ゲームの世界に閉じ込められて魔王になりました。99万9999人のプレイヤーを倒すまで現実世界に帰れません。

でるたー

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〜"デス"ゲーム、開幕〜

20話 魔王VS魔王軍幹部①

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『うがああああぁぁぁああ‼』

「ふうぅーーー」

 室内を暴れまわるカイザを前に、セバスは腰を落とし、横向きの姿勢で拳に力を籠める。

「はああぁぁあ‼」

 セバスが己に喝を入れ地を蹴る。その速さは蓄積爆発チャージアンドファイアを使ったシェストには及ばないものの、『AGI500』を誇る速度でカイザに肉薄する。

「ふんっ‼」

 セバスの拳がカイザの右肋骨ろっこつを覆う漆黒の鎧に直撃する。その威力は、風圧だけで椅子の木片が吹き飛ぶほどだ。

『うううぅ、ヴぉぉあああああ‼』

 カイザが痛みを露わにし、悲鳴を上げながらもセバスを見据える。その顔は苦痛以外の何かを以てして歪んでおり、阿修羅のように眉を顰めている。どうやらセバスを敵だと視認したようだ。

 セバスの溜めを入れた、金色のオーラに包まれた拳による会心の一撃。それは確かにカイザに通じ、痛みを与えた。だが、外傷的な部分で言えば、鎧の僅かな罅にしかならなかった。

「っく、私の全力の一撃を以てしてもこれ程にしかならないとは……」

『がうぅぅああ‼』

 僅かに思考に耽った瞬間、カイザの拳が風を置いていく速度でセバスの鳩尾みぞおちを直撃する。

「……‼っか……っは‼」

 セバスが目を見開きながら、部屋の扉まで吹き飛ぶ。【拳豪】を使用していなければ、間違いなく腹部にこぶし大の穴がぽっかりと開いただろう。

 宴会場2個分ほどの広大な空間を勢いよく吹き飛ぶセバスが、壁に直撃すると思われたその時、4本の細い何かが体を包むようにし、衝撃を吸収する。

「……。……っかは、かは!ひゅおお、助かりました、フェイス、ロイザ」

 4本の細い何か、それは2人の腕だった。

 後ろを振り返ったセバスは、鳩尾みぞおちへの一撃で一時的に潰された横隔膜が回復した後、妖艶な姿をした女と道化のような姿をした男に感謝の言葉を述べる。

「いえ、お気になさらず。それよりセバス様は大丈夫なのですか?」

 道化の姿をした男、フェイスはその姿からは想像できない程律義に応答する。

「そうですわ~。正直、セバス様が戦闘不能になってしまいますと、あのカイザ様を止められる自信がありませんわ~」

 妖艶な姿をした女、ロイザはフェイスの言葉に理由を付け足すように、カイザの姿を見据えながら言う。

「ええ、私はまだ大丈夫です。どうやら全員揃ったようですね」

 セバスは横に連なる幹部以上の者達を見渡しながら言う。

「十戒!私が今、自分の身で実感しましたがあなた達であれば一撃で落ちるでしょう!なのでカイザ様が逃亡されないよう、二人一組で窓側を警護しながら魔術で支援しなさい!そのため、組を作る際は魔術系と物理系がペアになるように!物理系は魔術系の警護です!」

「「「了解!」」」

 セバスの言葉に十戒は迷うことなくペアを結成し窓側に待機する。カイザを対面に一人でも撃破されると戦況が傾くことを予想してのセバスの行動だろう。

「ビャクラ!失礼に当たりますが、まずはカイザ様を解析しなさい!」

「了解だ」

 ビャクラはセバスの言葉に、僅かに眉を顰めながらも反論はしない。それが一番の最適解だと理解しているのだろう。

「シェスト!【毘沙門天】は私が指示します。それまではいつも通り暴れなさい!」

「おっけーー!カイザ様、悪いな!」

 シェストは躊躇など、どこにもないようなリアクションで狂気を顔に張り付ける。

「フェイス!『悲しみ』をセットしなさい!私が指示を出したら『怒り』をセットするように!」

「了解しました。……悲しいなぁ……悲しいなあ!」

 セバスの言葉にどこから取り出したのだろう、瞳の下に涙が描かれた白の仮面をつける。すると、先程までの律義な姿は鳴りを潜め、シェストほどではないものの、狂気ともいえる姿をさらす。

「ロイザ!恐らく今のカイザ様に魅了は無意味です。最初から【持国天】をお願いします!」

「分かりましたわ~」

 セバスの最初の言に少し難しい顔をしたものの、直ぐに切り替え妖しく言葉を返す。

 ビャクラ、シェスト、フェイス、ロイザは各々異なる反応を示しながらも、どうやらセバスの意見に異論はないようだ。

「レオ、レイ。あなた達はいつも通り、後方からの魔術支援をお願いします。それと、ロイザの警護をお願いします」

「わかった」

 セバスの言葉にレオは、いつになく真剣な面持ちで了承する。

「分かりました。……ですが、は使わないのですか?」

 レイも了承の意を唱えるが、少しの間を置いた後一つ疑問を投げかける。

「いえ、使います。その時は私が指示を出します」

「分かりました」

「さあ、カイザ様救出作戦、開始!」

 軍隊顔負けの迫力でセバスが宣言を口にし、身内同士の壮絶な戦いが幕を開けた。
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