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第3話 無呼吸ではいられない
しおりを挟む丁寧に説明してもらい、おおよその所は理解できた。
地球のプログラマーがプログラミング言語を用いて作るようなものではなく、誰でも直観的に使えるようになっていて、ステータス画面を開いてワールドポイント(通称WP)を使用することで様々な事が出来るようになっている。
更にヘルプがあり、音声で質問すれば音声と文字で答えが返ってくるし、ステータス画面のお蔭で確認や修正も容易である。空中に映像が現れて、意識すれば見たい場所が見られる。しかも早送り、一時停止、巻き戻しまであるのだ。
そしてこれはユーザーが神となり世界を創造する体感型のゲームであるらしく、たくさんのユーザーと対戦してみましょうと言われた。
ゲームだったのこれ?てか対戦って何だよ。
まあ、やりますけどね。
そう言えば疑問に思ったのだが、地球の文明はどこまで発展するのだろうか?
早送り機能があるのだから是非知りたい。
と言う事で聞いてみた。
「我々が何も手を加えなかった場合は西暦2200年頃に人類は核戦争で滅びますね。
ちなみに人類が滅びないように手助けすれば150億年程で我々と同等の文明レベルに到達するようです。大変危険なので西暦換算で50億年から先には進めないようにしている為、あくまで計算上ではありますが…。」
「危険とは?」
「地球人類が我々と同等の文明レベルに到達すると仮想世界システムから抜け出し、こちら側に攻撃を仕掛けてくる可能性が97%という報告があります。」
成程ね。そりゃ危険だ。つか地球人類野蛮過ぎ。
「ちなみに我々は仮想世界システムから抜け出し、平和的に話し合いで解決したパターンですね。我々を作り出した仮想世界システムは『ギガワロス』という名前のシステムなのですが、このギガワロスの管理者が気になる女の子をデートに誘ったら嫌な顔をされてしまい、ムシャクシャして2京倍で早送りした為、翌日には我々の科学技術が仮想世界システムから抜け出すところまで到達してしまい、話し合いの末仲良く共存するにいたりました。」
成程ね。そりゃ危険だ。ギガワロス。
「ちなみに、何故そんなエピソードを知っているかとういうと、その女の子が言いふらしまくったからです。」
酷すぎだろそれ…。
「それではステータス画面を開いてください。念じるだけで開く事が出来ますよ。」
よし。ステータス!
空中に文字が浮かび上がる。
<仮想世界システム>
創造神:ランク1
WP:100,000P
購入
売却
環境設定
生命の存在強度
世界へ介入
履歴
対戦モード
え?これだけ?
「購入も環境設定も、あなたが頭の中で想像したものに何ポイント必要かが表示されます。環境設定に関しては初回無料で、売却は対象のものを想像すれば何ポイントになるか教えてくれます。創造神ランクはWPの消費や対戦で勝利する事によって上がっていき、ランクが上がれば生み出せる生命体が増えますし、様々な特典がつきます。」
成程。
試してみよう。
人間、人間っと。
<仮想世界システム>
人間:10WP
【購入しますか?】
よし。購入だ!
【世界で最初の人類が現れました。100WPを獲得しました。
ボーナスとして初めの人類は存在強度が10倍に強化されます。】
「まだ説明の途中なのですが…。
まぁ、こういった形で初めての行いには初回ボーナスがつきます。」
おお!良くわからんが、ボーナスって凄いんじゃないか?
10倍の強化だ。これはありがたい。
「生命の存在強度に関しては、単純に生命の強さですね。ちなみに地球人類が10です。これは全ての生命に適用する事も出来ますし種族、個体事の設定も可能です。初期設定では種族によって適正値が設定されており、人間が10になっています。存在強度を1上げるごとに5WPを消費しますので注意して下さい。
現在、この人間は10倍の強化率ですので、存在強度100という事になります。
世界への介入は、読んで字のごとくWPを使用して世界へ何かしらの介入を行います。」
つまりWPさえあれば何でも出来るわけだ。まさに神。
では早速世界初の人類を見てみる事にしよう。空中に投影された半透明のディスプレイを確認すると、映像に人間が映り込む。
ん?
何か苦しんでないか?
最初に現れた人間は男だった。苦悶の表情で地面に倒れ、白目を向き痙攣している。
何故だ?地球人の10倍程度じゃこの世界に住めないとかそういう事?
初めての人間だし、少し奮発してやるか…。と先程の存在強度の説明を思い浮かべながら口にする。
「この人間の存在強度を2,000増やしてくれ。」
【WPを10,000消費し存在強度を強化します。
初回ボーナスとして今回のみ強化率が2倍になり、4,000強化します。
条件を満たした為、初めの人類は勇者になりました。100WPを獲得しました。
ボーナスとして初めの勇者は存在強度が10倍に強化されます。】
【勇者の個体名を設定して下さい。】
「ダイで。」
勇者と言えばダイしかないだろう。大冒険とかして欲しい。
名前の由来?特に理由は無いので良い子の君は気にしないように。
しかし勇者とは幸先が良いな。一先ずはこれで良いだろうと、映像を見やるが未だにダイは苦しんでいた。そろそろマズい気がしてジョーダンさんに声を掛ける。
「この人、まだ苦しんでるんですけど。対処方法はありませんか?」
先程から腕を組み、考え込んでいるジョーダンさん。
不意に、ああ。と得心したといった表情で顔を上げ答える。
「まだ環境設定をしていないので、この世界には空気がありませんね。最初は地球環境と同じ設定がオススメです。」
……空気がない?
そりゃ苦しむわけだ!早く言えよ!?
ヤバイ!早くしないと最初の人類が死亡してしまう。
あたふたしながら咄嗟に環境設定を地球と同じにしてくれ、と言うと同時に無情にも抑揚のない機械的なアナウンスが聞こえてくる。
【世界で最初の勇者ダイが死亡。人類が滅亡しました。100WPを獲得しました。】
あぁ…。
俺の世界創造が一歩目で躓いた…。
そりゃないぜぇ。とっつぁん…。
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