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〜激動編〜
62話 翼は授かりません
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「皆、良い連携だった」
神殿の大扉に向かい歩きながら、5人で顔を見合わせ言葉を交わす。
第5ステージのボス、雷鬼は正直あまり強くはなかった。いや、戦った身としてLv50のボスとしての強さはあったと断言できる。だが、あの魔王と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
「これで残るステージも半分だね」
ミレアが皆を鼓舞するように胸の前で手を握りながら言う。
「だな! この調子でさっさと魔王城まで辿り着いて、あの魔王をぶっ飛ばそうぜ!」
「そうね。私たちの目標は魔王討伐。ここは通過点でしかないものね」
「そうだな。気を抜かずにいこう」
ミレアに続くように各々が意気込みのようなものを語っていく。その顔に負の感情は入り混じっておらず、皆一様に前向きな気持ちを持っている。
どうやらあの転移での一件は吹っ切れることが出来たようだ。
「よし、ここから先は未踏の地だ。気を引き締めていくぞ!」
「「「おう!」」」
扉の先、光で遮られた新たな地へと足を踏み入れる。
^
「ここが……」
「煉獄の地、ヴォルカニオンか」
新たなステージに足を踏み入れた瞬間、視界いっぱいに広がるその光景は俺を圧倒した。
第6ステージ 煉獄の地ヴォルカニオン。そこは煉獄の地という名に相応しいほどの『赤と黒』で染まっている。
視界に収まるだけでも5つの活火山がのろしのような噴煙を上げ、空一面を黒と灰の世界に仕立てあげる。
更には勢いよく溶岩を地上にまき散らし、マグマをそのどす黒い山肌を経由させゆっくりと地上へ向かわせる。
マグマが達する地上は焦土と化しており、漆黒の大地のひび割れたような隙間にマグマが流れ込んでいる。
「このゲームに『躓く』って概念があるかどうかは定かではないが、気を付けて進もう」
「だな」
大地の隙間は約5センチといったところだろう。靴が挟まって躓くといった可能性は少なくない。
「あ、みんな! あそこ見て!」
「なんだ?」
ミレアが何かを発見したようで、皆の注目を集め人差し指を向けた先。そこには、3体の牡牛が闊歩している。
「レッドブル、か」
「なんか、翼を授かりそうな名前だな!」
「は?」
ミレアが発見した牡牛、レッドブル。レベルは3体ともLv52。
頭蓋から生えた立派な2本の角に、筋骨隆々とした肉体は闘牛を連想させる。そして、至る所に炎を纏っている。
雷鬼とは違い、4つの蹄、尾の先端、首回りと部分的なものであるが、炎を纏ったその容姿はこのステージが煉獄の地であることを一層引き立たせる。
「さて、どうする?」
答えは決まっているだろうが、念のために聞いておく。
「そりゃあ戦うでしょ」
スグルの言葉に残りの3人も頷く。どうやら全員一致でレッドブルと戦うのを望んでいるようだ。まあ、逆にここで反対意見が出たらどうしようか思い悩んだが。
「よし、行くか」
^
「ニーア、頼む」
『ブルルㇽㇽㇽ』
ガリウスが自分に猛突進するレッドブルに対し、すぐさま横に避けられるよう右足に重心を置きながら、弓の弦を引くニーアさんを呼ぶ。
「ライトニングアロウ」
ニーアさんの放ったライトニングアロウは、ガリウスに迫るレッドブルの脳天に真横から直撃し、僅かな血しぶきを帯びながら貫通する。
レッドブルはそのまま勢いを減衰させ、地に皮膚を擦り付ける様に倒れること数秒、光となり雲散していく。
<レッドブルLv52を撃破しました>
レッドブルと相まみえてから約10分、3体の撃破は難なくこなすことが出来た。
レッドブルは己の持つ立派な角を武器として、物凄い速度で突進してくる。最初はその速度に軽く動揺したりはしたが、何回か猛突進を避けている内にレッドブルは『勢いがつきすぎるあまり進路変更が出来ない』という事が判明した。
そこからは簡単で、一人(俺かガリウス)が囮となりニーアさんの弓で仕留める形が上手くはまった。
勿論、ミレアはバフ、スグルは想定外のことに備えて常に杖を構えており、誰一人役に立たないなどということはなかった。
「相変わらず、流石の腕前だなニーア」
ガリウスがニーアさんに尊敬の眼差しを向けながら言う。
「ふふ、ありがと」
その言葉を言われ慣れているのだろうか、ニーアは可憐な笑みでさらりと返す。さらり、と言っても決して仲が悪いわけではない。親しい仲だからこその反応だ。
「さて、それじゃあ……なんだ?」
先に進もう、そう口にしようとした矢先、地面が小刻みに震え物凄い速度で巨大な何かが近付いてくるのを確認する。
<イベントが発生しました。『ボルケーノリザード Lv55の討伐』を開始します>
近付いてくる謎の存在を認知した瞬間、アナウンスがイベント発生を告げる。
「あ、エレクトルで言ってたやつだ!」
ミレアが『ぽんっ』と手を叩きながら閃き顔で言う。
そうだ、エレクトルで運営がアナウンスしたボルケーノリザードというやつだ。燃え盛るような赤い皮膚に10メートルはありそうな巨大な体躯の蜥蜴。
中ボスというのも頷ける。
「皆、気を引き締めていくぞ!」
「「「おう!」」」
『ギュルラオオオオオ――』
――シュイン
「……は?」
全員が気を引き締め己の得物を構えた瞬間、ボルケーノリザードが叫んだと思えば一瞬にして姿が消える。
<こちらBFO運営支部、イベント更新情報をお伝えします。現在、第6ステージ煉獄の地ヴォルカニオンで開催の『ボルケーノリザード』の出現イベントを、第7ステージ砂漠の地サンディオにて開催致します。それに伴い、第6ステージ煉獄の地ヴォルカニオンでのイベントは終了致します>
アナウンスが流れた後、俺らは暫く顔を見つめ合っていた。
神殿の大扉に向かい歩きながら、5人で顔を見合わせ言葉を交わす。
第5ステージのボス、雷鬼は正直あまり強くはなかった。いや、戦った身としてLv50のボスとしての強さはあったと断言できる。だが、あの魔王と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
「これで残るステージも半分だね」
ミレアが皆を鼓舞するように胸の前で手を握りながら言う。
「だな! この調子でさっさと魔王城まで辿り着いて、あの魔王をぶっ飛ばそうぜ!」
「そうね。私たちの目標は魔王討伐。ここは通過点でしかないものね」
「そうだな。気を抜かずにいこう」
ミレアに続くように各々が意気込みのようなものを語っていく。その顔に負の感情は入り混じっておらず、皆一様に前向きな気持ちを持っている。
どうやらあの転移での一件は吹っ切れることが出来たようだ。
「よし、ここから先は未踏の地だ。気を引き締めていくぞ!」
「「「おう!」」」
扉の先、光で遮られた新たな地へと足を踏み入れる。
^
「ここが……」
「煉獄の地、ヴォルカニオンか」
新たなステージに足を踏み入れた瞬間、視界いっぱいに広がるその光景は俺を圧倒した。
第6ステージ 煉獄の地ヴォルカニオン。そこは煉獄の地という名に相応しいほどの『赤と黒』で染まっている。
視界に収まるだけでも5つの活火山がのろしのような噴煙を上げ、空一面を黒と灰の世界に仕立てあげる。
更には勢いよく溶岩を地上にまき散らし、マグマをそのどす黒い山肌を経由させゆっくりと地上へ向かわせる。
マグマが達する地上は焦土と化しており、漆黒の大地のひび割れたような隙間にマグマが流れ込んでいる。
「このゲームに『躓く』って概念があるかどうかは定かではないが、気を付けて進もう」
「だな」
大地の隙間は約5センチといったところだろう。靴が挟まって躓くといった可能性は少なくない。
「あ、みんな! あそこ見て!」
「なんだ?」
ミレアが何かを発見したようで、皆の注目を集め人差し指を向けた先。そこには、3体の牡牛が闊歩している。
「レッドブル、か」
「なんか、翼を授かりそうな名前だな!」
「は?」
ミレアが発見した牡牛、レッドブル。レベルは3体ともLv52。
頭蓋から生えた立派な2本の角に、筋骨隆々とした肉体は闘牛を連想させる。そして、至る所に炎を纏っている。
雷鬼とは違い、4つの蹄、尾の先端、首回りと部分的なものであるが、炎を纏ったその容姿はこのステージが煉獄の地であることを一層引き立たせる。
「さて、どうする?」
答えは決まっているだろうが、念のために聞いておく。
「そりゃあ戦うでしょ」
スグルの言葉に残りの3人も頷く。どうやら全員一致でレッドブルと戦うのを望んでいるようだ。まあ、逆にここで反対意見が出たらどうしようか思い悩んだが。
「よし、行くか」
^
「ニーア、頼む」
『ブルルㇽㇽㇽ』
ガリウスが自分に猛突進するレッドブルに対し、すぐさま横に避けられるよう右足に重心を置きながら、弓の弦を引くニーアさんを呼ぶ。
「ライトニングアロウ」
ニーアさんの放ったライトニングアロウは、ガリウスに迫るレッドブルの脳天に真横から直撃し、僅かな血しぶきを帯びながら貫通する。
レッドブルはそのまま勢いを減衰させ、地に皮膚を擦り付ける様に倒れること数秒、光となり雲散していく。
<レッドブルLv52を撃破しました>
レッドブルと相まみえてから約10分、3体の撃破は難なくこなすことが出来た。
レッドブルは己の持つ立派な角を武器として、物凄い速度で突進してくる。最初はその速度に軽く動揺したりはしたが、何回か猛突進を避けている内にレッドブルは『勢いがつきすぎるあまり進路変更が出来ない』という事が判明した。
そこからは簡単で、一人(俺かガリウス)が囮となりニーアさんの弓で仕留める形が上手くはまった。
勿論、ミレアはバフ、スグルは想定外のことに備えて常に杖を構えており、誰一人役に立たないなどということはなかった。
「相変わらず、流石の腕前だなニーア」
ガリウスがニーアさんに尊敬の眼差しを向けながら言う。
「ふふ、ありがと」
その言葉を言われ慣れているのだろうか、ニーアは可憐な笑みでさらりと返す。さらり、と言っても決して仲が悪いわけではない。親しい仲だからこその反応だ。
「さて、それじゃあ……なんだ?」
先に進もう、そう口にしようとした矢先、地面が小刻みに震え物凄い速度で巨大な何かが近付いてくるのを確認する。
<イベントが発生しました。『ボルケーノリザード Lv55の討伐』を開始します>
近付いてくる謎の存在を認知した瞬間、アナウンスがイベント発生を告げる。
「あ、エレクトルで言ってたやつだ!」
ミレアが『ぽんっ』と手を叩きながら閃き顔で言う。
そうだ、エレクトルで運営がアナウンスしたボルケーノリザードというやつだ。燃え盛るような赤い皮膚に10メートルはありそうな巨大な体躯の蜥蜴。
中ボスというのも頷ける。
「皆、気を引き締めていくぞ!」
「「「おう!」」」
『ギュルラオオオオオ――』
――シュイン
「……は?」
全員が気を引き締め己の得物を構えた瞬間、ボルケーノリザードが叫んだと思えば一瞬にして姿が消える。
<こちらBFO運営支部、イベント更新情報をお伝えします。現在、第6ステージ煉獄の地ヴォルカニオンで開催の『ボルケーノリザード』の出現イベントを、第7ステージ砂漠の地サンディオにて開催致します。それに伴い、第6ステージ煉獄の地ヴォルカニオンでのイベントは終了致します>
アナウンスが流れた後、俺らは暫く顔を見つめ合っていた。
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