【完結】担任教師の恋愛指導。先生、余計なお世話です。

隣のカキ

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第29話 恋愛? ラブコメにはキャットファイトってつきものだよね。

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「武太先輩。他に女がいるだなんて聞いてませんよ?」

「むっくんと私は運命の赤い糸でほどけない程ぐちゃぐちゃに絡まってるの。莉々伊ちゃんの出番なんてないんだから。」


 今、俺の目の前では二人の女が熾烈な争いを繰り広げている。

 どうしてこうなった……?





 時を遡ること一時間前


「むっくん。たまには放課後デートも必要だと思うの。」

「ミイちゃん。右京さんにバレたばかりなんだから自重してくれよ。」

「自重? むっくんは知らないかもしれないけど、恋愛において自重なんていう言葉はないのよ?」


 恋愛にだって自重くらいあるだろ。

 ストーカーとかにはないかもしれんが。


「さあさあ。急がないと時間がなくなっちゃうよ。レッツゴー!」


 既に恒例となった指導室への呼び出しから、ミイちゃんに腕を引き摺られ昇降口へと向かわされた。

 まあ機嫌が良さそうなことだ。

 こうなったら何を言っても聞かないだろうと、諦めて放課後デートへ意識を切り替え昇降口で靴を履き替えている俺に声が掛かる。


「武太先輩? 誰ですかその女は。」


 あぁ、この声は……

 どうか莉々伊ちゃんじゃありませんようにと祈りながら振り返る。


「やあ……莉々伊ちゃん。」


 ちくしょう。

 やっぱり莉々伊ちゃんじゃないかよ。


「武太先輩も帰りですか? 今日もあなたの莉々伊が玄関で待ち伏せしちゃいました。」

「あ、あぁ。」


 なぜ待ち伏せをするのか。

 普通にLIME交換したんだから、一緒に帰るかどうか聞けば良いじゃん。


「ところで、その女は誰ですか?」

「むっくんの彼女のミイちゃんでぇっす! よろしく莉々伊ちゃん!」

「はあ?」


 一瞬でミイちゃんに距離を詰め、顔と顔が接触するのではないかという程至近距離でハイライトが消えた眼を向け、ガンをつけはじめる莉々伊ちゃん。

 怖っ!

 今の莉々伊ちゃんからは錬蔵に暴力を振るう時よりも猟奇的な雰囲気が出ている。


「良く聞こえませんでした。」

「むっくんのカ・ノ・ジョでっす!」


 ミイちゃんは莉々伊ちゃんに対抗しようと相手の耳元で大声を出す。


「武太先輩に彼女はいません。武太先輩には友達以上恋人未満の私しかいないはずです。」

「むっくん彼女いるよ? むっくんの彼女は私。友達以上恋人未満の莉々伊ちゃんはもういらないってさ。」


 待て。

 そんな事を言うと莉々伊ちゃんが怖い。

 もっと穏便に……


「武太先輩。他に女がいるだなんて聞いてませんよ?」


 莉々伊ちゃんの視線が俺に突き刺さる。

 ハイライト消えた眼で見るのやめて。本当に怖いから。


「むっくんと私は運命の赤い糸でほどけない程ぐちゃぐちゃに絡まってるの。莉々伊ちゃんの出番なんてないんだから。」


 そんな赤い糸聞いた事ねえよ!

 ぐちゃぐちゃに絡まってるってなんだよ。ミイちゃんからは逃げられないって暗に言ってるのか?

 怖えよ。


「えっと、ここじゃなんだから場所を移動しようか。」


 学校で修羅場は良くない。昇降口なんて目立つ所じゃなおさらだ。

 俺は二人に場所の移動を提案した。


「良いですよ。」

「おっけー!」


 行きつけのカフェに向かう途中は終始無言。気まずいにも程がある。

 第三者から見た時の俺は、きっと美女二人を侍らせてさぞ良い思いをしているとでも思われているのだろう。

 周囲から嫉妬の視線を感じる。こんな状況全然嬉しくない。


「流石は武太先輩ですね。こんなおしゃれなカフェを知ってるなんて。」

「でしょ? 私の彼氏ってさー本当に頼りになるんだよね。」


 ミイちゃんがマウント取りたい女になってしまっている。

 やめろ、店の入り口で火花を飛び散らせるな。


「話し合いは店の中でしようか。他のお客さんに迷惑しちゃうから。」

「そうですね。」

「わかった。」


 俺達三人は奥の席に座った。

 こんな空気の中、自然な流れで俺の隣に座るミイちゃんは流石だと思う。



「それで、結局武太先輩はこの人と付き合ってるんですか? 違いますよね? そんな訳ないですよね? だって私聞いてませんものね? 違うって言え。」


 ひぃっ


「は、はい。違います。」

「なら良いです。私は寛容なので、このくらいのおふざけは許しますよ。」

「ちょっとちょっと! 脅かして返事させるなんて酷いんじゃない? むっくん怖がってるよ!」

「武太先輩と付き合っているなんて嘘をついた嘘吐き女の言葉は聞きません。」

「嘘じゃないよ? ちゃんと付き合ってるから。むっくんのお母様も了承済みだから。」

「そうですか。ではこれから武太先輩の家に行きましょう。私も了承してもらう必要があります。」

「へぇ? 面白いじゃん。むっくんのお母様にどっちが彼女に相応しいか選んでもらおうよ。」

「良いですよ。負けても恨まないで下さいね?」

「恨むに決まってんじゃん。そんなの末代まで祟るよ。まぁ私は負けないけどね?」


 祟るなよ。

 万が一俺と莉々伊ちゃんがそんな関係になってしまうと、祟られる末代ってのは俺の子孫でもあるかもしれないだろ。

 というか、何で勝手に人の家に行く話になってんだよ。


「普通にここで決着つけられないのか?」

「だったらむっくん、ちゃんと私と付き合ってるって言ってよ。」

「いや、それは……。」

「そこの嘘吐き女とはやはり付き合ってないみたいですね。なら、武太先輩がここで私を選べば決着つきますよ?」

「急にそんな……。」


 この場でどちらかを選ぶと俺の人生は詰む恐れがある。

 一旦お茶を濁して時間稼ぎをしなければ。


「二人共冷静になるんだ。」

「冷静ですけど?」

「冷静だよ?」


 どこがだよ。二人共雰囲気がギラついてんじゃん。


「あーあ。俺って、穏やかで喧嘩なんてしない優しい女性が……。」

「私と莉々伊ちゃんは仲良いよ?」

「ズッともですよねミイちゃん?」


 突然手を握り合い、笑顔で向かい合うミイちゃんと莉々伊ちゃん。

 どうしてそうやる事が極端なんだ。

 明らかに嘘だって分かるんだけど……あ、握った手が震えてる? もしかして互いに本気で力込めてやがります?


「仕方ないね。解決策を提示します。」


 お?


「とりあえず三人でむっくんの家に行こうよ。そしてお義母様にポイント制で判定してもらいます。」

「良いですね。恨みっこありでいきましょう。」


 え? 普通、恨みっこなしだよね?

 莉々伊ちゃん何言ってんの?

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