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魔女のマルテさん
「よし、これで邪魔者はいなくなった。」
呪いが解けた2人を転移させたマルテさんは、ぱんぱんと手を払っています。
そう言った表情はとても満足げで……その笑顔が黒く見えたのは気のせいでしょうか。
渇いた笑みを浮かべてしまいます。
「ああそうだ。リリーの為にマドレーヌを買ってきたんだよ。紅茶を入れてくるから座って待っててね。」
「……えっ、そんな申し訳ないです!」
マルテさんの提案はすごく魅力的ですが、呪いの解除方法まで教えてもらったのにお茶まで入れてもらうなんて……。
贅沢にも程があります。
私も手伝おうと立ち上がりました。
しかしそれはマルテさんによって阻止されてしまいます。
「俺がリリーにしたくてしてるんだし、その綺麗な手に火傷なんて負ったら大変でしょ?」
「……いえ、そんなことは」
「ってことで待ってて。」
有無を言わせぬようにマルテさんは私を流れるようにソファーへ座らしてからキッチンへと向かってしまいました。
結局、甘やかされてしまいました……。
マルテさんのレディーファーストはものすごく自然です。
耐性のない私は上手くかわすなんて高度な技を持ち合わせておらず、いつもドギマギしてしまいます。
実は、最近ここにお邪魔していなかったのも、そのことが原因なのです。
マルテさんはとにかく私のことを褒めてくださいます。
それはとても嬉しいですが、同時に恥ずかしくもありました。
一言一言が具体的で、言われる度に顔を赤くしてしまうのです。
マルテさんはそれをわかっていて褒めてきます。
これに慣れてしまったら、取り返しのつかないことになってしまうような気がしてならないのです。
……良く考えてみてください。
ドアを開けたら先に入れてくれて、椅子に座ろうとすると必ず引いてくれます。
薬草を取りに来た時なんて、ずっと荷物を持ってくれたんですよ?
私が持ちますって言っても渡してくれなかったくらいです。
さらに、危ないことからは遠ざけられるので、ここにいる間は本物のお姫様にでもなったかのような扱いを受けます。
こんなのに慣れてしまったら、私ダメ人間になってしまうに決まってるじゃないですか。
なので、極力来ないようにしていました。
正直、こんなに良くしてもらって避けるのはどうなのかと思っています。
でも私が真っ当な人間でいる為なんです。許してください。
「お待たせ。……はい、砂糖とミルク。」
「あ、ありがとうございます。」
……マルテさんは一体どこで女性の扱い方を覚えたのでしょうか。
魔女が街に出てきたなんて噂は聞いたこともありませんし、マルテさんが外出する所なんてみたこともありません。
あ、でもマドレーヌを買ってきたって言ってましたね。
ってことは、少なくとも街には出ているはずです。
「はい、口開けて。」
「じ、自分で食べられますから!」
マルテさんはマドレーヌを私の口に運ぼうとします。
私は首を振りながら慌てて断りました。
ええそうです。
いわゆるあーんをされそうな形になってしまっています。
これを恥ずかしげもなくやっているんですよ?
もう恐ろしいとしか言いようがありません。
慣れてるなんてレベルじゃ片付けられない領域に達しています。
「残念。」
私の反応が面白いのでしょう。
マルテさんはそう言っている割に嬉しそうな笑顔を浮かべています。
「……あの、前にも言いましたが、私はこういうことに耐性がないので、できれば辞めて頂けると……」
「何言ってるの。……むしろ慣れてないからやってるに決まってるでしょ。」
「……へ?」
これは、あれでしょうか。
私の反応が新鮮だから揶揄われているのですね?
マルテさんもかなりの美形ですし、こんなイケメンにお姫様扱いをされたら誰だってイチコロです。
断られる経験なんて今までなかったに違いありません。
だから私の反応を面白がっていたんですね。
納得しました。
でも、いつまでもこのままってわけにもいきません。
「……私は友達として接して欲しいんです。マルテさんと対等でいたいので……ダメ、ですか?」
一方的に受け取る関係なんて、良くないに決まってます。
お互いに支え合ってこその友達ですから。
「……本当、リリーには敵わないな。いつもならすぐに流されるのに、こういうとこだけ頑固なんだからさ。」
私、チョロいって思われてたんですね。
ムッとしてしまいます。
最後の言葉……後半はともかく、前半は完全に貶してますよね。
……まあ承諾してくれたを覆されたくないので何も言いませんが。
これでも、前世では恋愛経験はあったんですよ。……今世では言わずもがな皆無ですけど。
なので優しくされたからってすぐに人を好きになったりしないのです。
そもそもマルテさんは……!
……って、あれ?
マルテさんは、の続きはなんでしょうか。
その先がまるでシャットアウトされたかのように思い出せなくなってしまいます。
なんだか、嫌な予感がします。
大事なことを忘れてしまっているような……。
「……食べないの?あ、やっぱりあーんして欲しくなったとか?」
「食べさせて頂きます……!」
どうやら考え込みすぎてしまっていたようで、マルテさんの声に現実へと引き戻されました。
さっきの現象……引っかかりはしますが、マルテさんに心配をかけない為にも取り敢えず目の前のマドレーヌに集中することに決めます。
「……!おいしい。」
一口齧った私は、思わず声に出してしまいました。
もぐもぐと噛むたびにマドレーヌの甘さが口いっぱいに広がり、その美味しさに自然と笑顔になります。
「よかった。……リリーは本当に甘いもの好きだよね。」
マルテさんに笑われてしまいました。
だって本当に美味しいんですよ?
「また買ってくるから来週も来てね」という言葉に頷いてしまったのは、不可抗力です。
気づいたら頷いてました。
……決してチョロいわけではありません。
すぐにハッとしてしまった!と思いました。
それが顔に出ていたのでしょう、マルテさんにまたもや笑われてしまいます。
そんな風に他愛もない会話を楽しんでいましたが、太陽がだいぶ傾いてきたのに気づいたマルテさんに今日は帰るよう促されました。
……またしても気を使わせてしまいました。
屋敷に帰ってきたのは太陽がほとんど沈んでしまった頃でした。
疲れ切っていた私は、行儀は良くないですが、ドサっとベットに倒れ込みました。
呪いが解けた2人を転移させたマルテさんは、ぱんぱんと手を払っています。
そう言った表情はとても満足げで……その笑顔が黒く見えたのは気のせいでしょうか。
渇いた笑みを浮かべてしまいます。
「ああそうだ。リリーの為にマドレーヌを買ってきたんだよ。紅茶を入れてくるから座って待っててね。」
「……えっ、そんな申し訳ないです!」
マルテさんの提案はすごく魅力的ですが、呪いの解除方法まで教えてもらったのにお茶まで入れてもらうなんて……。
贅沢にも程があります。
私も手伝おうと立ち上がりました。
しかしそれはマルテさんによって阻止されてしまいます。
「俺がリリーにしたくてしてるんだし、その綺麗な手に火傷なんて負ったら大変でしょ?」
「……いえ、そんなことは」
「ってことで待ってて。」
有無を言わせぬようにマルテさんは私を流れるようにソファーへ座らしてからキッチンへと向かってしまいました。
結局、甘やかされてしまいました……。
マルテさんのレディーファーストはものすごく自然です。
耐性のない私は上手くかわすなんて高度な技を持ち合わせておらず、いつもドギマギしてしまいます。
実は、最近ここにお邪魔していなかったのも、そのことが原因なのです。
マルテさんはとにかく私のことを褒めてくださいます。
それはとても嬉しいですが、同時に恥ずかしくもありました。
一言一言が具体的で、言われる度に顔を赤くしてしまうのです。
マルテさんはそれをわかっていて褒めてきます。
これに慣れてしまったら、取り返しのつかないことになってしまうような気がしてならないのです。
……良く考えてみてください。
ドアを開けたら先に入れてくれて、椅子に座ろうとすると必ず引いてくれます。
薬草を取りに来た時なんて、ずっと荷物を持ってくれたんですよ?
私が持ちますって言っても渡してくれなかったくらいです。
さらに、危ないことからは遠ざけられるので、ここにいる間は本物のお姫様にでもなったかのような扱いを受けます。
こんなのに慣れてしまったら、私ダメ人間になってしまうに決まってるじゃないですか。
なので、極力来ないようにしていました。
正直、こんなに良くしてもらって避けるのはどうなのかと思っています。
でも私が真っ当な人間でいる為なんです。許してください。
「お待たせ。……はい、砂糖とミルク。」
「あ、ありがとうございます。」
……マルテさんは一体どこで女性の扱い方を覚えたのでしょうか。
魔女が街に出てきたなんて噂は聞いたこともありませんし、マルテさんが外出する所なんてみたこともありません。
あ、でもマドレーヌを買ってきたって言ってましたね。
ってことは、少なくとも街には出ているはずです。
「はい、口開けて。」
「じ、自分で食べられますから!」
マルテさんはマドレーヌを私の口に運ぼうとします。
私は首を振りながら慌てて断りました。
ええそうです。
いわゆるあーんをされそうな形になってしまっています。
これを恥ずかしげもなくやっているんですよ?
もう恐ろしいとしか言いようがありません。
慣れてるなんてレベルじゃ片付けられない領域に達しています。
「残念。」
私の反応が面白いのでしょう。
マルテさんはそう言っている割に嬉しそうな笑顔を浮かべています。
「……あの、前にも言いましたが、私はこういうことに耐性がないので、できれば辞めて頂けると……」
「何言ってるの。……むしろ慣れてないからやってるに決まってるでしょ。」
「……へ?」
これは、あれでしょうか。
私の反応が新鮮だから揶揄われているのですね?
マルテさんもかなりの美形ですし、こんなイケメンにお姫様扱いをされたら誰だってイチコロです。
断られる経験なんて今までなかったに違いありません。
だから私の反応を面白がっていたんですね。
納得しました。
でも、いつまでもこのままってわけにもいきません。
「……私は友達として接して欲しいんです。マルテさんと対等でいたいので……ダメ、ですか?」
一方的に受け取る関係なんて、良くないに決まってます。
お互いに支え合ってこその友達ですから。
「……本当、リリーには敵わないな。いつもならすぐに流されるのに、こういうとこだけ頑固なんだからさ。」
私、チョロいって思われてたんですね。
ムッとしてしまいます。
最後の言葉……後半はともかく、前半は完全に貶してますよね。
……まあ承諾してくれたを覆されたくないので何も言いませんが。
これでも、前世では恋愛経験はあったんですよ。……今世では言わずもがな皆無ですけど。
なので優しくされたからってすぐに人を好きになったりしないのです。
そもそもマルテさんは……!
……って、あれ?
マルテさんは、の続きはなんでしょうか。
その先がまるでシャットアウトされたかのように思い出せなくなってしまいます。
なんだか、嫌な予感がします。
大事なことを忘れてしまっているような……。
「……食べないの?あ、やっぱりあーんして欲しくなったとか?」
「食べさせて頂きます……!」
どうやら考え込みすぎてしまっていたようで、マルテさんの声に現実へと引き戻されました。
さっきの現象……引っかかりはしますが、マルテさんに心配をかけない為にも取り敢えず目の前のマドレーヌに集中することに決めます。
「……!おいしい。」
一口齧った私は、思わず声に出してしまいました。
もぐもぐと噛むたびにマドレーヌの甘さが口いっぱいに広がり、その美味しさに自然と笑顔になります。
「よかった。……リリーは本当に甘いもの好きだよね。」
マルテさんに笑われてしまいました。
だって本当に美味しいんですよ?
「また買ってくるから来週も来てね」という言葉に頷いてしまったのは、不可抗力です。
気づいたら頷いてました。
……決してチョロいわけではありません。
すぐにハッとしてしまった!と思いました。
それが顔に出ていたのでしょう、マルテさんにまたもや笑われてしまいます。
そんな風に他愛もない会話を楽しんでいましたが、太陽がだいぶ傾いてきたのに気づいたマルテさんに今日は帰るよう促されました。
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