって事!? こんな事になるなら強引にでも……」
ミイコさんはブツブツと何かを呟いている。
絶対碌でもない事だコレ……。
「してないってば。触ってもないよ。」
「……本当に?」
涙目で真実を明らかにしようとする彼女。身を乗り出して問い詰めて来る童顔巨乳美人教師は、上目遣いで谷間が見えている。
エロ過ぎ……。
「本当だって。」
ジッと俺の目を見るミイコさんは納得したのか、ふぅっと一息ついて椅子に座り直す。
「本当みたいね。でも、誤解されるような事は慎むように。」
えぇ? 俺が悪いのか?
「返事は?」
「……はい。」
理不尽だ。これが社会の縮図か。
「これはもうアレね。私とお出掛けしてもらわないとダメだわ。」
「はい?」
「良い返事ね。」
何でだよ! どう考えても、何言ってんのこの人……の“はい”だっただろ。
「えー本日、川井美伊古は全ての業務が終了した為、恋梨武太君とお出掛けに行くのであります! わーぱちぱちぱち!」
待って。冗談だよね?
「ミイコさん。先生と生徒が二人でお出掛けするのはマズいでしょ。」
ふっふっふっと不敵な笑みを浮かべる彼女。
「ちゃんと秘策があります。私が良いよって言うまで後ろ向いてて。」
「え?」
「え? じゃなくて後ろ向いて。」
「わ、わかった。」
俺は訳も分からず指導室の戸の方を向く。一体何をするつもりなのかは不明だが、取り敢えずは言う事を聞いておこう。
「何をするつもりなのか聞いても?」
「それはもう少しで分かるから楽しみにしてて。」
後ろからは シュルッ ふぁさ……なんて音が聞こえてくる。
まさか、脱いでる……?
「ほ、ほんとに何やってんの?」
咄嗟に振り向きそうになるが……
「まだこっち見ちゃダメ!」
と叱られてしまった。
「ごめんなさい。」
室内にはミイコさんが立てている衣擦れの音だけが響き渡り、俺はこれからどんな事が起こるのかと身構え緊張してきた。
流石に変な事はしないよな? 大丈夫だよな?
「もう良いわよ。」
恐る恐る振り返ると、そこには……
「川井美伊古17歳です♡ 好きな人は恋梨君! てへっ♪」
童顔巨乳24歳美人教師が、童顔巨乳ギャルメイクの可愛い24歳JKに変貌を遂げていた。
茶髪になり、ゴテゴテと髪に飾りを付けている。……盛り髪?
更にはうちの学校の制服を着用。スカートは短めでルーズソックスを履きこなし、ラメ入りのネイルを装備。
間違いなくJKだ。多分、ヤンチャなギャルタイプの……。
「えっと……。ミイコ……さん?」
可愛すぎてヤバ谷園。
恋愛に興味なくても、これはちょっとクるものがある。
「えーやだー! むっくんってば、同級生にさん付けなんて変わってるぅ。」
「むっくん……?」
「さぁさぁ、デート行こ!」
「え? え?」
「JKと言えば放課後からが本番! 私も17歳の時は……じゃなかった。良く友達とケンタッチーに行ってるんだぁ。」
あぁ……もう成り切ってるのか。
「どしたん? むっくん。もしかして似合い過ぎてヤバい?」
「う、うん。これはヤバい。」
「ウケる(笑)」
確かにこれならバレない。
顔はカワイコちゃん先生なんだけど、メイクと髪型で印象変わり過ぎて絶対に気付かれないだろうし……てか先生がこんな格好してるとは誰も思わねぇもん。
昨日はミイコさんと思いの外長電話してしまった。
「あの人と会話するのってなんとなく楽しいんだよなぁ。」
俺は未だに恋愛感情を取り戻せてはいない。だが、ミイコさんと会話するのは楽しかったのだ。
やっぱ女の人に興味ないのと、人間として好んでいるかどうかは別って事か?
女に興味なくても母さんとか親戚のおばちゃんは好きだしな。それと一緒だと考えればおかしくはない。
昨日と違って学校に着いたのは遅刻ギリギリの時間だった。
「おっはよう!」
「はよっす。」
隣の席の右京さんは朝から大変元気だ。
「昨日は最高だったね!」
「だな。今日が休みだったらもっと最高だった。ふぁぁ……。」
「随分眠そうだけど、どうしたの?」
「ん? あぁ、ちょっとね。」
流石にミイコさんと長電話してたなんて言えんしな。
「今度また一緒に……」
右京さんが何かを言いかけたタイミングで、ガラガラガラっと音を立てて教室の戸が開いた。
「ふぁぁ……みんなおはよう。朝のHRを始めます。」
ミイコさんも大分眠そうだ。今度からは時間をもっと短くして電話しよう。
「カワイコちゃん先生も眠そうだね。まさか恋梨君と夜中まで会ってたり? なーんて……。」
やめろ。微妙に近いような事を言うな。
焦るだろうが。
「そんなワケないって。」
「だよね。ただでさえ恋愛に興味なくなっちゃってるのに、それは無いか。先生と生徒ってのもあり得ないしね。」
右京さんは勝手に都合良く解釈し、納得してくれている。
ミイコさん。あなたの知らない所で生徒が無自覚にディスってますよ?
「それでは進路調査票を……恋梨君。」
え? 俺?
突然名指しされてしまったが、話を全然聞いてなかった。
「は、はい。」
「HR中でもちゃんと話を聞いてもらわないと困ります。先生が何て言ったか分かってる?」
どうしよう。分からん。
「お隣さんと随分楽しそうにしてたけど、話はきちんと聞くようにして下さい。」
「……すみません。」
「右京さんもよ?」
「はい……。」
叱られてしまった。
「罰として、女の子とのお話に夢中でデレデレしていた恋梨君に進路調査票を集めて持ってきてもらいます。あと、デレデレし過ぎです。」
うん。これは完全に私怨が混じってるぞ?
「……分かりました。」
「よろしい。先生はやらないといけない事がありますので、放課後進路指導室に持ってきてください。」
「恋梨。お前カワイコちゃん先生に目ぇ付けられたんじゃないか?」
そうだね。完全にロックオンされてるよ。違う意味で……。
「あんな可愛い人に怒られたら恋梨君も嬉しい?」
なにそれ? 右京さんは俺のこと変態かなにかだと思ってるの?
「しっかし、これ集めるの大変だよなぁ。書いてない奴も居るしさ。」
「手伝ってくれて助かるよ。」
雷人と右京さんは調査票集めを手伝ってくれていた。
「そんじゃ、俺は帰るから。またなー。」
「おう! 助かったぜ。」
手を振り、爽やかに去って行く主人公っぽい男。
「一緒に行こうか? 私も一緒に怒られに行くよ?」
良い人だな。俺に怒られ役だけ押し付けようと思えば出来るのに。
「大丈夫だって。怒られたりしないから。」
むしろ女子と二人で行った方がよほど怒られる気がする。
「本当に? せめて待ってようか?」
「本当に平気だって。心配し過ぎ。前に呼び出しくらった時も叱られたんじゃないから。」
「まぁ、そこまで言うなら……。」
「気にせず先に帰って。」
「分かった。また明日ね?」
「おう。」
さて、と。
俺は集めた調査票を携え、進路指導室に向かう。
「ミイコさんちょっと怒ってたよなぁ……。」
少しだけ嫌な予感がする。
「失礼します。」
「どうぞー。」
進路指導室には予想通りミイコさんが一人だけ。
彼女は俺を招き入れると、何食わぬ顔でこちらへ向かってきて指導室の鍵を閉めた。
「……何やってるんですか?」
「敬語。」
え? まだ学校ですけど。
「二人っきりの時は敬語は無しって言ったでしょ。」
どうやらミイコさんの脳内では、ルールが都合良く改変されているようだ。
「学校の時間じゃない時はタメ口って言ってたじゃん。」
「違うよ? 二人っきりの時って言いましたぁ。」
今度から通話する時は録音でもしておこうかな。
「取り敢えず座って。」
俺は促されるままにミイコさんと向かい合って座る。
「それにしてもさ、私の前で他の女の子とイチャイチャするなんて酷いんじゃない?」
「あれはイチャイチャってワケじゃ……。」
「じゃあ何を話してたの?」
「昨日はカラオケ行って楽しかったねって。」
「何ですって!?」
驚き過ぎだろ。つられてこっちまでビックリしてしまったじゃないか。
「まさか二人きり!?」
「ちが……」
「女子高生と放課後カラオケデート~あなたのマイクでスイッチ入れて~ だなんて…………ダメよそんなの! 不純異性交遊反対!!」
おい変態教師。妙なタイトル付けるのやめろ。
「不純異性交遊はしてないって。」
「不純じゃない異性交遊はしたって事!? こんな事になるなら強引にでも……」
ミイコさんはブツブツと何かを呟いている。
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「してないってば。触ってもないよ。」
「……本当に?」
涙目で真実を明らかにしようとする彼女。身を乗り出して問い詰めて来る童顔巨乳美人教師は、上目遣いで谷間が見えている。
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「本当だって。」
ジッと俺の目を見るミイコさんは納得したのか、ふぅっと一息ついて椅子に座り直す。
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えぇ? 俺が悪いのか?
「返事は?」
「……はい。」
理不尽だ。これが社会の縮図か。
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「はい?」
「良い返事ね。」
何でだよ! どう考えても、何言ってんのこの人……の“はい”だっただろ。
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待って。冗談だよね?
「ミイコさん。先生と生徒が二人でお出掛けするのはマズいでしょ。」
ふっふっふっと不敵な笑みを浮かべる彼女。
「ちゃんと秘策があります。私が良いよって言うまで後ろ向いてて。」
「え?」
「え? じゃなくて後ろ向いて。」
「わ、わかった。」
俺は訳も分からず指導室の戸の方を向く。一体何をするつもりなのかは不明だが、取り敢えずは言う事を聞いておこう。
「何をするつもりなのか聞いても?」
「それはもう少しで分かるから楽しみにしてて。」
後ろからは シュルッ ふぁさ……なんて音が聞こえてくる。
まさか、脱いでる……?
「ほ、ほんとに何やってんの?」
咄嗟に振り向きそうになるが……
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と叱られてしまった。
「ごめんなさい。」
室内にはミイコさんが立てている衣擦れの音だけが響き渡り、俺はこれからどんな事が起こるのかと身構え緊張してきた。
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「もう良いわよ。」
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「えっと……。ミイコ……さん?」
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「え? え?」
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あぁ……もう成り切ってるのか。
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「う、うん。これはヤバい。」
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