ゲームの世界に閉じ込められて魔王になりました。99万9999人のプレイヤーを倒すまで現実世界に帰れません。

でるたー

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〜激動編〜

61話 雷鬼

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「皆、準備はいいな?」

 カナタの言葉に4人は頷く。その顔は真剣そのものだ。

「よし、行くぞ」

――キイイイィイ

 カナタが金縁の白い大扉に両手を当て、苦労することなく滑らかに開ける。

『貴様たち、覚悟は出来ておろうな』

 重々しい声が神殿内に響き渡る。

 それは間違いなくカナタ達を歓迎したものではない。

 カナタが大扉を開けた先、第五神殿フィフスサンクチュアリの中央で仁王立ちをしながら待ち構えていた存在。一言でいえば、それは鬼だ。
 深緑ふかみどりの皮膚に下顎から伸びた2本の牙、そして鬼の代名詞ともいえる角が2本、頭の皮膚から突き出している。その身に纏う羽衣のような和服と、雷を纏っている円光えんこうは『雷神』を連想させる。

「ああ、勿論だ」

 カナタが『雷鬼らいき Lv50』に答え、その手に剣を構える。
 洗練された中段の構え。そこからカナタが剣道を嗜んでいることを想像するのは容易い。

 それに続くように、残りの四人も己の得物を構える。

『では、行くぞ。いかずちの錫杖』

 5人の瞳を一通り見渡した雷鬼は、その手に神々しい光を放つ錫杖を出現させる。

『ふんっ‼』

――シャララン

 雷鬼が錫杖を勢いよく地に叩きつける。錫杖先端の鈴が心地よい音を鳴らしたかと思えば、カナタ達の頭上にタイヤほどの大きさをした薄黒い雲が出現する。

「……‼ 避けろ!」

――ドゴオオオオオンッ‼

 カナタが避難を指示し一斉に各自が足場を離れた瞬間、薄黒い雲から轟音と共に雷が落ちる。

「ガリウス、行くぞ!」

「ああ!」

 雷鬼の初撃に怯むことなく、カナタがガリウスと共に雷鬼へ詰め寄る。

「グレートバフ!」

 それを後押しするようにミレアが支援魔術を発動し、4人の体を一瞬、緑の膜が覆う。

『ホルマーラ』

 上級光魔術ホルマーラを雷鬼がカナタに向かい放つ。

「アクリネア!」

 バスケットボールほどの光の球。それがカナタに迫る途中、同じくバスケットボールほどの水の球がホルマーラに突撃する。

「ナイスカバーだスグル」

「おうよ!」

 衝突した2つの球は弾け、そのまま消失する。その光景に若干の動揺を示した雷鬼は、再び錫杖を地に叩きつけようと腕を振り上げる。だが

「させねえよ」

 気付けば、雷鬼はカナタの剣の間合いに入っている。

『ふぬぅ……‼』

 カナタの中段の構えからの首を狙った右斜め下への振り降ろし。それを雷鬼は体勢を崩しながらも、錫杖の持ち手の部分で受けとめる。
 だが、迫っていたのはカナタだけではない。

「ふうあっ‼」

 ガリウスが拮抗する2人の横から雷鬼に向かい槍を突き出す。

『ぐふっ……かはっ……‼』

 槍は雷鬼の横腹に突き刺さり、血反吐を吐かせる。

「ニーアさん‼」

 槍が突き刺さった瞬間、カナタが後方で弓の弦を引くニーアを呼ぶ。

「トルネードアロウ」

 ニーアはカナタの言葉に瞬時に反応し、小さな竜巻を纏った矢を放つ。

 ニーアの弓から放たれた矢はカナタの真横をすり抜けた後、雷鬼の頭部と平行に並んだ瞬間、進路を90度変える。

「……‼ 雷闘衣らいとうい!」

 頭部に矢が迫り己の死を感じた瞬間、雷鬼はその身を突如出現した雷で包む。

 頭部に直撃すると思われたニーアの矢は雷に燃やされ威力を失い、ガリウスの槍は雷鬼の体から異物を除くように弾かれる。

『ふんっ‼』

 雷の鎧を纏った雷鬼は、今もなお競り合っているカナタを錫杖で力任せに押し、後方に退避する。

『この雷闘衣に死角はなし。覚悟するが良い』

 雷鬼が錫杖を消滅させ、腰を落とし拳を構える。

「ガリウス、行くぞ!」

「ああ!」

 カナタがガリウスと共に再び雷鬼へと迫る。

「瞬歩」

 雷鬼とカナタの距離が5メートルを切った瞬間、カナタが瞬歩を発動し雷鬼の背後をとる。

「後ろをとったぞ?」

 カナタが挑発の混じった言葉を雷鬼に投げかけながら剣を振り下ろす。

『死角はなし!』

 それに対し雷鬼は即座に反応し、カナタへと振り返ると同時に腕を顔面の前で交差し、剣を防ぐ。

「それで、もう一人いるが?」

 カナタに続きガリウスが雷鬼に迫り、背中目掛け槍を突き出す。

『死角はないと言っている!』

 雷鬼がそう言った瞬間、背中の円光が意思を持ったように回転しながら動き、槍を弾く。

「トルネードアロウ」

 だが、1対5という状況の有利は中々覆らないもの。ニーアの放った竜巻を纏う矢が雷鬼へと向かう。

『ふんっ‼』

 己に矢が向かってくるのを悟った雷鬼は、雷闘衣から雷を発し迎え撃つ。

「グレガノン!」

 雷とトルネードアロウが衝突する寸前、雷を青白い炎の球体が襲う。上級火魔術グレガノン。炎が青白い事から、中級以下の火魔術とはレベルが違うことは一目瞭然だ。

 そんなグレガノンと雷が衝突し、互いに消失する。

「悪いわね、私たちは5人で一つなの」

 ニーアが雷鬼に向かう矢を目で追いながら言う。その表情には己の弓術に対する絶対の自信が垣間見える。

「それに、死角はないのかもしれないけど」

 トルネードアロウは雷鬼の纏う雷の僅かな隙間を通過し、首下へと向かう。

「隙間はあるわよ」

 トルネードアロウは雷鬼の首を見事に刎ね、身に纏う雷闘衣を消失させる。

<雷鬼Lv50を撃破しました。雷天の地エレクトルの主を撃破しました。レアアイテムがドロップしました。『雷鬼の角×1』を獲得しました。Lvが52にアップしました。スキルポイントを1獲得しました>

 5人の脳内にアナウンスが響き、神殿の大扉が開く。
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