ゲームの世界に閉じ込められて魔王になりました。99万9999人のプレイヤーを倒すまで現実世界に帰れません。

でるたー

文字の大きさ
26 / 68
〜戦力強化編〜

25話 エネミー殲滅計画

しおりを挟む
 ……いつもの天蓋だ。

 重く閉ざされた瞼を、光を手に入れようと懸命に動かし開ける。瞳の中には、いつものように代わり映えの無い紫色の天蓋が映っていた。照明が点いているのを見ると、現在時刻は夜中だろうか。

 体が物凄く怠い。今、俺を包み込んでいる毛布が重く感じるほど怠い。ここまでの怠さは勤務歴2年の時に、会社対抗のマラソン選手として抜擢されてしまった時以来だ。

 なんとか動く目を右に向けてみれば、いつもの優しい微笑みを顔に浮かべたセバスが、こちらを見つめていた。

「お目覚めですか、カイザ様」

「ああ」

 素っ気ない返事になってしまったが許して欲しい。言葉を発することすら、抵抗感を抱いてしまうほど怠いのだ。

 ……あれ?そういえば俺、ベッドに潜った記憶がないんだが。俺は確か神殿から帰ってきて椅子に座ってその後……その後、どうなったんだ?

 必死に記憶にある場面を繰り返すも、いつも同じところで終わってしまう。10分ほど思考に耽っていたが、結局答えに辿り着くことは無かった。

「セバス」

「はい、なんでしょうか」

 この3文字だけでもかなりきついのだが、背に腹は代えられない。

「俺は、どうして今ベッドにいるんだ?」

 俺の言葉にセバスは素っ頓狂な顔をする。

「はて。私に寝ると告げてそのままご就寝なさいましたな」

 ……ふふ、嘘が下手だなセバスは。それなら今、お前はここにいないだろうに。まあ、間違いなく俺がなにかやらかしたんだろうな。

「……そうか」

「ですが、一つ気になったことを申し上げるならば」

 セバスがこれだけは言っておかねばならない、というような真剣な表情で言う。

「それは?」

「カイザ様の瞳の中に、不可解な数字が流れていらっしゃいました」

 不可解な数字が流れていた、か。セバスの顔から嘘は窺えない。疑っているわけではないが、どうやら本当のことのようだ。

 数字……数字……‼そうだ、タイムリミット。

「オープン」

 そう口にすると、丁寧に俺が寝ている姿勢でも見えるよう頭上にプレートが出現する。

「夢ではない……か」

 どうせなら寝ている時の夢であってほしかったが、カウントダウンは夢ではなかったようだ。さて、これからどうするか……。

「カイザ様」

 これからの行動に不安を抱きながら顔を曇らせていると、セバスがなにやら少し躊躇いながらも俺を呼ぶ。

「なんだ?」

「私たちは、カイザ様の配下です。ですので、ほんの少しでも、微力ながらお役に立ちたいと思っております。今、カイザ様がお悩みになられていることは、私たちではお役に立てないことなのでしょうか」

「いや、そういうわけでは……」

 どうしたものか。俺は自分の正体を言うべきなのだろうか。分からない。セバスは俺が『あと2年で死ぬ』と言ったら、信じてくれるのだろうか。

「私たちは何がありましても、カイザ様の味方です。そして、絶対に裏切りませんし、疑いません。ですのでどうか、私たちにご助力させて頂けないでしょうか」

 ……っはは。その台詞、めちゃくちゃ詐欺師がいいそうだな。でもまあ、一人で途方に暮れるよりも、仲間を頼った方がいいのかもな。俺は配下を統べる者、魔王なんだもんな。

「実は――」



「残り2年以内にエネミーを全て殲滅しないとカイザ様が死亡する、ですか」

 俺のひとしきりの説明を聞いた後、セバスは顎に手を当て思い悩む。

「どうだ、信じられないか?」

「にわかには信じられません」

 まあ、そうだよな。

「ですが、カイザ様が言う事であれば本当なのでしょう。というより、疑うなどという選択肢は、もとよりありません」

 セバスが瞳を閉じながら言う。その姿は、あるべき執事の姿そのものだった。
 ここまで信頼されているなら、俺も期待に応えなきゃな。

「よし、じゃあ『エネミー殲滅計画』のプラン、立てるか!」

「畏まりました」

 気付けば、重くのしかかっていた怠さなど吹き飛んでいた。




世界地図ワールドマップ

 スキルを発動すると、広大な世界の立体的なジオラマが5メートル四方の映像で目の前に広がる。

「すっげええ……」

「流石はカイザ様です」

 俺が驚くのはおかしいと思ったか?その通りだ。
 ……結局取得してから一度も使っていなかったのだ!許せええ!

「それで、まだイベントを設置できるのは……第5ステージ以降か」

 俺が世界地図ワールドマップを使用した理由。それはイベントの設置可能エリアを確認するためだ。それと同時に、最も攻略が速いプレイヤーの位置を把握するという目的も兼ねている。

「第4ステージ到達済み、しかしボスは未討伐か」

 第5ステージがまだイベント設置可能なのであれば、そういう事なのだろう。第3ステージのボスの適正Lvは30。それはつまり、現状で鉢合わせると呆気なく撃破される可能性があるという事だ。
 ここは慎重に、尚且つ効率的に行きたい。

「セバス、明日からレジェンダリーフォレストでレベリングを始める。今日はこの辺りでお開きにしよう」

「畏まりました。それでは、お休みなさいませ」

「ああ、お休み」

 セバスが恭しく礼をした後、俺の部屋から退出する。

「……さて、皆の情報を暗記しよう」

 今後行動を共にする配下達の能力を知らないわけにはいかない。……ああ、いつ見てもイライラすんなこれ!

『~魔王になったあなたのためのサポートガイド~これであなたも魔王デビュー』
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】 自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...