運命

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学園祭

理不尽なデート

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「ねえ、なんで俺は、っとごめんなさい。こんなにも、あ、すみません。荷物を、ほんとにすみません。持たされているのかな、すみません、気を付けます。」

理不尽だ。なんで俺はこんなにも重い荷物を持たないといけないんだ。まだ自分の荷物なら、「買いすぎたなー。もうそろそろ帰るか。」となるところなのだが、今持っている荷物には自分のものなど一切ない。

「え、なんて言ってるのか聞こえない!もっと大きな声で話して!」

「だから、なんでこんなに荷物を持たされてるんだよ。」

大きな声で話せと言われて、大きな声で話したらこうなるんだ。周りの目がとても痛くなる。

すみませんと、周りに一礼して、近くのベンチで極楽している弥生をにらみつけるが、そんな威嚇も弥生の前では歯もたたず、そんな俺を見て十月さんに関してはクスクスと笑っている。むしろそっちの方が傷つく。

「だって、出雲が荷物持ちたいって言うから?」

「そんなこと一言も言ってない。」

「じゃあ、出雲が遅れたから?」

「言っとくぞ、遅れたのはお前のせいだからな。」

「じゃ、じゃあ、十倉くんがりょ、両手に花だからっていうのは…だめかな?」

珍しく、十月さんが軽い口げんかに乗ってくる。

「十月さん、十月さんが花なのはわかるけど、もう一人はどこにいるのかな?この人ごみの中で疲れたのかな?いったん休もうか?」

「誰って、弥生ちゃんだよ?だって、弥生ちゃんが花で、睦月くんが樹でしょ?」

そうだった。少なくとも弥生は学校内で人気ランキング上位に位置するのだ(このことを筆者も忘れてたーーーw)。恐る恐る弥生の方を振り向くと

「やだもー、花なんて照れるなー。」

と、照れていた。こいつ馬鹿だ、と俺は思った。この馬鹿にはわからないだろうから、一応つっこんでおこう。十月さん、自分で花っていうのはなーと。

そんなつっこみをしていると、照れていた弥生が素に戻っていた。

「そういえば、神奈。あんた、さっき自分で自分のことかわいいって言ったでしょ。」

「そ、そんなこと、言ってないよ。」

「だって両手に花って両手にかわいい子がいるみたいなことでしょ。」

「ち、違うよ。えーっと、た、確か、両手で一つの花を持てるなんてすごいねってことだよ。うん、そうだよね、十倉くん?」

「ソ、ソウナンジャナイカナー。」

あまりにも、あからさまな棒読みを繰り出した。ちなみに、弥生が言ってることはほとんど正しいのだが、少し違う。別にかわいくなくてもいいのだ。だから、別に十月さんは自分のことをかわいいとは直接的には言ってない。そう、直接的には。まあ、このことを説明するのは面倒なので、以下省略になる。

 「と、とりあえず、まだ買いたいものがあるから、早く行こ?あ、戸倉くん、に、荷物持つよ。」

ありがとう、と立ち上がる十月さんに荷物を一つ渡そうとすると弥生はバッと立ち上がり、私が持つわよ、と言って荷物の半分を奪った。

「あ、ありがとう。にしてもなんで荷物を?」

弥生はぼそぼそと何かをつぶやいたが、いきなり

「か、神奈がかわいそうだからに決まってるでしょ!」

と、思いっきりみぞおちにこぶしを入れた。

り、理不尽だーー!

「や、弥生ちゃん、いきなり殴るのはいけないと、思うよ?」

「別にいいのよ、こんな馬鹿はほっといて買い物に行きましょ。」

で、でもと十月さんは俺を見て何か言いたげな表情をするが、弥生はそんなことを見向きせず、買い物客の中に消えていった。十月さんは一言、ごめんなさいと言って弥生の後を追いかけた。

そして、メッセージで一言

「そこで待ってて」

と告げられた。

 

 

そういえば、と、弥生と十月さんの顔を思い返す。

弥生は学校で人気があるほどかわいいのだが、十月さんも弥生にも引けを取らない。つまり、今さっきまで俺は両手に高嶺の花だったわけだ。ちなみに、さっきの両手に花事件は、十月さんを花を弥生に一週間前までボッチだった俺にとっては目覚ましい進化であり、目まぐるしい変化といえるのかもしれない。ただ、どうも腑に落ちない。人との関係はこんなにも変わるのか。そんな疑問が頭の中を渦巻いていた。

そう、目まぐるしい変化といえばこの目に映るものもあったっけな。人の目を見ると、人の死が映る、そんなこの目だ。今わかっていることは、2つだ。

・一日に一度だけ。

・見た内容は1日経つと忘れてしまう。

ほんとに、何なんだろうこの目は。ほんとに不思議だ。

 

そんなことをひたすら考えていると首元から冷たい感触が…

「う、うわっ!って、何すんだよ、弥生。」

「何その顔、ウケる。」

カシャ

十月さんに至っては写真を撮っている。

「帰るわよ。」

そういって、弥生は駅の方へと向かっていく。

ほんとに何なんだろう。今日の弥生は情緒不安定なのかもしれない。かもではなく、情緒不安定なのだ。そんなことより、ありがたく、アイスは受け取っておこう。あ、おいしい。

 

そうやって、買い物は無事に終わりを告げる。

 

「私は、迎えがくるので、これで。」

と十月さんと駅前のロータリーで別れ、今は弥生と帰りの電車の中。ショッピングモールの時とは違ってお互いにうつむいて何も話さない。

「今日はいろいろごめんね。荷物持たせたりして。」

俺たちが降りる駅名がアナウンスされたときに弥生はそういった。別にいいよ、と俺は返す。そのあと、一切会話をせずに家に着いた。
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