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716 検証実験
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「ここが終焉の箱庭の向こう側かぁ……。まさか終焉の箱庭の中に入ることすらなく、その向こう側を見ちゃうことになるなんてねぇ……」
はえ~っと、少しぼうっとした様子で辺りを見渡しているチャール。
それでも俺の手をしっかり握っているあたり、最低限の冷静さは保てているようだ。
新しく家族に加えたキュール、シャロ、チャールとシーズの4人に世界の果てを見せるべく、俺達は終焉の箱庭を抜けた向こう側へと転移して来た。
チャールとシーズは俺と手を繋いでいるので安全だし、キュールのことはヴァルゴに任せておけば問題ないだろう。
ターニアはニーナと、ラトリアとエマはフラッタと話をしているので大丈夫として、シャロとムーリが背後から抱き付いてきてムニュムニュと最高の感触を俺にお届けしてくれるんだよ?
「ダーンさんっ。この先を見たのは仕合わせの暴君の皆さんだけで、私たちも終焉の箱庭までしか来てないって忘れてませんかっ?」
「……あ~。みんなにはヴァンダライズは披露したけど、世界の果ては見せていなかったんだっけ。ごめん、マジで忘れてたよ。でもこのままくっついてくれてれば安全だから」
「んもーご主人様ったら。いつもの深謀遠慮っぷりもおっぱいの前には霞んじゃうんですかー? 私とムーリさんのおっぱいで骨抜きになっちゃうんですかぁ……?」
「シャロとムーリにはとっくに骨抜きのメロメロにされてるよ。気持ちいいし安全だし、そのまま2人はずっと俺におっぱい押し付けてくれていいからね」
「「は~いっ」」
元気良く返事しながらも、なんの躊躇いもなく両手を俺の下着の中に突っ込んでくる2人。
一応不測の事態に備えているのか、2人の白魚のような指は遠慮がちに俺の股間を弄ってくるけど、遠慮がちに股間を弄るって文章が矛盾に満ちてて戸惑うんだよ?
勿論最高に気持ちいいので、2人の好きにさせておきますけど?
「屋外型アウターのすぐ傍なのに、魔物が襲ってきたりはしないんだな? こんなにだだっ広い平原だってのに、どこか殺伐としてて怖い場所だな……」
「ここって見た目より結構狭いんだよシーズ。だから魔物や野生動物には棲みにくいのかもしれない。世界の果ての影響か、木なんかも殆ど生えてないしね」
「恐らくだけど、ユニや聖域の樹海とは逆なんじゃないかしらぁ?」
不安げに周囲を見回しているシーズと会話していると、先頭のティムルが会話に参加してきた。
キュールは周囲の観察に夢中で、今は聞き役に徹しているようだ。
「ティムル? 逆っていうのは?」
「マジックアイテムによって森を生成しているユニや聖域とは逆に、世界の果てから魔力が流出してしまって魔物や植物なんかが形作られる前に零れ落ちてしまってるんじゃないかなぁってね。ちなみに根拠は無くて、私の勝手な想像よー?」
「のうのうティムル。世界の果てから魔力が流出し続けておるなら、いつかはこの世界から魔力が失われてしまうのではないか?」
「なるほどぉ。確かにフラッタちゃんの言う通りかもぉ? 私の想像では世界の端っこから常に魔力が零れてるのかなーって思ってたんだけど、ひょっとしたらここ、世界の果てってわけじゃないのかしらぁ?」
「ははっ。我が家はいいねぇ。世界の考察をみんなで真剣に話し合えるんだからさっ。私も世界の果てを見るのが楽しみで仕方ないよっ。触心が使えるか分からないのは残念だけどねぇ」
聞き役に回っていたはずのキュールが、堪えきれないと言った様子で嬉しそうに会話に参加してくる。
我が家の場合は全員が体験を伴って考察しているからなー。身の安全にも関わってくるし、座学を学んでいる研究者たちとはそもそものスタンスが違うんだろうね。
ニーナやフラッタなんかは興味が無いことをスルーしがちだけど、命の危険に関わってくることには積極的に会話に混ざってくるもんな。
「なんて言ってる間に到着よー。みんな、お姉さんより前には絶対に出ないでねー?」
ティムルの到着宣言を聞き、みんなで足を止めて前方を見る。
やっぱり普通の目には世界が途切れているようには見えないな。小さく違和感だけは抱いちゃうんだけど。
「初めて来たみんなに説明すると、私の前の空間から魔力が存在してないのぉ。前回来た時にはダンの造魔召喚でアウターエフェクトを先に進ませてみたんだけど、召喚者であるダンすら気付かないうちに、アウターエフェクトが消滅してしまったのよねぇ……」
「分かりやすい説明ありがとうお姉さん。そう言うわけで、この先に進んでも平気なのか、生身でこの先の魔力不在空間に触れても大丈夫なのかがまだ分からなくってね。観光と調査を兼ねてみんなも連れてきてみたんだよー」
ティムルが前回の調査の結果を、俺が現状の認識をみんなに説明する。
その後ろではニーナとターニアが敷物を広げて、せっせと寛ぎ空間を整備し始めているようだ。
調査と言っちゃったから、それなりの時間この場所に留まると判断したみたいだ。
「今回は敷物も食べ物もそれなりに用意してきたから、休みたくなったり話し合いなんかにはここを使っていいからねー?」
「天気もいいし、お昼寝しててもいいのー。だけど寝ぼけてティムルちゃんの前に出ないように気をつけるのー」
「ん、確かにターニアの言う通り何か目印が必要かな。お姉さん、地面に線でも引いてくれる?」
「あはーっ。お姉さんにまっかせなさーいっ! 世界の果ての1歩前に線を引いてあげるから、この先には出ないようにするのよぉっ?」
あはーっと微笑みながら巨大戦斧グランドドラゴンアクスを引き摺って、2~300メートルくらいに渡ってまぁまぁ太い線を地面に描くティムル。
この太い線のどこを基準にすればいいんだろう? とりあえず線からはみ出なきゃセーフかな?
ティムルが引いてくれた基準線を前に、不安げに前方の空間を眺めるチャールとシーズ。
我関せずと俺の股間で暴れ続けるシャロとムーリの細い両手。
そんな俺達と違って、キュールは目の前の空間に触心を行なうかどうかを迷っているようだ。
「う、う~ん……! 世界の果てを触心した結果右手を失っても、研究者としては本望ではあるんだけど……! 今のところ触心は右手でしか発動出来ないから、右手を失ったら今後の研究にも支障がぁ……!」
「キュールー。そんな簡単に捨て身にならないでくれる? お前の夫として、妻であるお前が傷つくのは嫌なんだけどー?」
「捨て身になっているわけじゃないんだけど、この先を触心してみたい気持ちが強くってさ……。この先の安全性ってどうにか調べられないのかい?」
「この先の安全性か。確かにそれは確認したいね……」
シャロとムーリが俺の思考を邪魔してくるけど、むしろ2人の感触に集中した方が思考が冴え渡りそうだな。
境界線から1歩ほど下がると、直ぐにその意味を理解したシャロが俺の前に跪き、おっぱいと口を使って楽しそうにご奉仕を開始してくれる。
「前回この先に進ませたのは、魔力だけで構成されている造魔アウターエフェクトだったから、今度は物質を試してみたいね……。ティムル。俺が造った鋼鉄のダガーってまだ持ってる?」
「持ってるに決まってるでしょーっ! 持ってるけど、検証に使うのは絶対嫌だからねーっ!? ダンに作ってもらった装備を万が一にでも失いたくないんだからーっ!」
「ティムルってば可愛いこと言いすぎだからね? でもそれなら槍かなんかを作ってもらって、この先に入れてもらえないかな?」
「あっ、そ、そうね……。別に私の宝物を使う必要は無かったわ……。直ぐに試してみるわねーっ」
いそいそと材料を取り出し槍を作るティムル。
けどその前に小声で言っていたことが可愛すぎて堪らないんだけど?
現在神鉄装備を作れる唯一のドワーフの宝物が、人間族の俺が作った鋼鉄のダガーって……。
その事実だけで、さっきからゴクゴクというシャロの嚥下の音が止まらないんだよ?
「はぁいダンさぁん……。シャロさんの次は、私がたぁっくさん可愛がってあげますからねぇ……?」
お腹いっぱいになったシャロがムーリとポジションを後退し、ムーリがむぎゅむぎゅはむはむしてくれる。
その一方で、緊張した面持ちのティムルが、作ったばかりの槍を水平に構えている。
「……槍を突き入れても何も起こらないとは思うけど、正直確信は無いわ。みんな、何が起こっても対処できるように身構えていて頂戴ね?」
「旦那球がムーリに咥えさせたままなので、恐らく大丈夫ですよティムル。勿論警戒はしていますのでご安心を」
「確かにダンがのほほんとしているのが気になるね? 槍を突き入れる事にダンは不安とか感じないの?」
「勿論警戒はしておくけど、恐らくは大丈夫だと思うよリーチェ。槍が消えることはあっても、何も無い空間側から何かが流れ込んでくるような事はないでしょ。それに前回一応テラーデーモンをその中に進入させた時も何も起きなかったから」
確か前回来た時にティムルは、この場所には魔力の膜のような物があると言っていた気がする。
だからその膜を眼で見られるティムルが槍を突き入れることに緊張しているのは理解できるけど、その膜を破った結果起こると想定される事態は、こちら側から向こう側に魔力が流出することくらいだろ。
もしも勢い良く魔力が流出しても、魔力の流れに物理的な干渉力が無いことはアウターの境界壁や奈落の底で証明済みだ。
ムーリにはむはむちゅうちゅうされながらも何が起きても大丈夫なように身構えておくけど、恐らくここでは何も起きないはずだ。
「ということで、やっちゃっていいよティムル。というか何か起きたらお姉さんが1番危険なんだから気をつけて」
「了解よー。それじゃみんな、入れるわよー?」
俺の言葉で幾分か肩の力が抜けたティムルが、ゆっくり慎重に槍を前に進めていく。
ティムルの腕が伸び切る前に、まるで移動魔法を使ったみたいに槍の穂先が見えなくなってしまったけど、これは槍が消えたのか膜の外で健在なのか分からない。
両腕を伸ばしきったところで、ティムルが1度動きを止めてこちらに声をかけてくる。
「……今のところ槍は失われていないみたい。それじゃ今度は引き抜くわね?」
「何も起こらないとは思ってるけど、何か起こるとすれば引き抜く時の方が可能性が高いと思う。気をつけてね」
「ん、分かってるわ。行くわよー?」
汗を滲ませるほど緊張しているお姉さんが居る一方で、ムーリに思い切り注ぎ込んでいる俺。
ムーリもシャロも家族しか居ない空間だと容赦が無いね。俺が止めさせないから大丈夫だと判断しているっていうのもあるだろうけど。
その点同じエロス大明神でも戦闘経験が豊富なリーチェは、不測の事態が起こりうる状況ではエロいことはして来ないんだよな。
いやリーチェの場合、ティムルが頑張っている時にエロいことをしたくないだけかもしれない。
ムーリが口で綺麗に掃除したブツを、改めてシャロが咥えてくる。
そんなエロ行為が普通に行なわれているくらいに何も起こらなくて、ティムルが引き抜いた槍の穂先にも特に異常は見当たらなかった。
引き抜いた槍の穂先を、慎重な手付きで点検するティムル。隠喩ではありません。
「異常無し……ね。少なくとも槍くらいの強度があればこの先に進んでも大丈夫そうではあるかしら……?」
「装備品が無事となると、ダンが召喚したテラーデーモンが消滅したのはどうしてだったんだろうね? 単純に肉体強度が足りなかった? 装備品だって究極的には魔力で出来た物質だと思うんだけど……」
「リーチェ。多分だけどあの時造魔召喚が切れたのは、俺との魔力リンクが途切れたせいで召喚を維持できなかったってことだと思うよ。恐らくこの先に手を入れても、欠損するような事態は起こらないと思う。ただ……」
この世界って恐らく惑星の上に立ってるわけじゃないから、魔力の無い空間イコール真空と言うわけではないと思う。
宇宙空間みたいに気圧が無くて血液が沸騰したりとか、そういうことが起きるとは思えないんだけど……。
「ただ? ただなんなのじゃダン?」
「えっと……。魔力が無い空間に手を入れても、触心で情報を得られるかと言われると微妙じゃない……?」
「はははっ! そんなことかいっ!? そういう不安はまず実験してから考えるのが研究者というものだよっ!」
「そうかなぁ……? 踏み込む前に検証して、危険を回避するのも研究者の姿じゃないのぉ……?」
「ナンセンスだねっ! 確かにダンさんの言うことには説得力を感じるけど、だからと言って触心が使えるのに試さない理由にはならないよっ! ということで早速試してみていいかなっ!」
「一気にガバッと突っ込んだりしないでよー? 欠損まで行かなければキュアライトで治せるからさ」
「さっすが話が分かるぅ! 理解ある夫で私は幸せだよっ! 愛してるよダンさーん!」
俺に背を向けたままで愛を叫んだキュールは、ティムルの指示に従いながら魔力を纏った右手を慎重に前へと突き出していく。
やがてキュールの指の先、手の平、そして手首までが見えなくなっても、キュールとティムルに焦った様子は見られなかった。
しかしゆっくりと右手を引き抜いたキュールは、大きな大きな溜め息を吐いた。
「触心で分かったのは、この先に手を入れても危険は無いってことだけで~す……。ダンさんが言っていた通り、触心で分かることは特にありませ~ん……」
投げやりに報告して、再度大きく息を吐きながら大の字に寝転ぶキュール。
ヴァルゴがそんなキュールを面倒臭そうに、ニーナが用意してくれた敷物の上に引き摺っていくのだった。
はえ~っと、少しぼうっとした様子で辺りを見渡しているチャール。
それでも俺の手をしっかり握っているあたり、最低限の冷静さは保てているようだ。
新しく家族に加えたキュール、シャロ、チャールとシーズの4人に世界の果てを見せるべく、俺達は終焉の箱庭を抜けた向こう側へと転移して来た。
チャールとシーズは俺と手を繋いでいるので安全だし、キュールのことはヴァルゴに任せておけば問題ないだろう。
ターニアはニーナと、ラトリアとエマはフラッタと話をしているので大丈夫として、シャロとムーリが背後から抱き付いてきてムニュムニュと最高の感触を俺にお届けしてくれるんだよ?
「ダーンさんっ。この先を見たのは仕合わせの暴君の皆さんだけで、私たちも終焉の箱庭までしか来てないって忘れてませんかっ?」
「……あ~。みんなにはヴァンダライズは披露したけど、世界の果ては見せていなかったんだっけ。ごめん、マジで忘れてたよ。でもこのままくっついてくれてれば安全だから」
「んもーご主人様ったら。いつもの深謀遠慮っぷりもおっぱいの前には霞んじゃうんですかー? 私とムーリさんのおっぱいで骨抜きになっちゃうんですかぁ……?」
「シャロとムーリにはとっくに骨抜きのメロメロにされてるよ。気持ちいいし安全だし、そのまま2人はずっと俺におっぱい押し付けてくれていいからね」
「「は~いっ」」
元気良く返事しながらも、なんの躊躇いもなく両手を俺の下着の中に突っ込んでくる2人。
一応不測の事態に備えているのか、2人の白魚のような指は遠慮がちに俺の股間を弄ってくるけど、遠慮がちに股間を弄るって文章が矛盾に満ちてて戸惑うんだよ?
勿論最高に気持ちいいので、2人の好きにさせておきますけど?
「屋外型アウターのすぐ傍なのに、魔物が襲ってきたりはしないんだな? こんなにだだっ広い平原だってのに、どこか殺伐としてて怖い場所だな……」
「ここって見た目より結構狭いんだよシーズ。だから魔物や野生動物には棲みにくいのかもしれない。世界の果ての影響か、木なんかも殆ど生えてないしね」
「恐らくだけど、ユニや聖域の樹海とは逆なんじゃないかしらぁ?」
不安げに周囲を見回しているシーズと会話していると、先頭のティムルが会話に参加してきた。
キュールは周囲の観察に夢中で、今は聞き役に徹しているようだ。
「ティムル? 逆っていうのは?」
「マジックアイテムによって森を生成しているユニや聖域とは逆に、世界の果てから魔力が流出してしまって魔物や植物なんかが形作られる前に零れ落ちてしまってるんじゃないかなぁってね。ちなみに根拠は無くて、私の勝手な想像よー?」
「のうのうティムル。世界の果てから魔力が流出し続けておるなら、いつかはこの世界から魔力が失われてしまうのではないか?」
「なるほどぉ。確かにフラッタちゃんの言う通りかもぉ? 私の想像では世界の端っこから常に魔力が零れてるのかなーって思ってたんだけど、ひょっとしたらここ、世界の果てってわけじゃないのかしらぁ?」
「ははっ。我が家はいいねぇ。世界の考察をみんなで真剣に話し合えるんだからさっ。私も世界の果てを見るのが楽しみで仕方ないよっ。触心が使えるか分からないのは残念だけどねぇ」
聞き役に回っていたはずのキュールが、堪えきれないと言った様子で嬉しそうに会話に参加してくる。
我が家の場合は全員が体験を伴って考察しているからなー。身の安全にも関わってくるし、座学を学んでいる研究者たちとはそもそものスタンスが違うんだろうね。
ニーナやフラッタなんかは興味が無いことをスルーしがちだけど、命の危険に関わってくることには積極的に会話に混ざってくるもんな。
「なんて言ってる間に到着よー。みんな、お姉さんより前には絶対に出ないでねー?」
ティムルの到着宣言を聞き、みんなで足を止めて前方を見る。
やっぱり普通の目には世界が途切れているようには見えないな。小さく違和感だけは抱いちゃうんだけど。
「初めて来たみんなに説明すると、私の前の空間から魔力が存在してないのぉ。前回来た時にはダンの造魔召喚でアウターエフェクトを先に進ませてみたんだけど、召喚者であるダンすら気付かないうちに、アウターエフェクトが消滅してしまったのよねぇ……」
「分かりやすい説明ありがとうお姉さん。そう言うわけで、この先に進んでも平気なのか、生身でこの先の魔力不在空間に触れても大丈夫なのかがまだ分からなくってね。観光と調査を兼ねてみんなも連れてきてみたんだよー」
ティムルが前回の調査の結果を、俺が現状の認識をみんなに説明する。
その後ろではニーナとターニアが敷物を広げて、せっせと寛ぎ空間を整備し始めているようだ。
調査と言っちゃったから、それなりの時間この場所に留まると判断したみたいだ。
「今回は敷物も食べ物もそれなりに用意してきたから、休みたくなったり話し合いなんかにはここを使っていいからねー?」
「天気もいいし、お昼寝しててもいいのー。だけど寝ぼけてティムルちゃんの前に出ないように気をつけるのー」
「ん、確かにターニアの言う通り何か目印が必要かな。お姉さん、地面に線でも引いてくれる?」
「あはーっ。お姉さんにまっかせなさーいっ! 世界の果ての1歩前に線を引いてあげるから、この先には出ないようにするのよぉっ?」
あはーっと微笑みながら巨大戦斧グランドドラゴンアクスを引き摺って、2~300メートルくらいに渡ってまぁまぁ太い線を地面に描くティムル。
この太い線のどこを基準にすればいいんだろう? とりあえず線からはみ出なきゃセーフかな?
ティムルが引いてくれた基準線を前に、不安げに前方の空間を眺めるチャールとシーズ。
我関せずと俺の股間で暴れ続けるシャロとムーリの細い両手。
そんな俺達と違って、キュールは目の前の空間に触心を行なうかどうかを迷っているようだ。
「う、う~ん……! 世界の果てを触心した結果右手を失っても、研究者としては本望ではあるんだけど……! 今のところ触心は右手でしか発動出来ないから、右手を失ったら今後の研究にも支障がぁ……!」
「キュールー。そんな簡単に捨て身にならないでくれる? お前の夫として、妻であるお前が傷つくのは嫌なんだけどー?」
「捨て身になっているわけじゃないんだけど、この先を触心してみたい気持ちが強くってさ……。この先の安全性ってどうにか調べられないのかい?」
「この先の安全性か。確かにそれは確認したいね……」
シャロとムーリが俺の思考を邪魔してくるけど、むしろ2人の感触に集中した方が思考が冴え渡りそうだな。
境界線から1歩ほど下がると、直ぐにその意味を理解したシャロが俺の前に跪き、おっぱいと口を使って楽しそうにご奉仕を開始してくれる。
「前回この先に進ませたのは、魔力だけで構成されている造魔アウターエフェクトだったから、今度は物質を試してみたいね……。ティムル。俺が造った鋼鉄のダガーってまだ持ってる?」
「持ってるに決まってるでしょーっ! 持ってるけど、検証に使うのは絶対嫌だからねーっ!? ダンに作ってもらった装備を万が一にでも失いたくないんだからーっ!」
「ティムルってば可愛いこと言いすぎだからね? でもそれなら槍かなんかを作ってもらって、この先に入れてもらえないかな?」
「あっ、そ、そうね……。別に私の宝物を使う必要は無かったわ……。直ぐに試してみるわねーっ」
いそいそと材料を取り出し槍を作るティムル。
けどその前に小声で言っていたことが可愛すぎて堪らないんだけど?
現在神鉄装備を作れる唯一のドワーフの宝物が、人間族の俺が作った鋼鉄のダガーって……。
その事実だけで、さっきからゴクゴクというシャロの嚥下の音が止まらないんだよ?
「はぁいダンさぁん……。シャロさんの次は、私がたぁっくさん可愛がってあげますからねぇ……?」
お腹いっぱいになったシャロがムーリとポジションを後退し、ムーリがむぎゅむぎゅはむはむしてくれる。
その一方で、緊張した面持ちのティムルが、作ったばかりの槍を水平に構えている。
「……槍を突き入れても何も起こらないとは思うけど、正直確信は無いわ。みんな、何が起こっても対処できるように身構えていて頂戴ね?」
「旦那球がムーリに咥えさせたままなので、恐らく大丈夫ですよティムル。勿論警戒はしていますのでご安心を」
「確かにダンがのほほんとしているのが気になるね? 槍を突き入れる事にダンは不安とか感じないの?」
「勿論警戒はしておくけど、恐らくは大丈夫だと思うよリーチェ。槍が消えることはあっても、何も無い空間側から何かが流れ込んでくるような事はないでしょ。それに前回一応テラーデーモンをその中に進入させた時も何も起きなかったから」
確か前回来た時にティムルは、この場所には魔力の膜のような物があると言っていた気がする。
だからその膜を眼で見られるティムルが槍を突き入れることに緊張しているのは理解できるけど、その膜を破った結果起こると想定される事態は、こちら側から向こう側に魔力が流出することくらいだろ。
もしも勢い良く魔力が流出しても、魔力の流れに物理的な干渉力が無いことはアウターの境界壁や奈落の底で証明済みだ。
ムーリにはむはむちゅうちゅうされながらも何が起きても大丈夫なように身構えておくけど、恐らくここでは何も起きないはずだ。
「ということで、やっちゃっていいよティムル。というか何か起きたらお姉さんが1番危険なんだから気をつけて」
「了解よー。それじゃみんな、入れるわよー?」
俺の言葉で幾分か肩の力が抜けたティムルが、ゆっくり慎重に槍を前に進めていく。
ティムルの腕が伸び切る前に、まるで移動魔法を使ったみたいに槍の穂先が見えなくなってしまったけど、これは槍が消えたのか膜の外で健在なのか分からない。
両腕を伸ばしきったところで、ティムルが1度動きを止めてこちらに声をかけてくる。
「……今のところ槍は失われていないみたい。それじゃ今度は引き抜くわね?」
「何も起こらないとは思ってるけど、何か起こるとすれば引き抜く時の方が可能性が高いと思う。気をつけてね」
「ん、分かってるわ。行くわよー?」
汗を滲ませるほど緊張しているお姉さんが居る一方で、ムーリに思い切り注ぎ込んでいる俺。
ムーリもシャロも家族しか居ない空間だと容赦が無いね。俺が止めさせないから大丈夫だと判断しているっていうのもあるだろうけど。
その点同じエロス大明神でも戦闘経験が豊富なリーチェは、不測の事態が起こりうる状況ではエロいことはして来ないんだよな。
いやリーチェの場合、ティムルが頑張っている時にエロいことをしたくないだけかもしれない。
ムーリが口で綺麗に掃除したブツを、改めてシャロが咥えてくる。
そんなエロ行為が普通に行なわれているくらいに何も起こらなくて、ティムルが引き抜いた槍の穂先にも特に異常は見当たらなかった。
引き抜いた槍の穂先を、慎重な手付きで点検するティムル。隠喩ではありません。
「異常無し……ね。少なくとも槍くらいの強度があればこの先に進んでも大丈夫そうではあるかしら……?」
「装備品が無事となると、ダンが召喚したテラーデーモンが消滅したのはどうしてだったんだろうね? 単純に肉体強度が足りなかった? 装備品だって究極的には魔力で出来た物質だと思うんだけど……」
「リーチェ。多分だけどあの時造魔召喚が切れたのは、俺との魔力リンクが途切れたせいで召喚を維持できなかったってことだと思うよ。恐らくこの先に手を入れても、欠損するような事態は起こらないと思う。ただ……」
この世界って恐らく惑星の上に立ってるわけじゃないから、魔力の無い空間イコール真空と言うわけではないと思う。
宇宙空間みたいに気圧が無くて血液が沸騰したりとか、そういうことが起きるとは思えないんだけど……。
「ただ? ただなんなのじゃダン?」
「えっと……。魔力が無い空間に手を入れても、触心で情報を得られるかと言われると微妙じゃない……?」
「はははっ! そんなことかいっ!? そういう不安はまず実験してから考えるのが研究者というものだよっ!」
「そうかなぁ……? 踏み込む前に検証して、危険を回避するのも研究者の姿じゃないのぉ……?」
「ナンセンスだねっ! 確かにダンさんの言うことには説得力を感じるけど、だからと言って触心が使えるのに試さない理由にはならないよっ! ということで早速試してみていいかなっ!」
「一気にガバッと突っ込んだりしないでよー? 欠損まで行かなければキュアライトで治せるからさ」
「さっすが話が分かるぅ! 理解ある夫で私は幸せだよっ! 愛してるよダンさーん!」
俺に背を向けたままで愛を叫んだキュールは、ティムルの指示に従いながら魔力を纏った右手を慎重に前へと突き出していく。
やがてキュールの指の先、手の平、そして手首までが見えなくなっても、キュールとティムルに焦った様子は見られなかった。
しかしゆっくりと右手を引き抜いたキュールは、大きな大きな溜め息を吐いた。
「触心で分かったのは、この先に手を入れても危険は無いってことだけで~す……。ダンさんが言っていた通り、触心で分かることは特にありませ~ん……」
投げやりに報告して、再度大きく息を吐きながら大の字に寝転ぶキュール。
ヴァルゴがそんなキュールを面倒臭そうに、ニーナが用意してくれた敷物の上に引き摺っていくのだった。
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