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第21話 恋愛? 習い事、始めました。
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「今日は楽しかったです。ありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀する美少女。
「あぁ、俺も楽しかったよ。」
「今後も遊んでくださいね?」
「あぁ。」
「それではまた。」
「またね。」
莉々伊ちゃんが少し怖いので、母さんが夕飯の支度をして待っている事を理由に早めに解散した。
「マジでどうしよう。LIMEまで交換しちまった。」
誰かに相談したい。
「錬蔵……は有り得ないな。」
当然親にも相談出来ない。
特に母さんに相談なんてしようものなら、ミイちゃんを彼女だと思ってしまっているので余計にややこしくなる。
「ならば……。」
聖光院雷人。
我がクラスきっての主人公的存在であり、俺が最も頼りにしている友人ではあるが……。
「普通に付き合ってみれば良いじゃんって言われそうなんだよなぁ。」
ミイちゃんとの関係を知られる訳にはいかない以上、どうしても誤魔化さないといけない部分が生じてくる。
ダメだ。どこかで俺がボロを出してしまう可能性があるので相談出来ん。
「ミイちゃんに言ってみるか?」
でも……ミイちゃんも結構抜けてる所あるし、優秀なのに俺が関わると途端にポンコツになったりするしなぁ。
「はぁ。」
莉々伊ちゃんと今後も会う機会が生じた場合、ミイちゃんに内緒にし続けるというのも難しい。
「やっぱりミイちゃんに言ってみるしかないか。」
こうなりゃ出たとこ勝負だ。
俺はLIMEの通話ボタンをタップした。
「もしもし。」
『もしもーし。家の用事は終わったの?』
そういう事にしてたんだった。
「うん、まぁ。」
言い難いな。
嘘ついて別の人とデートしてたわけだし。それがたとえ恐怖に駆られ、仕方なしにデートしたのだとしても。
「実はさ……。」
俺はミイちゃんに概要を説明した。
勿論莉々伊ちゃんが怖かったので仕方なくデートしたという部分を殊更強調して。
だって、ミイちゃんも若干怖い時があるもん。
『へぇー。そうなんだぁ。むっくんってば私に内緒でデートにねぇ?』
やっぱりちょっと怒ってる。
「いや、ミイちゃんも見たでしょ? 莉々伊ちゃんが錬蔵に猟奇的な対応をしてるところをさ。」
『見たけどさ。だったら最初に相談して欲しかったなぁ。』
「ごめん。今日のデートでうまいこと断るつもりだったんだけど。」
『泣き落としに騙された、と?』
「まぁ、そうだね。」
まさかあんな古典的な手に引っかかるとは思いもしなかった。
『……仕方ないか。恋愛においてライバルが出現する事は有り得るからね。』
そうか?
可愛い女子を好きな男にライバルが出現する事はあっても、俺みたいなモブを好きな女子にライバルが出現するなんてあまりないだろ。
「今後、どう対応したら良いものか……。」
『取り敢えず、平日は放課後に私が“ドキッ☆女教師と二人きりの個別指導”をしてあげる。それで当面は一緒に帰る事を防げるでしょ?』
アホなタイトル付けるのはやめてもらいたい。
『休日に関しては私の家に入り浸れば良いのよ。理由はそうねぇ……。ピアノ教室とかどうかな?』
「ピアノ教室って……嘘にも程があるでしょ。」
まぁ、習い事を始めるって理由はアリのような気もする。要するに内容に関しては何でもいいのだ。
『嘘じゃないよ? うちのマンションは防音もしっかりしてるし、私ピアノの先生も出来るんだから。』
「ピアノ弾けるの? というか、資格とかあるの?」
『ヤマバの資格もってるよ。だからピアノ教室に通う事にして、私の所に入り浸れば万事解決。本当にピアノも教えてあげれば嘘にもならないし、勿論勉強も教えるよ?』
資格もってたのか。
この前だって全科目の対策プリント作ってたりと色々出来る事は知っていたけど、思った以上に多才な人なのかもしれない。
もしかして結構凄い人?
『受験生だし、英会話教室の方が良かった?』
この人、英語の先生でもあるんだった。
「教室とかも開けたりするの? TOEICの点数がある程度必要とか?」
『英会話教室の講師って指導経験とか英語系の資格があれば良いみたい。むっくんの言う通りTOEICとか。』
「へぇー。ちなみにミイちゃんは何点?」
『990点。』
「は?」
『え?』
俺の聞き違いか?
「満点?」
『うん。』
それってネイティブレベルじゃない?
ちょっと待って。この人って実はマジで凄い人だったりするのか?
「大学はどこ行ったの?」
『もうその話は良いじゃん。』
何で誤魔化すんだ?
「いや、ここまできたら気になるじゃん。」
『……大。』
ポツリと呟くミイちゃん。
やけに声が小さいな。もしかして恥ずかしい所だったり?
「え? どこ?」
『……京大。』
嘘やろ。
ダメだ。こんな凄い人にタメ口の俺って超馬鹿じゃん。
しかも恥ずかしい所? とか一瞬思っちゃって、俺の方が余程恥ずかしいじゃん。
何で英語教師なんてやってんだ?
「今まで生意気言ってすみませんでした。」
『敬語はやめて! だから言いたくなかったのに……。出身大学言うと態度変わる人がいるんだもん。』
「数々の御無礼をお許し下さい。」
『……怒るよ?』
あっ。
これはマジトーンだ。
「ごめんなさい。」
『わかれば宜しい。まぁ冗談は置いといて、ピアノ教室って事で良い?』
「英会話教室の方がそれっぽくない?」
『自分で言っといてなんだけど、英会話教室だと斎藤君の妹さんも入会するって言い出しかねないでしょ?』
何でだ?
「ピアノ教室も同じじゃん。」
『斎藤君の妹さん……これからは莉々伊ちゃんって呼ぶことにするね。莉々伊ちゃんは既にピアノ教室に通ってるから、今更違う所に入会って事はあまりないと思う。』
成る程なぁ……。
ん?
「何でそんな事知ってんの?」
『調べたからね。』
どうやってだよ。
調べたからって普通わかんないでしょ。
怖いから聞かない方が良いかもしれない。
「取り敢えずはそれで行こう。」
『オッケー。ちゃんと教えるから安心して。じゃあ明日家来てね?』
「何で?」
『ピアノ習うんでしょ?』
「あくまで言い訳としてでしょ?」
『言い訳するなら本当にしないと意味ないよ。明日は8時に来る事。』
成る程。
良く考えたら、自分で自分の首絞めてたな。
あまりミイちゃんの家に行く気とか無かった筈なのに、いつの間にか毎週行く事が決定してしまった。
俺って馬鹿じゃん。
ぺこりとお辞儀する美少女。
「あぁ、俺も楽しかったよ。」
「今後も遊んでくださいね?」
「あぁ。」
「それではまた。」
「またね。」
莉々伊ちゃんが少し怖いので、母さんが夕飯の支度をして待っている事を理由に早めに解散した。
「マジでどうしよう。LIMEまで交換しちまった。」
誰かに相談したい。
「錬蔵……は有り得ないな。」
当然親にも相談出来ない。
特に母さんに相談なんてしようものなら、ミイちゃんを彼女だと思ってしまっているので余計にややこしくなる。
「ならば……。」
聖光院雷人。
我がクラスきっての主人公的存在であり、俺が最も頼りにしている友人ではあるが……。
「普通に付き合ってみれば良いじゃんって言われそうなんだよなぁ。」
ミイちゃんとの関係を知られる訳にはいかない以上、どうしても誤魔化さないといけない部分が生じてくる。
ダメだ。どこかで俺がボロを出してしまう可能性があるので相談出来ん。
「ミイちゃんに言ってみるか?」
でも……ミイちゃんも結構抜けてる所あるし、優秀なのに俺が関わると途端にポンコツになったりするしなぁ。
「はぁ。」
莉々伊ちゃんと今後も会う機会が生じた場合、ミイちゃんに内緒にし続けるというのも難しい。
「やっぱりミイちゃんに言ってみるしかないか。」
こうなりゃ出たとこ勝負だ。
俺はLIMEの通話ボタンをタップした。
「もしもし。」
『もしもーし。家の用事は終わったの?』
そういう事にしてたんだった。
「うん、まぁ。」
言い難いな。
嘘ついて別の人とデートしてたわけだし。それがたとえ恐怖に駆られ、仕方なしにデートしたのだとしても。
「実はさ……。」
俺はミイちゃんに概要を説明した。
勿論莉々伊ちゃんが怖かったので仕方なくデートしたという部分を殊更強調して。
だって、ミイちゃんも若干怖い時があるもん。
『へぇー。そうなんだぁ。むっくんってば私に内緒でデートにねぇ?』
やっぱりちょっと怒ってる。
「いや、ミイちゃんも見たでしょ? 莉々伊ちゃんが錬蔵に猟奇的な対応をしてるところをさ。」
『見たけどさ。だったら最初に相談して欲しかったなぁ。』
「ごめん。今日のデートでうまいこと断るつもりだったんだけど。」
『泣き落としに騙された、と?』
「まぁ、そうだね。」
まさかあんな古典的な手に引っかかるとは思いもしなかった。
『……仕方ないか。恋愛においてライバルが出現する事は有り得るからね。』
そうか?
可愛い女子を好きな男にライバルが出現する事はあっても、俺みたいなモブを好きな女子にライバルが出現するなんてあまりないだろ。
「今後、どう対応したら良いものか……。」
『取り敢えず、平日は放課後に私が“ドキッ☆女教師と二人きりの個別指導”をしてあげる。それで当面は一緒に帰る事を防げるでしょ?』
アホなタイトル付けるのはやめてもらいたい。
『休日に関しては私の家に入り浸れば良いのよ。理由はそうねぇ……。ピアノ教室とかどうかな?』
「ピアノ教室って……嘘にも程があるでしょ。」
まぁ、習い事を始めるって理由はアリのような気もする。要するに内容に関しては何でもいいのだ。
『嘘じゃないよ? うちのマンションは防音もしっかりしてるし、私ピアノの先生も出来るんだから。』
「ピアノ弾けるの? というか、資格とかあるの?」
『ヤマバの資格もってるよ。だからピアノ教室に通う事にして、私の所に入り浸れば万事解決。本当にピアノも教えてあげれば嘘にもならないし、勿論勉強も教えるよ?』
資格もってたのか。
この前だって全科目の対策プリント作ってたりと色々出来る事は知っていたけど、思った以上に多才な人なのかもしれない。
もしかして結構凄い人?
『受験生だし、英会話教室の方が良かった?』
この人、英語の先生でもあるんだった。
「教室とかも開けたりするの? TOEICの点数がある程度必要とか?」
『英会話教室の講師って指導経験とか英語系の資格があれば良いみたい。むっくんの言う通りTOEICとか。』
「へぇー。ちなみにミイちゃんは何点?」
『990点。』
「は?」
『え?』
俺の聞き違いか?
「満点?」
『うん。』
それってネイティブレベルじゃない?
ちょっと待って。この人って実はマジで凄い人だったりするのか?
「大学はどこ行ったの?」
『もうその話は良いじゃん。』
何で誤魔化すんだ?
「いや、ここまできたら気になるじゃん。」
『……大。』
ポツリと呟くミイちゃん。
やけに声が小さいな。もしかして恥ずかしい所だったり?
「え? どこ?」
『……京大。』
嘘やろ。
ダメだ。こんな凄い人にタメ口の俺って超馬鹿じゃん。
しかも恥ずかしい所? とか一瞬思っちゃって、俺の方が余程恥ずかしいじゃん。
何で英語教師なんてやってんだ?
「今まで生意気言ってすみませんでした。」
『敬語はやめて! だから言いたくなかったのに……。出身大学言うと態度変わる人がいるんだもん。』
「数々の御無礼をお許し下さい。」
『……怒るよ?』
あっ。
これはマジトーンだ。
「ごめんなさい。」
『わかれば宜しい。まぁ冗談は置いといて、ピアノ教室って事で良い?』
「英会話教室の方がそれっぽくない?」
『自分で言っといてなんだけど、英会話教室だと斎藤君の妹さんも入会するって言い出しかねないでしょ?』
何でだ?
「ピアノ教室も同じじゃん。」
『斎藤君の妹さん……これからは莉々伊ちゃんって呼ぶことにするね。莉々伊ちゃんは既にピアノ教室に通ってるから、今更違う所に入会って事はあまりないと思う。』
成る程なぁ……。
ん?
「何でそんな事知ってんの?」
『調べたからね。』
どうやってだよ。
調べたからって普通わかんないでしょ。
怖いから聞かない方が良いかもしれない。
「取り敢えずはそれで行こう。」
『オッケー。ちゃんと教えるから安心して。じゃあ明日家来てね?』
「何で?」
『ピアノ習うんでしょ?』
「あくまで言い訳としてでしょ?」
『言い訳するなら本当にしないと意味ないよ。明日は8時に来る事。』
成る程。
良く考えたら、自分で自分の首絞めてたな。
あまりミイちゃんの家に行く気とか無かった筈なのに、いつの間にか毎週行く事が決定してしまった。
俺って馬鹿じゃん。
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