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〜戦力強化編〜
49話 恋愛ごっこしてるの? 逃げていい?
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まあ、逃げられるか分からないし、やれるだけやってみるか。
ネロを軽く押し突進の合図を送る。ネロの疾走は風を置いて行き突風を起こす。それほどまでに驚異的なAGI。
だが、既にこの速度は目に焼き付いているようで
「もうその攻め方は見た」
俺が振るったファーズは先程と同様、カナタ君の得物とつばぜり合う。今回はのけ反らず、しっかりとした体制で受けとめられる。
ここでこの状態を維持しもたついていれば、まず間違いなくあの槍が俺らを襲うだろう。
まあ、流石にこれが上手くいくとは思っていない。そもそも、俺の狙いはカナタ君ではない。
今の俺の視線は女の子、ミレアちゃんを捉えている。
「瞬歩」
下からの抵抗力が瞬時に消え、視界が一変する。目の前には短杖を持つミレアちゃん。真っ先にヒーラーを潰すのはRPGの基本と言ってもいいだろう。
ちなみにネロも瞬歩の影響下にいる。
「やば」
「……‼ ガリウス!」
「任せろ」
ガリウスと呼ばれた男が槍の一番の特徴である長いリーチを活かし、ミネアちゃんに迫る俺のファーズを受け止めようと、向き合う両者の間に槍を通してくる。
いやー、流石にこの立ち位置で槍と剣の衝突なんてさ、明らか剣が有利でしょ。てこの原理って知ってる? まあ少しでも急所を外すためなんだろうけどさ。
あまり舐めないでくれよ。
「ガルマダ」
「なっ……‼」
俺の放った超至近距離での闇の球は槍を僅かに逸らす。本当に一瞬ぶれただけ。だが、剣を通すにはそれだけで十分だ。
「アクリネア‼」
俺のファーズがミレアちゃんの頭蓋に到達する寸前、そのわずかな隙間に風船ほどの水の球が入り込む。
「この野郎……」
ネロの毛皮を軽く引っ張り退避を促す。先程の位置に戻るのは危険が伴うため、転移石碑を遠ざけるような形で退避する。
スグル君の放ったアクネリアは俺のファーズに衝突した途端、物凄い勢いで破裂し、無理矢理ミレアちゃんから俺を引き剥がした。
勿論、俺は僅かなダメージを受け、ほぼ直撃状態のミレアちゃんはかなりのダメージを負っただろう。
スグル君は、ある程度の犠牲を払いヒーラーを守り抜いたという事だ。能天気なようで頭はかなり回る、又は機転が利くのだろう。
ミレアちゃんは既に己の回復魔術でHPの回復を済ませている。やはりヒーラーとは存在しているだけで厄介な存在だ。
「ナイスカバー! スグル」
「まあな! へへ」
茶髪をツインテールにした美女と、赤髪をツーブロックにした美男がじゃれ合っている光景を見せられる。
おいおい、なにイチャイチャしてんだよ。この張り詰めた空気を壊しやがって。おじさん嫉妬するぞ。
「スグル、確かにファインプレーだが気を引き締めろ。舐めて勝てる相手じゃない」
「分かってるって」
2人、というかスグル君だけにカノン君が注意する。おやおや? これは三角関係ってやつですかな?
スグル君も黒髪のストレートヘアがとても似合う美男だ。そりゃあ口を挟みたくなりますよねぇ。
「私の仲間をそんなにやついた目で見ないでくれるかしら?魔王さん」
「ちょ、ニーアさん」
ニーアという名前らしい弓の人が、カナタ君の肩に手を置きながら俺に目を向ける。
おっと? ニーアさんはスグル君狙いか? あなたもピンクのポニーテールが凛々しいお顔にマッチしてとてもお綺麗ですよ?
「いやはや、俺には眩しすぎてね。ていうか、俺が魔王って知ってるんだ」
「それはそうよ。だってあなた、さっきの5人に自分の正体をばらしていたじゃない」
「ああ、そっか。そういうこと」
なんとなく察しはついていたが、かなりの時間俺のことを見張っていたらしい。
「さて、話は終わったか? 再開だ」
ガリウスさんが槍を構えながら再開の宣言をする。なんだか、いかつい肉体に黒髪の角狩りという見た目の渋さと、仕切る感じが皆のお父さん感を醸し出している。
「え、まだ戦うの?」
「逆に何故、ここで戦わないという選択肢が出てくる。人数的にこちらが3人リードしているうえに実力も拮抗している。魔王を倒すのにここまで好都合なことは無いだろう」
ガリウスさんが身振り手振りしながら理由を説明していく。
まあ流石にそれぐらい俺にも分かるよ。ただ間接的に逃げていいか聞いてみただけだしね。
「はあ……まあ仕方ないか。やれるだけのことはしますかね」
この無駄な会話のおかげでこちらも準備が整った。
「空、見てみ?」
「なんだ? 夜がどうかしたか」
カナタ君が天を仰ぎながら疑問を口にする。
「そう、夜。てことは、俺たちは2人じゃなくてさ」
銀髪の長身が、突如眼前に発生した深紅の魔法陣から姿を現す。
「3人だよ」
「お初にお目にかかります。カイザ様の契約魔、ヴラドでございます」
ネロを軽く押し突進の合図を送る。ネロの疾走は風を置いて行き突風を起こす。それほどまでに驚異的なAGI。
だが、既にこの速度は目に焼き付いているようで
「もうその攻め方は見た」
俺が振るったファーズは先程と同様、カナタ君の得物とつばぜり合う。今回はのけ反らず、しっかりとした体制で受けとめられる。
ここでこの状態を維持しもたついていれば、まず間違いなくあの槍が俺らを襲うだろう。
まあ、流石にこれが上手くいくとは思っていない。そもそも、俺の狙いはカナタ君ではない。
今の俺の視線は女の子、ミレアちゃんを捉えている。
「瞬歩」
下からの抵抗力が瞬時に消え、視界が一変する。目の前には短杖を持つミレアちゃん。真っ先にヒーラーを潰すのはRPGの基本と言ってもいいだろう。
ちなみにネロも瞬歩の影響下にいる。
「やば」
「……‼ ガリウス!」
「任せろ」
ガリウスと呼ばれた男が槍の一番の特徴である長いリーチを活かし、ミネアちゃんに迫る俺のファーズを受け止めようと、向き合う両者の間に槍を通してくる。
いやー、流石にこの立ち位置で槍と剣の衝突なんてさ、明らか剣が有利でしょ。てこの原理って知ってる? まあ少しでも急所を外すためなんだろうけどさ。
あまり舐めないでくれよ。
「ガルマダ」
「なっ……‼」
俺の放った超至近距離での闇の球は槍を僅かに逸らす。本当に一瞬ぶれただけ。だが、剣を通すにはそれだけで十分だ。
「アクリネア‼」
俺のファーズがミレアちゃんの頭蓋に到達する寸前、そのわずかな隙間に風船ほどの水の球が入り込む。
「この野郎……」
ネロの毛皮を軽く引っ張り退避を促す。先程の位置に戻るのは危険が伴うため、転移石碑を遠ざけるような形で退避する。
スグル君の放ったアクネリアは俺のファーズに衝突した途端、物凄い勢いで破裂し、無理矢理ミレアちゃんから俺を引き剥がした。
勿論、俺は僅かなダメージを受け、ほぼ直撃状態のミレアちゃんはかなりのダメージを負っただろう。
スグル君は、ある程度の犠牲を払いヒーラーを守り抜いたという事だ。能天気なようで頭はかなり回る、又は機転が利くのだろう。
ミレアちゃんは既に己の回復魔術でHPの回復を済ませている。やはりヒーラーとは存在しているだけで厄介な存在だ。
「ナイスカバー! スグル」
「まあな! へへ」
茶髪をツインテールにした美女と、赤髪をツーブロックにした美男がじゃれ合っている光景を見せられる。
おいおい、なにイチャイチャしてんだよ。この張り詰めた空気を壊しやがって。おじさん嫉妬するぞ。
「スグル、確かにファインプレーだが気を引き締めろ。舐めて勝てる相手じゃない」
「分かってるって」
2人、というかスグル君だけにカノン君が注意する。おやおや? これは三角関係ってやつですかな?
スグル君も黒髪のストレートヘアがとても似合う美男だ。そりゃあ口を挟みたくなりますよねぇ。
「私の仲間をそんなにやついた目で見ないでくれるかしら?魔王さん」
「ちょ、ニーアさん」
ニーアという名前らしい弓の人が、カナタ君の肩に手を置きながら俺に目を向ける。
おっと? ニーアさんはスグル君狙いか? あなたもピンクのポニーテールが凛々しいお顔にマッチしてとてもお綺麗ですよ?
「いやはや、俺には眩しすぎてね。ていうか、俺が魔王って知ってるんだ」
「それはそうよ。だってあなた、さっきの5人に自分の正体をばらしていたじゃない」
「ああ、そっか。そういうこと」
なんとなく察しはついていたが、かなりの時間俺のことを見張っていたらしい。
「さて、話は終わったか? 再開だ」
ガリウスさんが槍を構えながら再開の宣言をする。なんだか、いかつい肉体に黒髪の角狩りという見た目の渋さと、仕切る感じが皆のお父さん感を醸し出している。
「え、まだ戦うの?」
「逆に何故、ここで戦わないという選択肢が出てくる。人数的にこちらが3人リードしているうえに実力も拮抗している。魔王を倒すのにここまで好都合なことは無いだろう」
ガリウスさんが身振り手振りしながら理由を説明していく。
まあ流石にそれぐらい俺にも分かるよ。ただ間接的に逃げていいか聞いてみただけだしね。
「はあ……まあ仕方ないか。やれるだけのことはしますかね」
この無駄な会話のおかげでこちらも準備が整った。
「空、見てみ?」
「なんだ? 夜がどうかしたか」
カナタ君が天を仰ぎながら疑問を口にする。
「そう、夜。てことは、俺たちは2人じゃなくてさ」
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