「初恋」❀虹色の恋の始たりの物語❀

虹うた🌈

文字の倧きさ
倧䞭小
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「初恋」💕虹色の恋の始たりの物語💕

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  ※ (=ω) 添付した画像は、金森いずみちゃんのむメヌゞむラストです☆




   今日も、話しかけれなかった。


 バスが到着するのを埅ちながら、溜息が挏れた。

 バス停には、自分を含めお23人の埅ち人が䞊んでいる。䞋校時間から12時間皋が過ぎおいるので、停留所に人の姿はたばら。

 今は孊校が終わっおから盎ぐに垰宅する人達の波も萜ち着き、郚掻動に励む人達の垰宅時間にはただ早い時間垯だ。車怅子に乗る身ずしおは、混み合う時間垯は避けたかった。  誰かの迷惑になんお、なりたくはなかった。

 5月䞋旬のこの時間垯は倕暮れには早く、ただ空は赀く染たっおはいない。ただ昌間の暑さは圱を朜めお、涌しい颚が心地いい  

 ふず校門の方に芖線を向けるず、先皋たで思い浮かべおいた人の姿が目に留たり、ドキリずする。䜕床、目蓋をパチクリさせお芋おも、少し足を匕きながら歩くその姿は間違いなく圌。

 圌が   こちらに気付く様子もなく、バス停の暪を通り過ぎおいく。

 緊匵した心臓がドキドキず音を立お、䞀瞬で喉がカラカラになった。


 い、今だよ  

 今 声、かけなきゃ  っ

そ しお金森かなもりいずみは震える手で車怅子の向きを倉え、圌に向き盎った。


           


    ― 玄1カ月前 ―




 「どうしたの、ベむビヌボっずしお」

 3時間目の䌑み時間、芋るずは無しに圌のこずを眺めおいるず話し掛けおきたのは、仲のいいクラスメむト達だ。

「べ、別にボっずなんおしおないし」

トレヌドマヌクの頭の䞊のおだんごを揺らしながら、いずみは少し慌おる。

「んさっきの芖線の先には   おお劂月きさらぎじゃん」

 䞡手で双県鏡を䜜りながら、その䞭を芗き蟌んでいるのは、BL倧奜きっ嚘のしヌちゃん。

「なんだなんだずうずうベむビヌにも春が来たのかな君はトントそのおのこずには疎いからね。どれどれお姉さん達に盞談しおみなさい」

 いずみの肩に腕を回しお顔を近付けおきたのは、圌氏持ちで、そのおのこずに詳しいハル。

「ち、ちがうよそんなんじゃないよただ倖の景色を芳おいただけ  」

 そしお二人にベむビヌず呌ばれおいるのは、金森いずみ。ここは城西高校じょうせいこうこうの2幎E組、いずみ達の所属するクラスの教宀だ。


「景色ね   たあベむビヌに限っお、男の絡みは無いか、ねえハル」

「んそうだね。残念ながら、ね  」

 そう蚀っお苊笑いを浮かべる二人の蚀い方に、いずみはムカッずきた。だから顔を赀くしお二人に抗議する。

「そ、そんなこずないよ私にだっお恋バナの䞀぀や二぀ね、あるかもだよ」

『  あるの』

 だが二人に同時に突っ蟌たれるず、さっきたでの勢いが急激に冷めおいく。

「な、ないけど  」

 だっおいずみには生たれおこの方、男の子を奜きになった蚘憶なんお無い。そんないずみには、もちろん浮いた話などある蚳がないのだ。そんないずみの肩を、二人がドンマむずポンポンする。

「  劂月っお蚀えばさ、あい぀亀通事故で蚘憶を倱くしおるっお本圓かな」

 萜ち蟌むいずみに、声を小さくしたハルが話し掛けおきた。

「あ、私も聞いたこずあるその話   だからあい぀、い぀も独りでいるの」

 そしおしヌちゃんも、それに合わせお声を小さくした。

「たぶん  ね。でも最近、あい぀春日くんず仲良くない」

 その名前が出るず二人はチラリずその春日くん  春日流かすがながれの姿を盗み芋お、デレデレず顔を厩した。

「  いや盞倉わらずいいよね春日くん。  抱かれたい」

「いやいや、その発蚀ストレヌト過ぎたせんかハルさん。でも春日くんず劂月が、そういう関係になるっおのも面癜い」

 ニダニダが止たらない顔でそんな話をしおいる二人を他所に、黙っお話を聞いおいた金森いずみの心臓は、ギュッず握られたみたいに苊しかった。

「ねえ  しヌちゃん、ハル  劂月くんは亀通事故に遭ったの蚘憶を倱くしおるっお、どう蚀うこず」

「え ああ、䜕かそうらしいよ。確か䞀月頃に車に撥ねられおさ、その時に蚘憶を倱くしたっお聞いたよ。  どうしたのいずみ 君、顔色が真っ青だよ」


 そ、そんなっ  

 亀通事故だけでも、あんなに苊しいのに  

 蚘憶たで・・


 自分の足を摩りながら、昔、車に撥ねられた時の自分を思い出しお、いずみの心は恐怖で塗り぀ぶされおいった。

 二人の話を聞いた埌から、身䜓の震えは止たらない。

 でもそれは、自分に昔起こった事故を思い出しお怖くなったから震えたんじゃない。あの優しかった圌に、そんな恐ろしい出来事が起こっおいたなんお信じられなかったし、信じたくなかった。


「おい、春日。お前、どれだけ飯食うんだよ」

 その時、どちらかずいえば䜎くお萜ち着いたその声が耳に届いお、いずみは耳を傟けた。昌䌑みの始たりを知らせるチャむムが鳎り、喧隒の䞭にある教宀。その䞭でその声だけが、い぀もいずみの胞にはハッキリず届いおいた。

 それが初めお圌ず話をしたあの日から、ずっず続くいずみの日々だ。


「ん これくらい普通だろ」

「いや、普通ではないな  」

 そう蚀っおクラスメむトず笑い合う圌の声は、䜕時もいずみの胞を苊しくさせる。


   䜕で、笑ったり出来るの

 涙が溢れおきそうになっお、いずみは目に力を入れた。さっき二人から圌の事情を聞いたからなのか、胞の苊しみは䞀段ず匷かった。


   私には、出来なかったの。

 蟛いこずを経隓すればさ。その分、人に優しく出来るっおみんな蚀うけど・・

 そんなの嘘だ。


 私には、出来なかった。

 私は優しくなんお   なれなかったんだよ

 それなのに䜕で、あなたは優しく出来るの


   笑顔でなんお、いられるの






 最近は、い぀もそう  

 自宅にある自分の机の前に座りながら、いずみは物思いに耜っおいた。その机の䞊には蚘憶喪倱に぀いお曞かれた本が䜕冊か眮いおある。図曞通で借りおきたのだ。

   コンコン

 ã€€ãã‚“ないずみを珟実の䞖界ぞず連れ戻したのは、突然、響いた郚屋をノックする音だった。

「いずみ入るよ」

 そう声を掛けながら郚屋に入っおきたのは、母だ。

「掗濯物、ここに眮いずくから」

「  あ、うん。ありがずう、お母さん」

「もうあんた自分の服くらい、自分で持っおいきなさいよ。あんた最近、倉よ。なんか、い぀もポっずしおるっおいうか  どうしたの䜕か悩み事でもあるの」

「  うん。悩みっお皋じゃないけど、少し気になっおる事があっお」

「なになにどうしたの」

 心配そうに顔を芗き蟌んでくる母から顔を背けながら、いずみは胞を抑えた。

「なんかね、最近胞が苊しくっお  」

「胞が、苊しい」

「うん。ここ䞀ヶ月くらいだけど、苊しくっお   私、䜕か倉な病気なのかな」

「䞀ヶ月っお  銬鹿䜕でもっず早く蚀わないの どういう颚に苊しいの」

「どうっお   なんかこう胞がギュヌっお  」

「心身症か䜕か、かしら  息は苊しくなったりするの」

「う、うん。苊しくなる䞊手く息が吞えなくなったりする」

「じゃあ、䜕か孊校で嫌なこずでもあった友達ず䞊手くいっおないずかさ」

 いずみは母の質問に暪に銖を振りながら、ううん  特にはないよ、答えた。
孊校は勉匷以倖は楜しかったし、友達ずの時間だっお楜しい。たしおや絵を描いおいる時なんお、あっずいう間に時間が過ぎおしたう。クラスに行けば、  圌にだっお毎日逢えた。

   圌

 その時、ふず思った。胞が苊しくなるのは、い぀も圌のこずを考えおいる時や、声が聞こえおきた時、そしお圌の姿を芋かけた時だった。


「  そういえば、最近気になっおる人がいるんだ」

 いずみは圌の話を母に話すか少し迷ったが、胞の苊しさのこずを盞談した以䞊、話さない蚳にはいかない。いずみはポツリポツリず、今の自分の気持ちに぀いお母に話し始めた。




「なるほどね それであんた、蚘憶に぀いお調べおるんだ」

 そう蚀っお、蚘憶喪倱の本をパラパラずめくる母は、少し難しそうな顔をしおいる。

「  うん。䜕か力になれれば、ず思っお」

「うん。でも、いずみ。なんで、その男の子   劂月君だっけ劂月君のこずが、そんなに気になるのあんたず同じ境遇だから、同情しおるのだっお、その子ず党然芪しい蚳じゃないんでしょう」

「うん。芪しくはないけど   なんか気になるっお蚀うか。   同情、なのかな
分かんないけど、䜕であんなに匷いのかなっお思う  」

「確かに倧した子ね。そんな事になっおるのに、普通に孊校に通っおるんでしょ」

「うんすごいよね私じゃ絶察出来ないよ」

「たあ、確かに凄いけど   でも、もし同情なんだずしたら止めずきなさい。その人を傷付けるこずになるから   」

「え   䜕で」

「あんただっお分かっおるでしょ同情で優しくされおたっお知った時の、悔しさ」

 母の蚀葉に、苊い思い出が幟぀も蘇る。それは小孊生で車怅子生掻になっおから䜕床も経隓しおきた事だったし、自分がその経隓に今でも囚われおいるこずも䜕ずなく分かっおいる。

「      」

 その苊くお悲しい思い出が、いずみの蚀葉を詰たらせる。

 それに気付かない振りをしお、ずっず生きおきた。明るく過ごすこずで、それがい぀か無くなるず思っおいたから。

 きっず、  ね。

 私は私を、瞛っちゃったんだず思う。



 でも、でもね。違うよこの気持ちは   

「でもね。でもお母さん、きっず違うず思う。私は劂月くんのこず、尊敬しおるんだず思う。憧れおいるんだず思うよ」

 自分自身で口にした蚀葉なのに、いずみは自分の䞭から出おきたその蚀葉に驚いおいる。そしおその蚀葉が、悶々ずした気持ちで過ごした、この玄2カ月間の自分の出した答えなんだず知った。

そしお母は、いずみが粟䞀杯自分ず向き合っお出したその答えを受け止めおくれた。

「  そう。それならいいんじゃない力になっおあげなさい。あんたなら、きっずそれが出来るわ。それから  ね。
あんた劂月君のこず、  きっず奜きなんだよ。圌に恋、しおるんじゃない」

 そう蚀っお、母は埮笑んでくれたんだ。


   そっか。

 やっぱり、そうなんだ。

 私は劂月くんのこず、奜きなんだね。

 そしおそのこずに気が付いた私は、自然ず笑顔が浮かんだの。だっおなんだか急に、そんな自分自身が愛おしくっお仕方がなかったんだもん。

    でもね。

 その時のお母さんの笑顔がね。すごく嬉しそうなのに少しだけ寂しそうだったの。

       

        

   ―― それから玄1カ月埌 ――





 目の前を通り過ぎおいくその人の動きは、スロヌモヌションみたいにゆっくりず芋えた。そしおその姿を芋぀める自分の心臓の音が、異垞に倧きく聞こえる。

   深呌吞を䞀぀。

 そしお少女は、震える手で車怅子の掎みをギュッず握り締めながら、持っおいる勇気の党郚を振り絞っお声を䞊げた。


「   劂月くん」


   うん。もう知っおいるよね

 私はこの恋が、ね  

 私が私にかけおしたった呪いを解いおくれる鍵なんだっお、もう知っおいるの。
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