異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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6章 広がる世界と新たな疑問3 ホムンクルス計画

446 縛鎖 (改)

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「……なぁカイメン。アウラに服を着せてやってくれない?」


 俺とカイメンの間に立って、無言で臨戦態勢を取るアウラ。しかし全裸だ。


 カイメンが自慢する程度には見目麗しいアウラが全裸ってのは目に悪いよぅ。

 だけどアウラ自身は意識が無いみたいだから、羞恥心とか無いんだろうなぁ。


「いくら本人の意識が無いとは言え、女性の裸を見続けるのは申し訳ないんだけど?」

「はんっ。随分とまぁくだらないことを気にする男だな? どうせ貴様はこれから死にゆくのだ。であればアウラの裸体を目に焼き付けて死ぬが良かろうよ」


 ……くだらないことかなぁ?

 俺だったら、愛するみんなの裸を俺以外の男に見せる気にはならないんだけどなぁ?


「それと、アウラは別に意識を失っているわけではないぞ? 肉体の制御を俺に奪われているだけでな。貴様の言動も自身の裸体を見られている事もしっかりと認識しているはずだ」

「はずだ、じゃねぇんだよ! だったら服着せてやれって言ってんの! 人をスケベ扱いしやがってるけど、結局お前自身がアウラに服着せたくないだけじゃねぇの!?」

「はっ! 私にとってアウラは研究対象という認識しか無いがな。だがアウラが美しいのは認めよう。完璧な存在には完璧な外見こそ相応しいと、理想の女性の姿を目指して研究されてきたのだからなぁ」


 理想の女性像と聞いて、改めてアウラの外見を見直してみる。


 身長は160ちょっとくらいだろうか? 俺よりも少し低い。

 ドワーフ族特有の色黒の肌を持ち、おっぱいはヴァルゴと比べて少し小ぶりだ。戦闘の邪魔にならない程度の大きさってことかねぇ?


 髪の色はティムルと同じく濃い目の茶髪で、瞳の色も黒だ。

 髪の長さは肩よりも下に来る程度の長さで、手足もスラリと長くて美しい。


 ……けどなぁ。確かにアウラは凄い美人だと思うんだけど、我が家の基準で言うと突出してるってレベルじゃないんだよなぁ。


 これ以上は個人の好みの差になってくるんだろうけれど、我が家の美貌ツートップはやっぱりフラッタとリーチェだ。

 この2人はマジで人間なのかと疑いたくなるほど美しいのに、最高に可愛くて最高にエロいんだよねぇ。


「アウラ。お前の前に立ちはだかる存在は全て皆殺しにしろ。ここに居る者は全てお前の邪魔をする存在だ!」

「う……うう……!」


 縛鎖のペンデュラムを掲げながらアウラに命じるカイメンとは裏腹に、苦悶の表情をしながら動こうとしないアウラ。


 ……ああ、この表情には見覚えがあるなぁ。

 竜爵家に乗り込む前に立ち合ったフラッタと同じ顔をしてるよ、アウラ。


「アウラ。気にせず全力でおいで。お前が友達になった男は、お前に殺されてやるほど弱くはないから」

「う……う……?」

「お前が本当に至高の存在だったにしても、村人すら浸透してない相手に負けてやるほど俺は弱くないよ」


 俺の言葉に戸惑い、きょとんとした表情を見せるアウラ。

 いっそ意識を奪われていた方が苦しまずに済んだだろうに、人と争う覚悟も無いままで俺に嗾けられたアウラに俺を傷つけされるわけにはいかないね。


「お前に傷1つ付けられてやる気も無いし、勿論お前のことだって傷つけたりしないから」


 カイメンはこの世界を舐めすぎてる。

 いくらアウラがこの世界の頂点に君臨する存在だったとしても、磨かれていない原石で俺達に立ち向かえると思うなよ?


 アウラは職業補正無しでも腕を磨き続けた魔人族とは逆だ。

 最高の資質を持ちながらも全く磨かれていない、生まれたての赤子のような存在だ。


 いくら全種族の特性を持ち合わせると言っても、それだけで最強の存在になれるんだったら、ガルクーザに人類が滅ぼされかけたりはしてないんだよ。


「我慢なんかしなくて大丈夫。安心して全力でおいでアウラ」

「う~……?」


 本当? とでも言うように首を傾げるアウラに向かって、笑顔で両手を広げてみせる。


 遠慮は要らない。全力でおいで。

 その情報を元に、ティムルとリーチェが解決策を見つけてくれるはずだからね。


「はっはっは! 大した自信じゃないか! ソイツもそう言ってるんだ! アウラ、遠慮せず思い切りやってしまえぇ!」


 いやいや。こちとらこの研究所の天井をぶち抜いて登場して、たった今イントルーダーを滅ぼしたところを見せたばっかりなんですけど?

 大した自信はこっちのセリフなんだよカイメンさん。


「う~……! うぁぁっ……!」


 俺の言葉に半信半疑で首を傾げていたアウラだったけど、カイメンからの追加の命令でとうとう抗えなくなったらしい。

 歯を食い縛りながら凄い速度で突進してきた。


「うううううっ!!」


 凄い速度……だけど、それは勿論村人としてはの話だ。

 職業浸透が行われていないアウラの動きは俺から見たら止まっている様なものだし、ヴァルゴのように意識の隙間を縫うような技術も無い、予備動作バレバレのテレフォンパンチって奴だ。


 どれほどの連撃を繰り出して来ようと、こんなもの目を瞑ってたって躱す自信がある。

 仮にアウラの裸体に気を取られたって当たる事は無いだろうね。


「がぁっ! ううっ! ああああっ!」


 むちゃくちゃな動きで俺に殴りかかってくるアウラ。戦闘訓練を受けたような動きは一切見られない。


 それもそうだよな。アウラはまだ10歳の少女でしかなくて、アウラが生きていた時代はガルクーザの脅威に晒されていたんだ。

 普通の魔物狩りすら経験したことは無いんじゃないかな。


「ちっ、流石にここまで来れるだけはあるようだなぁ……! 一筋縄ではいかんか……!」

「諦めたんならアウラを止めてくれない? 穏便に事を済ませられるならそれに越した事はないんだけどなぁ」

「抜かせぇっ! 侵入者風情がアウラを舐めるなよぉっ!」


 再度掲げられた縛鎖のペンデュラムが強い光を放つ。


「うっ!? ああああああああっ!?」


 その途端にアウラが叫び声を上げ、その体からは先ほどのように様々な色の魔力が放たれ始めた。

 かと思うとアウラの額に角が生え、その背には大きな翼が現れた。竜化か。


「ううううう……、あああああああっ!!」

「っとと」


 間髪入れずに俺に向かってブレスを放ってくるアウラ。

 そのブレスを回避しながら、アウラのブレスの使い方に違和感を覚える。


 このブレスの使い方はおかしいよね?

 放ったら魔力が枯渇する竜人族のブレスを出会い頭にぶっ放すなんて、いくらなんでも無駄撃ち過ぎる。


 このブレスの放ち方は、戦闘経験が無い者の使い方の気がする。

 アウラの意思ではなくて、カイメンの指示で無理やり放たされた感じなのか?


「ふーっ……! ふーっ……!」


 しかしブレスを放って魔力枯渇を起こすはずのアウラは、ブレスを放ったあとも変わらず佇み、竜化すら解けていなかった。

 ……マジで魔力枯渇による戦闘不能は期待出来ないのかぁ? まぁ元々期待はしてなかったけどね。


「フラッタ、ティムル。ブレスを放ってもアウラの竜化が解けてないみたいだけど、理由は分かる?」

「……ブレスの威力を加減したようには見えなかったのじゃ。やはりどこからか……恐らくはアウターから魔力を吸い上げているのじゃろうな」

「フラッタちゃんの言う通りだと思うわ。アウターに魔力が戻ってきてる気配も無いから、アウラの完成に合わせて暴王のゆりかごの魔力がまたアウラに供給されているんじゃないかしら」


 アウターの魔力をそのままアウラに流用しているのか。

 その割にはアウラが魔物化するような兆候は見受けられないけど、大丈夫なんだろうか?


「さぁて……。どうしたもんかな?」


 竜化して身体能力が跳ね上がったアウラが襲い掛かってくるのを躱しながら、ここからどうやってアウラを止めるか考える。


 アウラとカイメンの魂が繋がっているから、アウラを操っているカイメンを殺すわけにはいかない。

 けれどアウラを無理矢理動かしているのがカイメンであるなら、死なない程度にぶん殴って意識を失わせてみるのはどうだろう? 


 ちょっと独断で判断するのは不味い案件だな。みんなにも相談してみようか。


「リーチェー。ちょっとこっちの声遮断してくれるー?」

「ん、了解。もう普通に喋って平気だよ」


 一瞬かよ! 精霊魔法凄いなっ?

 アウラの攻撃を避けながら、カイメンを死なない程度にボコって意識を奪おう作戦をみんなに提案してみる。


「……それは正直ありだと思うわね。魂が繋がれ生命を共有しているということは、逆に言えば死なない限りは無事ってことでしょ? カイメンの意識が無くなってもアウラに悪影響があるとは考え難いわ」

「ぼくもありだと思う。いくら魔力が無尽だと言っても、戦闘経験も持久力補正も無いアウラは限界を超えて酷使されてる状態だよ。これ以上カイメンの好き勝手に操らせるわけにはいかないと思う」


 ティムルとリーチェからはゴーサイン。ニーナとヴァルゴも無言で頷いてくれる。

 みんなカイメンにはムカついてたっぽいからな。躊躇う仲間は誰もいない模様。


 よし、みんなから許可が下りた以上カイメンをのさばらせておく理由も無いな! サクッと意識を刈り取ってしまおうか。


 敏捷性補正を全開にしてアウラを置き去りにし、キュアライトをまとってボディブローを決行する。

 非戦闘員のカイメンは俺の動きに反応を返すことすらなく、棒立ちのままで俺の右拳を深くその腹に受け入れた。


「ぐぼぁっ!?」

「悪いねカイメン。ちょっと寝ててもらえるかな? 殺す気は無いからぐっすりお休み?」


 右手を腹から引き抜くと、何の抵抗も無く崩れ落ちるカイメン。

 野郎を受け止める義理もないので、地面とキスでも楽しんでね。


「ううううう……あああああああああっっっ!!」

「っ!? どうしたアウラっ!?」


 カイメンが意識を失うと同時に、アウラの肩口からトラのような顔と竜のような顔が生え、瞳は青くなり、竜化の青に混じって緑色の魔力を身に纏いはじめた。

 首も尻尾も複数あるその状態は、怪獣と呼ぶに相応しい姿に思える。


 竜化は既にしてるから、トラみたいな顔が獣化の影響だとすると、竜みたいな顔は竜化によるものなのか……?

 でも竜化の影響は角と翼、そして青い魔力で現れているなら、この竜の顔は別の何かの能力の可能性が……。


「もしかして、魔技による魔竜化も同時に発動してるのか!?」


 竜化、獣化、魔竜化を同時に発動してフィジカルを超強化しつつ、熱視による魔力視と精霊魔法を同時に操れるとか完全にチートキャラだな。


 この分だと人間族さんの好事家ルートも現れる可能性もある。

 順当に成長したら、マジで究極の存在なのかもしれないな、アウラって。


「あ~……。ひょっとして使用者が意識を失った事による防衛機能みたいなものが働いたのかしら……? ごめんダン。ちょっとだけ凌いでもらえるかしらっ」

「気にしなくていいよティムル。気にしなくていいから縛鎖のペンデュラムを調べてくれる? アウラを解放するにはやっぱりこれが鍵を握ってると思うからさ」

「がああああああああっっ!!」


 謝るティムルに縛鎖のペンデュラムの調査をお願いしていると、3重の強化能力を重ねがけしたアウラが襲い掛かってくる。


 おっそろしいなぁ。

 村人で戦闘訓練もしていないはずのアウラが、初めて出会った頃の支配ラトリアと同じくらいのスピードを発揮しているんだけど?


 職業浸透を進め戦闘訓練を積めば、熱視による先読みや精霊魔法による妨害工作すら可能になるんだから本当に凄まじいね。

 ま、磨かれていない今は全然大したことないけど。


「村人の状態で魔迅を使っても私は1分も維持できませんでした。5つの種族特性を同時発動しているアウラに魔力枯渇の症状が出ないのは本当に異常です。なんの制限も無しに種族特性を使い放題だなんて、アウラはズルいですねっ」

「……多分ダンなら気づいてると思うけど、さっきからアウラは泣いてるの。持久力補正も無しに限界以上に酷使されて凄く辛いんだと思う。早く助けてあげなきゃなのっ……!」


 アウラを羨むヴァルゴと憐れむニーナに、任せておけと笑顔を見せる。

 たとえアウラが究極の存在だとしても、10歳の女の子を泣かせたまんまにしてられないよなぁ。早いところ助けてやらなきゃいけないねっ!


「アウラ! とりあえず俺に遠慮しないで全力で攻撃して来い! お前のことは絶対に助けてやるから、お前はそれまで自分の負担を減らすことだけ考えていればいい!」

「ああああ……、あああああああああああああああっっっ!!!」


 俺の言葉に一瞬だけ動きを止めたあと、今までにも増して激しい攻撃を繰り出してくるアウラ。


 それでいい。今は自分の負担をなるべく減らして自分の心を保ち続けてくれれば充分だ。

 お前が耐えてくれている間に、俺達が必ず突破口を見つけ出してみせるからな!


 贅沢に連射される全力ブレス、獣化か魔竜化の能力らしい魔力で伸びた長い爪を活用して、がむしゃらに俺を狙うアウラ。

 それらを掻い潜って1度思いきりアウラを抱きしめてみたものの、脆弱な人間族さんには3重の強化が施されたドワーフ族を拘束する力など持ち合わせていなかったようだ。

 あっさり拘束を外され逃げられてしまう。


「やるじゃんかアウラ。俺の胸の中から抜け出せる女なんて、うちの家族にもそうそう居ないんだぜ?」


 うちの家族は、むしろ自分から俺の胸に飛び込んできてくれるんだけどねーっ。


 アウラの身体能力も上回って見せたし、アウラを操るカイメンの意識も刈り取った。

 これであとはアウラの動きを止めて、縛鎖のペンデュラムから解放してやるだけだ。


 頼んだよみんな。幼い女の子が中年男性に好き勝手に扱われるなんて、いくら異世界だからって絶対に許しちゃ駄目だからね。

 事案発生だ。お巡りさんコイツです?


 ……いや、お巡りさんを呼んでしまったら、さっきからアウラの裸を見まくってる俺こそ逮捕されちゃうか?

 現実とは非情だね、まったく。
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