異世界イチャラブ冒険譚

りっち

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7章 家族みんなで冒険譚3 エルフェリアで過ごす夜

543 ヒトの子 (改)

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 アウラとリュートと3人でエルフェリアに転移した俺は、約450年ぶりに帰宅したリュートの案内で、空っぽになった彼女の生家を進んでいく。


「ここがぼくの……ううん。ここがぼくと姉さんの部屋だよ」


 やがてリュートは、ツリーハウスの奥にあった、少し狭く感じる1室の前で立ち止まった。

 どうぞと壁際に避けるリュートに促されて、アウラと一緒に足を踏み入れる。


「ここがリュートとリーチェお姉ちゃんのお部屋……」

「……やっぱりここにも何も無いな」


 アウラと一緒に、何も無い部屋の真ん中に立ち尽くす。

 家具どころか傷も汚れも残っていない綺麗な部屋には、かつて誰かが住んでいた名残は全く感じられなかった。


「なんだか記憶にある部屋よりも広いような狭いような、複雑な気分になっちゃったなぁ……」


 寂しげに呟きながら俺の背後から抱き付き、俺の背中に顔を埋めるリュート。

 彼女はそのまま独り言のように語り続ける。


「部屋自体は狭く感じるんだけど、何も無いから広くて寂しいようにも感じちゃうよ。ここは間違いなくぼくと姉さんの部屋だったけど、ぼくと姉さんが暮らしていた証はもう何も残ってないんだねぇ……」

「……ひょっとして、ここに連れて来ないほうが良かったかな? 辛かったり悲しかったりしてるんじゃ……」

「ううん。さっきも言ったけど、ぼくをここに連れてきてくれて感謝の気持ちしかないよ? ただね……」


 リュートは抱きつく力を強め、俺の背中により強く顔を埋めてくる。

 まるで今の自分の顔を俺に見せたくないかのように。


「何も無い部屋の中を見たら、もう誰も居ないんだなって……。もうぼくの家族はこの世に居ないんだなって、実感が湧いちゃったんだ……」

「……リュートの家族はもう居るだろ。居なくなってしまった人たちの代わりにはなれないけどさ」

「うん……。大好きな夫と可愛い娘がいて、本当に幸せな日々を過ごさせてもらってるんだけど……。それでもやっぱり、少し寂しいかなぁ……」


 新しい家族が出来たからって、元々の家族を失っていいわけじゃないもんな。

 今どれ程幸せに過ごしていようとも、大切な人がいなくなったら寂しいに決まってる……。


「……ねぇリュート。リーチェお姉ちゃんの話を聞かせてくれないかな?」

「……姉さんの話を?」


 リュートに言うべき言葉が見つけられずに黙り込む俺に代わって、アウラがリュートに声をかける。


「リーチェお姉ちゃんのことは今までも沢山お話してきたけど……。リュートと改めてリーチェお姉ちゃんの話がしたいと思ったんだ。ここでさ……」

「俺も聞きたいな。俺ってリュートのお姉さんのこと何も知らないし」


 折角リュートを生家に連れて来たのに、聞くのが姉のリーチェの話でいいのかな?

 いや、リュートにとって姉のリーチェの存在は、この家の思い出と密接に結びついているはずだ。


「せっかくだから話してくれないかな? 俺の大切なリュートが愛した、かつての家族のことを」

「……そうだね。ダンにはあんまり姉さんの話をしたことがなかったかもしれない。ぼくはリーチェでもあったから、少し気まずかったのかもしれないなぁ」


 静かに語りながら、ゆっくりと俺の背中から離れるリュート。

 また顔を隠される前にと振り返って彼女を見ると、リュートはただ優しげに微笑んでいた。


「椅子もベッドも無い部屋で申し訳ないけど、自分の部屋だと思って寛いでよ。姉さんの話、きっと長くなるからさ」

「長くなってもいいから聞かせてよ。それにリュートにもアウラにも椅子なんて必要無いから」

「え? あ……」


 正面からぎゅっと抱きしめてやると、安心したように全身を弛緩させるリュート。

 そんなリュートとアウラを一緒に抱き上げ、壁を背にして床に座り、俺の上に愛しい妻と娘を座らせた。


「お前たちも指定席に腰を下ろした事だし、それじゃ話してくれるかな? リュートのお姉さん、リーチェ・トル・エルフェリアの話を」

「ふふ。なんだか不思議な感じだよ。『リーチェ・トル・エルフェリア』って、455年もぼくの名前だったからさ」

「パパー。悪戯してもいいけど、リュートのお話の邪魔はしないようにしてねー?」


 おっと。流石は俺達の娘だ。エロい事に寛容で積極的だねっ。

 それじゃ早速両手を2人の服の内部にお邪魔させていただいて、けれど会話の邪魔にならないように刺激弱めで悪戯してあげるとしようかなっ。


 2人の生乳を下から掬い上げて、先端を人差し指でクリクリと転がす。

 乳房の根元は手の平で弱めのマッサージ、先端は人差し指とダンスってもらうことにしよう。


 乳首をくりくり転がし始めると、それが開始の合図かのように語り始めるリュート。


「姉さんはすっごく有名でね? 頭も良くって人当たりも良くて、アルフェッカでも1番の美人としてみんなに称えられていたんだよ」

「うんうん。リーチェお姉ちゃんって本当に美人さんだったよねぇ。……って、うちのママたちを見てると普通に感じちゃうけどさー」

「あはは。特にフラッタやラトリアは、姉さんと並んでいてもまったく見劣りしないだろうねっ」


 おおう。フラッタとラトリアって俺が見てきた中で、この世界で1番の美人の1人なんだけど?

 その2人と同水準の美貌ってヤバイな。


 まっ、妹のリュートも世界で1番の美人の1人だからな。

 お姉さんであるリーチェも美人であった事は、リュート本人が常に証明してくれてる様なものだ。


 俺に乳首を転がされているのを感じさせない口調で、リュートとアウラが楽しそうにリーチェの話に花を咲かせている。

 姉のリーチェと妹のリュートは100歳以上歳が離れているらしい。

 これだけでもエルフの長命さが伺えるなぁ。


 どうやらエルフの長とエルフの王族というのは別々の扱いらしく、王はエルフ族の先に立ち、種族を導く者として君臨し、長は種族をまとめる者として存在していたらしい。

 う~ん。日本で言うところの皇室と政治家みたいな関係性なんだろうか?


「実はぼく、エルフの王家の起源も良く分かってないんだ。大人になったら詳しく聞かされていたかもしれないけど、エルフにとって16歳って赤ん坊扱いもいいところだったからね」

「っていうか、リュートの両親って長の側近か何かを務めてたんじゃなかったっけ? 王と長の関係が逆転してない? いや、元々の関係性からして知らないけどさ」

「多分エルフの王族って殆ど形骸化してたんじゃないかな。ぼくも王族として扱われたことなんてなかったよ? 偽りの英雄譚ではエルフの姫として、思い切り担がれちゃったけどさ」


 王家の血筋が形骸化してしまっていた……? そんなことありえるのかな?

 エルフの長は全エルフから選出されてエルフェリアの運営を任されていたそうだけど、王族のリュートたちは特に特権を与えられることも無く、こんな普通の家で家族だけで暮らしていたのだそうだ。


「王族らしいところと言えば、ぼくが身に着けている装備品くらいかなぁ?」

「王族らしい装備品? 確かにリュートの装備品は全部アウターレア製だって話だけど……」

「うん。これらの装備はエルフ族の王家に、つまりぼくの家で管理されていたものなんだ。エルフ族の秘宝として、王家の者が代々受け継いできたみたい」


 エルフ族の秘宝を、こんな普通の家で管理してたの? 危なくない?


 でも装備品って事はインベントリに収納可能なんだよな。

 そう考えれば個人で歴史的な貴重品を管理するのも、楽と言えば楽なのかもしれない。


「って、リュートの家族ってもうみんな居なくなってるんでしょ? リュート自身も人間族のパパと婚姻を結んじゃっているわけだから子供は産めないよね? となるとエルフの王家って、もう既に……?」

「……そういうことになっちゃうかな。そもそも種族全体が滅びかけているのに、形骸化した王家なんて存在するだけ無駄だったと思うけど」


 恐る恐る投げかけられたアウラの疑問に、特に思い入れも無さそうにあっさり答えてみせるリュート。


 エルフ族の王家エルフェリア家は、リュートのみを残して全滅してしまっているようだ。

 そして残ったリュートも異種族の俺を愛してしまったために、子供を作ることが出来ないのだ。

 王家エルフェリアの血は滅亡待ったなしだな。


 まぁでも、このリュートのこのスタンスは俺にとっては朗報だ。

 仮に、王家の血を絶やさないためにリュートにエルフの相手をさせろなんて言ってきたら、俺の手でエルフェリア精霊国を滅ぼしてやりたくなるだろうから。


「母さんと父さんは、王族の血に相応しい誇り高いエルフとして振る舞いなさいってよく言ってたんだけどね。姉さんったら父さん達の前では素直に頷くのに、2人が居なくなると血筋なんてどうでもいいわ~って人だったんだ」

「リーチェお姉ちゃん本人こそ、見た目も中身も完璧にお姫様ーって感じだったのにねー? でも確かにリーチェお姉ちゃん、特別扱いされるのを嫌がってたかもなぁ」

「うん。ぼくはあまり経験したことなかったけど、姉さんはエルフ族の姫君として厳しい教育と過度の期待を寄せられてたって言ってたからね。ウンザリしてたんじゃないかなぁ」

「お姉さんがそうだったのに、同じくお姫様のリュートはそういう経験無いの? なんで?」

「さっきも言ったけど、エルフにとって16歳なんて生まれたてみたいな認識だからね。姉さんが王族としての教育を受け始めたのは50歳を超えてからだったはずだよ。恐らくぼくも50を超えたら姫教育が始まったんじゃないかな」


 人間族と比べて寿命が10倍だと仮定するなら、50歳で5歳くらいの感覚なのか?


 でも成長は他の種族と同じようにしてる上に、16歳のリュートを放り出したりしてるし、色々よく分からないなエルフ族。

 寿命が違うから、俺の常識でエルフ族の事を考えること自体が間違ってるのかもしれないけど。


「両親は長の補佐を長く務めていて、姉さんも同じく補佐を任されててね。王族の血になんて何の意味も無いんじゃないのーってよく聞かされた記憶があるよ」

「起源も分からない、特別待遇もされない王族なんて確かに意味が分からないな。だけど蒼穹の盟約に選ばれたのはお姉さんだったんだね」

「……そうなんだよねぇ」


 なんとなく呟いた俺の疑問に、リュートがうむむと考え込んでしまった。

 でもこの様子だと、リュートも同じ疑問を抱いていたのかもしれない。


「勿論姉さんが優秀だったのはあると思うけど、魔物狩りとしてなら姉さんよりも優秀なエルフは居たはずなんだ。なのに姉さんがエルフ代表に選ばれたのは、間違いなく家格のせいなんだろうね」

「エルフの王族には特別な何かがあるのか。それとも見栄っ張りのエルフ族のプライドが、種族の代表者に適当なエルフを選出することを拒ませたのか……」

「……多分後者だろうねぇ。ぼく、自分と他のエルフの違いなんて感じたことないもん。他のエルフとの交流なんて、エルフェリアを出てからはほぼ無かったけどさ」


 リュートと他のエルフ……例えばライオネルさんを比較しても、特に種族的な違いは感じられないんだよな。


 リュートのおっぱいと美貌、戦闘能力、そしてエロさなんかは特筆すべき要素だとは思うけれど、まさかそれが王家の血によって齎されているって事は無いだろう。

 アウラ曰く、姉リーチェのおっぱいはティムルクラスだったって言うしな。それでも充分巨乳だけど。


「大体さー。姉さんは外面が良いタイプで、性格は結構ズボラだったんだよ? ぼくのおっぱいのことはよくからかってくるしさーっ」

「だねー。リーチェお姉ちゃんがリュートのことを話してくれるときって、必ずおっぱいには触れてた気がするよー」


 いやぁこの素晴らしいおっぱいに触れたくなるのは仕方ないんじゃないかなぁ。

 俺だって可能な限りこのおっぱいに触れるようにしてるし。つんつんぷにぷに。


 問題があるとすれば、妹のおっぱいを愛していたのか羨んでいたのかという点だ。

 羨んでいたなら俺に出来る事はないけれど、妹のおっぱいをこよなく愛するお姉さんだったとしたら、きっと俺は夜通し語り合うことが出来ただろう。もみもみ。


「……10歳の少女だったアウラにおっぱいおっぱい言うのもどうかと思うけど……。まさか姉さん、蒼穹の盟約のメンバーにも同じ事言ってないだろうねっ……!?」

「ん~。それは無かったんじゃないかな。リーチェお姉ちゃんに限らず、蒼穹の盟約のみんな同士では家族の話は殆どしてなかったみたいだから」

「姉さんに限らず?」

「うん。みんな私には家族の事を話してくれるんだけどね。仲間同士で家族の事を話す事って無かったみたい。みんな囮になって死んでいく人たちに負い目があったんじゃないかな……」

「…………そっか」


 アウラの想像に、同意とも否定とも取れる曖昧な返事を返すリュート。


 囮の話は以前聞いたな。

 ガルクーザを倒すためにフォアーク神殿を利用しなければいけないから、フォアーク神殿を利用する間、ガルクーザの注意を引く人たちが必要だったんだっけ……。


 囮になった人たちも納得の上での決断だったのだろうけれど、自分たちが転職するたびに犠牲者が出て、なのにいつまで経ってもガルクーザを滅ぼすことが出来なかったのだから、蒼穹の盟約メンバーのストレスは相当なものだったのだろう。

 数多の犠牲を出しながら結果を出せない苛立ちが、家族のことを口にするのを躊躇わせたのかもしれない。


「私を引き取るの、始めはリーチェお姉ちゃん以外のみんなは反対したんだって。だけど最後にはみんな可愛がってくれたんだ。ラスタが言うには、私が居なかったら心が潰れてたんだって……」

「ラスタって?」

「蒼穹の盟約のリーダーで、人間族代表の男性のことだよ。言うまでもないけど、スペルディア家とはなんの関わりも無い人だからね?」


 リュートの補足で、蒼穹の盟約のリーダーの名前を知ることが出来た。

 スペルディア家とはなんの関わりも無いけれど、人間族の男性でパーティリーダーを務めていたことは建国の英雄譚と一緒なのね。


「私ってね、蒼穹の盟約のみんなが初めて助けることが出来た人間だったんだって。私の存在が、自分たちの行ないを肯定してくれているんだって言ってた。私が居なかったら、ガルクーザに立ち向かえなかったって……」

「……6人の英雄達も、やっぱりヒトの子だったってことか」


 アウラとリュートを抱き寄せ、その体温を確かめる。


 アウラがいたから自分たちの行ないを肯定することが出来た。

 アウラが居なかったら邪神に立ち向かえなかった、か……。

 これだけ聞くと、まさに俺とニーナの関係性と何にも変わらない。


 ニーナの存在が俺を肯定してくれて、ニーナの存在が俺に足を止めることを許さなかった。

 生きる事に必死だっただけの俺と、人類を邪神から救った英雄達を同列に語るのはおこがましいかもしれないけれど、英雄達も世界を救うために戦ったわけじゃなくて、大切な誰かを護りたくて命を投げ打ったんだと分かって、少しだけ親近感が湧いた。


「……英雄達が命を捨ててでも守ったリュートとアウラ。その2人がこうして俺の腕に収まってるなんて恐縮しちゃうね。英雄たちに怒られないように、この世の誰よりも幸せにしてあげなきゃいけないなぁ」

「あはは。それなら心配要らないんじゃない? だってぼくもアウラも、もうとっくにこの世界の誰よりも幸せにされちゃったからねっ」

「こんなにえっちな日々を送ることになるとは思わなかったけどねー……。幸せは幸せだけど、今の生活を知ったら、それはそれでみんなに心配されちゃいそうだよぅ……」


 笑うリュートと溜め息を吐くアウラを静かに押し倒し、2人にそっと口付けをする。


 英雄たちの忘れ形見の2人が俺の妻になるなんて、本当に責任重大だ。

 エロエロすぎて心配されちゃうならもっともっとエロい事をして、これが普通で日常なら仕方ないなぁって呆れられちゃうくらいに、アウラもリュートももっともっと幸せにしてあげるからね。
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