運命

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学園祭

レッツ エンジョイ カラオケ?!

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「俺たちは、なんでカラオケにいるんだ。」
「なぜと言われましても、見ての通り親睦会ですが。」
 紳士風な言葉であるのだが、睦月が言うと少しイラっとする。俺は、言い返すように
「だから、なんで親睦会でカラオケなんだよ。別にファミレスとか、誰かの家とかでもよかっただろ。」
「それは、三関さんの意向で。」
「私、歌ってもいい?」
 そんなカラオケを提案した弥生は、何か曲を入れた。


 弥生が歌い終わり、弥生を除く実行委員が思ったであろうことを聞いてみる。
「弥生、なんで選曲が『君が代』なんだ?」
そう、弥生が選曲したのは日本の国歌の『君が代』だった。
「え?なんでって普通じゃない?」
「弥生ちゃん面白い。」
十月さんがくすくすと笑いながら、そう言う。
「神奈まで?え?なんで?これ普通じゃないの?」
「普通じゃないんだよ。普通じゃなくても、高校生がカラオケにきて最初に歌う歌じゃないと思うぞ。」
すかさず俺は弥生の疑問に答える。
「じゃあ、あんた歌いなさいよ!」
弥生のカウンター攻撃に俺は、みぞおちを思いっきり殴られたような感覚になった。
「俺は遠慮す、、」
「私、聴いてみたいです。十倉さんの歌。」
「私も聞いてみたいと思います。十倉さんがどんな歌を歌うのか、少々気になります。」
お前は黙っとけ、と睦月に言いたくなるが、十月さんが興味津々な顔でいるので、断りづらく、弥生は「どうだ」というような顔で俺を見ている。
 仕方なく、しぶしぶ、自分が歌う曲を入れた。



 歌い終わった感想を表すと、「しにたい。」に詰め込まれるのだろう。だから、カラオケには行きたくなかったんだ。
 歌ってる途中、弥生は爆笑、睦月は笑いを必死にこらえ、十月さんに関しては、興味津々の顔でフリーズしていた。
「あんた、音痴すぎ。それに、、演歌って、出雲も選曲が普通じゃないよ。」
弥生にそう言われた。
 多分、今日は立ち直れないんだろうな、と心のどこかで感じる気がした。

「では、次に私が歌っても構いませんか?十月さん。」
「うん、いいですよ。」
十月さんの了承を得た睦月は、何やら曲を入れる。

 睦月が入れた曲は「栄光の架橋」だった。

「きみのー こころへー つづくー かけはしへとー」

 睦月の歌声が、部屋に響き渡った。周りを見渡すと、弥生は目を輝かせ、十月さんは泣いていた。俺は「女子を泣かせるなよ。」と皮肉も言えるわけでもなく、ただ尊敬のまなざしで睦月を見た。
「上手すぎ。」
弥生の言葉は、睦月の歌唱力を一番簡単に表す言葉であろう。弥生の言葉を裏付ける証拠に、採点の点数は「97.326」を表示していた。ド音痴な俺の歌の直後なので、さらにうまく聞こえたのだろう。十月さんは、感動して涙を流していた。
「ねえ、なんでそんなにうまいの?」
弥生は、睦月に尋ねた。
「街中で流れていて、いい曲だなと思って何回か聞いていただけですよ。」
「何回かって、何回かであんなにうまく歌えるわけないだろ。」
出雲はそんな皮肉を心の中で言った。
「じゃあ、次は私でいいんですよね。」
十月さんは曲を入れた。


 十月さんが歌った曲は、俺には全然わからなかった。
「へえ、神奈ってアニメ見るんだ。」
「うん。このアニメはね、、、」
と十月さんの話は始まった。

 そして、30分後。
 十月さんのアニメの話は終わりを感じさせないように続いていた。十月さんがアニメ好きとは意外だ。

「で、ここの制作会社は水の表現がすごい上手くて、もう私それが、、、」
「ちょっと、神奈?ちょっといい?」
 弥生は、十月さんの話を止めて一緒に部屋を出た。俺的には、歌わなくていいからそのまま話を続けてほしかったのだが。
 そして、睦月と2人になった。

 沈黙が痛い。
「な、なあ、お、おお前なんであんなに歌、上手いんだ。」
「聞き返しますが、どうしてあんなに歌うのが下手なんですか。」
イラっ
「しょ、しょうがないだろ。カラオケとかそんなに行かないし。」
「そうですか。」

 そして沈黙が訪れた。
 それは弥生たちが帰ってくるまで続いた。やはり、俺と睦月は相性が最悪だ。

「ごめん、あー、歌っててもよかったのに。特に出雲とか出雲とか。」
帰ってくるなり、弥生に罵倒される。そんなことはどうでもいい。どうでもはよくないが。
 問題の十月さんは弥生の後ろにいるのだが、、、顔が全然見えない。
 そのあと、十月さんは座るなり、うつむいたまま一切しゃべらなかった。

 そして、無事(?)に親睦会が終わった。

 帰り道、ほかの三人と一緒に歩いているとき、弥生がある1つの提案をした。
「ねえ、実行委員でグループ作らない?」
「いいですね、ぜひそうしましょう。」
睦月は乗り気だった。
「まあ、いいけど。」
俺は、どちらでもよかったので雰囲気に従う。そして十月さんはうつむいたまま、コクリとうなずいた。
「じゃあ、後で送っとくからよろしく。」

そして、俺のメッセージアプリに唯一のグループが誕生したのだった。
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