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十九話 恩人を侮辱することは許せません!
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「あと少し行けそうだったんだけどなぁ」
「まぁまぁ、何事もなく無事たどり着けたのですから、それで良しとしましょう。私たちの仕事は命あってのものではありませんか」
そんかやり取りをしながら受け付けに並ぶたえとチカは、若干物足りなさを感じながらも無事クエストを達成させました。
ただ、クエストの達成報告よりも大切な事として、自分達がゴブリンと戦った場所付近に多くのゴブリンがいる可能性があることと、今の自分達の実力ではその事実を確認することが困難であること、場所やその根拠などを話しながら、改めて強いものたちに捜索と討伐の依頼を出した方がよいのではないか?とたえとチカは訴えます。
「昨日は30体、今日は20体でしまいにしましたが、チカ殿の話では今日も数匹あちらこちらで発見したということでございます。私にはごぶりんというものがどのような生き物か大雑把にしかわかっていませんが、このような生き物が固まった地域で多く発見できていることが問題なのではないでしょうか?」
「昨日も今日もたえさんの判断が正しくて生き残ることが出来たけど、もし集団で組織的に動かれたらどうにもならなかったと思うので・・・私もたえさんの意見が正しいと思います」
そういう二人の話を聞きながら、受付嬢は発見現場やごぶりんの特徴などを聞き、手元の報告書に書き込んでいきます。それを後ろで聞いていた同じくらいの年の冒険者が「たかがごぶりんごときにそんな大げさな」なんてことを呟きましたが、
「冒険者なんて生きてなんぼの世界だもん。安全にお仕事出来るのが一番だもんね」
「そうですね、臆病くらいの慎重さを持って、確実に実績を積むことが大事だって、兵士長のガンさんも言ってましたもの。私たちは私たちの信念を持って一生懸命やりましょう!」
そんな事を言いながら受付嬢の聞き取りに真剣に答える彼女らを見ながら、次の受付へ移動する数名のパーティでしたが、通りすがりにぼそっと呟いた冒険者の一言に、持っていた羽ペン(偽物)を握りつぶすたえ。反射的に立ち上がって振り向きます。
「そこな方、今なんとおっしゃいましたか?」
「あ?あんだよ!そんな変な武器使ってるから臆病になんだよ!本当の事言ってどこが悪い!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一気に顔が真っ赤になったたえをチカは慌てて座らせます。
受付嬢は目の前のたえに落ち着くように言うとともに、目の前の男性冒険者にも他者への侮辱は許しません!とこの件は報告させていただきますと警告をすると、はいはい~と手をヒラヒラさせて移動をしました。
「私は何も知らない者ですから何を言われても黙っています。ただし、私の恩人巴様の愛用されていたこの武器の事を貶す輩は何があっても許せません!!!!!」
そう言いながら怒りをあらわにするたえに驚くチカ。
今まで自分がぷんぷん怒っているのをなだめたりしてくれたたえがここまで怒っているのを見て、なんとかしてあげたいと思い、目の前の受付嬢に先ほどの男の話を聞くと、2ヶ月ほど前に冒険者登録をした男で、モンスター討伐数は高く、実力は並みの冒険者以上あるけど、しょうっちゅう人を馬鹿にするような発言をして喧嘩を煽るような事をして楽しんでいる節があるということでした。
なるほどね・・・と言いながら、チカは何かを閃いたのか?ぐふふふと嫌な笑いをし、受付嬢に質問します。
「あのー今日って練習場空いてますか?」
「はい、今日はどなたも使われてないようですので、大丈夫ですよ♪」
「いやぁ~うちの相方にどうしょうもない悪口言うくらい暇な男がいるみたいなんで、練習試合でもお願いしようかと思いましてね。たえさんも体を動かしたくて仕方がないんじゃないですか?きっとあの方もあんまり暇だから誰かに相手してもらいたくて仕方がないんでしょうね。誰にも相手してもらえなくてとっーーーーってーーーーも可哀想な人だと思うので、たえさんが体動かすのきっと付き合ってもらえると思うんですよね。たえさんはいい人だなぁ~暇で可哀想な人の事こんなに気にかけられるなんてね~」
そんな事をわざと大きな声で棒読みで言うチカに対して・・・
「なんか言ったか!!!受けてたってやる!!!!!」
いつの間にか後ろにいた先ほどの暇で可愛そうと挑発された男性は、怒りを隠さずチカに対して睨みをきかせながら言い放ちます。
「受けて立つって、まるでこちらが喧嘩ふっかけたような言い方やめてくださいね。別に貴方に直接言ってるわけじゃないですし、たえさんの相手になってくれる紳士な方々は沢山はいらっしゃると思うので、あなたのような野蛮人でなくても構わないんですよ。何か勘違いしていませんか?」
そう言いながら顔だけで「ばーか」と言わんばかりの変顔をするチカに対して、手を出そうとした男性を受付嬢は再度止めます。
「練習試合でしたら、あと1時間後に練習場5番で行えますよ。双方とも練習試合でしたらそちらでどうぞ!いろいろ準備もあると思いますから双方ともそちらで待ち合わせされてはいかがでしょうか?」
そういう受付嬢を見た男は「逃げるなよ!」と一言言い放ち受付をあとにします。
一連の流れを見ていたたえは、自分の発言で迷惑をかけた事を目の前の二人に謝ると、なんのことやら~ととぼけられ、これから練習試合頑張ってくださいねと言われる始末。ごぶりんだけでは物足りないと思っていましたし、何より巴の武器を馬鹿にされた屈辱を晴らすちょうど良い機会を経てありがとうございますと、頭を下げました。
その流れで、練習場を借りる手続きをしながら、チカはさらに言葉を続けます。
「そういえばたえさんって、いろいろな人の装備見たいって言ってましたよね?こういう機会にいろいろな冒険者の皆さんの武器や防具なんか見れると嬉しいですよね。どこかに心優しい冒険者の皆さま方いらっしゃらないかなぁ?一時間後練習場5番なんだけどなぁ」
それを聞いていた他の冒険者の顔は徐々にいたずらっこの顔になって行き、「ぉっ!いいこと言うじゃん!」なんてことを言いながら、一時間後に5番な!なんてことを言いながら走って行きました。
そんなチカの言葉の意味を知ってか?静かに願います!という受付嬢の手元から一枚の小さな紙が差し出され、それを見たチカはにやっとします。
「たえさんに 5千イェン 一番窓口チェリー 叩きつぶして下さい!」
そんなことを言っていいのでしょうか?と首をかしげるたえに、チカはいーのいーのと言いながら練習場へ向かいました。
「まぁまぁ、何事もなく無事たどり着けたのですから、それで良しとしましょう。私たちの仕事は命あってのものではありませんか」
そんかやり取りをしながら受け付けに並ぶたえとチカは、若干物足りなさを感じながらも無事クエストを達成させました。
ただ、クエストの達成報告よりも大切な事として、自分達がゴブリンと戦った場所付近に多くのゴブリンがいる可能性があることと、今の自分達の実力ではその事実を確認することが困難であること、場所やその根拠などを話しながら、改めて強いものたちに捜索と討伐の依頼を出した方がよいのではないか?とたえとチカは訴えます。
「昨日は30体、今日は20体でしまいにしましたが、チカ殿の話では今日も数匹あちらこちらで発見したということでございます。私にはごぶりんというものがどのような生き物か大雑把にしかわかっていませんが、このような生き物が固まった地域で多く発見できていることが問題なのではないでしょうか?」
「昨日も今日もたえさんの判断が正しくて生き残ることが出来たけど、もし集団で組織的に動かれたらどうにもならなかったと思うので・・・私もたえさんの意見が正しいと思います」
そういう二人の話を聞きながら、受付嬢は発見現場やごぶりんの特徴などを聞き、手元の報告書に書き込んでいきます。それを後ろで聞いていた同じくらいの年の冒険者が「たかがごぶりんごときにそんな大げさな」なんてことを呟きましたが、
「冒険者なんて生きてなんぼの世界だもん。安全にお仕事出来るのが一番だもんね」
「そうですね、臆病くらいの慎重さを持って、確実に実績を積むことが大事だって、兵士長のガンさんも言ってましたもの。私たちは私たちの信念を持って一生懸命やりましょう!」
そんな事を言いながら受付嬢の聞き取りに真剣に答える彼女らを見ながら、次の受付へ移動する数名のパーティでしたが、通りすがりにぼそっと呟いた冒険者の一言に、持っていた羽ペン(偽物)を握りつぶすたえ。反射的に立ち上がって振り向きます。
「そこな方、今なんとおっしゃいましたか?」
「あ?あんだよ!そんな変な武器使ってるから臆病になんだよ!本当の事言ってどこが悪い!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
一気に顔が真っ赤になったたえをチカは慌てて座らせます。
受付嬢は目の前のたえに落ち着くように言うとともに、目の前の男性冒険者にも他者への侮辱は許しません!とこの件は報告させていただきますと警告をすると、はいはい~と手をヒラヒラさせて移動をしました。
「私は何も知らない者ですから何を言われても黙っています。ただし、私の恩人巴様の愛用されていたこの武器の事を貶す輩は何があっても許せません!!!!!」
そう言いながら怒りをあらわにするたえに驚くチカ。
今まで自分がぷんぷん怒っているのをなだめたりしてくれたたえがここまで怒っているのを見て、なんとかしてあげたいと思い、目の前の受付嬢に先ほどの男の話を聞くと、2ヶ月ほど前に冒険者登録をした男で、モンスター討伐数は高く、実力は並みの冒険者以上あるけど、しょうっちゅう人を馬鹿にするような発言をして喧嘩を煽るような事をして楽しんでいる節があるということでした。
なるほどね・・・と言いながら、チカは何かを閃いたのか?ぐふふふと嫌な笑いをし、受付嬢に質問します。
「あのー今日って練習場空いてますか?」
「はい、今日はどなたも使われてないようですので、大丈夫ですよ♪」
「いやぁ~うちの相方にどうしょうもない悪口言うくらい暇な男がいるみたいなんで、練習試合でもお願いしようかと思いましてね。たえさんも体を動かしたくて仕方がないんじゃないですか?きっとあの方もあんまり暇だから誰かに相手してもらいたくて仕方がないんでしょうね。誰にも相手してもらえなくてとっーーーーってーーーーも可哀想な人だと思うので、たえさんが体動かすのきっと付き合ってもらえると思うんですよね。たえさんはいい人だなぁ~暇で可哀想な人の事こんなに気にかけられるなんてね~」
そんな事をわざと大きな声で棒読みで言うチカに対して・・・
「なんか言ったか!!!受けてたってやる!!!!!」
いつの間にか後ろにいた先ほどの暇で可愛そうと挑発された男性は、怒りを隠さずチカに対して睨みをきかせながら言い放ちます。
「受けて立つって、まるでこちらが喧嘩ふっかけたような言い方やめてくださいね。別に貴方に直接言ってるわけじゃないですし、たえさんの相手になってくれる紳士な方々は沢山はいらっしゃると思うので、あなたのような野蛮人でなくても構わないんですよ。何か勘違いしていませんか?」
そう言いながら顔だけで「ばーか」と言わんばかりの変顔をするチカに対して、手を出そうとした男性を受付嬢は再度止めます。
「練習試合でしたら、あと1時間後に練習場5番で行えますよ。双方とも練習試合でしたらそちらでどうぞ!いろいろ準備もあると思いますから双方ともそちらで待ち合わせされてはいかがでしょうか?」
そういう受付嬢を見た男は「逃げるなよ!」と一言言い放ち受付をあとにします。
一連の流れを見ていたたえは、自分の発言で迷惑をかけた事を目の前の二人に謝ると、なんのことやら~ととぼけられ、これから練習試合頑張ってくださいねと言われる始末。ごぶりんだけでは物足りないと思っていましたし、何より巴の武器を馬鹿にされた屈辱を晴らすちょうど良い機会を経てありがとうございますと、頭を下げました。
その流れで、練習場を借りる手続きをしながら、チカはさらに言葉を続けます。
「そういえばたえさんって、いろいろな人の装備見たいって言ってましたよね?こういう機会にいろいろな冒険者の皆さんの武器や防具なんか見れると嬉しいですよね。どこかに心優しい冒険者の皆さま方いらっしゃらないかなぁ?一時間後練習場5番なんだけどなぁ」
それを聞いていた他の冒険者の顔は徐々にいたずらっこの顔になって行き、「ぉっ!いいこと言うじゃん!」なんてことを言いながら、一時間後に5番な!なんてことを言いながら走って行きました。
そんなチカの言葉の意味を知ってか?静かに願います!という受付嬢の手元から一枚の小さな紙が差し出され、それを見たチカはにやっとします。
「たえさんに 5千イェン 一番窓口チェリー 叩きつぶして下さい!」
そんなことを言っていいのでしょうか?と首をかしげるたえに、チカはいーのいーのと言いながら練習場へ向かいました。
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